むか~し
むか~し
現世のなのか、
幻想の世か、
とある国の我儘なお姫様の話。
彼女名は『アリエイル・アンコールアット』
アリーと呼ばれていました。
彼女の御両親が王様と王女様です。
一人娘のアリーは、
両親から、
世話役の者から
国の民から、
それはそれは大変可愛がられて
育ちました。
アリーは国の宝です。
アリーが望んだ事は全て叶いました。
アリーには、婚約者がいました。
隣国の王子。
『アクロ』王子です。
親が国の繁栄のために
決めた婚約者でした。
アリーは、アクロが大好きでした。
アクロもアリーが大好き。
二人は両思いです。
今はアリーの国に
アクロがいらっしゃいます。
アクロが、他の国に外交と視察に行き。
暫く国を留守にして、
アリーに会えないので、
挨拶に来ていたのです。
「行って来るよ、アリー」
「行ってらっしゃい、アクロ」
二人は接吻をして、
アリーがアクロを見送り。
アクロが視察に出発しました。
アリー「部屋に戻るわ、ソフラを部屋に」
アリーが部屋に戻ると暫くして、
ソフラと呼ばれた女性が一人。
彼女の名前は『ソフラ』
城のメイドです。
歳はアリーより、一つ上の17歳。
産まれた時から、
アリーの御世話役になる様に育てられ、
子供頃からアリーとずっと一緒です。
アリーの一番の理解者です。
アリーが言いました。
「ソフラ、やっぱりアクロは素敵だわ
顔も性格も何より私の我儘をどんな事でも
聞いてくれる。そして、叶えてくれるし
御父様、御母様、教育係り
みたいに私に厳しくしないし、」
「仰る通りです、アリエイル様。」
利き手封じをして、アリーの側で
しっかりとアリーの話を聴く、ソフラ
「ソフラ、私と貴方は立場は違えど
幼馴染み、みたいな関係よ?
顔も双子の様にそっくりだし。
いつも言うように、私の部屋では
アリーと呼び捨てになさい、」
「畏まりたした。アリー様」
「もぅ!相変わらず融通が利かないわね。」
ソフラはメイドの格好をしていますが、
顔も、背丈もアリーそっくりです。
「しかし、アクロが居ないのは寂しいわ
何か無いかしら?ソフラ」
「何も有りません。」
即答する、ソフラに呆れるアリー。
「そうだわ!私も町の視察しましょう。
今日はもぅ、何も稽古も無いし。
兵士数名と、ソフラ!付いて来て」
「畏まりました。」
アリーは、ゆっくり馬車を引かせ。
衛兵、ソフラと共に城下町に出掛けました。
町では突然の事で、少し動揺も有りましたが。
流石アリーは国の宝です。
直ぐにパレードの様になり、
町はアリーを出迎えました。
「煩いわね。」
アリーはボソッと呟いて。
国民に、微笑み馬車から手を振ります。
暫くすると、町には静かな通りが有りました。
進路を変えようとしましたが、
「止まれ!此処は何か?」
アリーが馬車から言いました。
「此処は貧民街、王族の方々が来るような
所では在りません。」
ソフラが答えると、
「面白いじゃない?如何に貧困で、
汚ならしい民が観てみたいわ!」
アリーの我儘が始まりました。
アリーが1度何か言うと、
考えを変える事は有り得ません。
ソフラもそれは解っています。
「解りました、参りますが何か有れば直ぐに
戻ります。」
貧民街を進みと、生ゴミと溝川の様な臭い
静でさっきまでとは、
違い薄気味い雰囲気です。
「酷い所ね、見るに耐えない汚ならしいさだわ
やっぱり帰ろうかしら?」
アリーが馬車の中で呟くと、
馬車の前で。
男と子供達が道の真ん中居ました。
「せんせい~サヨウナラ~」
子供達がそう言うと、
「はい、皆さん、さようなら
気を付けて帰りましょうね。」
先生と呼ばれた男が優しく微笑み
手を振っています。
それを見ていた。アリーが馬車から顔を出し。
笑いました。
「あの男が、先生?何て汚ならしい!
何を教えるというのかしらね?
