Twins Knight Saga ~双子の勇者の転生戦記~ 作:破戒僧
その夜、
「ん、くっ……はぁあっ! や、あ、アイク……っ!」
パーティが終わり、屋敷に帰ったアイク達。
その後、アイクはユキを部屋に連れ込み……セックスに興じていた。
アイクを下、ユキを上にしての騎上位。その姿勢で、アイクは下からユキを突き上げる。
「す、すごい……いいのぉっ! アイクの、奥に、響いて……っ!」
勃起したアイクのペニスが、1突きするごとに子宮を突き上げる。普段は空気にすら触れる感触のない場所を、他人の……アイクの体の一部によって蹂躙される感覚は、ユキをたやすく理性という名の鎖から解き放つ。
「っ……しかしお前、なんか今日……やけに積極的だな? 帰ってくるなり、ヤりたいとか言い出して……」
「しょうがない、じゃない……だって、パーティの会場で、色々話して……」
「話した?」
「うん、他の人のミストレスの人たちと……どんなセックスが好きかとか、どこを攻められると気持ちいいとか……それで、だんだん変な気分に……」
「おいおい、パーティで猥談、してたのかよ……」
呆れつつも、その様子を想像すると、アイクのペニスにさらに血液が集まる。
自分の愛人が、他人の愛人と、互いの主とのセックスについて語り合う……あまり感心できる内容でもなさそうだが、そこで話題になっているのが自分達であるとなると……
「ふふっ。何よ……アイクのおちんちんのこと、他の人に話したって聞いたら……興奮してきちゃったの?」
「さーな…………っと、そろそろ、来るかも……」
睾丸がせりあがり、腰に妙な浮遊感が生まれる。
アイクはそれを察し、がっしりとユキの腰をつかみ……ピストンを小刻みなものに変える。深いところだけを連続で責められるユキは、急激に快感を蓄積させた。
そして、
びゅるびゅくるるるるっ! びゅる、びゅくびゅごぷびゅるるるっ!!
「んゃっ、あ……はぅあああああぁっ!!」
彼女の子宮の中に煮えたぎる子種汁を注ぎこみ、その身を快楽一色に染めて果てさせた。
☆
その後、2人はそのままベッドで……抱き合って横になっていた。
具他的には、仰向けのアイクの胸に、ユキが体を預けている形だ。セックスの後の余韻を味わいつつイチャついている……というのが、最も適確な表現かもしれない。
口には出さないが、セックスの後のこの時間が、アイクもユキも好きだった。
「そういえばさ……今日のパーティ、女の人を口説いてる男の人多かったわね」
ふと、ユキが思い出したように言う。
「あー……愛人候補でも探して勧誘してたんじゃねーの? 綺麗所そろってたし」
「あたし達4人は誰も誘われなかったけど?」
「当たり前だろ。純系のミストレス、しかも純度10のを狙う命知らずなんざいるか」
「あーそっか、この指輪が虫除けになってたわけだ」
ユキは小指の指輪を見ながら、『便利ね』とこぼす。
「じゃあさ、アイク。もし私が、そんなことも気にしないくらいの権力者の人(そんな人いないけど)に、権力を盾に強引にお持ち帰りされそうになったりしたら、怒る?」
「殴る」
「わぉ、過激」
言いつつも、ユキはアイクにより一層強く抱きついた。胸が当たるのを意識して。
端から見たら、口調は乱暴だがバカップルに見えなくもない。
と、ふとミリスが気づいたように言った。
「ねえ、そういえば……アイク今日変じゃなかった?」
「変?」
「うん、何ていうか、ほんの少しなんだけど……いつもより落ち着かない雰囲気だったっていうか……何かを気にしてるっぽかったっていうか……」
「……お前、変なとこで観察力すげーのな」
はぁ、とため息。この観察力、おそらくは対アイク・イオン限定だろう。
アイクやイオンにとって、自分達の一番の理解者であるとはいえ……口にも出さない事を感じ取れるとしたら……おそらく、付き合いの長いユキくらいのものだろう。
もっとも……今後増えていく可能性は大いにあるが。
「ま、別に気にするようなことでもねーよ」
「ふーん……ま、それなら無理には聞かないけどね」
言って、そのままアイクに寄りかかるユキ。程なくして寝息が聞こえ始める。
その寝顔を見ながら、アイクは……『その気になっていたこと』を……
……昼間感じた、あの妙な『殺気』のことを、頭の片隅で考えていた。
(何も、なきゃいいがな……っと、こんなこと考えたらフラグか、寝よ寝よ)
☆
翌日、
アイクとイオンは……ユキたちを連れ、今回も女王・イリアザートによって開催された式典に出てきていた。
場所は……昨夜・婚約記念パーティが開かれた『迎賓館』とはまた別、
代々、王族の冠婚葬祭の式典の折に使われてきた大聖堂……『クレスパレス』だ。
「え、何? お姫様とその……オールレオスさん? もう結婚するの?」
「いや、そうじゃなくて……何ていうかこう、結婚しますっていうことをご先祖様に報告する的な儀式らしいよ」
と、事前の説明を聞いていなかったユキに、イオンが再度の説明を行っていた。
説明のとおり……今日は、レオことオールレオスと、昨夜も会った王女・エリーネイトとの婚約を、先祖代々の位牌が奉られているこのクレスパレスで報告するという……儀式か何かのような行事だとのことだ。
