エロバコ 作:ryou
このところ業務が立て込み、会社を出る時間が日に日に遅くなっていた。今日も、一日の仕事から解放されてビルの外に出たのは日付が変わってからであった。終電を逃したのでタクシーで帰ろうかとも思ったが、タクシー代がもったいない。
翌日……といってもすでに今日なのだが……の休日を自由に過ごすために仕事を詰め込んだのだ。少しばかり少々距離があるが、歩いて帰るのも選択肢の一つではないだろうか。
社会人になってから、きちんとした運動をしていない。健康診断の結果が、学生時代よりも悪くなっているのも気がかりで、こうして理由をつけないと運動をする機会を作りもしない。
だから、徒歩帰宅はいい機会だと思うことにする。
東京は地元と違って華やかだ。この時間帯でも、眠らないビルの明かりが街中で輝いている。地元なら、間違いなく真っ暗な闇。外灯がポツポツとある程度で、東京の明るさに慣れると地元の暗さには恐怖すら覚える。「人間は暗闇を恐れる」などという言葉は編集者の端くれなので何度も目にしたが、確かにその通りではあった。
不夜城の如き東京都心ではあるが、時間が時間だけに人通りは少ない。
後ろから軽いクラクションが聞こえてきたのはその時だ。澄司のすぐ脇に停まった車がクラクションを鳴らしたのである。
びっくりして車のほうを見ると、サイドウィンドウが下がった。
「澄司君、仕事帰り?」
気さくに声をかけてきたのは、見知った女性だった。明るい髪をツインテールにした、小柄な女性。名前は矢野エリカ。ムサニの制作進行で、宮森あおいの先輩に当たる人物だ。
「矢野さん、こんばんわ」
「こんばんわ。で、今、終わったとこ?」
「あ、はい。そうです」
エリカとは、あおいを通じて知り合った。仕事でムサニの関係者と会う機会があり、その時に顔を会わせたのが最初だ。普段から連絡を取り合うような事はないが、顔を合わせれば世間話くらいはする仲である。
「いつも歩いて帰るの?」
「いえ。今日は終電逃しまして。タクシーに乗るほどでもないので、散歩がてら」
「へえ。家、この辺なんだ」
「この辺というと語弊がありますけど、歩けない距離ではないです」
「そう。じゃあ、乗ってかない? 送ってってあげるよ」
「いいんですか?」
「いいよいいよ。せっかくだからね」
渡りに船とはこのことだ。澄司はありがたくエリカの申し出を受けることにした。
澄司を乗せた車は、ゆっくりと東京の街を進んだ。
車内はまったく飾り気がなく、若干、タバコの臭いが漂っている。助手席のドアポケットには、青い紙ファイルが刺さっていて、背表紙に「走行距離記録票」と書かれていた。
「もしかして社用車ですか?」
「そう。わたし、車持ってないしね。タバコ、吸ってると思った?」
「そんなことないですよ」
「ふぅん、なら、いいんだけどね」
「何がです?」
「最近は喫煙者に厳しいじゃない? 特に女の喫煙って、いろいろと言われやすいし」
「女性の喫煙者はたくさんいますよ」
「でも、男って吸わない女のほうがいいんじゃないの? 自家用車がタバコ臭い女ってどう思う?」
「個人的な意見を言わせてもらうと、キツいです。俺、非喫煙者なので」
「でしょ」
「もちろん、男性でもキツいっす」
「ああ、そう? じゃあ、この車はダメか」
「そこまでじゃないですよ」
「なら、安心」
澄司はタバコの臭いが苦手なだけで、それを以て身体に変調を来たすとかタバコを嫌悪するとかそういったことはない。ただ、苦手意識は持っているというだけだ。
エリカが運転する車は、車通りの減った通りを滑るように進んでいく。
昼と夜とではまったく異なる景色なのが東京の面白いところでもあると澄司は思う。この通りを日中に車で走ると、混雑が酷くて運転が嫌になる。今は、トラックとタクシーがポツポツと走っている程度で、まったく別の街に来たかのようだった。
