童森町の管使い 作:ユッケ
違和感無く読んで頂けるといいのですが……。
第8話 〜俺の
翌朝。
俺といずなは、朝日が昇り始めた未だ朝靄の漂う中、童森町の丘の上にある洋館へと足を運んだ。
昨晩アパートに泊めたいずなが、俺の朝立ちしていたチンコを舐めながら、近い未来自分が住む家を今すぐこの目で見たい、と言い出したのだ。
「うわ〜! デッカイ洋館……。これ、全部雄夜先生のなの?」
「そういう事になる、か。まだ住んでないから、その実感は薄いけどな……。」
いずなは隣で俺に右腕を絡ませて、改装中の屋敷を見上げながらそんな風に驚きの声を上げた。
その間も、いずなはしきりに左手で精液が溜め込まれた下腹を大事そうに撫でている。
……どうやら、すっかり俺の子供を産む気になってくれているようだな。
しかし……
『勾弧、少しでいいから子宮に精液を残してくれないか?』
そう思って念話で頼んでみるが、いずなの膣内にいる勾弧からは『否』という反応しか返ってこない。
……くそっ、やはり今回はいずなを孕ませられそうにはない。
やはり勾弧の食事ペースを上回る数の、俺の子を孕んでくれる女が必要なんだろうか?
「もちろん土地を含めてな。以前の持ち主が屋敷ごと譲ってくれたんだ。」
俺はそんな事を考えながらも、いずなに洋館を手に入れた事情を説明していく。
有難い事に、その人達は洋館にかかる税金の肩代わりすらしてくれている。
確かその夫婦は今は……世界各地のオーパーツを探し回っているんだったか?
「うへー……豪快な話ね。っていうか雄夜先生って、マジで何者? まさか超有名な霊能者だったりして。」
「んな訳あるか! 俺なんか霊能者としては未熟もいいところだ。そりゃ、いずなよりは幾らか優っている自負はあるが……それでも下から数えた方が遥かに早い。ちなみにこの町で有名なのは、鵺野鳴介っていう童森小の教師だな。」
鵺野先生には、並みの妖怪では歯が立たないだろう。
昨日の管狐事件に鵺野先生が来ていたら、俺のような命懸けの戦法を取らずとも、例の鬼の手であっさりと倒す事が出来た筈だ。
「ぬえの……? 学校の先生が有名人なの?」
「ああ、この界隈だとな。この町に鵺野先生以上の霊能者はいないと思うぞ? 彼がその気になれば、かの無限界時空の様な有名な霊能者として活躍していてもおかしくないぐらいだ。」
……まぁ、鵺野先生はそういうのを嫌がるからな。
彼が意図して名を売るような真似はしないだろう。
「ふーん、そうなんだ? なら、どうして雄夜先生がこんな立派な洋館を貰えたの?」
「さぁな……。だが本人曰く奥さんの命を助けたから、らしいぞ? 何故それが洋館を譲る事になるのか、俺にもイマイチよく分からんが。」
そもそも洋館を譲り受けるきっかけとなったのは、事故の原因でもあるその夫婦の研究内容にあった。
あれは霊能者である俺が居なければ、夫妻共々死んでいてもおかしくなかっただろう。
だがそう考えれば、本人達にすると俺に洋館を譲るだけの価値がそこにはあったのかも知れないな。
「へぇー、前の持ち主の命の恩人なんだ? じゃあ、普段から私の時みたいに人助けしてるのね。」
「まぁ、気が向いたらな。でも正義心でやってる訳じゃない。偶々現場に俺が近くにいた時だけだ。」
そう、もしあの日事故の瞬間に出くわしていなければ助ける事はなかっただろう。
……あれは俺の経験の中でも、指折りの危険な状態だった。
だがあの夫妻があんな目にあったのは、無闇に
しかも、そんなものを学会に発表しようとしていたなんて、今考えてもあまりに馬鹿げている。
この世には科学で理解出来ないものはたくさんあるが、よりにも寄って妖怪の発生方法なんて、下手に広めようとするもんじゃない。
元々はオーパーツによって、気をエネルギー利用する方法を研究するのが主な内容だったらしいが……それもまた扱いきれない代物だという点では、全く同じ事が言えるだろう。
「そうなの? じゃあ、私を助けてくれたのも偶々だったんだ?」
「まぁ、あの時はそうだったな。……だが今なら、例えいずながどこに居ようが必ず助けに行くよ。」
なんせいずなは俺の女、だからな。
いくら場所が離れていようが、相手がどんな強者であろうが、命掛けで必ず守ってみせる。
……ちなみに、夫妻は今や妖怪発生装置とオーパーツの研究はすっぱり辞めたらしい。
だが一度は命の危機に瀕したというのに、未だにオーパーツを発掘し続けているのはどうかと思う。
そう考えると、一度は成り行きで夫妻を助けてみせたが、懲りないようなら2度も自分の命を懸けたいとは思えないな。
……だが現在の発掘目的は研究ではなく、学会で歴史の新事実を発表する事にあるそうだ。
まぁ、それだけならあまり危険な目にあう事もないだろう。
それに、夫妻がオーパーツを発掘しているおかげで俺が普段から胸元にぶら下げている、この
「んふふー♡ 私のカレシは、予想以上にいい男みたいね? 顔もイケメン風だし友達にも自慢出来そう!」
そう言って、いずなは俺の肩に頭を乗せてきた。
……しかし、いい匂いだ。
いずなの香りは、それを嗅ぐだけで俺の欲情をかき立ててくる。媚薬効果でもあるんだろうか?
