※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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 由比ヶ浜と小町のお料理作りがスタート。どきどきが止まらない、悪い意味で。

 さっきまでは戦々恐々としていた小町も吹っ切れたのか、調理器具と食材を用意しながら楽しそうに何やら口遊んでいる。

「てれれってってってって、てれれってってってって、てれれってってってってってってってってーれーれーれ~」

「…………」

 うわあ……。

 取り敢えず、こんなに刺激的な3分クッキングは他にそうそう無いだろうなと思いながら、ソファに座って2人の様子をぬぼーっと眺める。

 鼻唄でテーマソングを歌う事でむやみにテンションが上がったのか、小町が高らかにタイトルコール。

「比企谷結衣の~!? ハーフ☆ポイズン☆クッキング~!」

「!?」

「!?」

 ソファの上で身体をものすごい勢いで90度回転させて、小町の方を見た。腰がいかれそう。

 由比ヶ浜の顔も無駄に劇画タッチに……というよりは、なんだろう、アタックNo.1とかエースをねらえとかあの辺りの雰囲気になってる。

 ……なんで1フレーズでこんなにツッコみどころを持ってこられるんだこいつは……。

「こここ、小町ちゃん!? ひ、比企谷結衣って、あの、その……えと……」

 ツッコむなら最後まで責任を持って! 俺が恥ずかしくて死にそうだから!

 由比ヶ浜のツッコミに、小町が人参を持って人差し指を立てながら答える。人参、今要る?

「ああ、最初は『小町と結衣の~』って言おうとしたんですが、こっちの方が結衣さんとお兄ちゃんが照れるかなあと思ってくっつけてみました☆」

 なんだこいつ。

「や、お前ばかだろ」

「え? それとも由比ヶ浜八幡が良い?」

「そういう問題じゃ――」

 何この恥ずかしさで死にそうな話題……と思っていたら、由比ヶ浜がぷしゅーと茹でダコさんになっていた。

「あわ……あわわわ……」

 粟……阿波和倭? 動揺を抑える為に、無駄に漢字変換してみた。無駄でした。

「あわわわ……ひ、ヒッキーと……はわわわ……」

 やめろやめろ、こっちをちらちら見るな。死んじゃう、死んじゃうよお!

 このままではまずいと思い、小町に向き直る。

「あと、なんだよハーフって」

「ん、ああ、小町がある程度中和するけどそれでも限界があるからね。ポイズン成分は小町が0%、結衣さんが100%だよ」

「あたし100%なんだ!?」

「そうですね、第一級危険生物です」

「お前それどこのココだよ」

「昨日ジャンプ読んでみたんだ」

「少年の心を持ち合わせた美少女とか、最高だなお前」

「えへへ~」

「あたしを置いてくなー! そんな危険じゃないし!」

 由比ヶ浜が息を切らしてツッコむ。このまま3人で会話し続けたら良いダイエットになるんでなかろうか。はっ、それでは胸まで痩せてしまう……!? むしろ胸から痩せると聞くし、うん、やめといた方が良いな。

 という訳で、どういう訳だよ。

 今度こそ、お料理作り、スタート。

 

       ×  ×  ×

 

 以下、ダイジェストでお送りします。

「結衣さん、今です。そこでルーを入れるんです。分かりますか? このビニールを外して、それを鍋の上に持って行って中身を鍋に入れるだけ、そう、それでいいんです……ってなんですか、その調味料は!? 要りませんよ! ていうかうちにこんなのあったんだ!?」

