※この作品はR-18です。

童森町の管使い   作:ユッケ

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第11話

第11話 〜勾弧の変化と、予期せぬ出迎え〜

 

 

 

 

全速で空を舞う事、数分。

 

やがて目的地に近付き、中空からバイト先であるコンビニの裏手にある旧道に、キョロキョロと慌ただしく視線を巡らせていく。

 

「どこだ……。見当たらないぞ……。」

 

しかし、いくら辺りを見渡しても暗い旧道と、隣接した傾斜がある林が佇んでいるだけで他には人っ子一人見当たらない。

 

「まだ妖気は感じる……つまり、アイツはまだ目的を済ませていない筈だ。」

 

何としても見つけなくてはならない。

そう考えて、必死に妖気の出処を探っていく。

 

すると、目視こそ出来ていないがアイツが発する妖気の場所はおおよそ察知出来た。

そこで、その周辺に重点を置く形で視野を広げてみれば、コンビニ前の通りから旧道に向かって歩いてくる1人のおかっぱ頭の少年がいる事に気付く。

 

……あれなら、もうすぐ鉢合わせそうだな。

 

「ってことは目当てはあの少年か? ……丁度いい、アイツが姿を現わすまではここで様子見だな。」

 

なんせアイツは、金目当ての俺の前には姿を見せない。

しかしあの少年になら姿を現わすだろうから、それを見計らってすぐに割り込めば何となる筈だ。

 

そう判断して中空で翼を羽ばたかせ、その場で停滞する。

 

やがて少年が旧道を半ばまで進んだ頃、チャリーン……と甲高い音を響かせながら、ようやく目当ての妖怪がヒタヒタと歩いてきた。

 

「……出たっ! よし、今だっ!」

 

急降下して、少年の前に割り込む。

 

しかし、少し急ぎ過ぎたのか随分勢いがついてしまい、着地する際にあまりの勢いと衝撃で、地面がバキバキとひび割れてしまった。

 

「ぐおッ! あ、足がッ⁉︎」

 

痛っつぅ〜……。

 

ヤ、ヤバかったな……鎧を着ていなければ足が砕けていてもおかしく無かった。

だが足はかなり痛むが、これだけで済んで幸いだったと言える。

 

……やはり、まだまだ鎧の扱いが上手くいかないな。

 

「う、うわぁぁ〜〜⁉︎ 化け物なのだ〜〜⁉︎」

 

そんな風に痛む足をさすっていると、付近にいたおかっぱ頭の少年がドタバタと逃げ出して行った。

 

……失礼な子だな。

人を見るなり化け物呼ばわりなんて、あんまりじゃないか。

確かにこの鎧は少し禍々しいデザインをしているが、こんなにもカッコイイというのに。

 

……いや、登場の仕方が悪すぎたのか?

 

 

まぁいいか。

今は目の前にいる、不気味な小僧の姿をしたコイツと話す方が先決だ。

 

「久しぶりだな……金霊(かねだま)。」

 

足の痛みを堪えて立ち上がり、そう再会の言葉を投げかける。

 

コイツは、金霊。

全国を行脚して人を試すような事をし、それを達成すれば見合った額の褒美をくれる、所謂金の精霊とも言うべき存在だ。

 

金霊に欲しい金額を提示し、その後出てくる相手を倒せば要求した金額を貰える。

……少し違うが、戦って金銭を得る点ではファイトマネー方式が近いだろうか。

 

「いくら ほしい ?」

 

「そうだな今回は……よし、10億だ!」

 

前回までは数千万単位で稼いできた。

その時は金霊が力士やプロレスラーを呼び寄せてきたが、いずれもまやかしだったので何度も倒す事が出来ている。

……だが、今回はそんな相手では済むとは思えないな。

 

ちなみに、居心地が良かったのか金霊は今日までのしばらくを童森町に滞在している。

 

しかし、元々は全国各地に現れる妖怪だ。

いつ童森町を離れてもおかしくない。

 

……最早、悠長な真似は出来ない。

今の内に出来るだけ稼いでおく必要があるだろう。

 

「最後になるかもしれないからな……。今回はがっぽり稼がせてもらうぞ? あ、前回みたいに全額小銭で寄こすなよ? 大量の小銭なんて、持ち運びはもちろん換金だって大変なんだからな。」

 

「……これから ここを通る者 たおしや」

 