「……おい、イケメン風ってなんだ⁉︎ 風って⁉︎ ったく。で、その目で見て満足したか? ほら、とにかく学校行って来い。遅刻するぞ?」
今すぐにでも、いずなの中にまた注ぎ込んでやりたい所だが……そろそろ登校時間だ。そういう訳にもいかないな。
「はいはーい。じゃあ、今日は泊まりの着替え持ってくから待っててね♡」
いずなはそう言って、手を振りながら通学路向かって走っていった。
……あれだけ抱いたのにもう走れる元気があるのか。
あの様子なら、今晩はもっと激しく抱いても大丈夫そうだ。
しかし、今日は3人相手か……。
今夜の情事を思うと、滾るな。皆が仲良くしてくれるといいが……。
「さて、俺もそろそろ帰ろう。……そういや、今日はバイトのシフトが休みだったな。それならアパートに帰るのは適当に辺りをブラついてからにするか。」
……俺はいつまでコンビニでバイトをやる事になるんだろうな。
安い時給で働くのも馬鹿らしいし、早く
それにしても……いずなにだけ、洋館の存在を教えてやった事は少し気が引けるな。
次は必ず美樹と郷子も、ここに連れてきてやろう。
特に美樹は金持ちに対する憧れが強いから、それはそれは喜んでくれる筈だ。
……出来れば、連れて来るのは美樹が孕んでからにしたかったんだがな。
だが少し予定は狂ったが、どの道この洋館の事は俺の女全員に教えるつもりだったんだ。
ただ連れてくるだけでも充分サプライズにはなるだろう。
「そうだな……折角だし、今日は久々に和尚に顔を見せに行ってみるか。」
確か、そろそろ倉を片付けるとか言ってたな。
……また変な金儲けに付き合わされなければいいが。
俺はそんな事を考えながら、童森小学校の近くにある童森寺へと向かった。
………………
…………
……
「……人魚のミイラ? この馬鹿みたいなポーズをしてるのが?」
俺は今、あの後足を運んだ童森寺で和尚に猿と魚の死体を組み合わせたようなミイラを見せられている。
「馬鹿とはなんじゃ! スリーサイズも載った古文書が付いている由緒正しい掘り出しもんじゃぞ!」
「……逆に胡散臭いですよ、それ。」
話を聞くに、倉の整理をしている時にこれが出てきたらしい。
童森寺に着いてからの今まで、散々倉から出てきたゴミの山を見せられてきたが……最後の品も、やはり価値はなさそうだ。
「はぁ〜……これで最後なんですよね? もう、いい加減帰りたいんですけど。」
「そう言うでない! こいつは世紀の大発見かも知れんのじゃぞ?」
まさかあの後、童森寺に辿り着くなり霊視を使った鑑定を次々とさせられ、遂には夕方まで拘束される羽目になるとはな……。
和尚に顔を見せたのは失敗だったか?
「人魚といえば、肉を食えば不老不死になれるそうじゃ。もし不老不死になれなくても、これが本物ならTV局に高く売れそうじゃわい!」
「結局、金儲けかっ!」
久々に会ったというのに相変わらずだな、生臭和尚め。
霊能力に頼って金稼ぎなんてしたら、いつかバチが当たるぞ?
……いや、俺も同じ穴の狢か。
「で? わざわざ俺に見せてきたって事は、これも鑑定か何かやらせたいんですか?」
「なに、ちょいと霊力を流し込んでくれれば良い。古文書によれば、それで生き返る筈じゃ。」
「はぁ〜……仕方ない。どうせ偽物なんだから、変に期待しないで下さいよ?」
そう言いながらミイラに霊力を流し込んでいく。
しかしこんなミイラに当然何か変化が起こる筈もなく、やはり馬鹿なポーズで干からびたままだった。
「……変じゃのぅ。生き返らんぞ?」
「やっぱりこれも偽物なんですよ。今までの品もそうでしたけど、そもそもこのミイラからは何の力も感じませんし。」
「ぬぅ……。金のなる木かと思っとったが、まさかただのゴミだったとはのう。しかしそうなると、これら全部は燃えるゴミなのか、燃えないゴミなのか……。ぐぐぐ……この量だと、処分が大変そうじゃ……。」
金にならないと分かるなり、和尚は俺に鑑定させた
……あれ?
