Twins Knight Saga ~双子の勇者の転生戦記~ 作:破戒僧
しゅっ……しゅっ……
「んしょ……んしょ……」
(……ん……?)
耳に届いた声と、何やら下半身に感じる妙な違和感で、藍句は目を覚ました。
貫徹でもした後のような、混濁してはっきりしない意識。視界も暗い。どうやら昼のような明るさだが……やはり目に映る全てのものがぼんやりとして、輪郭すらあいまいだ。
それよりか、自分の状況も気になる。感触からして、ベッドか何かに横になっているようだが……いつも寝ている家のベッド(羽毛100%。時価数百万円相当)とは違う。まあ、だから不快である……というわけでもないが。
というか、藍句は目が不安定なことよりも、
先ほどから下腹部……よりも更に下の部分に感じている違和感の方が気になった。
(…………?)
この感触……に似た感触は、何度か前にも味わったことがある。
いずれも、父について商談や、他の大企業との接待パーティに出席した時に……相手側から『接待』と称して受けた歓待の際に。しかし、そんなところに行った記憶はないし、第一昼間からなど聞いたこともない。昼は彼らにとってビジネスの時間だ。
そもそも、一体自分の状況は……と、ここでようやく藍句の視界は明細なものになる。
一体何が起こっているのか、と気になって、藍句が上体を起こして自分の下腹部付近に目をやると……
(………………!!?)
「あれ? 起きちゃったの?」
そこには……むき出しになった自分の下半身と、その自分のペニスをつかんで手を動かしている……1人の女性がいた。
(………………は!?)
混濁していた意識は一瞬にして覚醒した。
いや、この光景を見てそもそも混濁などしていられようものか。何せ朝起きたら(朝かどうか疑わしいが)、自分の朝起ちペニスを見ず知らずの他人がこすっているのだ。驚きもする。
一体何が起こっているのか、藍句には全く分からなかった。
こういう類の行為は初めてではない。世界有数の企業ともなると、ご機嫌取りのために女を用意した接待などというものもよくあったし、父親について行った商談ではよく遭った。その際、父は拒むことをせず、息子達……つまりは藍句たちにも当然のように女を経験させたからだ。
何度も、といっていいくらいの場数は踏んでいたし、その方向での教育も受けた。人並みよりは、藍句も伊恩もセックスには手慣れたものだったのだ。その手腕は、中学のころから、接待で抱いてきた娼婦たちを相手に遺憾なく発揮されてきた。
しかし、今は状況が違う。
商談について行った記憶もなければ、家にデリバリーを読んだ記憶もない(というかそこまではしたことがない)。一度、由希が止まりに来た時に、朝勝手に潜り込んできたことがあったが……それとも違う。
そもそも場所からして、どう見ても彼らの家ではないのだが……パニックになっている藍句にそれに気付く余裕はなかった。
(な……何だこの状況……てか、この人何モンだ……!?)
目の前の女性は、部屋着のセーターらしき服を着ている。普通に休日を過ごしているかのようなかっこうだ。その行為以外は、特に変わった点など見られない。
そして……意識が明確になったことにより、ペニスに伝わる快感が完全に自分にも伝わるようになっていることに藍句は気づいた。
「あーごめんごめん、すぐすませちゃうから……大人しくしててね? 大丈夫、検査用にちょっと精液もらうだけだから」
女性は淡泊にそう言うと、引き続き藍句のペニスをこき始める。
(検査ぁ!? 何言ってんだ!? そういうプレイか!?)
「もとはと言えば君が……あ、あれ? まだ大きくなるんだ……」
と、女性は驚きの声を上げる。
つぶやきの通り、藍句のペニスは意識覚醒時よりもかなり大きくなっていた。
もともと藍句は、そして伊恩も、ペニスのサイズ的にはかなり大きな部類に入るのだ。勃起すれば、AV男優と比べても遜色ないほどの……巨根と十分に言える大きさに。父いわく、自分に似たんだそうだが。
すると、心なしか女性の声が艶を帯びてきたように感じられた。
「こんなの見せられたら……お姉さん張り切っちゃうな~♪」
(張り切るって何だよ!? そもそも……うぁあっ!!)