金霊は、そう言って暗がりに消えていった。

 

……10億、か。

我ながらふっかけ過ぎだろうか? 10億相当の相手なんて、一体どんな強敵が出てくることやら。

 

そんな事を考えていると、ズズズ……と腹の底を揺さぶるような振動と地鳴りが耳に入ってきた。

 

「な、何だ……?」

 

不意に林へ視線を向けると、そこから5mをはるかに超える巨岩がごろんっごろんっと木々をなぎ倒しながら旧道に転げ落ちてきていた。

 

その巨岩は真っ直ぐ此方に向かっており、このままではまず間違いなく押しつぶされてしまうだろう。

 

「はあぁぁっ⁉︎ あ、相手ってこれかよっ⁉︎」

 

あんなものが相手では、妖気の鎧を着ていようが着ていまいが太刀打ちできる訳がない。

しかも巨岩は一つではなく、その後ろから2つ、3つ、と次々と転げ落ちてきている。

 

「夜孤っ‼︎ あの岩、何とか取り込めないかッ⁉︎」

 

影の中に巨岩を取り込ませて衝突を防げないかと考え、夜孤に向けて叫ぶようにそう問いかけた。

 

しかし、夜孤が伸ばした影は3m程のサイズにしかならない。

どうやら、あのサイズが限界のようだ。

 

「……お、終わった。」

 

最早、巨岩は目の前にまで迫っている。

今更空に飛ぼうにも、全ての巨岩は避けきれそうにない。

 

 

ああ……俺は、欲張り過ぎたんだ……。

 

 

……俺の人生……こんな情けない最後になるなんて……。

 

 

そんな風に諦めかけていると、唐突に俺の指にはめた指輪から勾弧が現れた。

 

「こ、勾弧……⁉︎」

 

唐突に妖気の鎧が散り散りに消え去り、それにより霧散した妖気が勾弧へと急激に吸い込まれていく。

 

そしてこの場の妖気全てが吸い込まれると同時に、まるでヒーローのように俺の前に立ち塞がった勾弧の口内から、強大な妖気が凝縮された眩しい閃光が放たれた。

 

 

 

 

………………

 

…………

 

……

 

 

 

 

俺は今、勾弧と夜孤を引き連れて家路を急いでいる。

 

大量の物質を影の中に取り込んでいる夜孤は、どうにも身体が重いのか、少しばかり足取りが遅い。

……まぁ、あれだけの大金を抱えているのだから仕方ないか。

 

「いや〜、助かったよ勾弧。まさか、お前が俺を助けてくれるとはなぁ。」

 

あの後、勾弧は放った怪光線により全ての巨岩を難なく撃ち砕いてしまった。

 

まさか勾弧にあんな技があったなんて……。

怪光線を吐いていく姿を見ている時は、まるで怪獣映画でも見ているような気分だった。

あれは今までに俺の人生の中で感じた妖気の中でも、最も強力なパワーだったな……。

 

……もしかしなくても、勾弧って鵺野先生より強いんじゃないか?

 

「夜孤は大丈夫か? あんだけ大量の札束を取り込むと、流石に辛いか?」

 

そう尋ねると夜孤はふるふると首を振り、平気そうな態度を取り繕った。

 

……まさか、勾弧に張り合っているのか?

という事は夜孤のヤツ、勾弧に嫉妬でもしてるんだろうか? そんな事をしなくても、十分役に立っているんだから無理しなくてもいいのにな。

 

「ありがとうな。本当、お前達には助けられてるよ。」

 

労いの意味を込めて、感謝の気持ちを言葉にした。

すると、勾弧は特に反応しなかったが、夜孤は更に張り切って進みを早め如何にも嬉しそうにしている。

 

……やはり、愛嬌だけなら夜孤に分があるな。

 

何はともあれ、おかげで俺は死なずに済み、金霊が出した10億という大金まで手にする事となったのだ。

これでようやく洋館で住むために必要な資金を貯め終える事が出来たのだから、勾弧には感謝してもし足りないな……。

 

ちなみに金霊は、大量の札束を空から振らせて以降、ぱったりと妖気を感じさせなくなっている。

恐らく、童森町を離れたのだろう。

 

だが、既に今後必要になる額は、アイツから十分に集めさせてもらった。

なので最早アイツに頼る事もないだろうし、2度とあんな目には会いたいとは思えない。

 

