Twins Knight Saga ~双子の勇者の転生戦記~ 作:破戒僧
ブボウとの決闘から2日後。時刻は午後6時を回ったところ。
アイク、イオン、ミリスの3人は、宿の一室から、領主官邸の食卓に身柄を移していた。領主から、3人を今夜食事に誘う……という伝言が、使者を通してもたらされたのだ。早速親睦を深めようとしているらしい。
挨拶もあるし、3人にとっても都合がよかったので、呼ばれることに決めた。
依然として外が野次馬で通れる状態ではないので、またしてもイオンの『テレポート』で官邸の門前に直接やってきた。その際、門番が驚いて倒れそうになったが。
3人が食卓(どうみてもパーティ仕様で、かなり大きい。10人は楽に座れそうだ)の椅子について待っていると、反対側のドアが開いた。
そこから姿を現したのは、夜会の時に着ていたドレスに身を包んだ、領主・エラと娘・アリアだった。2人ともライトグリーンの髪をなびかせ、優雅に歩いてくる。
2人は、3人と向かい合う形で席につくと、
「お待たせして申し訳ありません、お2人の到着は、まだしばらく先だと思っていましたので……」
「ええと……すいません……」
「「あ、いえ……」」
まあ、あの混雑の中を領主官邸まで来ると言ったら、移動だけでも確実に30分はかかる。まさか瞬間移動で来るとは思うまい。それを見越して準備をしていたようだ。
すると、アイク達を前に緊張気味のアリアだったが、
「あ、ミリスちゃん……!」
「アリアちゃん!」
親友の顔を見つけて、2人の表情がぱあっと輝いた。
見ていて微笑ましい。アイクらも、領主も、それを見て微笑んだ。
「さて、お腹もすいているでしょうし、まずはお食事にいたしましょう」
エラがぱんぱんと手を叩くと、扉が開いて、料理が一斉に運ばれてきた。並べられ、ふたが取られ、その姿が続々とあらわになる。そして、いい匂いが部屋中に充満した。
「すげ~……」
御馳走の数々に、アイクは目を丸くしていた。豪華さはもちろん、初めて見る、それでいて美味しそうな料理がずらりと目の前に並んでいるのだから、無理もない。
七面鳥の丸焼き(らしきもの)に、フカヒレ(らしきもの)のスープ、スパゲティや、青々としたシーザーサラダ(多分)、その他色々。どれも興味と食欲をそそる。
それを察してか、エラが音頭をとった。
「さあ、冷めてしまう前にいただきましょう」
☆
「それにしても、あなた方には本当に感謝しなければいけませんね」
会食も中盤に差し掛かったところで、ふと、エラがまじめな顔になった。微笑んではいるものの、その雰囲気からは凛としたオーラ(?)というか、威厳のようなものを感じる。
「あなた方がいなければ、私たちはこの先も、あの男に振り回され続けたでしょう。財政は圧迫され、商業もろくに成長できず、町のイメージも向上しない。それに……」
エラはそこで言葉を切って、娘の方を見た。
「娘にも、苦しみを背負わせることになっていたでしょう……」
「あ……」
そこでアリアが顔を紅くする。
自分たちの存在を知るまでは、この子はあの男に体をささげる悲痛な覚悟をしていたのかと思うと、アイクらは本当に間に合ってよかった、と思えた。
「感謝してもしきれませんが……言わせていただきます。本当に、ありがとうございます」
「あ、ありがとうございます!!」
親子2人そろって、そう頭を下げた。
「あ、いや……」
「そんな……当然のことをしただけですよ、僕らは」
深々と頭を下げられて、アイクもイオンも困ってしまう。
すると、意外な方向から助け舟が出た。
「アリアちゃん、領主様も、そこまでなさらなくて大丈夫ですよ」
「……ミリスちゃん?」
「この2人、何ていうか……普通の『純系』の人たちと全然違って……むしろ友達と思って接するぐらいがやりやすいですから」
「え……? そうなの?」
「うん、そんなもんなの」
ミリスが、うまいことアイスブレーカーになってくれた。
「そゆことッス」
「はい」
