Twins Knight Saga ~双子の勇者の転生戦記~ 作:破戒僧
ガーベル帝国帝都・エイドロギア
そこの、さらに中心部に位置する……この国の頂点に立つ者たちの居城。
その宮殿のさらに中心にありき、玉座の間にて……この国の中枢に立つ者たちが、その頂点……皇帝の命により、一堂に会していた。
入り口から玉座へと続く赤絨毯の両側に立ち……その玉座に……今は誰も座っていないそこに、視線を集めている。
……そこに、
「ガーベル帝国皇帝……ギルロス=アルバトリー=ジェイク=ガーベル様、ご来臨!!」
響き渡る声と共に、玉座の後ろの通路から……1人の男が姿を現す。
両脇に数人の兵士と、側近か何かと思しき文官風の男女を一人ずつ連れて。
黒と金色を基調とした、荘厳さ漂うマントと法衣に身を包み……頭の上に、金色に輝く王冠を戴いている。
体が細く、ガリガリ……とまで言っていい見た目だ。禿頭で、眉毛も生えておらず……あご髭だけが僅かにたくわえられている。目はうつろで、深い闇が瞳の奥に見られる。
そしてその声は、しゃがれている上に抑揚に乏しく……感情がうかがえない。
体格だけを見れば貧弱……しかし、そのまとう空気は、確かに位通りのそれである。
その男……皇帝・ギルロスは……玉座に腰をすえ、足を組むと……眼前に一堂に会する16人の戦士たちを前に、ゆっくりとそれらを見回す。
「……カーマ……全員、そろっているか?」
横に控えている男に、RPGの大魔王風の装束に身を包んだギルロスが口を開く。
その皇帝に、カーマ、と呼ばれた、側近と思しき男―――奥の通路から共に出てきた男だ―――は答える。
神官の着る法衣のような装束に、目の辺りまで深くかぶるローブを身につけているため……顔や表情はもちろん、肌の色すらもうかがい知れない。ただ、低い声が聞こえるだけだ。年老いてしわがれている様子ではない……むしろ野太い声が。
「はっ……16師団長、全員そろってございます、陛下」
浅く一礼して、カーマは皇帝に返事を返す。
そのカーマの、玉座を挟んで反対側の隣には……妖艶なような軽薄なような、しかし隙のなさそうな雰囲気を漂わせる、短めの髪の女性が1人ついた。ちょうど、カーマと対になる位置に。
こちらも……ギルロスとカーマと共に、奥の通路から現れた一人だ。
髪色は濃い紫色で……メガネをかけている。年は20かそこら、といったところのようだが……まとう空気は、今行ったとおり、色気を伴った妖艶さを含んでいる。
皇帝は、再び赤絨毯の両側に、8人ずつ分かれて並んでいる者たち……帝国最強の16人の戦士たちを見渡す。
さまざまな面子が見られるその中には、会議室で議論を交わしていた、リューやベルーレッド、エクターやエイブラハム、オーグやデンド……そして、モーガンもいる。
内面はともかくとして、皆、皇帝の前の服装にふさわしい、正装ととれる服装に身を包み……威厳あるたたずまいを見せている。
無論……その他にも師団長の座につく者たちは集まっている。
そして皇帝は、ゆっくりと立ち上がった。
「者共……時は来た」
その言葉を、16師団長、傍らに控えるカーマ、同じく傍らに立つ謎の女性は……静かに聴いている。
「今こそは……今までに待ちわびた、決起の時。我らガーベル帝国は……これより、隣国・アーサランド王国との戦争に突入する……!」
「「「応ッ!!」」」
皇帝の宣言に、それぞれ声の大きさやテンションの差はあるものの……一様に16人、声をそろえて賛同の意を示す。
その様子に満足そうに笑い、皇帝はさらに続けた。
「帝国宮廷神官長・カーマ」
「はっ!」
呼ばれ、カーマが一歩前にでる。
ローブから顔を出すことはしないが……それを非礼ととがめられる様子もない。
「……やつらへの宣戦布告の文書と、宣戦の式典の用意は?」
「もちろん、完了してございます、陛下。お声がかかりさえすれば、すぐにでも王宮前の広場にて、民達に戦争の始まりを告げる激励の大式典を開くとともに、アーサランドへ宣戦布告の文を届けましょう……」