「澄司君さ、うちのアニメのために色々と動いてくれたんだって?」
「別に何もしてませんよ」
「みゃーもりから聞いたって。例の編集者、異動して新しい人が来たんでしょ。うちも先生と連絡が取りやすくなって助かったよ」
「俺はムサニがアニメ作りで先生と話をしたがっていると伝えただけです」
「先生に?」
「はい」
「どうやって?」
「俺、第三飛行少女隊の小説版の担当になったんです。その縁で、先生と話をする機会をいただきました」
「はあー。そうなんだ。あれ、小説になるんだ」
「そうなんです。うちは漫画も小説も抱えてるんで、よくやるんですよ。アニメ化に便乗するの」
「何か、想像できる。で、あれでしょ。そんなに長くやらないヤツ。上下巻くらい?」
「そうですね」
漫画を小説化するのはその逆に比べて少ない。内容もオリジナルの展開を、一巻から二巻ほどで纏めることが一般的である。
第三飛行少女隊の小説も、その例に漏れずオリジナル展開で、ヒロインの一人にスポットを当てて主人公が入隊する直前の数日を描くというコンセプトで進めている。
「矢野さんは小説を読んだりしますか?」
「最近は離れちゃったね。時間が取れなくて……あ、ごめんね」
「いいんですよ。時間がないのは、分かります」
アニメ業界の忙しさは外野なりに理解しているところではある。澄司自身、仕事に時間を取られて趣味の時間を活用できてはいない。読みたいと思った本には手が伸びず、仕事で目を通すのは別に関心の向かない本ばかり――――というと怒られてしまうが、仕事で本と関わっていると自分の好みと合わない文章にも出会うことは多い。
信号が赤になって、エリカは静かにブレーキを踏み、車を停める。
「発売日決まってる? わたし、せっかくだから買うわ」
「ありがとうございます。残念ながら、まだそこまでじゃないんです」
「決まったら教えてよ。わたしの連絡先、教えとくからさ」
「いいんですか?」
「いい、いい。後、ついでに第三飛行少女隊のDVD買って。大手出版社の給料なら、イケルっしょ」
「ここで、営業ですか」
「ブルーレイでも、いいよ」
「値段が上がってますよ、それ」
アニメのDVDをそろえるとなると四、五万はするのではないか。澄司が担当する本が二冊出たとしても、到底釣り合わない。
とはいえ、エリカにそう言われると、断わってはいけないような気がしてしまう。
「……まあ、その時の財布に相談します」
「まいどー」
やがて、車は澄司宅近くにまでやって来る。
「そうそう、澄司君さ。みゃーもりに聞いたんだけど」
「はい」
「あれなんだって? みゃーもりとシタんだって?」
「ん……!?」
ここに来てエリカが声色を変える。いじめっ子が弱みを握った時のような雰囲気だ。
「それは、どういう?」
「あはは、誤魔化してもダメだよ。白状したのはみゃーもりだけじゃないからね」
ムサニで澄司と関係を持っているのは、あおいと絵麻だ。エリカは澄司との関係を二人から聴取していたのである。
「この前、澄司君とみゃーもりが歩いてるの見ちゃってさ。ちょっと色々聞いてみたらあれよあれよと芋づる式に面白い話が聞けたってこと。まあ、あの二人と澄司君がそこまで爛れた生活をしてるとは思わなかったけどね。……ふふ、君も隅に置けない子だね」
「はあ、まあ、はい」
どう答えていいのか分からず、エリカの言葉に曖昧に頷くことしかできない。エリカの言うとおり、爛れた生活をしていることは事実なのだから、否定のしようがない。
「おっと、駐車場は……」
「駐車場の契約、してませんけど」
「近くにコインパーキングくらいあるでしょ?」
「それは、はい。そこを左に行ったところに。でも、どうして?」
「ん? 澄司君の家に上がらせてもらおうと思って」
「は?」
「ダメだった? みゃーもりたちを纏めて相手にしてるのが、どんなもんなのか、興味があるんだ」
