※この作品はR-18です。

Twins Knight Saga ~双子の勇者の転生戦記~   作:破戒僧

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第5章 テイロス戦線
第56話 突然の襲撃者


 

 

そこには何もない。どこを見ても、視界には「黒い空間」だけがある。ただただ暗黒の世界が広がるのみである。

いや、暗黒という表現は少々違うだろう。周りは確かに黒いが、暗いわけではなく、はっきりと先が見えるからだ。ただ『黒い』だけの空間で、そこにいる人物や物などは、明かりもないのにはっきりと見える。

と言っても、何があるかというと、何やらカフェテラスのようなテーブルとイスだけ、あとは……周囲に何やら、白いドライアイスのような煙が立ち込めているだけだ。

そのイスに座り、一人の見目麗しい女性がその空間にいた。

その眼前には……2人の少年と1人の少女が、それぞれ学ラン、ブレザー、セーラー服を身にまとって、同じように椅子に座っていた。目を……ジト目にして。

 

「さて……『黄泉の川原』へようこそいらっしゃいました、みなさん。私のことは……覚えていらっしゃいますか?」

「「「そりゃもう」」」

 

と、アイク、イオン、ユキの3人の声がきれいにそろった。

ここ、『黄泉の川原』で……アイク達3人は、なぜか再び、自分たちをこの世界に飛ばした女神……ロローラとの邂逅を果たしていた。

 

「そうですか、それは何よりです」

「あのな、忘れろって方が無理だろ」

「それで……今になって、なぜまた僕らの目の前に現れたのですか?」

 

アイクとイオンの質問に、ロローラは席に座ったまま、ゆっくりと答えた。

 

「どうやら、フェルガルドの世界の仕組みにも慣れ、知識もある程度得たようですし……このあたりで、あなた方に伝えることがあるのです」

 

最初に会ったときは時間がありませんでしたからね、と付け足すロローラ。

いろいろと言いたいこと(主に文句)はあるアイク達だったが、それは後回しにして……まずは、素直に女神の話を聴くことにした。

 

前回……『死んだ』時がそうだったように、今回も時間制限がある可能性がある。ここでごねて肝心な部分が聞けないうちに終わってしまったら、元の木阿弥もいいところだ。

女神の話が有意義なものであることを願いつつ、アイク達は黙る。それを確認し、ロローラは再び口を開いた。

 

「まずはあなた方の力……あなた方は『超(スーパー)中二病』と呼んでいるようですが……それについては、あなた方のほうで理解しているようなので、話すことはほとんどありません」

「? 『ほとんど』……といいますと?」

 

耳ざとく聞き取ったイオン。

 

「ええ、力の使い方については……という意味です。ただ……その力を使う分の代償についてのみ、あなた方にお話しておかなければなりません」

「「「『代償』?」」」

 

声が再びそろう。代償……あまりいい響きではない言葉だ。

何かを得るためには、それなりに釣り合いのとれる何かが必要。どこかの漫画でよく使われる言葉をもじれば……『等価交換』というやつだ。

と、アイク達の緊張を感じ取ったのか、

 

「ご安心ください。力の所持そのものについてではなく、『使う』ことに関する代償……まあ、あなた方に馴染み深い言葉で言えば……MP(マジックパワー)とか、そういったものです」

「あ、そうなんだ?」

 

ユキの言葉を皮切りに、アイク達は幾分ほっとした。

しかし、聞き捨てならない話題でもある。今までそういったものを特に気にせずに使ってきた能力だが……それに関して『MP』という絶対使用量があると言うのだから。

 

「つまり……僕らがあの力を使って戦うに際して、何らかの形で限界があると?」

「ええ。もっとも……アイク、イオン、あなた達は……既にその片鱗を経験しているようですが」

「「え?」」

 

自分たちが、その『MP切れ』の経験があるのか、と、アイク達兄弟は驚きの声を返す。

全く身に覚えがない……と言いたかったが、次の瞬間、2人の脳裏に……アシルスでおこった『あること』が突然フラッシュバックした。

それは……

 