続いて、
「参謀長・ネーナ」
「はっ、お側に……」
傍らの女性が、一礼と共に言う。
「侵攻の策は? 考えてあろうな……?」
「もちろんです。全ては皇帝陛下のため、必勝の策を用意してございます……かならずや、1年と待たずに、アーサランドをこのガーベル帝国の一部としてみせましょう……」
その返答に満足げに笑うと、最後に皇帝は……
「帝国軍第1師団師団長……戦闘総大将・リュー……!」
「あいよっ」
リュー……16師団長の頂点に立つその男は、相変わらずの赤い服装。
ぱしんっ、と、拳を手のひらに打ち付けて気合を表現してみせる。
「軍を率いて戦え……汝のその無双の力でもって……帝国に勝利をもたらすのだ……!」
「合点承知……ってなわけだ、気合入れろ野郎共!」
「おい、女性もいるのだが?」
「あー……それと女性諸君!」
と、赤絨毯の両側の者たちに飛ばした激に若干の修正を入れつつ、リューは吼えた。
くすくすと笑い声が聞こえつつも……16師団長は、おおむねその言葉に、首肯や微笑などでもって同意の姿勢を見せる。
そして、その総まとめとでも言うかのように……皇帝は締めくくる。
「皆のもの……これより戦だ……! アーサランドの全てを奪い取り、このガーベル帝国の糧とせよ……わが覇道のもと、全てを……手に入れろ!!」
☆
所変わって、ここはアイクとイオンの屋敷。
時刻……朝の9時。
そして今日は……アイクとイオンがアルビオンでの全ての日程を終え、フローネへと帰還する日だ。
「ふぅ……長いようで短かったな、ここでの生活も」
テラスで伸びをしながら、アイクはしみじみとそんな事を言ってみていた。
本来なら、変えるための身支度をしなければならないところなのだが……アイクのそれは、昨日のうちにカナが全部終わらせてしまっていたので、暇なのだ。
そのカナは今、忘れ物が無いかどうかの最終チェックで各部屋を回っている。
白金の指輪を身につけつつも、メイド服を身にまとって甲斐甲斐しく働く彼女の様子は、そしてそのスペックは、今では屋敷内に仕える全てのメイドたちの憧れの的である。
最初のうちこそ『ミストレスの方にやらせるわけには……』と渋っていたメイドたちだが、カナのそのスペックに魅せられてからは、カナを師匠として認識していた。
2週間と少しのうちにすっかり溶け込み、今では呼び方も『カナ様』から『メイド長』に代わるほどになっている。実質そうなので、違和感は無いが。
そして、この2週間で、もう1つ……他に変わった点がある。
それは……
「アイク様~、お待たせしました~」
「お、来たかエミリィ、集合時間にゃまだあるけど……別に遅くねーじゃん」
「いえいえ、何事も15分前行動は基本というものです~。純系で爵位持ちの方を、ましてや自分のご主人様をお待たせするわけにはいきません~」
そう言って、とたとたと駆けてくるエミリィ。
その右手には、旅行カバンと思しき大きなバッグが下げられており、重そうにゆらゆらとゆれている。
そして、左手には……正確には、その小指には……白金の指輪。
そう……変わった点、それは……彼女がアイクの新たな『ミストレス』になった点だ。
あの『採取』の一件で、アイクはエミリィが自分に好意的な感情を持ってくれていることを知った。そして、2度も肌を重ね、さらにのろいから救ってくれたことで……アイクもまた、自然と彼女のことを思えるようになっていた。
そして、『自分は貴族だから、恋愛や結婚は全て管理される』と、よく見ないとわからないが寂しげにいった彼女に対して……思い切ってアイクが言ったセリフ。
それが……ミストレスへの勧誘だった。
彼女はその場で嬉しそうにOKし、後日彼女から両親に相談した時も、即OKをもらえたとのことだ。
貴族とはいえ位は高くないがゆえに、少しでも上の位の貴族との婚姻を模索していたエミリィの家にとって、今話題の純度10……アイクからのそのような申し出は願ったりかなったりだったらしい。父は歓喜し、母は『光栄だ』と泣いて喜んでいたとか。