そんな軽いノリの2人を見て、今一調子がつかめなそうな感じのアリア。すると、エラがくすりと笑って言った。
「お2人は不思議ですね……。若くして純度10もの純系で、しかもあれほどまでに強い……それなのに気さくで、謙虚で、話しやすくて……本来なら、もっと傲慢になってもいいはずなのに……」
「いやいやいや、勘弁してくださいよ。そんなん肩凝ってしゃーねーし」
「むしろ僕ら、お世話になりっぱなしだと思ってますし」
「はあ……」
やはりアリアは首をひねっている。
無理もない。前任の、しかもアリアにとっては生まれてからずっと見てきた『純系』があれほどの外道では、それよりはるかに優秀ながらはるかに腰の低いアイクとイオンは、どうも調子が狂うのかもしれない。
和やかなムードが漂っている。と、ここでエラが、
「さて…宴もたけなわ、そろそろお2人に正式に頼まなければなりませんね」
そう、真剣な面持ちで告げた。
自然と、食卓に緊張感が走る。
「お分かりかと思いますが、今日ここにお2人を呼んだ理由と言うのは……お2人には、サイミールの次の『主席顧問純系』の任を受けていただきたいのです」
エラは、2人の目を見据えて、はっきりとそう言った。
予想していたことではある。前任のブボウがあのようなことになった以上、サイミールの存続のためにも、次の『主席顧問純系』を決めなければならないのだ。アイクとイオンは平然と構えていたが、ミリスやアリアは、やはり緊張感というか恥ずかしさからだろうか、少し身を縮こまらせた。
「……迷う必要はありませんね。元々決めていたことです」
「まあ、ここで断ったら俺ら人間じゃねーわな」
そう、2人ともあっさりと言い切った。
「そうですか……」
それを聞いて、エラの緊張が解けたのが、2人にはよくわかった。
「そう言っていただけて何よりです、正式な契約調印は明日以降になりますが、一応書類を渡しておくので、目を通しておいてください」
そう言って、エラは部下に書類を持ってこさせた。暗黙にこういったことの担当になっているイオンがそれを受け取る。
「今日明日中に目を通しておきます」
「お願いします。それともう1つ、これは提案なのですが……今日から、この屋敷に寝泊まりする気はありませんか?」
「は?」
素っ頓狂な声で返すアイク。まあ、今までと話題が打って変わっていて、しかも予想だにしないものだったのだから、無理もないかもしれないが。
「……ってーと?」
「仮にも『首席顧問純系』……他の代表とは同じ扱いにはできませんわ。それに……ここにいていただければ、何かあった時連絡もつけやすいですし……」
それは確かにそうだろう。今の2人は、町に出れば、たちまち囲まれる人気者だ。
これから事務関係でますます忙しくなることを考えれば、いつでも会えるここに滞在する……というのは確かに上策と言える。
「なるほど……どうしたもんかね、イオン?」
「いいんじゃないですか? これから色々と忙しくなるでしょうし……」
「そうですか。では、すぐに御三方の部屋を用意させましょう。荷物の方は、後で部下に命じて取りに行かせれば……」
「あ、いえ、それは自分たちで行きます」
と、イオン。エラは、外に出ると大変だ、と言いかけたが……アイク達が摩訶不思議な瞬間移動でここに来たことを思い出し、納得したような顔になる。
イオンの『テレポート』は『ポ○モン』で使われるそれの真似事で、一度行った建物に空間を超えて瞬時に飛ぶことができる。荷物を持っていても問題ない。
ただし……やはり都合上、距離制限はあるようで、同じ町の中でしか使えなかった。
それでも、宿屋に飛んで荷物をまとめ、再びここに戻ってくるにはうってつけだ。
「では、そのようにお願いします。それではそろそろ……お開きにいたしましょうか」
「そうですね。ごちそうさまでした」
空になった皿の数々を前に、全員がそろって手を合わせ、食事を終了とした。
「「「ごちそうさまでしたー!」」」
☆