「あ、ええっと、美味しくなると思って……」

「目標をもう忘れたんですか、まったく! ほら、次の動作に早く移るんですよ!」

「うう……小町ちゃんがスパルタだよお……。」

「お義姉ちゃんの為に心を鬼にしてるんです。未来の義妹として! ほら、こんな所に埃がまだ残ってますよ。指に付いたじゃないですか」

「なんかドラマで見た事あるお姑さんだ!? 義妹じゃないの!?」

「うちのお母さんは結衣さんみたいな人は大好きだと思うので、きっと甘やかすと思うんです。なので代わりに小町がイジメてあげます。うへへへへ……」

「イジメる必要ないよ!? ていうかその笑い方なに!? 怖いから!」

「結衣さん、どこをイジメられるのが好きですか? 今後の参考に……」

「今後ってなに!? 言ったらそこをずっとイジメられるの!?」

「やっぱり結衣さんと言えばということで、そのお胸様ですか?」

 お胸様ってなんだよ。信仰を集めるのか。胸神様……あ、雪ノ下が毎日通いそうだな。

「え、や、あう、そ、その……」

「へ~……ふ~ん……お兄ちゃん、そうなの?」

「なんでこれ以上無い危険なタイミングで俺に話を振るんだよ。さっきの嫁姑話でも恥ずかし過ぎたのに」

「なるほど。結衣さんは胸が敏感……っと」

「小町ちゃん!? あたしもヒッキーも何も言ってないよ!?」

「顔に出てました。お兄ちゃんこういう時分かりやすいんですよね。今は一瞬顔がにやけるのを止めることが出来てませんでしたし。ちょっとキモかったです」

「小町? さりげなくお兄ちゃんのことぼこぼこにしないでくれる? 泣いちゃうよ?」

「お兄ちゃんは結衣さんの胸好きそうだなあ……結衣さん、責められすぎそうになったらちゃんと言って下さいね? お兄ちゃん優しいから、きちんと伝えれば加減してくれるはずですから」

「なんでそんな具体的なアドバイスを!? ……うう、わ、わかったよお……」

「おいバカ、由比ヶ浜。メロン。そこで乗るなよ。恥ずかしいだろ」

「だれがメロンだ!?」

「そう言えば、全然料理が進んでませんでしたね。ほらお義姉ちゃん、早く進めないと何かしちゃいますよ?」

「突然切り替えた! 何かってなに!? 怖いよ! あと、その、呼び方……」

「早くしろよ由比ヶ浜、揉むぞ」

「あう……」

「だからお兄ちゃん、調子乗ってお義姉ちゃんにセクハラ発言するのやめなさい。もぐぞ」

「だから何を!? あとなんでそれ言う時だけお前の口調は変わるんだ!?」

 

 脱線に次ぐ脱線である。

       

「ぎゃー! 火柱がー! なんで!? 鍋でことこと煮込んでるだけなのに!?」

「あ、あたし今その辺の小麦粉? っぽいのを入れたんだけど……だめだった?」

「小麦粉でこんな事になりませんよ! ていうかなんで『?』が付くものを入れたんですか!」

「や、美味しくなるかなーと……」

「そういう所がポイズン! もうアレです、今だけは結衣さんの名前は『毒ヶ浜マユリ』で行きましょう」

「もうほとんど原形無いよ!? 毒って付けないでよ! あとマユリって誰!?」

 やべえ、痛覚だけ残して四肢の動きを封じられてしまう……!

「ふう、消えた……良かった、具材は焦げてないみたい。お兄ちゃん、消火器持ってきてくれてありがとう」

「気にすんな。使わない内に消えて良かった。……しかし、火柱が立っておきながらどこも焦げないって奇跡だな。今のをメロンファイアと名付けよう」

「なにそのネーミング!?」

「はいはーい、大体煮えてきたからお皿の準備しますよー」

「あ、はーい。お義母さん」

「俺と小町を勝手に親子にするなよ……しかも小町が母か。……超可愛いな、このお母さん」

「うわ……シスコン……ていうか、こうなるとマザコン?」

「二人で何の会話してるんですか……はいはい、お義姉ちゃん、早くお皿を出さないとそのお胸に何かしらすごい事をしますよ」

「具体的になってる!?」

「お前も由比ヶ浜へのセクハラ気に入ってんじゃねえか……」

「うう……兄妹揃って鬼畜だよお……」

 

       ×  ×  ×

 

 でーん、と。

 目の前に鎮座している料理を眺める。

 ……おお、見た目は普通の……シチューだな。

 ……シチューなんだよな? あれ、小町が目を逸らしてるぞ?

「ええっと……これは、シチューだよな? 結構ちゃんとしてるっぽいな」

 恐る恐る確認すると、由比ヶ浜が首をくりっと傾げた。

「え? カレーだよ? あはは、シチューだったらご飯と一緒にお皿に盛らないって」

「え」

「え?」

「…………」

 …………。

 ……白いよ?

 しばし考える。考えろ、なるべく都合の良い方へ……!

 ぽんと手を打つ。

「ああそうか、ホワイトカレーってやつか。初めて実物を見たな」

「え? ホワイトカレーってなに? これはカレーだよ? 普通のカレー」

 逃げ場がねえ。

 あと、普通のって言うんじゃねえよ。今までの人生で幾度となく食べてきたカレーの常識を、国外に出た訳でもないのに根っこからひっくり返すんじゃねえよ。

 説明を求める視線を小町に送ると、依然として不自然に顔を背けたままだった。吹けない口笛を吹くんじゃねえよ。ピューピュー言ってんぞ。ジャガーさんかよ。

 小町の現実逃避に負けじと視線を送ると、冷や汗だらだらでやっとこちらを向く。

「……や、ええとお……その……犯行の手口はまだ掴めてないんだよね……」

 なんか無駄にミステリーの匂いがする。ミステリーには違いないんだけどね?