「それは、つまり誘ってるってことでいいんですか?」
「どう思う?」
「どうもこうもそのまま受け取りますよ。俺、男ですから」
エリカの意外な申し出に驚きはしたが、あえて断わる理由がない。澄司は据え膳はきっちりいただく性質だ。エリカのような美人からの誘いとなれば、当然受けるに決まっている。
宣言どおりに澄司の家に上がりこんだエリカは、興味深そうに室内を見回している。
「へえー、けっこう綺麗にしてるんだ」
「人並みですよ」
「わたしは仕事柄いろんな人の家に行くけど、中にはろくに掃除をしていない人もいるから、きちんとしてるってだけで、ちょっと評価上がる」
「評価規準が緩いですね」
「それくらいじゃないと評価するとこがない人は、けっこういるよ。ゴミ溜めの中に住んでるようなのも、いなくもない」
「原画さんで?」
「時々ね。最初はごみ捨てに行く時間がないとか、そんな言い訳してたけど、最近は何も言わなくなったなぁ」
どうやら事実らしい。
アニメーターは会社勤務の人ばかりではなく、自宅でフリーとして複数社から仕事を請け負う人もいるという。エリカは制作進行として、そういったフリーの原画マンのところに通い、原画を回収しに行くのである。
エリカは興味深そうに澄司宅を見て回る。見られて困るようなものは置いていないので、あえてそれを止めることはしない。
「何か面白いものでもありました?」
「んー、特に何も」
そう言いながら、脱衣所を覗き込むエリカ。
「風呂場もちゃんとしてるじゃん」
「そりゃ、そうです。これでも、きちんと洗ってるんですよ。汚い風呂には入りたくないですから」
「当然だけど、同感」
エリカはそのまま乾いた浴室に入って、浴槽に栓をして、給湯器のスイッチを押した。
「お風呂沸かしていいよね?」
「入れてから聞かないでください」
「ダメだった? 実は夏場はシャワーで済ますタイプだったりする?」
「状況に応じて。まあ、じっくり入るタイプではないです」
「ふぅん。じゃあ、今日はじっくり入ればいいよ。せっかくだからさ」
エリカはどんどんと話を進めていく。
有無を言わせず外堀を埋めて自分の主張を通していく口振りは、なるほど歴戦の制作進行といったところだろうか。
もっとも、今の物言いはいたずらに成功した子どものようでもあったが。
澄司がシャワーを浴びているところで、裸身を曝したエリカが浴室に入ってきた。
「入ってくるんですか」
「何か、待ってるだけってのも、気疲れしてさ」
気恥ずかしそうにしながら、エリカは自分の髪を指で梳く。
特に申し合わせていたわけではないので、澄司は驚いた。
ツインテールを解いたエリカの印象は大分変わった。キツさが和らいで、大人しさが演出されているように思えた。
風呂の熱気に当てられたのか、それとも恥ずかしがっているのか頬が淡く染まっているのも情欲をそそる。
こうして見ると、エリカはやはり小柄だ。身体的には実年齢よりも大分年下に見えてしまうのだが、空気感でそれを補っているのは、さすがといったところだろう。
「あまり見ないでくれるかな。身体には自信ないし」
「そんなことないですよ」
「嘘。みゃーもりよりも、いろいろと小さいのは分かってるって」
エリカは身長のことを言っているのか、それとも乳房のことを言っているのか。そのどちらもかもしれないが、下手なことを言うと地雷かもしれない。
「大きさじゃないですよ」
と、澄司は当たり障りのないことを言う。
「ふぅん、まあ、男は大体そう言うんだろうけど」
そう返されると、困ってしまう。事実、その通りだろう。よほど空気の読めない正直者でなければ、今の澄司と同じようなことを言うはずだ。
「大きさじゃないなら、例えば何?」
「えーと、そうですね」
澄司は口篭ってから、
「例えば、形とか」
「形?」