食事がお開きになり、各自が自分の、アイク達は新たに振り当てられた部屋にもどり、夜を休息に費やそうとしていた。
もっとも……すぐに寝る気になるものはおらず、アイクは暇つぶしに邸内の散歩に出、イオンとミリスは書類に目を通すために書庫の中に入った。
そんな中……
☆
自室に戻ったアリアは、1日の疲れに対して体が要求する欲求に正直に、ベッドに倒れこんだ。
「……疲れた~……」
ぼやくように呟くアリア。このところ、ブボウの失脚によって必要となった事務仕事に追われ、多忙な日々を送っている彼女にとっては、自然に出てくるセリフであろう。領主の娘として、母ほどではないにせよ、彼女は立派に政治に携わっているのだ。
しかし……今日のこの時のアリアの疲労は、仕事よりも先ほどの会食を原因とする心労が大きかった。
「……意外と、話しやすい人だったなぁ……」
そう、あの2人との食事……それが、彼女を包んでいた緊張感の正体。
純系といえば、国全体において『生ける至宝』という認識を頂いている希少種であり、例外なく高い地位にその身を置いている者達。それも、前任たる純度4のブボウをはるかに凌ぐ純度10の純系。
そんな2人との会食は、ブボウの『純系』としての傍若無人な振る舞いを知る彼女にとって、期待と不安の両天秤だったのだ。
しかし予想ははずれた。アイクとイオンは、自分達が純系であることなど微塵も鼻にかけることのない男だった。さらに言えば、親友ミリスの口から聞いた『友達と思って接するくらいがちょうどいい』という言葉も、予想外と言ってよかった。
(ブボウとは全然違う感じだったな……ミリスちゃんも親しくしてられる風だったし……仲良くなれそうかも……)
今まで脳内になかったイメージの『純系』である2人に、アリアは期待を抱く。
しかし同時に、やはり1つ気になっていることがあった。
(……でも……やっぱり2人も……『純系』、なんだよね……?)
引っかかっている一点も……やはり2人が『純系』であるというそこだ。
純系といえば、性格に関係なく、その仕事は1つ。他の男性にはない、『生殖能力のある精液』を生み出し、供給すること……。
すなわち彼らも、純系としての価値がその下半身にある……という所に変わりはない。
「アイクさん達も……同じように、精液を……」
アリアはつい……それを想像してしまう。今回の総会で、前主席のブボウに抱かれるということを半ば覚悟していたアリア。
それだけに、前々から想像していたその様子を思い浮かべてしまい、しかもそれをアイクとイオンに当てはめたわけだから、赤面も無理はない。しかし、脳内のその幻像は消えることはなく、それどころか『アイクもイオンも男である』と認識してから、逆に像は鮮明になっていった。
「アイクさん達にも、ブボウや他の男の人と同じ……お、おちんちんが……ついてて……」
いやらしいとは思いつつも考えてしまう。
今まで、ブボウに挿れられるだろうとばかり思っていた、股間にそそり立つ男性の肉棒。それが、あのアイクとイオンのそこに備え付けられている光景。
そして……それを自分が、ブボウのをそうするはずだったように受け止めている光景。
(……なんで……ちょっと残念なんだろう……?)
アイクとイオンは、アリアの気持ちを尊重し、別に自分達は求めるようなことはしないと言ってくれていた。アリアの初めてをささげる相手は、これからゆっくりアリアが決めればいい……と。
それを考えると、なぜか心の中に浮かび上がる、寂しさのような感覚。
ブボウに犯されるのは本当に嫌だった。それは断言できる。
しかし、それがあの双子ならどうか……。
アリアの心の中には、不安などではなく、むしろ期待感のようなものが生まれていた。
「……どんな……感じなのかな……?」
ベッドに横になっているその体を……次第に、今まで感じたことのない類の熱さが包んでいった。心なしか……息もわずかに荒くなっているように思えていた。
(なんか……熱い……っ?)