「原因が分からんのか……超怖い」

 本当に怖い。

「ちなみに味見は?」

 2人を見ると、正面に座る小町が再び顔を背け、左隣に座る由比ヶ浜がごく自然にはにかむ。

「……その、ヒッキーに最初に食べてもらいたいなーって……」

「…………」

 …………。

 静かに息を吐く。

「そのセリフ、すげえ嬉しいけど……絶対今ここで言うセリフじゃないよな? ……よし、小町。毒見で川崎大志を連れてこい。あいつも美少女の料理を食って死ねるなら本望だろうよ」

「どんだけ大志くんのこと敵視してんのさお兄ちゃん……あ、結衣さん、今お兄ちゃんさりげなく結衣さんのこと美少女って言いましたよ」

 小町が由比ヶ浜に流れ弾を注ぐ。自業自得にも程があって何も言えない……。

「あ、あわわ、え、えと、その……ひ、ヒッキー、ありがと……」

「死にそう……」

 なんだこれ。

 兎にも角にも、食べないことには死ねない。死ぬのかよ。

「じゃあ、いただきます。……今までありがとう」

「死ぬのを前提にしないで!」

 由比ヶ浜のテンション高いツッコミを聞くのもこれが最後かとしみじみしながら、恐る恐るスプーンを口に運ぶ。

 ――もぐ。

 もぐもぐ。

「……?」

 もぐもぐもぐ。

「……カレーだ。うん、あれ? 美味いぞ?」

 疑問形の感想になっちゃったけれど、言った瞬間に小町が驚愕の表情を浮かべ、由比ヶ浜がぱあっと顔を輝かせる。

「ほんと!? 良かった~……」

「や、うん、ほんと美味い。びっくりした」

 この白さが味に何の影響も出てないっていうのがもはやバミューダトライアングルばりに謎だけれど、とにかく味は普通のカレーだ。しかもちゃんとしてる。

 ……なんで?

 まあ、兎に角、生きてて良かった……。

 謎は尽きないけれど、どうやらまともな食事が出来そうだ。

 俺の様子を見て安心したのか(結局俺が毒見役になってた。納得いかない)、小町と由比ヶ浜も食べ始め、和やかに食事は進んだ。

 幸せそうに食べる由比ヶ浜を見て顔を綻ばせると、時折由比ヶ浜と目が合う。互いにすぐさま目を逸らすこの雰囲気が、妙にこそばゆかった。

 ちなみに小町はずっと頭の上に疑問符を並べながら食べていた。や、まあ、そりゃそうだよね……。

 

 

 

 続く。




8月だーーーーーーーー!!!

ガハマさん編の前話で包丁のネタを書いた際(響きがやばい)、感想で調理器具の扱いは完璧という話が原作にあったようなと言われて、あれそう言えばと思い11巻をチェックしてみたら……見付かりました。なんたる不覚。ご指摘ありがとうございました。
こんなことを書いておいて難ですが、一度書いたくだりを丸々書き直すのも面倒だったので、そのままにします。ご了承ください。
ちなみに今回の話では調理器具でのなんやかんやは書かないようにしました。それでも十分デンジャラス。
どたばたのイメージは、なんとなくささみさん@がんばらないを意識してみました。物語シリーズとささみさんの雰囲気の融合。

月が綺麗ですね。

昨日は調子がやや悪かったので定時で帰ったんですが、その分今日は割と元気でした。今の仕事にも段々慣れてきたので、徐々にエンジンを掛けていこうと思います。

今、同時進行で読み進めている小説を何となく挙げてみます。
(1)生徒会シリーズ(現在3巻「生徒会の三振」まで読了)
(2)あやかしがたり
(3)日本語のレトリック
(4)十角館の殺人
(5)下ネタという概念が存在しない退屈な世界
(6)しょうがの味は熱い
(7)異世界居酒屋「のぶ」2
(8)魔王と子作り♡
(9)ささみさん@がんばらない6
(10)無惨百物語
(11)ゴールデンスランバー
(12)ココロコネクト ヒトランダム
(13)とある飛空士への追憶
(14)火花
(15)ソードアート・オンライン1
(16)とある魔術の禁書目録1
(17)ミスキャスト
(18)アナザー エピソードS
ある程度のペースを保って読んでいるのは(1)~(9)という感じです。徐々に読む範囲を広げて行きたいなあ……。あ、官能小説をもっと買おうっと。
「この辺を読んでるなら、この本がお勧めだよ」みたいなご意見がありましたらお待ちしております(^^)!

1週間お疲れさまでした(^^)
それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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