「アイクは空腹……イオンは眠気……どちらも『MP』の消耗によって起きたことです。そして、2人でその回復方法が違ったのは……回復効率に向き不向きがあったからです」

「……! あんときのアレ……やっぱ能力の使いすぎだったのか……」

「……なるほど……そして消耗したものが同じでも、兄さんは食べることで、僕は寝ることで……そうするとより効率よくエネルギーの回復を図れるわけですか」

「え? え? ど……どういうこと?」

 

どうやらついていけてないらしいユキに、イオンが噛み砕いて説明した。

 

「つまりほら、ストレス発散の方法みたいなもんだよ。食べることで発散する人もいれば、寝ることで発散できる人もいるでしょ?」

「本人に一番なじむ方法でその『精神力』を回復するってことか……まあ、何を基準に違いが出るのとかは……聞いても仕方なさそうだな。変わるもんでもなさそうだ」

「そういうことです。まあ、他の方法……アイクが睡眠、イオンが食事で……という回復ももちろん可能ですが……効率は当然落ちますので、あまり進めませんね」

 

会話の終わりを待ってロローラは、

 

「これから先……強力な敵も数多くあなた方の目の前に姿を現すでしょう。彼らとの戦いにおいて、エネルギーの残量を気にかけた上での戦い方は特に重要です。成長していく中で、エネルギーの最大値は増えていくと思われますが……くれぐれもそれを忘れず、無理せず、気をつけてくださいね……」

 

そう聞こえた次の瞬間、再び3人の意識が遠くなった。

 

☆

 

「「「………………ん?」」」

「あ、起きました?」

 

と……アイク、イオン、ミリスは……全く同時に、馬車の荷台に揺られながら目を覚ました。

首を起こして前を見ると……ミリスとカナが、目をぱちくりさせながらこちらを見返してきている。どうやら……いきなり寝てしまった3人に、何が起こったのか、と多少なり心配していた様子だ。

アイクがとっさに馬車の外を見ると……時刻は、まだ明るいが、夕暮れ時、

外の景色は……山道。

 

「ああ……今、帰り道か」

「そうですよ。もう……驚きましたよアイク様、いきなり3人ともすやすやと……」

 

と、カナのセリフを適当に聞き流しながら……アイクは、そしてイオンもユキも、今の自分たちの状況を再度思い出していた。

 

☆

 

イーラに言われ、商談と視察のためにフローネを出たのが数日前。

サイミールよりもさらに遠くにある都市へ、アイク達は出発し……山を2つ3つほど越えて、そして無事に商談をまとめて、今は帰路についているところだったのだ。

 

夕暮れ時だが……暗くなる前には次の中継地点につけるだろう、ということで……一行は馬車に乗ってきた道を戻っているところだったのだ。

 

ちなみに今回の旅、カナが一緒についてきている。アイク達の身の回りの世話をするためだ。カナはオールラウンドな分野で、しかも1人で5人分は働けるので、連れて行くと色々と都合がいいし、何より……カナ自身、それが嬉しい。

 

そういうわけで、アイク、イオン、ミリス、ユキ、そしてカナの5人の初めての旅路は……今、終わりに近づこうというところだ。大成功という形で。

アイクは荷馬車の前まで行き、

 

「御者のおっちゃん、町まであとどんくらい?」

「そうだな……まあ、もうすぐ見えてくるころだと思うよ?」

「そっか、ならいいや」

 

そう言って、アイクは元の位置に戻る。

どうやら……アイクたちはそれほど長く寝ていたわけではないらしい。

ミリスとカナの話だと、前の町を出てしばらくしたころにアイク達は寝たとのこと。時間にして数分程度……どうやら、女神ロローラの世界と同じくらいだ。自分たちも、それほど長く話していた記憶はないため……アイクも納得した。

 

同時にカナが、町で買ってきたグミ(のようなお菓子)を進めてくれたので、もらっておいた。気分はまさに、遠足の電車内でのお菓子の分け合いっこだ。

 

「非日常もいいとこだってのに、慣れたもんだな……」

「はい? アイク様、何か?」

「いや、なんでも……」

「そういえばミリスさん、今回は乗り物酔い、大丈夫そうですね?」

 

