◇
「う……うぅん……。あうぅっ!?」
ぼんやりとしたサファイアの意識は、股間から感じた鋭い刺激で強制的に覚醒させられた。その原因を確かめようと身体を動かそうとするも、両腕をまとめて頭の上で固定され、身をよじるのが精一杯だった。今度は足こそ自由であるものの、どうにか地に着いている状況であるために、下手に動かせばバランスが崩れて両肩を痛めかねない。
それよりも、と顔を動かして視線を下へと移す。先ほど感じた鋭い刺激は、案の定というべきか、秘部に突き刺さった触手によるものだとわかった。
「く、うぅ……」
最悪の目覚めに夢であってほしいと思うものの、身体に伝わる痛みがそれを否定していた。砕牙に敗れて犯され、ここに連れて来られた。どうやら廃ビルか何からしいが、薄暗い室内に砕牙の姿は見当たらない。
「砕牙……いないの……?」
「呼んだ? 俺がいないと寂しいとか?」
視界の届かない範囲、後ろの方から聞こえてきた声に、思わずサファイアは身構える。
「起きてくれてホッとしたよ。ちょっと強く締めすぎちゃったかなとか不安になるところだった。……ま、エクストラソウルズはその程度じゃ死なないと思うけど」
「くっ……! この触手を解いて!」
「それは出来ない相談。君は俺との戦いで敗れた。しかもその後のゲームにも負けた」
「ゲーム……?」
相変わらず姿は見えない。聞こえてくるだけの声に不安を煽られつつ、訝しげにサファイアは尋ねる。
「もう忘れた? ルビーが助けに来るまでイクのを我慢できたら解放してあげる、って言ったじゃない」
「どうせ約束を守るつもりなんて最初からなかったくせに……!」
「ははっ。確かにそうかもね。でも約束だなんだ以前の問題として……君はあの場でイッちゃったわけだ」
「そ、それは……! あなたが媚薬なんて卑怯な方法を使うから……!」
言い訳染みているとは自分でもわかっていた。それでもあの場で耐えることが出来ず、はしたなく絶頂を迎えてしまったという事実から少しでも目を逸らしたかった。狡猾な砕牙がおいそれと自分を解放していたとは思えない。加えて媚薬も使われてしまっていた。だから仕方ないのだと自分に言い聞かせ、心を揺さぶろうとする砕牙のペースから逃れようとする。
「くくく……」
だが砕牙は不気味に笑うだけだった。その意図がわからない。
「媚薬ねえ……」
なおもおかしさを堪えるように笑った後、砕牙はさも愉快そうに告げた。
「実はさ、あの時媚薬なんて使ってなかったんだよね」
「う、嘘……!? だってあの時、媚薬を使うって言って私に何かを突き刺して……!」
「確かに言ったけどね。でも実はあれ、
「そんな……! 嘘……嘘です! そうやって私の動揺を誘っているんでしょう!?」
相変わらず笑い声は響いていた。さらにサファイアが否定の言葉を重ねようとしたところで、少し前同様、首筋にまたチクリと痛みが走った。今度はそこから何か冷たい液体が体内に流れ込んでくるように感じる。
「痛っ……!」
「じゃあブラフだったってことを証明してあげるよ。同時に……君は媚薬なんて使われなくても、あんなに喘いでよがり狂っていたってこともね」
「何を言っ……。あ、ああっ……? な、何ですか、これ……。身体が……あっ、ああああっ! 身体が……熱くなって……! ひっ、はあっ、ひいいいいぃっ!」
サファイアは最後まで言葉を続けられなかった。急に心臓が激しく鼓動し始め、全身からどっと汗が噴き出し、耐え難い疼きが全身へと広がっていく。
「なっ、何これ……何これえっ!? ひいっ、いっ、いやあああああぁっ!」
「言ったじゃない。媚薬だ、って。本当に使われるとこれだけ効果覿面なわけだ。つまりさっきの君は、媚薬無しで乱れて絶頂してたんだよ」
嘲るような砕牙の言葉も、途中からは耳に入らなかった。思考が白い
「俺の声もまともに聞こえてないか。その様子じゃ、こうしただけで……」
膣内に埋もれていた触手が暴れ出す。途端にサファイアは目を見開き、涎をとばしながら絶叫していた。
「あがっ……! あっ、あっ、あああああああああああああああああぁッ!」
全身がギクギクと軋む。胎内に抉りこまれた触手をほんの少し動かされただけ。それだけで軽く絶頂してしまっていた。そのまま引き抜かれた触手は淫液によっててかり輝いている。これが媚薬の効果によるものだということは、今更考える必要も無かった。