これって、寺の大掃除に付き合わされただけなんじゃないか?
「俺は休日にまで、無駄な労働させられたのか。……くそ〜、報われねぇ〜。」
……しかし、伝承では人魚はかなりの美女だって聞くよな。
無いとは思うが、もし、これが本物だったら……?
「……和尚、これ貰えませんか?」
「なんじゃ? こんなゴミが欲しいのか?」
「ええ、どうせ捨てちゃうんですよね? それなら勿体無いから家で飾ろうかと思って。」
……しかし俺も馬鹿だな。
いずなを俺の女にしたばかりなのに、人魚を抱いてみたいなんて夢物語につい飛びついてしまう。
でも、人魚とヤるのは一種の男のロマンだと思うんだ。
「おぬし……趣味悪いのう。」
「ほっとけぃ! 元はと言えば、アンタの倉にあったもんでしょうが! 長年保管し続けてきたアンタに言われたないですよ!」
「儂は好き好んで保管してた訳じゃないわい!」
そんなやりとりがあったものの、無事和尚からミイラを貰うことは出来た。
どさくさに紛れて、和尚に依頼された除霊を俺が肩代わりする事になってしまったが……。
「それじゃあ失礼します。また、暇な時にでも顔出しますよ。」
そう言って和尚に別れを告げ、アパートへと歩いていく。
ミイラを入れた鞄を抱えて歩く帰り道は、辺りがとっぷりと夕焼けに染められており、河川敷の近くを下校途中の学生達が元気良く駆け回っている。
「……虚しい。俺は、こんな偽物のミイラを持ち帰って何をしてるんだ?」
その光景を見ていると、そんな風に不意に我に返った。
……自分で偽物だと分かっているのに、何故こうして作り物のミイラを持ち歩いているんだろうか?
「馬鹿馬鹿しい。……さっさとアパートに帰って、皆が来るのを待とう。」
そう呟いて、ポケットに入れて持ち運んでいたリップクリームの容器を取り出す。
『
昨日俺が作り変えた、夜孤と名付けた管狐に念話でそう伝えると、リップクリームの空ケースからすぐさま姿を現した。
そして、影の中にミイラが入った鞄をズブズブと取り込んで見せた。
……な、なんて従順な子だ!
俺の名前から、一文字とって名付けた甲斐があったな。
夜孤に対する俺の好感度は、今や勾弧のヤツとは天と地程の差が出来ている。
『よ〜し、よしよしっ! 可愛いヤツめ、夜孤が俺の管狐で嬉しいぞっ!』
夜孤にそう伝えながら、頭を撫でたり首を撫でたりと愛情を注いでいく。
すると夜孤も身体を寄せて、俺に甘えてきてくれた。
「……勾弧も、これぐらい可愛げがあれば良かったんだがな。」
俺と勾弧は、子宮に精液を溜めるという目的で利害が一致している。
それだけに意思疎通が出来ていない現状が、やはり口惜しく感じてしまう。
「……勾弧の強さを思えば仕方ないよな。自分より弱い主に従順な訳がない、か。」
なんせ勾弧の強さは、あの鵺野先生にも引けを取らない。
実際勝てるか微妙なところではあるが、そう簡単に負けはしないだろう。
そんな勾弧がパートナーなのだ。
俺を主だと思ってくれているだけで、儲け物だと思っておいた方が精神的にも良さそうだ。
「まぁ、今は夜孤が居るしな。……さあ、一緒に帰ろう。」
そう言って、夜孤を隣に連れてアパートを目指す。
……そういえば、いずなの分の御守りも作ってやらないといけないよな。
予備のリングは幾つかあるし、早いとこアパートに帰ったら、効果を付与してすぐに渡せるようにしてやらないと。
「……ん? なんだ、あれ?」
そんな事を考えながらアパート近くの河川敷に差し掛かった時、川の水面に何かが浮いているのが目に入った。
「ボールか? しかも
それにしても、かなり大きなボールだ。
流されていく様子を眺めていると、思わず美樹の胸を思い出してしまった。
「今日は美樹にパイズリしてもらうか? いや、郷子にハメながらあの小さな胸を揉みしだくのも悪くない。それともいずなの様に外でハメまくるのも……。」
俺は今日のプレイ内容を考えながら、歩いていた河川敷を後にする。
そんな俺の背後で、小さくとぷんっと水が跳ねる音が聴こえた気がした。
何やら水気がありますね……。