と、イオンは前回、前々回と……ミリスが馬車の揺れで悲惨なことになったのを思い出し……ミリスのほうを見た。

 

そのミリスはというと、全然平気……というわけではなさそうだが、前の2回に比べると格段に調子はよさそうな印象だった。顔色もいい。

 

「あ、はい……最近、回復魔法が上達してきたからか……酔い止めに効果がある魔法をこまめに使って、どうにかなってます」

「それは何よりですね」

 

どうやら……『等級白魔術師』を目指してがんばっているミリスの努力が報われつつあるようだ。実技試験に向けてしていた、回復魔術の訓練。それが上達してきており、ミリスの治癒能力はかなり上がりつつあると見える。

まあ、まだやや顔が青い気はするが……一応、許容範囲内のようだ。

と、

 

「…………兄さん?」

 

アイクは……なにやら先程から急に黙り込み、何か……周囲をきょろきょろと見回すようなしぐさをしていた。心なしか……落ち着きもない。

イオンの声につられて。全員の視線がアイクに集中する。

すると、

 

 

「……イオン、ユキ、構えろ。何か来たぞ」

 

 

「「「!?」」」

 

と、他の4人が驚いた瞬間、

 

「そこの馬車、止まれッ!!」

 

馬車の外から……何か大きな声が聞こえた。

同時に、馬車の動きがぴたっと止まる。

何かと思い、窓に一番近かったユキが外を覗くと……

 

「…………盗賊……かな?」

「「ええっ!!?」」

 

カナとミリスの声には、はっきりとした同様が聞き取れた。

一方で、冷静さを失わないアイクとイオンは、ユキと同じ窓から外の様子を伺う。

 

そこには……前にも見たような光景が広がっていた。

 

馬車を囲むように展開している、盗賊と思しき一団……皆、手に手に武器を持ち、さっきを丸出しにしてこちらをにらんでいる。人数は……ざっと20人前後か。

やれやれ……と、アイクはため息をついた。また、あの時と似たようなことになった、と。

ここに来て間もないころ、山賊に囲まれ……同じように品物を要求された。武器を手に、殺すと脅されて。

まあ当然……アイクとイオンで蹴散らしたのだが。

 

しかし、

 

「……何か、違和感が……」

 

と、イオンはそんな事を思っていた。

取り囲む者たち、1人1人に……どこか気になる部分があるのだ。

 

程なくしてそれは明らかになる。服装が違いすぎるのだ。

前に戦った山賊たちは……皆、荒っぽいつくりの麻布か木綿と思しき服で、統一性もほとんどなかった。あってもマントか……粗末な革製の鎧くらいだ。

 

しかし、今の連中は……なにやら立派な、明らかに鉄製と思しき鎧を身に着けている。よく見れば……持っている武器も、かなり上質かつ頑丈そうな剣だ。その2つの装備には、どこか清潔感すら漂う。

 

(……本当に、ただの山賊か……?)

 

「ひいいいっ、い、命だけは、命だけはお助けを!」

 

違和感を感じつつも、御者の男がビビッていてかわいそうに思えるので、アイクとイオンはさっさと外に出る。

そして、前と同じように……馬車の上に立った。

颯爽と登場した2人に驚き……山賊(?)たちの視線が、車上の2人に集まった。

 

「何だきさまら!」

「テメーらこそ何だ。出てくるなり追いはぎまがいのことしやがって」

「何っ!? 貴様……誰に向かって口をきいているかわかっているのか!?」

「は?」

 

その言葉を聴いて……イオンはより一層不自然に思った。『誰に口を聞いているのか』……有名な賞金首などならともかく……悪党が好んで使う言い回しではない。

本当にこの者たちは何者なのか、2人が考えていると、その中の一人が声を張った。

 

「お前達! おとなしく持っている食料を差し出せ! そうすればこの場は、数々の無礼と共に見逃してやることにする!」

「……? 何だいったい、盗賊が偉そうに……」

「盗賊だと!? 貴様ら……我々を何だと思っているのだ!?」

「何だかしらねーから困ってるんですけど。ていうか、さっきから気になってたんだけど、そんなに偉そうにするんならまずきっちり名乗ったら?」

「くっ、言わせておけば……」

 