「あっ……はあっ……はあうっ……」
「ちょっと触手で弄られただけでその有様ってわけだ。じゃあさっきみたいに激しく犯してあげたら……一体どれほどになるだろうね?」
息を呑んで言葉を失い、恐怖が心に渦巻く。さっきでさえ耐えかねて絶頂させられてしまった。それが媚薬を使われ、完全に発情し切ったこの状態で犯されたとしたら、壊れるほど乱れ狂わされてしまうのではないだろうか。
しかしそう思うと同時、どこかでそれを期待しているような心があることも否定できずにいた。確かにさっき、媚薬が無かった状態でさえ得られた快楽は自慰の比ではなかった。もし媚薬を使われた今、それよりも深く甘美な快感が待っているのだとしたら、それが果たしてどんなものなのか、味わってみたい――。
(ちっ、違う……! 私は期待なんてしてない! 犯されることを望んでなんて……! で、でも……)
抗おうとする心に反し、身体は正直だった。淫裂から愛液が零れ落ち、床に小さな水溜りを作っていく。もう理性では抑え切れないほどに、身体は発情してしまっていた。
「さてと。媚薬の効果もわかったところで第2ラウンドにいくとしようか。媚薬無しでよがってたいやらしいサファイアは、果たしてどこまで耐えられるか。見ものだね」
「う、くっ……。た、耐えてみせます! 私だってエクストラソウルズなんだから……! 快楽になんて屈し……ひっ、い、いやあッ! そ、そっちは……!」
言葉を途中で切り、サファイアは困惑の声を上げた。視界の外である背後から砕牙が逞しいモノを押し付けてくる。だがそれは膣に対してではなかった。そのもう少し後ろ、菊の花のように
「こっちを犯されるのも好きだったよね? 今度はお尻でイかせてあげるよ」
「ま、待って! そんな、お尻は……あ、あっ、あぎいいいいいいいいぃッ!」
快楽責めが始まるという予想は見事に裏切られた。痛みと共に、本来出すべき排泄のための穴へとペニスが押し込まれ、括約筋が悲鳴を上げてミリミリと腸内が割り開かれていく。襲い来る痛みと圧迫感に耐えようとガチガチと噛み合せた歯を震わせ、華奢な身体が小刻みに震えていた。
「入ったよ、っと。まあ前もこっちで俺のものを受け入れたことがあったしね。やっぱり平気だったか」
「い……痛い……痛いぃっ! 抜いて……おね……がい……! 抜いて……ください……!」
「大丈夫大丈夫。そんなこと言ってるのどうせ今だけだから。すぐ痛みも気持ちよくなって、お尻でイクようになれるよ」
言い終わらないうちに砕牙は腰を引き、打ち込むように突き出した。肛門内を異物が往復し、腸壁を抉られる感覚に、サファイアの愛くるしい顔が苦悶に歪む。
「あっ、があああああああああぁっ! いや、いやあッ! お尻いやあああああああぁッ!」
「いやいや言ってるの、いつまで続くかな。だって君は痛いこととか酷いことをされて感じちゃうマゾの変態って、俺はわかってるし。そのうちお尻も気持ちよくなって、でも満足できなくて『あそこも犯してー』っておねだりしてくるよ」
「そっ、そんなこと、絶対に言わな……あぐうううううううぅっ!」
意思を無視して無慈悲に行われるアナルレイプ。苦しそうな呻き声を漏らし、額に脂汗を浮かべて、必死に肛虐に耐えようとするも、力を入れてしまっては逆に痛みを増加させる形となってしまう。
「力抜いたほうがいいよ。そうすれば少しはマシになるし。痛いだけじゃ楽しめないでしょ」
「楽しみたくなんて……んぎいいぃっ……! も、もういや……! お尻やめてぇっ!」
「ふうん。犯されるなら後ろより前がいいって?」
「そんなこと誰も言ってな……あ、ああっ! はあっ、はっ、うああああああぁっ!」
肛門を砕牙のペニスに貫かれた状態のまま、粘膜越しに子宮へと震動が伝わってきた。その快楽に無意識のうちに下腹部に力が篭り、咥え込んだままのモノを締め上げてしまう。訪れた軽い絶頂に意識が飛びそうになりつつも必死でそれを繋ぎとめ、だが彼女に待っているのは淫獄であることに変わりはなかった。
(媚薬……強すぎる……! お尻側からあそこをちょっと刺激されただけでイッちゃって……。私……これじゃあ狂っちゃう……! 助けて……。彩ちゃん、助けて……!)