瞬間、女性の手の動きが更に加速した。
ペニスの感度のいい部分を集中的に、指の頭でくりくりといじくって攻める。時折爪が当たるが、それが意外に心地いい。藍句の脳に、だんだんと快感が蓄積されていく。
しかも、ペニスを握っていない方の手では、藍句の玉袋をこねこねと握って刺激を与えているのだ。それも……ペニスを攻める方の手と動きを連動させて、的確に。
玉袋とペニス、両方を同時にこうまで攻められ、藍句もさすがに追い込まれていた。
ペニスの先端からは我慢汁がとろとろとあふれ出し、時折本体がびくっびくっと震える。絶頂が近い証拠だ。
(こ、これ以上はさすがに……やめ…………ん!?)
と、ここで藍句は妙なことに気付く。自分の姿についてだ。
全裸なのは、それはもうそれで不自然なのだが……問題は、自分の手足だ。
縄で縛られたり、拘束などは特に何もされていないのに、全く動く気配がない。ただ無造作にベッドに放り出されているだけなのに……だ。そこまで疲労がたまっているわけでもないのに……。
おまけに声も出ない。さるぐつわなどもされていないというのに。一体どういうことなのか。
と、視線を横に向けた藍句の目に、もう1つ、驚くべきものが飛び込んできた。
(伊恩っ!?)
自分と同じで……全裸にされ、ベッドに横になっている弟の姿だった。どうやら眠っているようだ……ピクリとも動かない。
この状況が、藍句の混乱をさらに助長させる中、
「よそ見しないの。えいっ!」
(…………っくあぁあ!!)
不意打ちとばかりに強い力でしごかれたペニス。その快感に、体全体でびくんと反応してしまう藍句。
女性はラストスパートとばかりに手を加速させ、玉袋を握る手も力を強めた。少し痛いくらいだが、限界まで怒張した藍句のそこにはそれが逆に快感である。
そして、女性がひときわ強くペニスに刺激を与えた瞬間、
(やべ……もう……出……っ!!)
「お、来るか?」
と、藍句の射精を察知したのか、女性は何やら小脇に置いてある瓶をとり、蓋を取って藍句の亀頭に押し付ける。
直後、それがいい刺激になったのか、
「…………ぅあああああああっ!!!」
びゅるるるっ!! びゅるるるるるるるるぅっ!!
睾丸にたまっていた藍句の精液が、尿道を通って一気に噴出され、白く濁った液体となって瓶の中に放出された。
びゅるるるるるるっ!! びゅびゅっ……びゅぶぶびゅっ……!!
「ぅああ、っ、く……」
(やばっ……止まんねえ……!)
このところオナニーもしていなかったせいだろうか、藍句の精液はとどまるところを知らず、手のひらサイズの瓶の中に注ぎ込まれていく。その口からは、絶え間なく精液の独特のにおいがあふれ出てきていた。
「ちょ、ちょっと……どんだけ出るの!? 瓶があふれちゃう……」
と、女性はあたふたしていたが、ふいにその射精は収まった。
急に収まったわけではなく、あくまで徐々に……だったが、それでも何とか精液は瓶からあふれ出ずに済んだ。それでも、たまった精液は入れ口ぎりぎりの所まで来ている。
普段の藍句なら、まだもう少し出ただろう。それでもこのあたりで止まったのは……恐らく、このわけのわからない状況から来る緊張感が多少関係しているに違いない。
とはいえ、成人男性の一回の射精の精液量を数倍上回るそれであるから、彼の絶倫ぶりはうかがえる。鍛えられているだけあり、その経験は伊達ではないということだ。現に、藍句のペニスは射精を終えた今も勃起したままである。
「わ~……すごーい、いっぱい出たねえ……」
「はぁ……はぁ…………何……だ…………?」
射精の後の虚脱感。使ってもいない手足を襲う疲労感。それらでピクリとも動けない藍句の耳に、女性の緊張感に乏しい声が聞こえてきた。そして女性は、瓶にたまった精液の量に感心しながら蓋をすると、
「さて……あれ? なんだ……拘束の魔法が解けかかっちゃってるみたいね。もう一回かけなおしとかないと……」
そんな、よくわからないセリフをつぶやいた。
(ま……『魔法』? 何言ってんだこの人……?)