明らかに不機嫌になる男達。

そしてどうやら……話す気が失せてきたらしい。武器を構えなおし、明らかに……襲いかかる体制をとってきている。これ以上は……アイク達といえど、油断できないだろう。

結局こうなるのか、とまあ少々呆れつつ、さらにイオンは未だに不自然さを関しつつも……自分たちもまた、戦闘体勢に入る。

 

そして、

 

「こうなっては仕方ない……緊急時ゆえ、やむをえんと判断する! かかれっ!」

「「「おおおぉぉぉおお――――っ!!」」」

 

と、雄たけびと共に……男達はいっせいに馬車に襲い掛かってきた。同時に、アイク達も馬車から飛び降りる。

すると、

 

「せいっ!」

「………………お?」

 

戦いが始まると同時に、違和感が増えた。

それは、アイクとイオンが……かわし、受け流し……で立ち回っている感覚から、あまりにありありと伝わってくるものだった。

 

(……!? こいつら、動きがいい……?)

 

ひゅんひゅんと風を切って飛んでくる、敵の剣による斬撃。

その太刀筋の、動きの、体さばきの1つ1つが、明らかに……山賊や盗賊のものとは違うのだ。荒々しくなく、洗練されたものを感じる。

明らかに……ちゃんとした戦闘訓練を受けている、と2人は感じた。

 

「これは驚いた……油断して勝てる相手ではなさそうですね」

「ああ、前に戦った山賊なんかとは別格……けどっ!」

 

瞬間、アイクとイオンは同時に攻撃に転じた。

アイクは腕輪の力で鋼鉄の手甲(ガントレット)を出して装着し、かかってくる男達に向き直った。

うまく剣をよけ……相手が体勢を立て直すよりも早く、距離をつめて拳を叩き込む。

 

「ぐああっ!!」

 

顔面に拳を受け……衝撃で脳震盪を起こしたのだろう、男は一撃で崩れ落ちた。

続いて、集団で向かってきた者たちには……アイクは接敵されるよりも前に手を打った。両腕を顔の前に構え……親指と人差し指でひし形を作るようにして、その向こうに相手を見据える。

 

「気功波ぁッ!!」

 

その手から、空気を跳ね除けて進む『気』の砲弾が飛び出し、向かってくる男達を吹き飛ばした。まとめて地面にたたきつけられ……動かなくなる。気絶したようだ。

隣ではイオンも、

 

「『エレキネット』!!」

「「「ぎゃあああああっ!?」」」

 

電撃を帯びたくもの糸を手から出し、それを男達に絡めて感電させていた。がんじがらめになっているため……男達は振りほどくことができず、もがき苦しんでいる。

その後ろから一瞬の隙を突いて斬りかかってきた男がいたが、イオンにひらりとかわされ、もう一方の手から放たれた衝撃波で吹き飛んだ。

そして、アイクもイオンも……同様の感想を抱く。

 

「こいつら……何だか知らねーが、結構強いな」

「ええ……きちんとした戦闘訓練をつんだ動き……何者なんでしょうか?」

 

2人ともわざと聞こえるように言ったのだが……男達の生き残り達から返事が返ってくる様子はない。

どうやら……『俺達が誰だか云々』と言っている割に……正体を明かすわけには行かないようだ。理由はわからないが。

 

「くっ、ひるむな、かかれぇーっ!」

「我らが大義のもと、この場で斬りふせろっ!」

 

そして……何やらまた意味がよくわからないことを叫びつつ、再び向かってくるが、

 

「はー……略奪に大義も何もあったもんじゃねーだろーがよ、『波(は)』ぁ――――っ!!」

 

いい加減にうっとうしくなってきたアイクの放った、広範囲型の『気功波』に巻き込まれ……全員ノックアウトした。

ガラガラと鎧を鳴らしつつ、倒れていく男達。

 