言い方は悪いが、特に料理が出るわけでもなく、退屈なだけのそれである。
例を出すなら……学校の入学式や卒業式の類だと思ってくれれば差し支えない。
しかも、国の要人だというお偉方のスピーチが、王族の位牌の午前で延々と続くため、ユキやアイクはまさにそういった印象を受けていた。『式典』や『退屈な話』の類には一応耐性がある2人であるが、既にまぶたが重くなってきていた。
カナやミリスも同様で……涼しい顔でいられるのはイオンくらいだ。
一番深刻なのがセラだった。開始3分で寝息が聞こえてきたことを悟ったイオンは、急遽セラを『具合が悪くなったみたいで……』とごまかして連れ出し(起きていさせるのは諦めた)、兵士達を見張りにつかせた馬車で寝かせた。式典終了後に起こすつもりで。
場所はクレスパレスの中心部にある中央大聖堂。超巨大な教会を連想させるつくりのその部屋で……卒業式もどきとも呼べる式典は続いていた。
救いと言えば、そこは室内ではなく……中庭のようなところで、空が見えることだ。
並木や生垣なども植え込まれていて、そう、まるで……庭園のように思えた。
そのおかげで、鳥などが入ってきたり、流れる雲が見えたりして、アイク達はどうにか退屈を紛らわすことができていたのだ。もっとも……セラにはそれらは子守唄になってしまったが。
「……ここに、次なる光の階となる2人の前途を祝すると共に、この国を作り上げた全ての先人の皆々様方への……」
(暇だ……)
アイクもそろそろ限界であった。
眠らないように、何度目かとなる周囲の景色の見物に首を動かす。
右側を見ると、一般(といっても有力者と呼べる者ばかり)の参加者が静粛にして椅子に座っている。
左側には……自分達と同様にして、来賓としてこの式典に呼ばれた者たちが座っている。
ちなみに、その中には昨日言葉をかわした……キースやライオネルもいる。そのミストレスたちもだ(全員ではないようだが)。
もっとも……同じ列ではなく、それぞれの主たちよりも1つ2つ後ろの列だが。ミストレスは従者扱いになるので、その雇い主たちと同じ列には座らない。1歩引いてついていくかのごとく、その後ろに控えて座っていた。無論、ミリスたちも同様である。
そして、今日の主役の1人であるレオは……婚約者であるエリーネイトと並んで、最前列の王族用貴賓席に座っていた。まあ……立場を考えれば当然だが。
レオは、アイクが昨日話した感じだと……言葉遣いも丁寧で、好感が持てる青年だった。例えるなら、イオンから毒気を抜いたような、純粋で優しい性格……それが、アイクの印象だった。その性格もあって、キース達に信頼され、かわいがられているらしい。ライオネルにしてみれば、孫同然……いや、それ以上に気に懸けているという。
そんな中でアイクは、
(12人……おっ、13人目……)
と、参加者の中であくびをする者の数を数えて気を紛らわしたりしていた。
ちなみに、そのうち1回が自分だったりする。
しかし、さすがに開式から1時間……そろそろごまかしも聞かなくなり、本気で睡魔が牙をむき始めていた、
…………その時、
「――――――っっっ!!?」
アイクの背筋に……以前にも体感した、あの悪寒が走った。
そう、アルビオンに来た初日、エミリィとユキと共に市場を見て回っていた時に感じた……あの殺気だ。
アイクはハッとしたが、周りを見渡してみても……自分以外に、それを感じ取ったものはいないようだった。……その、弟ですらも。
「……どうかしました、兄さん? なんか汗がすごいですけど」
「イオン……今、何か感じなかったか?」
「は?」
とぼけている様子はない。気づいたの……アイクだけのようだ。
もしくは……アイクの気のせい、という可能性もある。いくらアイクが、そういったものに敏感であり……勘も鋭いとはいえ、特に根拠もないのだ。
が……アイクにはあまりにも生々しく感じ取れたために、疑えなかった。
「イオン、ちょっとだけ周り、警戒しといてくれるか?」
「? どういう意味です?」
「何つーか……嫌な予感がする。何か起こるかもしれねー……」
「はい?」
一瞬、何を言っているのかわからなくなるイオンだったが……兄の表情が真剣なものであることに気づく。自分は何も心当たりがなくとも……異常事態であることを悟るには、それで十分だった。
すると、そんな中……式典の次の項目のために移動しようと、イリアザート女王が……次いで、エリーネイト王女とレオも、中央の赤絨毯を通って外に出ようとする。外といっても、ここが既に屋外のため、連絡通路を通っての移動……ということになるのだが。
その時、
「……!」
アイクは……遠くの建物に、何かがキラリと光ったような気がした。
一瞬ともいえない時間の後、アイクはその正体を悟る。
瞬間、アイクは地を蹴り……凄まじい勢いで前に飛ぶ。
護衛の兵士達が、他の参加者達が驚く中、アイクはその光と……レオ達との間に割って入った。
「きゃ……っ!?」
「あ、アイク殿!? 何を……」
2人が驚きの声を漏らしたその時、
ヒュン…………パシッッ!!