心の中でそう呼びかけても、双子の仲間は助けに現れることはなかった。代わりに背後に立つガイストが、ますます責めの手を強めてくる。
「あっ、くうううぅっ! ま、また……胸ぇ……!」
「後ろからだと前からと違ってまたいい感じだ。結構な大きさしてるからね」
「んっ……あぅん……。あ、ああっ!? な、何……!? わ、腋の下……!」
「おまけ。媚薬で全身性感帯になってるから、これも気持ちいいでしょ」
胸を揉む砕牙の手の下にある袖口から、触手が這い出てきた。ブラシのような繊毛のついた不気味なそれは、コスチュームの破れた胸の部分から衣装の中へと潜り込む。そのまま両腕を頭の上で固定されて無防備な腋の下へと伸び、舐めるように擦り上げ始めた。
「ひっ……!」
ゾワゾワッと肌が泡立つ。気持ち悪いような、むず痒いような。だがそれと別な感覚も心に浮かび、サファイアは困惑していた。
(な、何……これ……!)
愛撫され続ける胸から生まれ、その奥へと響く乳悦と似た感覚。嫌悪感だけでなく、どこか心地よさも覚えてしまう、そんな感覚――。
(し、知らない……こんなの知らない……! あっ、ああっ……! まさか私、腋の下をこんな風にされて……! 感じて……るの……!?)
そのことを認識した途端、身体の奥がズクンと疼いた。彼女自身も自覚しつつある被虐の心。ありえないはずの箇所の刺激で感じてしまっているという思いが、官能の心により拍車をかけていく。
「腋の下でも感じるのか。本当に変態さんだね、真衣ちゃん」
変身前の本名を呼ばれて動揺してしまうサファイアソウルズ。そこを見計らったかのように胸と腋の下の責めが激しくなった。
「やっ……! ま、待って! わ、腋ダメぇ! そこ……変な感じで……!」
「変な感じ? 素直に感じるって言っちゃえばいいのに」
「違いま……うくぅっ! あっ、ああっ……! な、なんで……! 胸の奥……ジンジン熱くなって……!」
「それが感じてるってことじゃない。じゃあそろそろ……胸と腋だけでイッちゃっていいよ。ほら」
ざらつく砕牙の手袋が双丘にある桃色の蕾を力任せに押し潰した。痛みを感じるはずなのに媚薬によって快楽信号に変換され、さらに腋の下への愛撫も重なってサファイアの身体を駆け巡る。
「あっ……あああああっ! こ、これ……! そん、な……あああっ! こっ……こんなので……いっ、いやッ……やあああああああああああああぁッ!」
胸を突き出しながら小刻みに震えての絶頂。乱暴に押し潰された、ビンビンにしこりきった乳首からは甘い疼きが広がり、性感帯でもなんでもないはずの腋下も鳥肌が立って敏感になっている。
(そん……な……。胸と腋だけで……私……イッちゃった……。こんなの……こんなのって……!)
惨め過ぎる思いだった。いくら媚薬が強力とはいえ、胎内をかき回されたでもなく気をやってしまったという現実がサファイアに重くのしかかる。だがそれでさえ心が背徳的な快楽として受け入れようとしていると気づき、身体以上に心の方に彼女は恐怖していた。
(私の身体も……心も……狂わされちゃう……。砕牙に……めちゃくちゃに壊されて……狂わされちゃう……!)