その様子を見ながら……イオンは先程、戦いのために一旦押さえ込んだ違和感を再び掘り起こし……もう1度よく考えてみていた。

同時に、不意打ちを狙った狸寝入りの者がいないかどうかの確認も含めて……今倒した男達の様子を、装備をじっくりと確認し……観察していた。

すると、戦闘が終わったことを悟ったカナとミリス、それにユキが、そーっと馬車から顔を出したころ……イオンは、その鎧に1つの気になる点をみつけた。

 

「……? これは……」

 

ちょうど、鎧の左胸の……一番目立つ部分に、何かマークのような、模様のようなものが見つけられた。

いや、それよりももっと……エンブレム、もしくは……紋章とでも言うべきものか。それも……イオンはそれを、どこかで見たことがある気がした。

 

中心に1本の剣。その両側にバラ。バックには……飾りつけと思しき額。

 

雑に言って……かなり偉そうなデザインだ。

 

このかなり上質な剣が、鎧が、そしてあの訓練された動きが匂わせる違和感の正体を、このエンブレムが教えてくれるような気がしたのだ。

 

(たしか、前にサイミールで読んだ本で……)

 

と、その後ろから……

 

「あれ? それって……王国騎士団の紋章じゃ……?」

「? ミリスさん?」

 

いつの間にか降りてきて、イオンの後ろに立っていたミリスがそんな事を言った。

その言葉に、イオンもようやく思い出す。これは……前にサイミールの文献で目にした、この『アーサランド王国』の王国騎士団のエンブレムだ。

 

王国を守るために組織され、厳しい訓練の上に存在する、王国の最精戦士団。有事の際には颯爽と現場に推参し、悪を打ち倒して国の平和を守る。

簡単に言うと、軍隊の中でも選ばれたエリート集団、ということである。

 

その騎士団の証であるエンブレムが、なぜこの略奪者達の鎧に装着されているのか……。盗品か、ともイオンは考えたが、これほどの数がそろうのか、と疑問も残る。

それに、気になる点がもう1つ。鎧にや服に、傷やら汚れやらがやたら多い。装甲が欠けている部分すらある。武器も防具も、新品とは明らかにかけ離れた状態だ。

まるでつい最近……自分たちと戦う以前に、一戦交えてきたかのようだ。

 

と、その時、

 

「おいイオン! また何か来たぞ!」

「「「!?」」」

 

またしてもいち早く察したアイクの声に気づいて振り向き、イオンが馬車の前に出る。

すると……向こうから、今の襲撃よりもさらに多くの、そして同じ装備の者たちが押し寄せてくる。しかも、馬の蹄の音まで聞こえてきた。

 

ユキを除く、馬車の乗員達が息を呑む音が聞こえた。カナとミリス、それに御者の男は、ユキに連れられて再び中に戻る。

 

「―――っ、めんどくせーな次から次へとっ!!」

 

外に残った2人は……再び武器を出し、より激しい戦いになることも想定して、今度は腰にさしている剣も抜いてそれらの到着に備え、構える。

すると、

 

「……? 待ってください兄さん、何か様子が変ですよ?」

 

イオンは……向かってくる集団の……その先頭の男が、なにやら声を張って、自分達に伝えようとしているのに気づき、兄を手で制した。

武器も構えていないし、急いで向かってきているわけでもなさそうだ。

すなわち、向こうが戦いをしに来ているわけではない、ということをさすのだが……

そして、耳を澄ませてその声をよく聞いてみることには……

 

 

 

「旅の御仁、はやまるな! 我々はアーサランドの王国騎士団である! 戦意はない!」

 

 

 

「「………………??」」

 

その言葉に、アイクとイオンは余計に混乱した。

なぜ、ここでそのような団体が姿を現すのか……

こいつらの襲撃はなんだったのか……

そもそも、本当に騎士団なのか……。

疑問に自答できないアイクとイオンに、近づいてくる一団は変わらず語りかけ続ける。

 

「繰り返す! 我々はアーサランド王国の王国騎士団である! 戦意はない! 旅の御仁、警戒は不要である! 話がしたいゆえ、武器を収められよ!」

 

 

 

 

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