「あと、感触とか」
「ぷ、ふふ……」
澄司がひねり出した答えが、ツボに入ったのかエリカが噴き出した。
「何それ、感触って。このヘンタイ」
「男って大体そうですし」
「そうなんだ。そうかもね」
エリカは澄司に歩み寄る。
「じゃあ、その感触、試してみる?」
挑発するように、エリカは澄司を見上げてくる。
もちろん、ここまでされて引き下がるような男ではない。エリカも、それを望んでここに立っているのだ。
「ん……ちゅ」
エリカを抱き寄せて、澄司は口付けを交わした。確かめるように触れるだけのキス。
「……わたし、こういうの久しぶりだし、経験もそんなにないから」
「そうなんですか」
「そう。だから、とりあえず澄司君の好きにしていいよ」
こんな可愛らしい人に、そんなことを言われたらいよいよ自分を抑えることなどできなくなる。エリカの唇を思い切り奪い、強引に舌を押し込んだ。
「んん!? ん……んふぅ、ん、ちゅ……れろぉ、ん、んんぅ! ん、ちゅぷ、あふ、れろお、お、ああん!」
激しいキスでエリカの舌を吸う。エリカの後頭部を抑えて、がっちりと唇を押し付けて、より深い口付けをする。
「んん、ん……ん、んぅ」
くぐもった声が、エリカの喉から漏れる。
当初は驚いて身体を強張らせたエリカだったが、舌を絡ませ、涎を交換していると次第に力を抜いて澄司に合わせて舌を動かすようになった。
「んちゅ、ちゅぷ……はあ……ん、ふう……ねえ、お風呂、冷めるよ」
昂揚した表情のままにエリカがそう言った。
軽くシャワーで汗を流したエリカと一緒に、澄司はお湯に浸かった。
溢れるお湯が音を立てて排水溝に流れ出て、湯煙を濛々と立てる。
「矢野さん」
「う、あ……」
エリカは背後から澄司に抱きかかえられる格好になった。澄司の浴槽の大きさだとかなりギリギリではあったが、だからこそ密着間が味わえる。自分の太ももの間にエリカの身体がすっぽりと収まっているのだ。
「なんか、この格好子どもみたい」
「でも、子どもはこんなことしませんよね」
「ん♡ そう、なんだけどさ……あ♡」
エリカが身体を震わせて声を漏らす。澄司はエリカの胸を背後から掴み、ゆっくりと揉み始めたのだ。
エリカが言うとおり、決して大きな乳房ではない。だが、手の平に収まるちょうどよい大きさで、柔らかいが張りのあって揉みやすい。
「ふう、ん、ん……んぅ……ぅ……あん……ん、く、ん、ふぅ、あ……ん、ふぅ」
エリカは両胸を絞るように揉まれると、小さく声を漏らす。唇は結んでいるが、喉から響く音までは消せない。浴槽内に、ちゃぷちゃぷという水音とエリカの声が反響している。
「ん……あん、ん……はあ、あ、ん……手つき、やらしい」
「ダメですか?」
「ううん。ん、あ……ん、いいよ。続けて、ん♡ ん、ふぅ……あ……」
エリカの声が少し大きくなった。感じているのは間違いない。澄司のマッサージがエリカの身体を揉み解し、ジワジワと快楽を高めているのだ。
「少し、強くしますね」
「え? あ、んん!? ん、あん♡ はあ、ん、んん!」
エリカは咄嗟に口元を手で押さえた。
思ったよりも大きな声が出てしまったからだろう。
澄司は乳房をゆっくりと揉みだけでなく、乳首を強く抓ったり、絞るように強く刺激したりし始めたのだ。それまでのマッサージが性感を高めるためのものなら、これは高めた性感を一気に昇り詰めさせるためのものだ。
「あ、ん、ん、ふぅん! ん、んん、んぅぅ! あ、ん、ふぐ……はあ、んあぁ♡」
「どうですか、矢野さん」
「はあ、ん、ふぅ……ん、けっこう、イイ、じゃん……はあ、ん!」
エリカは軽く身体を反らした。
澄司の片手がエリカの胸から、下腹部に移動したからだ。
指先でエリカのクリトリスを探り当て、傷付けないように注意して指の腹で優しく愛撫する。
「ふぅ♡ ん、ア! い、いきなりそれはない……待って、あ、ふ、ん!」