暴走し始めた精神は歯止めが利かなくなりかけていた。――もっと犯してほしい。もっと虐めてほしい。無意識のうちにそんなことを考えてしまう。
「あそこでイッて、胸と腋でもイッて。……最後はアナルでイクといいよ」
その被虐思考を呼んだかのような囁きだった。しばらく動きを止めていた砕牙のペニスがまた動き始める。
「ひぃああああああああぁッ! お尻……お尻いいいぃ!」
「気持ちいいんでしょ? こうやって乱暴にされて、1番感じるはずのあそこじゃない場所を抉られてさ」
図星だった。媚薬は全身に回り切ってしまったのか、先ほどまで苦しんでいたはずの痛みが快楽に変わってきている。いや、まだ残る痛みさえもどこか心地よい。
「あうっ、はあっ、あっ、ああああっ! きっ、気持ちよくなんか……あぐううぅっ! ありません……! こっ、こんなの……んんんんんんっ! 痛いだけで……!」
「その痛いのがいいわけだ。さっきからずっと俺のをギュウギュウ締め上げてきててさ。お尻はお尻で、あそこと違う気持ちよさがあるんじゃない?」
「あっ、ありません……! 気持ちよくなんて……あっ、あっ、ああああああああっ!」
必死になって指摘されたことを否定しようとするも、自慰では全く弄ることのなかった排泄孔を責められるということがこれほど気持ちよかったのかと、そんな風に思ってしまったのは事実だった。未体験の激悦が身も心も壊そうと一気に押し寄せてくる。それでも肛虐での絶頂だけは絶対にいけないと、サファイアは握り拳を作り、唇は血が滲むほどに噛み締めて、必死になって堪えようとしていた。
(耐え……なきゃ……! これ以上イッちゃうなんて……それもお尻でイッちゃうなんて、絶対嫌……! で、でも……。身体中が気持ちよくてしょうがないのに、お尻もこんなに気持ちよくなってきちゃってるのにぃ……! あそこだけ何もされないのが……切なくて、疼いちゃう……!)
自分で弄りたくても両腕は頭の上で固定されたまま。砕牙はあくまで後ろだけを犯すつもりらしく、もはや前には全く手を出す気配さえない。変わることなく続けられるピストンに心が追い詰められていく。
(もう……ダメぇッ!)
胎内の粘膜越しに訪れる震動で子宮が揺さぶられ、ついにサファイアの心が折れた。何をされても構わない。かつてのように蔑まれてもいい。
「犯して……」
「ん? 何か言った?」
「あそこ……あそこを犯してください! お願いします、お尻でイクのは嫌なんです! だからあそこを……ああっ! 犯して……お願い、犯してええええぇッ!」
「ハハッ! 犯してー、だって。やっぱりそういうことを俺に頼み込んじゃうわけだ。でも敵にそんなことを頼むとか、恥ずかしくないわけ?」
「は、恥ずかしいに……決まってます……。で、でも……もう我慢できない……あそこが疼いて……お尻じゃなくてこっちでイキたいんです……!」
泣き叫ぶ声を耳にして、砕牙は嘲笑していた。それからしばらく続けていた肛門内への抽送を止め、ゆっくりとペニスを引き抜いていく。
「あ、あぁ……」
ようやく自分の希望が叶う。そう感じ、サファイアの口から安堵のため息がこぼれていた。入り口付近まで肉塊が引き抜かれ――しかし砕牙は再び力任せにそれを捻じ込んでいた。
「ひぃがあああああぁッ!?」
困惑の悲鳴が響き渡る。それを聞いて、愉悦を隠し切れない様子で砕牙は笑い声を上げていた。
「アハハッ! 俺がそんなお願い聞くわけないじゃない。以前もそうだったのに忘れた? 学習能力ないね」
「そんなっ……! お願いします、犯して……あそこを犯してええええぇッ!」
「いいね、その絶望の声。そういうのが俺達は大好物でさ。こりゃまた美味な魂を味わえそうだ」
束の間抱いた僅かな希望は、無惨にも踏みにじられた。耐え難い疼きに苦しみながらも、媚毒にすっかり侵され切った身体は絶頂への階段を上り詰めようとする。押さえ込むだけの体力も失い、理性をも溶かされてしまった今のサファイアに、抵抗するだけの術はもうなかった。
「イッ……イクぅッ……! お尻でイッちゃう……! いやっ、イきたくない……! お尻なんかでイきたくないぃ! あそこで……お願いします、あそこを犯し……あっ、ああっ、イクッ、お尻で……! イク、イクうっ……! お尻……いや、いやあっ、いやあああああああああああぁッ!」
必死の懇願もむなしく、願望を無視して訪れる無慈悲なアナルアクメ。腸内を熱い濁流が支配し、望んだ形と異なりつつも、甘美で深い失意の絶頂の波が全身を飲み込んでいく。混濁する思考の中で、今しがたの肛悦では満たされない思いが膨らんでいた。
「あっ、あっ、あぁっ……。あそこ……切ないの……。はぁっ……お尻も気持ちいいけど……あそこでイキたい……」
「でもなんだかんだ言いながら、結局は快感を認めてるしイッちゃうわけだ。まったくとんだ変態だね、君は」