今の単語が引っ掛かっている藍句に構わず、女性はすっくと立ち上がると……寝ている藍句の頭の所まで歩いてきて、その額に手を当てた。
「な……何を……あんた……?」
「ええっと……呪文何だったっけ……」
と、その時、
「兄さん! そのまま動かないで!」
「「!?」」
突如響いたそんな声と同時に……藍句の視界を、ベッドに寝ている藍句を飛び越える形で肌色の影が横切った。直後、その影は枕元にいた女性を突き飛ばす。
「きゃあっ!?」
不意を突かれた形の女性は床に突き倒され、すかさずそれを謎の影がうつぶせにして組み伏せ、肩の関節を極める。
その影というのは……
「伊……恩……!?」
「無事……みたいですね、兄さん」
自分と同じ全裸ながら、それを気にする様子もない伊恩の姿。生まれたままの姿のまま、先ほどまで自分のペニスを手コキしていた女性を組み伏せていた。
「お、お前……起きてたの?」
「ええ……まあ、話は後に」
その顔には……脱力している藍句とは対照的な、緊張感と気迫に満ちた表情。さすが冷静沈着……といったところか。
と、急な展開に混乱して黙っていた女性が反応した。
「あ……あの? えっと、君、ちょっと!? 何するのかな?」
「その言葉そっくりそのままお返しします。あなたこそどういうつもりですか?」
「いや、だからそれは検査……っていうか痛い痛い! 何もしないから! 何も悪いことしないからお願い放して痛い痛い痛い!」
女性は、見方によっては自分勝手に懇願するが、伊恩は警戒心を微塵も緩めず、当然解放するはずもない。そして、古武術の経験もある伊恩の関節技から、細腕の女性が逃れられようはずもない。
と、
「ねえお姉ちゃん? さっきから騒がしいけど何して…………!?」
部屋のドアが開き……その向こうから、もう1人、今伊恩の下にいる女性よりも若干若く見える少女が顔を出した。
そして、部屋の中に広がる今の状況を見て……
ぴたりと動きが止まる。
そして…………
「な、ななななな……何やってるんですかコレぇ――――――っ!!?」
「お……俺の…………セリフだっつの…………」
顔を赤くした少女の絶叫と、藍句のつぶやきが重なった。
☆
「なるほど……つまり僕らは、森で倒れているところを?」
「ええ。行き倒れをそのままにしておくのも良心がとがめましたので……」
先ほどの混沌極まりない状態からどうにか脱却した藍句たちは、現在、リビングらしきところでそんな会話を交わしている。たった今、先ほどの状況に至るまでの経緯を、目の前に座っている1人の女性から聞いていたところだ。
1人は、先ほど藍句を射精させた女性。名前を聞くと、イーラと名乗った。20歳を少し過ぎたあたりに見える、美しい女性だ。濃い緑色の髪に、上はセーター、下はスウェットのようなゆったりした服を着ている。
もう1人は……先ほど部屋に入ってきた少女の方。名はミリスというらしい。歳の頃は自分たちと同じくらい。整った顔立ちに、姉と同じ深い緑色の長髪が特徴的で、シンプルなつくりのクリーム色のワンピースに身を包んでいる。人見知りなのだろうか、二人の前でなぜか少し恥ずかしそうな態度で座っていた。
2人ともこの家の住人で……森で倒れていた藍句と伊恩を保護してくれた、恩人と言っていい人物なのだ。実は。
その時着ていた服は汚れていたので洗濯中らしい。話に聞いた特徴から、2人がその時来ていたのは、2人が『死んだ』時に来ていた制服のブレザーのようだった。
その話だけならいい話&いい人なのだが……藍句および伊恩の脳裏には、どうしてもさっきの光景がよぎる。動けない藍句から、イーラが嬉々として精液をしぼりとっている異様な光景が……。
ちなみに今2人は、イーラとミリスに貸してもらった寝間着のような服を身につけている。さすがに女性と全裸のままで話すわけにはいかない。