呼吸をするたびに、アリアは胸の中に何か得体のしれないうずうずとした奇妙な感触を感じとれた。息を吸い、そして吐き出すと、まるで炎に風を送ったかのようにその漢書句が強くなる。
それに導かれるかのように……アリアは左手を……股間にもっていった。
「ん…………!」
自慰は……初めてではなかった。
しかし、今までにやってきたどの回よりも、アリアの股間は早く濡れていた。下着の上からでも、湿っているのがわかるほどに。
(ちょっと想像しただけなのに……こんな……)
驚きつつも、アリアの左手はまるで意思を持っているかのように動きだす。
布で隠された秘裂にそって、ゆっくりと指を這わせる。ぷにぷにと柔らかい感触だが、肉付きはよく、少し押した程度では指の侵入を許さない。
恥部をなぞり、こすっている間に……どんどん下着は濡れ、湿っていく。この分だと……ベッドに染みができるのにそう長くかからないだろう。
さすがにそれはまずいと思ったアリアだが、最早腰にろくに力が入らない。何より、ここでやめる気になれなかった。
「は……あっ……んぅ、ん……!」
声が次第に大きくなっていく。
やがて、布越しでの摩擦ではもの足らなくなってしまったアリアは、上の隙間から指を滑りこませ、浅く、しかし直接その秘裂を、くちゅくちゅと音を立てていじくりまわす。
「こんな、濡れてる……ああ、あぁぁぁぁっ……!」
湿っている……などというレベルでは最早ない。指先を包み込み、とっくにシーツに染みを作り始めた自分の愛液の感触を、アリアは淫靡に感じていた。
そして少しずつほぐされ、指を受け入れ始めた秘裂の中に……アリアはそのもっとも敏感な部分を見つけた。
クリトリスが指先に当たった途端、それだけで体にびくんと震えが走る。
アリアはそれを指2本で軽くつまみ、力を抑えてこねていく。同時に開いているもう一方の手を胸元から滑りこませ、自らの乳房をもみしだき始めた。
「だ、だめ……こんな、我慢できない……っ!」
時折、快感で制御できなくなっている手にイレギュラーに力がかかり、クリトリスと乳房が力強く揉まれ、それにともなって電流のような快感が体に走る。
気付かないうちに……その一連の動きは、だんだんと加速し、激しさを増していっていた。彼女の手は既に彼女の意思とはほとんど関係なく、まるで独立した生物であるかのように、ただ欲望に正直に……彼女に快楽を与えるために動いていた。
そして……
「あ、あ、あ……ん、あっ……! も、もう……私、だめ……ああああっ―――!!」
誰かに聞こえてはいけないと……半ば無意識のうちにアリアは絶頂の声を抑え込んだ。
そのかわり、なのだろうか……彼女の体はびくびくと震え、ベッドの上で痙攣するようにしなりを見せた。
射精の間の数秒で終わる男のそれとは違う、女の……長く続く絶頂の快感に、しばらくの間アリアは震えていた。
そして……これまでの自慰のなかでも今回がひと際気持ちよかったということに、アリアは驚いていた。
何せ今回の自慰は、今までのように、ただ性的な欲求を満たすためだけに、股間と乳房を触っていただけではなく……その頭の中に、あることを思い浮かべながら行っていたことなのだから。
そして、それゆえに……
「想像しただけなのに、こんな………………はぁ、はぁ…………も、もし……ホントに男の人に……アイクさんやイオンさんに挿れてもらえたら……」
どうなるのだろう、と、ミリスは自慰の後にもかかわらず、むしろ余計にその興味を加速させていた。