嘲られる言葉を受けても反論もなかった。怒りや憤りよりも先に、望むものを得られなかったという苦しさがあふれる。同時に心が冷える感覚を覚え、自分の魂はまたしても砕牙に食われてしまったのだと、そこでようやく気づいていた。
「おやおや。これはこれは……」
その時、だった。サファイアが急な脱力を感じたと同時。砕牙が意味深な声を上げていた。何が言いたいのかと問おうとするも、あまりの倦怠感に口も開けない。
「随分と消耗していたのか。まさかこうなっちゃうとはね……。サファイアソウルズ……いや、
今の自分はサファイアソウルズだと口開いて否定しようとしたところで、ようやく彼女も異変に気づいていた。身につけた衣装が違っていたのだ。つまり、これまでの変身ヒロインのコスチュームではなく、元の石神真衣のものに。
「え……えっ……? な、なんで……。嘘……」
「嘘でもなんでもないみたいだね、真衣ちゃん。……俺に魂を食われすぎたってことかな。憑依変身だっけ? それが保てなくなった、ってことか。まあ正体云々は気にしなくていいよ。俺は元々知ってたし。……でもまあ、凛々しい雰囲気のサファイアソウルズもよかったけど、儚げな元のままの姿の真衣ちゃんもいいもんだね」
「あ、あぁ……!」
真衣は心から恐怖した。変身すら保てないほどに消耗したこの状況でまた犯されれば、今度こそ魂を全て食い尽くされてしまうかもしれない。これまでと異なる怯えに、身体がガタガタと震える。
「そんなに怖がらなくてもいいよ。ククク……」
小さく笑うと、砕牙は真衣の両腕を戒めていた触手を解いた。突然の解放に、疲労に加えて変身していない身体は対応しきれず、尻餅をついてしまう。
「あうっ……」
「さてと、真衣ちゃん」
逃げなくてはいけない。そう彼女が思って這ったまま動こうとするより早く、砕牙が華奢な身体に覆い被さるようにして組み伏せていた。
「きゃっ……!」
「無力になってしまった君に、選択させてあげるよ」
「選択……?」
「そう。選択肢は2つ。……1つ目はこのままの解放だ」
「え……? 解放……? 一体……何を考えているんですか……?」
突然出てきた解放、という言葉に真衣は戸惑い、不審に思っていた。この砕牙が自分を無条件で解放するはずなどない。彩をおびき出すための餌に使われるか、もしくは理不尽な要求が突きつけられるか。
「随分と疑心暗鬼だね。普通はこんな状況の時に解放してあげる、なんて言われたら喜んで飛びつく話だと思うけど」
「あなたを信用しろという方が無理な話です」
「こりゃ手厳しい。……でもま、何もないよ。普通に解放してあげるよ」
「普通に? どういう……」
「2つ目」
訝しむ真衣の声をかき消して、砕牙はそう切り出した。それから右手の人差し指を立て、組み伏せた真衣の顔の辺りからゆっくりと下に下ろしていき、不意に下腹部をトンと指の腹で叩く。
「ひっ……!? あっ、うあああああぁっ!」
それがきっかけだったのか、突如として真衣の身体の中に激しい官能の波が渦巻いた。少し前に媚薬に侵されたせいで乳房と腋の下、それから肛門で惨めな絶頂を迎えてしまったという記憶が呼び起こされる。思い出したかのように熱くなる身体に身悶えしつつ、彼女は砕牙の声を聞いていた。
「あそこを犯してほしいってお願いを聞いてあげよう。さっきまでのを超えるだけの快楽が間違いなく待ってる。俺も今度はちゃんとおねだりされたとおりに犯してあげるよ。……でも、勿論魂は食らわせてもらう。もしかしたら真衣ちゃんの魂はそこで全部食い尽くされるかもしれない。変身していない君はただの1人の少女だからね。……さあ、どうする?」
「そ、そんなの……!」
解放してほしい。そう言おうとしているのに、言葉は出てこなかった。パニックで一旦は忘れていたものの、すぐに思い出させられた発情し切った身体は、欲求で爆発してしまいそうなほどだった。変身が解けてしまったことで、なおさら媚薬の効果が顕著に表れているようにも感じる。
さっき肛内を犯され続けたあの逞しい逸物に、今も愛液が止まらない蜜壷の中をかき回されたら、どれほどの快感が待っているのだろうか――。
「悩んでるみたいだね」
下腹部を軽く叩いた砕牙の指が、真衣の股間をひと撫でした。
「ああっ……はあぁっ!」
それだけで子宮がかあっと熱くなる。早くオスを受け入れたいと、蕩けた涎が下着をグチャグチャに濡らしていく。
解放されて無事に帰れたとして、果たして自分の指で慰めるだけで満足できるだろうか。この身体の止まらない疼きは、無遠慮に嬲られなければ収まらないのではないだろうか。
(犯して……もらいたい……! 本当の快楽を味わいたい……! もう狂っても壊れても構わない……。だって、だって私の身体は……!)