(今考えると……若干行き当たりばったりだったような、勢いで言ったような節もあるけど……)
そう思いつつも、アイクはちらりとエミリィの方を見る。
そのエミリィは……嬉しそうに小指の指輪を眺め、今にも鼻歌でも歌いだしそうな雰囲気が見て取れる。
よく見なくても……そんな家の都合などではなく、彼女の意思でアイクの元にきたのだ……とよくわかる光景であった。
それを見て、アイクももう迷うのをやめた。
(勢いでも……俺がエミリィのことが好きだ……ってのは事実だ。何も心配するこたあねーさ、きっと皆と一緒に、うまくやっていける……)
確かに、ユキやカナに比べれば、尚早すぎる決め方だったかもしれない。しかし……だからといって、注ぐ愛がどう変わるわけでもない。自分を救ってくれた、自分を愛してくれた彼女を、ユキ達と同様に愛していこう……と、アイクは心に決めた。
そして、エミリィがそれを理由にこのアルビオンを離れるが……もう1人の世話役、シルクはというと……イオンとそういうことになったわけではないので、残るようだ。
イオンは少々残念そうだったが、彼女の仕事の邪魔をするわけにはいかない……と、離別を受け入れていた。
仲が悪いわけではないが、ミストレスに勧誘するほどに親密になったわけでもない。
……まあ、肌は重ねたが……それは彼女が『仕事で』やったという印象が強いため……引き抜いて自分のそばにおいておくわけにもいかない、というのがイオンの決断だ。
ユキは『残念』と言っていたが……アイクとしても、今回のイオンの決定はそれでいいと思えていた。
と、そこでアイクは、
「? そういや、イオンがいねーな……まだ仕事してるのか……?」
「いえ、イオン様の仕事は既に、提出の段階まで終了しております」
その答えを返したのは、ちょうど書斎から出てくるところだったシルクだった。
気づいたアイクが視線を向けると、シルクは説明を続ける。
「イオン様はなるべく詳細な書類を作成すべく、今朝方までお仕事をしてらっしゃいましたので、今はお風呂に入っておられます」
「徹夜だったのか? ……っていうか、そんなに大変な仕事……残ってたのかよ?」
アイクからすれば、あのイオンがそんな切羽詰ったところまで仕事を残しておく……というのは、考えにくかったのだ。何せ、今日はアルビオンを出る当日……普段のイオンなら、仕事は3日前までに終わらせておいて当然だ。
「何分、イオン様にとっても急なお仕事でしたので」
「急……ってーと?」
「アイク様の新たなミストレスの登録手続きです。アイク様がお疲れのようだということで、代わってイオン様がほぼ全てお引き受けになってらっしゃいました」
「…………あぁー…………」
申し訳ない気持ちがわいてくるアイクだった。
何せその『疲れ』の原因は……昨日、一昨日、先一昨日と……3日連続でミストレスの女性達を抱いたことによるものなのだから。昨日はユキ、一昨日はエミリィ、その前はカナ……といった風に。
結果、観察眼に優れた+セックスも隔日で余裕をもってやっていたイオンに、『こっちの方が効率いいかな』ということで負担を強いていた結果だ。
(……あとで何か礼しとくべきだな、イオンには……)
ため息をついていると、シルクは再び書斎に消え……入れ替わりにではないが、同じタイミングで、別のドアから……バスローブ姿のイオンが入ってきた。
……なぜか、ミリスも同伴で。
「あ、すいません兄さん、こんな格好で……」
「いや、別に、風呂上りにそれは何も不自然じゃねーだろ。まあ、昼前に出発だから、それまでには着替えろよ、お前のことだから、したく終わってるだろ?」
「ええ、昨日のうちに」
言いながら、体から湯気を立ち上らせるイオンとミリス。そこに、カナがすばやくアイスティー×2をもって参上した。
「あ、どうも」
「ありがとうございます、カナさん」
「いえいえ。お2人ともアイスアップルティーで、イオンさんはシュガーミルク入れますよね? 用意してありますよ」