気品の欠片も無いじゃない?」
先生には、その声が聞こえました。
「降りなさい!」
馬車を睨み怒鳴る、先生
直ぐに身構える。衛兵とソフラ
「何方が存じ上げませんが、
無礼はお互い様。
私を罰するなら、構わない!
しかし、その前に私の話を聞きなさい!」
先生は声上げ馬車に向かい更に声を張り上げます。
アリーも負けず嫌いなので、
そこまで言われると馬車から降りました。
「どうされますか?」
ソフラが問うと、
「構わないわ、話を聞いてあげましょう。
それから、どうするか考えます。」
「畏まりました。」
先生が言いました。
「来なさい!アリエイル姫!」
アリーは強気に振る舞っていますが、
先生の気迫に内心ビクビクしています。
先生はアリーを知っている様です。
「王族に向かって来い?
貴方が来たら?」
「仕方有りません!参ります!。」
先生は直ぐにアリーの目の前まで行きました。
衛兵に刃を向けられながら。
「構わないわ、話を聞きます。」
「人を呼びつけて、話を聞きますとは、
何とも傲慢な我儘姫か!人から
話を聴く時は、その人の言葉と
気持ちを、理解する事を学びなさい!」
「・・・」
「・・・」
「・・・黙りますか?一体、
お城で何を学んでいるというのか。
良いですか?人の言葉を聴く時は、
その人が如何に難しい事を語ろうとも
その人が異国の言葉を語ろうとも
聴く側の人間が真剣に耳を傾ければ
伝わるものなのです!
これで貴女に何も伝わらないなら
貴女がやはり、私の話を聴こうとしないからだ!」
アリーは黙り込んでいます。
先生と呼ばれた男の言葉と気迫に圧倒されています。
「貴女は私を汚らわしいと言いましたが、
私の何処ですか?
顔ですか?
髪ですか?
身体ですか?」
「服が・・」
アリーは小さな声で言いました。
すると、先生は信じられない行動に出ました。
何と、全裸になり着ていた布の服を
アリーに差し出したのです。
服を着ていた時には、気が付きませんでしたが。
先生の裸は、鍛え上げられた。
美しく、しなやかな肉体です。
これには、衛兵もソフラも見過ごせません。
捕り押さえられ、刃を向けられます。
「私を殺す事は構わないが、
暫し時間を頂きたい。
この我儘な姫、アリエイル姫に
『人』を語って死なせて頂きたい。」
「その服も、仕立てあげられた時は美しく、
アリエイル姫の
御召し物と同じです。
それも着続ければ私の服と同じ様に
穴が空き、色が落ちるでしょう。
しかし、仕立てあげた職人の思いは
どちらにも生きています。
それを汚らわしいとは、
何とも嘆かわしい。
アリエイル姫、謝りなさい!
職人の人の思いに、謝りなさい!
私は貴女の、謝罪を聴いて
死にましょう!謝りなさい!
アリエイル!」
地面に平伏せながらも先生の胆力は
本物です。
「ごめんなさい」
声が小さく、震えています。
「謝りなさい!アリエイル」
「ごめん、なさい!」
声が震えて、瞳に涙が溜まっています。
アリーが泣き出しました。
アリーは泣き事など赤子の時意外有りません。
泣き方を知りませんから。
子供の様に、天を仰いで口を大きく開けて
声を出して泣き出したのです。
ソフラもそれには驚いています。
ずっと一緒でも初めての事でした。
「その人を解放して、服を返して。」
先生は立ち上がり服を着て。
跪つきました。
「アリエイル姫。数々の無礼をお詫び致します。
言葉通りに、罰を受けます。
拷問、処刑、好きにして頂きたい
アリエイル姫。貴女の言葉
深く響きました。
職人の方々には届いた事でしょう。」
先生がそれを言うと、
先程の子供達が、隠れて見ていたのか。
走って此方に来て先生の前で両腕を
広げて立ちはだかりました。
数人の子供が先生を庇いました。
「先生を殺さないで」
子供達の勇気と誠意有る行動です。
「安心して、
この人の言葉は私に届きました。」
間違いなく、処刑されるはずですが。
先生の言葉が我儘姫の心を動かしたのです。
アリー、一向はお城に戻って行きました。