「まあ、それはいいとして……先ほど聞かせていただいた話、本当なんですか?」
と、ここで会話を切り替えるように伊恩が尋ねる。
その言葉に答えるのは、ミリス。
「いやその……本当ですけど……あなた達の方こそ、本当にこの世界のことを知らないんですか……?」
「まあ、異世界だしな……あの自称女神の話だと」
「…………?」
不可解そうに首をかしげる2人。そして、ため息をつく藍句に……顎に手を添えて思考にふける伊恩である。
ここで、今しがた藍句たちがミリス達から聞いた『ある事実』を述べておこうと思う。
☆
ここは『フェルガルド』という異世界。
藍句達が今いるのは、その北方に位置する『フローネ地方』。
大国『アーサランド共和国』の北部にあって、辺境中の辺境と呼ばれている場所らしい。かなりの田舎で、都市部に住む者たちの中には、名前すら知らないものもいるとか(そもそも都市部がどうなのかも知らないが)。
この家は、この地方の「一応」中心の村である『フローネの村』(まんまである)における村長のような役割を担う家で、藍句と伊恩は、裏山の森で倒れているところを助けられたそうだ。その『村長』はミリスらの父らしいが、今は留守らしい。
当然のごとく、日本という国、藍句たちがいた世界とは何のゆかりもなかった。どこから来たかと聞かれ、ためしに自分達の住所を言ってみたものの、やはりというか首をかしげて『?』のポーズをとられる始末。
世界規模で名を知られ、紛争地域でさえ名をささやかれている『想夜グループ』の名を出してみても、かんばしい反応は返ってこない。
完全に別の世界に送り込まれた……と見るのが妥当だろう。
「なるほど……これが大体のこの世界の説明……ですか」
「まあそうだけど……まるであなた達がこのフェルガルドじゃない所から来たみたいな言い方ね?」
と、イーラは引っかかった言い方をする。しかし、その返答もまた、イーラとミリスにとっては予想外のそれだった。
「そのとおりだよ」
「「へ?」」
さらりと発せられた藍句の言葉に、イーラとミリスが反応する。
「正直…俺も驚いてる。まさかとは思ったが…マジで別な世界に飛ばされるとは…。あの女神……ロローラっつったか? 何考えてんだ一体?」
相手の理解能力も考えずに一息に言ったので、イーラとミリスはきょとんとしていた。意味がわかっていないのは明らかだ。実際、藍句たちの方もよくわかっていない。
「まあ…僕らの方も色々とややこしいことになってまして……」
とりあえず伊恩が言葉を濁す。2人は気になっていたようだが、深く追求する気はないのか、そこは流して話を薦めた。
「そう……大変だったわね。まあ、それはそれとして……今度はこっちから質問させてもらっていいかしら?」
「? 何すか?」
「えっとね……2人とも男の子……っていうのはさっき確認させてもらったんだけど、」
目視で……だ。藍句とミリスの顔が赤くなる。
「その……2人とも、ぶっちゃけ……『純度』どのくらい?」
「「は?」」
「…………っ!」
2人とも『何だそれ?』な顔。
思わずきょとんとなる藍句と伊恩に対し、ミリスはなぜか一瞬で恥ずかしそうに顔を赤くした。どういうことだろうか。
「お……お姉ちゃん! 初対面の人にそんな……」
「何赤くなってんのよミリス、そんなこと気にしてる時でもないでしょ?」
なにやら顔を赤くした妹と、達観した感じの雰囲気の姉妹2人が言い争っている。さっきから何だかよくわからず、2人はただボーッとそのやり取りを見ていた。
が、
「だ、だからって……そ……そんなHな話……っ!」
「「!?」」
「気にしたって仕方ないでしょ? 他に聞き方ないし、聞かないわけにもいかないし」
「で、でもさ、いくら子作……生殖活動に重要っていっても……」
「「!!?」」
「だから何恥ずかしがってんの? はっきり『子作り』って言えばいいじゃん?」