部屋の隅には、彼女の完璧以上の気配りに羨望のまなざしを向けるメイドたち。
のどを鳴らしながらアイスティーを流し込むイオンに、アイクは一応礼を言った後、先程気になったことを聞いてみた。
「あのさ……イオン」
「はい?」
「お前……なんで風呂からミリスと一緒に出てきたの?」
「ああ、それはその……偶然、朝シャンの最中の彼女と鉢合わせしまして……」
「……それだけか?」
「…………………………………………いえ……」
☆
アイクとイオンの屋敷の浴室は2種類ある。
1つは、室内の大浴場。スパリゾートばりに広く、色々と設備も整っている。
そしてもう1つは、露天風呂だ。それなりに趣を考えた設計になっていて、開放感漂う中で湯につかることができ、さらに除き防止の魔法もかけてある。
そして、イオンが今回利用したのは露天湯の方で、そこで偶然、ミリスと鉢合わせした。
そして……
「ひあっ、あ、んっ! いぅ……いいですっ、イオンさ……あひぃっ!」
膝上までを露天湯につかりながら、ミリスはイオンのペニスを奥深くまで、後ろから受け入れていた。風呂の湯のものと連結部のもの、2種類の水音を響かせながら……だ。
ぽたぽたと湯船に滴り落ちる愛液は、すぐさま混ざりとけてなくなり……さらに、温泉そのものにかけられている『浄水魔術』の効果で浄化される。ここを使うのが『純系』ゆえに、そういう用途で使っても衛生面上問題ないように、という設備の一環である。
現に……こうして、イオンとミリスの朝からの睦言に、その効果を発揮している。
「もう……別に、こんなつもり無かったのに……相変わらず、ミリスさんは……」
「べ、別に……あひっ! 別に、お風呂でやるのなんて、初めてじゃ、ないじゃないですか……っ!」
「そうだけど、こんな朝早く……よりにもよって、露天風呂で……」
「だから余計に、ですよぉ……っ。こんな開放的なところで、イオンさんと裸で2にんきりなんて……我慢できるわけないです……っ!」
髪を振り乱しながらそう言ってくるミリス。
たしかに……実はムッツリの彼女にとって、愛するイオンと裸でいて何もしないというのはあまり考えられないし……加えて、屋外だということが理由の拍車になっている。
彼女の青姦好きは、ここでも遺憾なく発揮され……結果として、疲れマラで勃起状態になっていたこともあり、イオンはおねだりに応じていた。
「こんなふうに、明るいうちから、外でイオンさんとこうしてなんて……すごく私、んああっ! ど、ドキドキ……しちゃうんです……っ!」
「ちょっ……そろそろ危ないとこまで来てませんか? 露天風呂ここは除き防止魔法が欠けてあるからいいですけど……露出癖とか目覚めないでくださいよ!?」
「はぁん……っ! だ、大丈夫……だと……思いますけど……そうならないように、きっちりつなぎとめておいてくださいね、イオン、さん……っ!」
(っ……キャラが変わりつつあるような……僕のせいじゃ、ないです、よね……!?)
目の前でよがる少女の将来に、イオンは一抹の不安を抱えつつも……今はただお互いの体をむさぼる場面だと考え、余計な考えは捨てて彼女の中で愚息を暴れさせる。
自分とのセックスで満足させて、これ以上のことにならないように……というのもある。
Dカップはあるであろう……最近また大きくなってきた……ミリスの胸をもみ、時にはうなじに舌を這わせ、イオンは彼女の欲求に応えていく。その甲斐あってか、ミリスの膣がびくびくと震え始めるのを感じ取ることができた。
「はっ、あ、やぁ……も、もぉ……いくぅ……いきますぅ……っ!」
「……っ! ぼ、僕も、そろそろ……っ!」
かくいうイオンも……青姦による興奮で駆動性を増したミリスの膣壁の収縮運動に耐え切れず、限界を迎えようとしていた。
快感が高まっていくのが伝わるのか、射精が近くなったその段階で……加速度的に収縮が強烈になって、肉棒に快感を与え続ける。
そして、その先端がひくひくと痙攣したかと思うと、
びゅるるるるるびゅるるっ! どぷ……ごぷびゅるびゅくくっ!!