空を切って飛んできた1本の長い矢が……アイクの手でキャッチされた。
その先端がアイクに……否、その向こうの……レオ達に向けられている、矢が。
「あ……危ね……ェ…………っ!!」
「「「え…………?」」」
一瞬、クレスパレスが静まり返る。
そしてすぐに、
「きゃぁああ――――っ!!? な、何!? 何なの!?」
「や……矢!? そ、狙撃だ! 暗殺未遂だ!」
「女王陛下が狙われた!? いや王女殿下か!?」
すぐさま……パニックに陥る。
司会者が『落ち着いてください!』と叫んでいるが……焼け石に水のようだ。
当然……エリーネイトとレオも、その心中は安定したものではない。
「えっ……えっ……!? な、何が、どうなって……!?」
「あ、アイク殿、その矢は一体……」
「イオン!! ユキ!!」
2人の驚きの声はひとまず無視し、アイクは声を張る。
すぐに、アイクに事前に警戒するよう聞いていたイオンと、まだ少し事態についていけていない感じのユキが合流した。
「イオン、犯人を追え! 俺から見て真正面方向、距離約100m、2階建ての建物の屋上の影部分にいた! ユキは俺と一緒に2人を守れ! 次弾が来る可能性がある!」
「了解!」
言うが早いか、イオンは凄まじい勢いで地を蹴って走り出した。そしてアイクとユキ(ようやく落ち着いた模様)は、各々が使えるバリア系の技で可能な限りガードを張る。
するとそれに一瞬遅れて、
「警備兵! 陣を組み、陛下と殿下を守れ!」
「「「はっ!!」」」
と、本来護衛に当たるはずの兵士達がようやく持ち直し、アイクたちごと内側に取り囲んで防御陣形を敷く。
同時に、外側に配置された数人の兵士の足元で魔法陣が展開し、それらが1つにあわさって……聖堂全体を覆うほどの巨大なバリアを作り出した。王国軍の術師のようだ。
おそらく安全と言えるのであろうそのバリアの中で、イリアザートが駆け寄ってくる。
「大丈夫ですかエリー!? レオ殿も……」
「あ、はい……なんともありません、お母様!」
「アイク殿に守っていただいたおかげで……」
「そう、ですか……」
ほっ、と、文字通り胸をなでおろすイリアザート。
「アイク殿、なんとお礼を言ってよいか……」
「いえ、とんでもありません。それより、油断はまだ……」
「そのとおりですよ、女王陛下」
と、いつの間に近づいてきていたのか……アイクのそばに立つキースが言った。
「デイビッド! 今、エリー達が……」
「ええ。少々、というかかなりまずいことが起こりましたね……陛下、ここは……早く移動して隠れる方が賢明かと」
「でも、今は防御壁もきちんと張ってあるし……むやみに外に出るのは危険では……? ここにとどまって応援を待てば……」
「向こうが障壁貫通型の魔法を使ってくる可能性が否定できないでしょう? 第一、ここは周囲に障害物が多すぎて、遠近を問わず奇襲に対しての安全確保が難しい……防御に適した施設へ移るべきだ」
一瞬、イリアザートがキースのことをファーストネームで読んだのが気にかかったが、ここはキースのセリフがまず正論と言える。と、アイクは考えた。
イリアザートも、少し考えた後、
「わかったわ、そうしましょう。確かこの近くに、軍の位置部隊の屯所があったはずだから、ひとまずはそこに行きましょう」
「そ、そのあと……王国騎士団に連絡して、応援を?」
「そういうことよ、エリー。そうしなければ……安全に城まで戻れないかも知れないの。アイク殿、ユキ殿、もう少しの間……お力をお貸しいただけますか?」
「「もちろんです!」」
アイク達はその後、細心の注意を払いつつ……エリー達を守りながら、その大聖堂を後にした。
その日……それ以上の攻撃が加えられることはなかったが。
☆
一方そのころ、
「……ん……何だぁ…………?」
と、
退屈さに耐え切れず、馬車で寝ていたセラが目を覚ましていた。
何やら外が騒がしく……まあ、あんな事件が起こったから当然なのだが。
そして、窓から外を見てみると……通りの向こう、かなり遠くのところに、絢爛な服に身を包んだセレブたちがあわてて逃げていくのが見えた。
「……何かあったのか、アレ?」
不思議そうにその様子を眺めているセラは、一応ざっとでも確かめてみようか、と馬車を降りようとする。そのために、寝ていたところとは反対側にある扉まで馬車の中を歩いた。
すると……ふと、横の窓―――さっき逃げ惑うセレブたちを見たのとは別の―――から、セラはあるものを見た。
「…………あれ……誰だ?」