……さらば、俺の収入源。

 

「金についてはひと段落ついた……なら、これからは女を抱く事だけに集中出来そうだな。勾弧、助けてくれた礼にしばらくは食事量を増やしてやるよ。」

 

そう言うと、勾弧は『妥当』と意図するような波動の反応を返し、頭を揃って(・・・)縦に振った。

 

「それにしても……その頭はどうしたんだ? あの時、お前の身に何があったんだ?」

 

そう、何故か勾弧の容姿が変わっているのだ。

あくまで従来の、勾玉の鱗を生やした蛇の様な姿である事は変わりない。

 

……だが、鎧の妖気を吸い込んだ後、勾弧の頭は2つ(・・)に増えてしまっている。

首元からシンメトリーのように二手に分かれており、元からあった頭がどちらかさえ定かではない程に瓜二つだ。

 

そういや鎧の妖気が勾弧に吸い込まれるなんて、初めての経験だ。

……まさか、あれでパワーアップしたのか?

 

「なんか、まるで何処ぞの縁起物の蛇みたいだぞ? ……まぁ、実際似たようなもんだけどな。」

 

俺の命を救い、女を惹きつける。

まさに、俺の幸運は勾弧が齎している。

 

何故かパワーアップして姿が変わったり、俺の指示をあまり聞いてくれない扱いづらいヤツだが……やはり、勾弧は俺の優れたパートナーである事には間違いなさそうだ。

 

頭は増えてしまったが、勾弧にこれといった不調もないようだし、多少の変化は深く気にする必要もないだろう。

 

「……おっと、そろそろ21時だな。早くいずなに顔を見せないと。」

 

絶体絶命の展開と大金を得た事に気分が昂ぶっていた所為で忘れかけていたが、早くいずなの様子を確認しなければ。

 

そんな事を考えている内に、視界の隅に俺のアパートが見えて来た。

まだ約束の時間より数分早い帰宅になるが、遅くなるよりはよっぽどいいだろう。

 

「さて、いずなはどうなってるかな?」

 

そういや、あのローターの電池を替えたのはいつだったか……?

もし、途中で止まっていたらどうしたものか?

 

「……まぁ、どの道約束は約束、か。ローターが止まっていたとしても俺の気分も昂ぶってるし……この際、いずなの気が済むまで相手してやろう。その方が、勾弧の食事も増やしてやれるしな。」

 

そう呟きながらアパートの自室に向かい、鍵を開けていく。

そうして開けた扉から部屋に入るが、何やら室内からは物音一つしない。

 

「……やっぱり、電池が切れたのか?」

 

しかし、俺の帰宅に気付いたのか寝室の中からパタパタと足音が近づいて来た。

足音……? いずなのヤツ、拘束を解いたのか?

 

そんな事を考えていると、寝室のドアがゆっくりと開かれた。

 

「あっ! お帰りなさい、お待ちしてました!」

 

「……は?」

 

俺を出迎えたのはいずなではなく……見知らぬ、謎の美人だった。

 

その美人をよく見れば、緑色をした艶がある長い髪に、いずなと同じ童森中学校のセーラー服を着ている。

……身体の肉付きも悪くないし、さぞや美味い果実なんだろうな。

 

しかしセーラー服、か……つまり、いずなの同級会か?

という事はいずながアパートにこの子を呼んだのか?

 

まったく、勝手な事を……。

無闇に他人をアパートにあげるなんて、何を考えているんだ。今はまだ、俺たちの関係がバレたら一発で終わりなんだぞ⁉︎

 

……な、何とかして誤魔化せないだろうか?

いや、寝室から出てきたという事は、いずなの痴態は既に見られている筈だ。

 

「あ、あのっ!」

 

頭を抱えて危機を回避する方法を考えていると、その子の澄んだ声で呼びかけられる。

改めて視線を向けると、モジモジと恥ずかしそうな様子を見せていた。

……何だかエロいな。

 

 

……もう、ヤってしまうか?

趣味じゃないが、無理矢理にでもこの子を犯して周囲にバラされないようにその様子を撮影して、この子を脅すなりなんなりすれば或いは……

 

「私を……私を食べて下さい。私の体をあなたにあげます!」

 

そう言って、その子はスカートをピラッと捲ってみせた。

 

 

 

 

……え? いいの?

 

 

 

 






次回、性描写があります。
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