「ひあっ、あ、や……ああっ、ん……ん―――――――っ!!」
涼しい風が吹き付ける青い空の下、子宮に熱い精液を注がれ……歓喜に膣壁をびくびくと震わせ、髪を振り乱して胸を揺らしながら、一応屋外ということでできる限り声をセーブして……ミリスは絶頂した。
その身に、また一つ、青姦の快感を忘れられないメモリーとして刻み込んで……。
「や、やっぱり、いいです……ね……。お……外で、するの……」
「いや、その……なんで僕に聞くんですか……」
射精の後の脱力感をこらえつつ、後ろからミリスを抱きしめながら、イオンはため息交じりでそう答えていた。
☆
「……なんだ、徹夜した割には元気だな、お前」
「いや、徹夜っていっても、仮眠はとりましたよ、1時間くらい。だから……そんなに疲れてるわけでもありません」
「あ、そうなんだ?」
と、バスローブからブレザーに着替えたイオンとの会話である。
ちなみに、それによって肌がつやつやになっていたミリスもまた、着替えのために自室に戻っている。
ともあれ、
もうすぐ全員の準備がそろうな……と、アイクは思ったりしていた。
荷物もまとまり、準備は全て終わっているため、あとは全員が集まるのを待って行くだけだ。昼食は……予定では、ここを出て外で食べることになっている。
「どこで食べるかってのは……どうする?」
「シルクさんが調べてくれました。希望ジャンルでリスト作ってくれましたので……これを参考に決めましょう」
「マジかよ、すげー仕事いいな、シルク……。ここでお別れ、ってのが悔やまれるな」
「ええ……けどまあ、ミストレスでもないのに、ここから先、フローネにまで同行してもらうわけにもいかないでしょう? 自分の職場・仕事があるんですし」
言いつつも、イオンも残念ではあった。あれだけの仕事ができ、かつ信頼できる助手・補佐官の類は……そう簡単に見つかるものではない。間違いなく逸材だ……と、イオンは自分でも確信をもって言うことができた。
できるならこれからも手伝ってほしかったが、今言った理由でそうもいかない。
……それと、実はもう1つ、あれから2回ほど彼女と肌を重ねたが……実は、その2回とも、イオンは彼女をイかせられずじまいだったのだ。
それが悔しいというか、彼女に申し訳ないというか……というのも、イオンがまだシルクと離れたくないという……彼には珍しい理由でもあった。
しかし、何を考えたところで、どうなるかはかわらないし……そんな中途半端かつ不純な動機で、彼女をミストレスに誘うわけにもいかない。アイクのように、面と向かって恋愛感情を確認できたならともかく……だ。
とりあえず、帰る前に挨拶でもしようか、とイオンが書斎にいるシルクの元に向かおうとしたその時、
バタン!
「し……失礼いたします! アイク=ソーヤー様、イオン=ソーヤー様、ご在宅でしょうかっ!?」
「うぉ!? 何だよいきなり!?」
突然玄関の扉が音を立てて開き、その向こうから……なぜか息を切らした、城の兵士が入ってきた。
ノックもなしに……と、一応非礼をとがめようとしたイオンだが、その兵士―――おそらくは伝令兵―――が漂わせているただならぬ雰囲気が気になり、口が止まった。
するとその兵士は、アイクとイオン、さらに同じリビングにいたカナや、メイドたちが見ている中で、滝のような汗をかきながら…………
「アイク様! イオン様! お帰りのお支度の最中まことに申し訳ありませんが、至急、王城へお越しください! 緊急事態につき、女王陛下より、召集命令です!!」
「「………………?」」