「好きにしていいんじゃなかったんですか?」
「それは、そう言った、ケド……ん、きゃぅッ……胸とクリ、一緒は、まず、あ、ん……ふぅ、ん、あ♡」
「何がまずいんです?」
「あ、く……くぅ、君ね……んん♡ はあ、ん、く……分かった。ん、澄司君、けっこうSだね、ん……そんなこと、聞いてくるなんて……はぅ、ん、ん、んんぅ!」
澄司が乳房からエリカの性感を高めた上で、クリトリスを責めたことでエリカ自身も大分昂ぶっているらしい。彼女の声がいよいよ色を帯び始めた。
そこで、澄司はエリカの秘所を掻き分けて、その内側に指を入れる。
温かい柔肉を二つに割って、ねっとりと絡みつく膣肉を二本の指で弄る。
「はうぅぅ、ん♡ ん、んきゅぅ、ふは……はあ、あぁ!」
エリカが背中をそらし、体重を澄司に預けるように姿勢を崩す。澄司の指から逃れようとする本能的な動きだったが、今の姿勢からすれば、澄司がよりエリカを弄りやすくなっただけであった。
逃がさないようにしっかりとエリカを支えた上で、澄司は彼女の乳首を抓りつつ、膣内を穿り、クリトリスを潰すように刺激する。
エリカの首筋を軽く噛んで、耳たぶを舌で愛撫する。
小さな先輩の全身を堪能するように愛撫するとエリカはそれに応えるように、身体を震わせて悶えた。
「ふ、ふ、ん、おぉ……く、はぁ、あ! つ、強い、って……く、あ♡ ふぐ、ん♡」
エリカはお湯の中で腰を小刻みに動かしてしまう。澄司の指から逃れようとしているのか、それとも気持ちのイイ場所を探っているのか。いずれにしても、澄司の指からは逃れられない。
澄司はさらに激しくエリカの膣内を指で広げ、襞を刺激した。お湯に浸かっていなかったら、激しい水音を立てていただろう。
複数人の女性と関係を持った澄司は膣肉の動きである程度女性が感じているのか分かる。その経験からすれば、エリカがそろそろ達しそうなのは間違いない。ここで焦らすのも手だが、初めての相手だ。そういう風にするのは不興を買うこともあるので、一気にラストスパートをかけてしまうのがベターだ。
「ん、んんんッ! あ、ん、あはぁ! いきなり、激し……ッ、か、あ、ん……あ、イイッ。ダメ、馬鹿、く、ふぐ……ダメだって、ダメ、あ……き、キてる、から、ダメって……ああ、ああ、ああああ、ふぐ、ん……ん、――――ん、んんん!!」
びっくん、と身体をはじけさせたエリカだったが、手で口元を抑えて声を可能な限り押さえつけた。
「ん♡ ん♡ ぅぅ……ん……はあ……あ、ぁ……ふぅ」
がくりと肩を落とすエリカ。
絶頂の余韻に浸りながら、呼吸を整えている。
それから、エリカは振り向いてジトっと睨んできた。
「……ダメって言ったでしょ」
「すみません……でも、ここで止める男はいませんよ」
「……たく……もう」
機嫌を損ねたように、エリカはムッとする。
それから、
「澄司君、立って」
「え?」
「いいから、立って」
有無を言わせない笑顔を浮かべて澄司に言い放つ。
その迫力の気圧されて、澄司はしぶしぶ立ち上がった。
「人を散々玩んでおいて、自分だってビンビンになってんじゃん」
「そりゃ、そうですけど」
エリカのように美人がこんなに近くで喘いでいたのだ。愚息が反応しないほうがどうかしている。
エリカは強きな表情を取り戻して、澄司のいきり立ったペニスの先端を指先でつついている。
「ふん……指だけでイカせてくれたお返し」
エリカは澄司のペニスを握り、ゆっくりと扱き始める。
それだけの刺激で、澄司のペニスはすっかり骨抜きにされてしまいそうだった。腰の力が抜けてしまいそうになるのを堪えているとエリカがにやりと笑う。
「ふふ、気持ちイイんだ。別に何時イったっていいんだけど、もうちょっと我慢できるでしょ」
「ずいぶん、無茶を言いますね」