ゾクリと背徳の予感が背筋を駆け下りた。
(ガイストに犯されて……砕牙に犯されて感じるようないやらしい身体なんだもの……! オナニーじゃもう満足できない……。虐められて、めちゃくちゃにされて、そうしてようやく訪れる絶頂を……貪りたい!)
変身が解けたせいで心まで弱くなってしまったのだろうか。とうとう己の中に眠るマゾヒズムを認め、仇敵に犯されることを望んでしまった敗北の少女。それが正しいのだと言っているかのように花芯がジュンと疼き、新たな蜜が下着を濡らした気がした。
「それで、真衣ちゃん。解放されたいのか、犯されたいのか。どっちがお望み?」
「……して」
声は小さく、震えていた。もしかしたら砕牙はそれでも耳ざとく聞き取っていたかもしれない。しかしとぼけたふりをして、敢えて再度要求する。
「え? 何だって?」
「犯して! もう……もう我慢できないの! あなたに酷いことをされて、めちゃくちゃにされて……それでも感じちゃう……ううん、そうじゃないと満足できないんです! お願いします、私をもっと虐めて……犯してください!」
ついに真衣はインモラルな欲望を口にしてしまい、一方で心は不思議と満たされていた。もう自分を偽る必要はない。たった今口にした、それが全てなのだから。
「へえ。正義の変身ヒロインが聞いて呆れるね。敵であるガイストに犯してもらいたいってわけだ」
「そ、そうです、その通りです……! 今日も変身する前にガイストに……あなたに犯される自分を想像してオナニーしてしまっていたんです!」
「ハハハ! こりゃ傑作だ! 随分と濡れてたからオナニーぐらいはしてたんだろうと思ったけど、まさか相手が俺だったとはね。……それじゃあ真衣ちゃん、願いを叶えてあげるよ。覚悟はいいかい?」
先ほど尻を抉り続けていた、逞しい肉塊が真衣の目に入った。息を飲みつつ、期待の意味を込めて神妙に頷くと、ワンピースのスカートを捲り上げられて下着を引きちぎられる。華奢な腰を抑えて、砕牙は己のモノを一気に突き入れてきた。
「……ッ!」
口を開けたまま息を詰まらせて言葉を発せず、真衣は陸に打ち上げられた魚のように口をパクパクと動かすことしか出来なかった。挿入されただけで迎えてしまうオーガズム。目の前が激しく明滅し、自分が今何をされているのかすらわからなくなる。絶頂によって意識が飛びかけたところで、再びの絶頂によって引き戻されるような激悦に襲われ、ようやく絶叫を
「あっ、あああああああああああァッ! きたっ……きたあああああっ! これ……これええええええええぇッ! きもひ……いいいいいいぃっ……!」
「こりゃすごいな。あの真衣ちゃんとは思えない乱れっぷりだ。そんなに気持ちいいの?」
「はっ、はいぃ! きもひいいれしゅううぅっ! もっろ……もっろ突いれれええええぇっ!」
前の絶頂の波が引く前に再びやってくる強制的な連続絶頂にとうとう呂律も麻痺し始め、にも関わらず真衣は快楽を貪ろうとしていた。ずっとお預けされていた秘所での絶頂が収まることなく続き、身体が痙攣する。それでもなお砕牙の腰の動きに合わせて自身も腰を動かし、より深くペニスを飲み込もうとしていた。
「っく……! ちょっと真衣ちゃん、がっつきすぎじゃないの?」
「らっれ……らっれぇ……!」
「はいはい、わかったわかった。……まあこういうのもいいけど、折角真衣ちゃんもその気になったんだし、ちょっと趣向を変えてみようか」
「しゅ……こぉ……?」
砕牙の仮面の前を手が横切った、その後に。
「あ……」