だんだんそうもしていられなくなってきていた。
「あのねミリス? 何度も言ってるでしょ? 恥ずかしいのはわからなくもないけど、村の精子の入手法がアンプルしかない今、『純系』の存在がどれほど大きいか……」
「だ……だけど出会いがしらにこんな話したら……私たちすごくいやらしい女の子だって思われちゃうよ~!!」
「もぉ~……あんたいつまでたってもそうね。ちょっとは覚悟見せなさいよ、女は度胸!」
「で、でも……」
「「ちょっとストップ!!」」
止まらない猥談(……なのか?)。たまらず、藍句&伊恩が割って入る。
「いやその…年頃の女の子がHだなんだと連呼すんのはあんまし…」
「感心しないというか……いや…まあ専門用語多くて何言ってんだかさっぱりでしたけどね」
その言葉に、ミリスが更に顔を赤くて頭を下げた。
「す…すいません! お…お見苦しいところを……」
「あ、いや、別に気にしてないけどさ。つか……『純度』って何?」
藍句がそう軽く応対する。ついでに、これまた軽い調子で疑問点を訪ねた。
が、
「「え?」」
イーラとミリスは、2人とも予想とは異なる答えを返した。
(ん? 何この反応)
2人とも、一体こいつは何を言っているんだ、とでも言いたげな目で藍句らを見ている。まるで、そう、さっきまでの藍句と伊恩のように。
今すぐにでも『冗談だよ』とでも言ってほしそうな感じにも見えるが、あいにくと藍句は冗談を発した覚えは……ない。
それを悟ったのか、イーラが声をかけてきた。
「あなた達……『純系』知らないの?」
「ああ……。え? それ専門用語かなんかじゃねーんすか?」
さも当然のように藍句が返す。こちらもきょとんとしている。
伊恩はこの時、『まあ異世界なんだから常識観の相違ぐらいあるかな』と考えていたが、先程の話の内容が余りに気にかかっていたため、やぶへびになりそうで言えなかった。
その様子を見て、イーラとミリスと何事か小声で話し始め、伊恩の注意はそちらへ向けられた。聞き取れないが、何か重要そうなことを話している気がしたのだ。
すると話が終わったようで、イーラは2人に向き直り、
(これはひょっとすると……ひょっとするかもね……。後でアイクくんの精液、ちゃんと調べとかないと……)
「……何か?」
と、これは伊恩だ。
「ううん、こっちのこと。ともかく……今日はもう疲れたでしょ? あんまり長々色々聞くのもアレだし……今日はもう休んでくれていいよ。続きは明日で」
「は……はぁ……」
『疲れたのはあんたの異常行動のせいですが』とは言えず、ぎこちなく藍句が頷く。
どうやら、今晩泊めてくれるらしい。ミリスが部屋に案内してくれるということで、2人はそれについて行った。
その間も、伊恩は頭の中に渦巻く疑問と疑念を少しでも解消しようと、頭を回転させていた。
どうも何かを隠しているような態度のイーラらに目を走らせながら……。
☆
「ね、ねえお姉ちゃん、どういうこと!? まさか、ホントにあの人達……」
「それは検査の結果次第ね」
藍句と伊恩を部屋に送り届けた後。
ミリスは、イーラの部屋でイーラと話をしていた。内容は……あの2人のことについて。
それについて、イーラからある仮説を聞かされたミリスは、驚愕で開いた口がふさがらない状態に陥っていた。
それは、若干あの2人には申し訳なくはあるが……姉妹2人にとっては、否、この村そのものにとって、この上なく好都合なことだからである。
もっとも……イーラ自身は、この状況を心底楽しんでいるのだが。
「まあ、伝承って言ってもほとんどおとぎ話だし、まさかとは思うけど……」
と、イーラはそこで一拍置いて、
「ホントにそうだったら……素敵じゃない?」
先ほど採取した、藍句の精液がいっぱいに詰まった瓶を顔の前に掲げて見せて、楽しそうに、いたずらっぽく言ってみせた。