エリカを感じさせている間、澄司のほうには刺激がろくになかった。それはつまり焦らされているのと同じような状態だったのだから、手淫されればすぐにでも達したくなるものだ。が、エリカにそうまで言われれば、澄司にだって意地がある。
「ふぅん、もう爆発しそうなのに、我慢強い……さきっちょから汁出てるし」
エリカの眼前で悶々としているペニスは、先走りを滲み出させている。エリカの手が棹を往復するたびに、搾り出されるようにカウパーの雫が漏れ出ているのだ。
「すごい臭い……こんなだっけ……ん……」
雄の臭いをすぐ近くで嗅いで、エリカは生唾を飲んだ。下腹部がきゅっとそれを欲したのを感じて、唇を噛む。エリカの意思とは関係なく、この力強い雄を彼女の雌が咥えたがっている。つくづくろくでもないペニスだとエリカは内心の動揺を抑えて、エリカは口を開き、舌を伸ばした。
「……れろ……れろ……ん、れろ……苦い。酷い味」
「なら、無理しなくても」
「うっさい。いいから澄司君は黙って立ってればいいっての……これは、お返しなんだから」
そう言って、エリカは澄司のペニスを咥えた。
小さな口をいっぱいに開き、亀頭を口内に押し込み、そのまま飲み込むように奥までペニスを導く。
「んぐぅ……ん――――、ん、じゅる……ん。ふぅ、んぅ」
苦しげな声を漏らしながら、エリカはゆっくりと頭を上下させ始める。
頬を窄めてペニスを吸い、唇で棹を擦る。
技術としては拙いが、必死になっている感じが澄司の嗜虐心をそそる。
「じゅ、じゅる、じゅる……れろ、んぅ、じゅぶ、じゅぶ……あむ、じゅる……れお、じゅる」
涎を棹の根元まで塗布したエリカは口からペニスを離し、舌で玉袋をチロチロと舐めた。それから、裏筋を丹念に舌先で愛撫して、亀頭の尿道を穿るように突く。手でペニスの角度をずらして、棹を横から吸い、カリにむしゃぶりついて涎をさらに上塗りしていく。
「れろ、れろ、れろ、れろ、ちゅ……べろぉぉ、れろ、ちゅぷ……ん、ふふ、びくびくしてる。ん、わたしの口で感じてんだ。れろ、じゅる……あむ、ん、れろ、ちゅうぅ……はあ、ん、れお」
エリカは亀頭を咥えて頬をすぼめる。さらに口内で舌を激しく動かして尿道を虐めてきた。とにかく感じそうな場所を念入りに責める。そういった姿勢で行われるフェラは、じっくりと感触や雰囲気を楽しむようなものではなく、ただ澄司を射精させるためだけのフェラだった。
「ほら、いつれも、らしていいよ、あむぅ」
エリカは手淫を織り交ぜながら澄司のペニスを咥え込む。もごもごと口を動かしてペニスをさらに刺激する。
澄司もいよいよ限界だった。こんな美人に咥えられて、そう我慢ができるはずがない。この女を自らの精で汚したいという雄の本能のままに、エリカの口内にペニスを自ら押し込んでしまう。
「んぐ……! ん、んぐぅ!」
驚くエリカが我に返る前に、澄司は彼女の口内に白濁液を思い切りぶちまける。突如襲い掛かってきた苦味を伴う熱い粘液にエリカは呻き声を挙げた。
「んんんんん――――!」
ぎゅっとエリカは澄司の太ももを握る。
彼女は射精を口で受け止めるばかりでなく、吐精が終わるまでペニスを口から離さなかった。
「ん、んく、んく……んく……ん、ぐ、じゅぷ…………ぷあ、あふ……はあ、はあ、あ、濃すぎだっての」
エリカは澄司の精液をすべて飲み干してから、文句を言いつつ息を整えた。
「喉、絡みすぎ。ん、苦いし……はあ」
エリカはちらりと澄司のペニスを見て、ため息をついた。
澄司のペニスは、射精した後とは思えないくらい元気なままなのだ。
「みゃーもりが絶倫って言ってたのはマジだったてことか。ほんと、どうしようもないモノをお持ちのようで」
「何かすいません」
エリカは浴槽から出てシャワーで口を濯ぐ。
「元気なのは悪いことじゃないし。第二ラウンドは、ベッドでしようか」
軽くシャワーを浴びて、身体を清めながらエリカはそう言った。