現れた彼の顔、そして変わっていた容姿に真衣は思わず言葉を失った。先ほどまでフードと仮面に隠されていたそこには、真衣もよく知る男性の顔があったからだった。金髪に丸眼鏡、ニヤついたように見えるためにどこか軽薄そうな印象を与える、その表情――。
「サイ……さん……」
砕牙が人間に紛れて活動するときの姿――「サイ」を目にして、真衣は彼の偽名を呼んでいた。初めて会った時はその軽薄さと急に声をかけられたことからナンパかと思って警戒したものの、悪い人ではないかもしれないと考えを改めたのはすぐのことだった。しかしその相手が実は砕牙だったと知ったときは衝撃を覚えた。
そうは言うものの、自慰に耽るようになってしまった当初の頃は、サイに抱かれる妄想もしていた。見た目と裏腹、頭が切れていい人と思えた彼との甘い恋愛などというものを考えていたこともあったと記憶が呼び起こされる。
「……おっと」
そんなことを考えてしまった途端、真衣の身体は実に素直な反応を示していた。子宮がキュンと疼き、膣が今も咥えている彼のペニスを締め上げる。そのことに気づいたサイは、本来の仮面をつけた姿では絶対に見せられない笑みという反応でもって、真衣を見つめていた。
「俺に抱かれるのが、そんなに嬉しい?」
「嬉しい……嬉しいです……! サイさん……もっと私を犯して……めちゃくちゃにして……!」
「わかったよ。……でもまあ趣向を変えて、ってことでこの姿なんだ。もうちょっと楽しもうか」
「楽し……んむっ……!?」
不意に真衣の唇がサイのそれによって塞がれた。口腔内へと舌が侵入してきて、互いに絡ませ合う。
(あ……キス……してる……。砕牙と……サイさんと……。キスも……こんな気持ちいいんだ……)
荒々しく身体を蹂躙されるのもたまらなかったが、それともまた違うこの甘い感覚も虜になりそうだった。初めて味わう蕩けそうなキスに没頭し、夢中になって相手の唇を啄ばんでいく。
「んんっ……。んちゅっ……んむぅ……。ぷあっ……」
「真衣ちゃん。キス、気に入ってくれたみたいだね」
「は、はい……。こんなに気持ちいいものだったなんて……」
「乱暴に犯されるのも好きなんだろうけど、こういう恋人みたいに肌を重ねるのもいいでしょ? じゃあ恋人みたいなセックスをしようか。……といっても、最後に魂は食わせてもらうけどね」
クククッと小馬鹿にしたようにサイが笑っても、真衣の表情は喜悦に満ちていた。思考するだけの理性も溶かされ、ただただ快楽だけを求めてしまった、憐れな1人の美少女。それが、今の真衣だった。
「あっ、はあんっ……! また……中……動いてっ……!」
ゆっくりと、しかし膣内の感触を確かめるかのようにサイが腰を動かし始める。
「さっきずっとイキっぱなしだったおかげで、少しは落ち着いたみたいだね。これでこっちも楽しみながら、ムード出して犯せるってわけだ」
「あんっ……あっ、あっ、あああっ……!」
膣内をペニスが往復するたびに心地良さそうに喘いではいるものの、瞳の焦点は定まらない。だが両腕を相手の首の後ろ、両脚を腰の後ろに交差させてオスをねだる媚態を晒し続けている。その様子に気をよくしたか、ニヤッと不気味に笑ったサイは、再び真衣の唇を塞いだ。
「あむぅ……。んむっ、んっ、んんっ……」
(ああっ……気持ちいい……気持ちいいっ……! 私は本当はエクストラソウルズのはずなのに、この人を倒さなくちゃいけないのに……でも、こうされるのがたまらなく気持ちいいの……! 乱暴に犯されるのも、こうやって抱き合ってセックスするのも、どっちもたまらない……!)
糸を引いて2人の唇が離れる。熱っぽい吐息を漏らす真衣を改めて見つめてから、サイは腰を動かす速度を速めた。
「はぁっ、ああっ、はげし……ひいぃん!」
「甘々なのも気に入ってもらえたか。でもやっぱり、真衣ちゃんとしてこのぐらい乱暴にされた方が好きなわけだ。かくいう俺もこういう方が性に合ってるけど」
「はっ、はいぃ……! いい……いいです……っ! 好き……サイさん好きぃっ……!」
「あらら。エクストラソウルズにコクられちゃったよ。……でも約束は約束だ。魂は食らわせてもらうよ」
「それでも構わないの……! もっと私を犯して……壊してえええええぇっ!」
もはや堕落した少女は、己が破滅するかもしれないという事象にすら期待を抱いてしまっていた。さすがのサイもこれにはどこか幻滅したように失笑していたが、魂を食らうことは彼にとって至上の悦びだ。中止という選択肢は無く、最後のとどめと荒々しく腰を打ちつけ続けた。
「ああああっ! あっ、あっ、はああああぁッ! サイさん……サイさん……ッ! キちゃう……また凄いのキちゃいそう……! 私……私ぃッ……!」
「いいよ。イッちゃいなよ。真衣ちゃんのかわいいイキ顔、ちゃんと見ておいてあげるから」
「はっ、はいぃ……! 見て……見てください……! 私の……あっ、ああっ! イクところ……いやらしい姿ぁっ……! あんっ、ああんっ、イッ、イクッ……! イッちゃうううううぅッ!」
膣内にオスの精が吐き出された。火傷しそうなほどの熱さに真衣の華奢な身体がガクガクッと痙攣し、声が枯れんばかりの絶叫が響き渡る。
「イクッ、イクうううぅッ! あああああっ! 熱い、熱いのがたくさん中にいいいいいぃっ! ひぃああああああああぁっ、あああっ、あああああああああぁッ!」
口からは涎と嬌声を振り撒き、かつて正義の変身ヒロインだった少女がよがり狂う。熱を帯びる身体と裏腹、宣言通りにサイは魂を食らい、心が冷えつくような感覚を覚えていた。しかしそんな被虐も、今の真衣には背徳のスパイスにしかならない。こうして冷たくなる心も心地が良いと、身も心も完全に快楽に飲まれてしまっていた。
「あ……あぁ……」
瞳の焦点は虚ろで、口はだらしなく開いていた。ペニスを引き抜かれても秘部はヒクヒクといやらしく動き、今しがた放たれた精を吐き出している。
「いやあ、実に美味だったよ。ごちそうさま」
ぜえぜえと肩で荒く呼吸する真衣を見下ろしてから、サイは顔を彼女へと近づける。
「真衣ちゃん、聞こえてる?」
「あぁ……はぁ……あ……」
「まあ死んではいないか。正直言って、俺もちょっと手加減してあげたし。……さて、真衣ちゃん。君はもう自分がマゾであることを認め、極上の快楽を知ってしまった。その上敵である俺に懇願までしてるわけだ。もう……戻れないよ」
その言葉がわかったのだろうか、ビクッと真衣の身体が震える。まるで言葉だけで気をやってしまったかのように、秘所から胎内に溜まった精液が零れ落ちた。
「君の魂を完全に食らわなかったのには勿論意味がある。……ここで食い尽くすには惜しい。回復したら、また食らってあげるよ。その時は君の魂と引き換えに、今日と同じく極上の快楽を約束してあげる」
「あ……はぁっ……」
脱力仕切った真衣の顔が緩んだ。その歪んだ喜悦の表情に嘲笑してから、サイは真衣と唇を重ね合う。それだけで真衣の身体が僅かに痙攣し、軽く絶頂を迎えてしまったことを意味していた。
「……ほんとかわいくて虐めがいがあるな、真衣ちゃんは。特別に家の近くまで連れて行ってあげる。きっと彩ちゃんが見つけてくれるでしょ。それで君が回復した頃に俺はまたこの街に戻ってくるから。その時を楽しみにしてるといいよ」
力無く、身じろぎするように真衣は頷いていた。それに満足したようにサイは己の顔の前に手を掲げ、仮の姿から本来の砕牙へと姿を変える。そして穢れた真衣を抱きかかえると、ひと気のない夜の街へとその姿を消したのだった。