個人的にはバッドエンド的な……?
「おはよう」
紫色の髪の美女が俺にそう言う。名前を月村すずか。どういう訳か俺を攫った人物であり、加えて俺を所有する事を宣言し、そして俺に所有される事を願った女。
そんな美女が俺に目覚めのキスを落として相変わらずの笑顔を浮かべる。花の咲く様な微笑みに思わず照れてしまう。
美女は三日で飽きるというが、まったくそんな事は無い。
「で、どうして俺は椅子に縛られているんだ?」
微笑みを浮かべていた彼女にならい、俺もぎこちない笑顔を作ってみる。そんな俺の足を椅子の脚に、腕は後ろ手に縛られている。手首の感触から言えばタオルか何かだろう。
目が覚めて一言目までに力を込めてみたがどうも解ける様子はない。
俺の問いかけに対して女神はキョトンとして口をニンマリと歪めてクスクスと笑う。
「だって、ココから逃げようとしたでしょ」
細められた瞳から光彩が消える。子供が悪い事をした事を咎める様に、「ダメだよ」と漏らす彼女。
座っている俺の太股に腰掛けて、腕を回して身体を密着させたすずかさんの熱の篭った息が耳朶を打つ。
「アナタは私だけのモノなんだから、ね?」
熱くぬめった何かが耳を撫で、耳朶に軽く痛みが走る。痛みに反応して少し身動ぎすればクスリと笑いが聞え、耳朶が何度も甘噛みされて、荒い鼻息が鼓膜を揺らす。
密着した柔らかい肉がすずかさんの動きで潰れ、すずかさん自身の熱と鼓動を伝える。
「好き好き、好きぃ大すき」
唱える様に、呪いの様に、何度も呟き、俺の頭を抱き締めて肺一杯に匂いを溜め込まんと大きく呼吸をする彼女。
抱きつく力が弱まり、すずかさんの顔が正面に見える。蕩けた瞳、紅潮している頬、彼女らしい甘い香りがぼんやりと俺の頭を溶かし込んでいく。
俺の両頬を包むように持ち、口を貪る様に奪われる。熱い舌が歯茎を撫で、コツコツと歯をノックする。歯を持ち上げてみればその間を抜ける様に舌が口内へと侵入し、俺の舌を捕らえる。
頬を包んでいた両手は俺の首に抱きつき、荒い鼻息も気にしてはいない。俺の口内に溜まった唾液を奪う様に動き、そして俺の中へと甘い唾液を与えていく。
口を放せば銀色の架け橋が残り、プツリと切れる。
微笑みというには淫らすぎ、淫蕩というには清楚すぎる彼女。
そんな彼女が何かを思いついた様に俺から立ち上がり、部屋の隅へと向かう。
開いたタンスを漁って、これではない、これでもない、と何かを探す。コチラとしては先ほどまで自分の腿に乗っていた瑞々しい白桃が揺れて実に口惜しい。
「あったあった」
数秒程探して見つけ出したのか、彼女は手に持ったソレを後ろに隠してニコリと笑みを浮かべる。もう暫く白桃を見たかった、という気持ちは形のいい胸を見て掻き消えた。
ソコを直視しているとすずかさんがクスクスと笑い、冗談めかして「もうっ」と身体を両手で軽く隠した。腕に圧迫された胸が魅惑的な谷を作り出す。
確かに谷も魅力的ではあった。魅力的すぎて目を逸らすことも出来なかったというのが正しかったけれど、だからこそその手に持つソレに気付いた。
黄色の革製の何か。ソレに目が向かった事に気付かれたのか、すずかさんは迷いもなくソレを自身の首に巻く。
首の後ろに手を回し、カチリッと小さい音を立ててから内側に納まっていた髪をフワリと外へと出した。
彼女の首に納まった黄色。それはもはや何か、という名称から首輪へと名称が変わったのだ。
「私はアナタのモノだよ」
手に持った小さな鍵を棚へと置いて彼女は跪く。座った俺よりも低く、俺の目を見上げる。
微笑みを携えた彼女が俺のズボンに手をかける。カチャカチャとベルトを鳴らし、隆起している下着に吸い込まれるように顔を近づける。
大きく空気を吸い込み、熱い息が分身にぶつかる。鼻先で形を確認するように何度も吸い込み、そしてその度に熱い吐息が吐き出された。
下着の穴から取り出された分身は実に素直なモノで快楽を今か今かと鼓動を早くして待ち望んでいる。
そんな分身を愛おしそうに微笑んだすずかさんはその先端にキスを落とし、竿にも万遍なく唇を合わせる。
自然と腰が引けた。息を止めて、熱い情欲を抑えこむ。
熱い舌が分身を舐める。熱い息が当たり分身がビクンビクンと跳ね上がる。
アイスを溶かす様に、根元から先端へと、ゆっくりと唾液が塗りたくられていく。
一度離れたすずかさんは喉を鳴らして、口を大きく開けた。その口の中に分身を収めて苦しそうに声を漏らす。
収めながら俺の顔を確かめるように上目遣いで見つめ、満足したように目尻を下げる。
下品に水音を鳴らし、分身を吸い込みながら引き抜き、喉奥まで突き入れる。熱くぬめる舌が蠢き、ただただ快楽を叩きつけられる。
抑え込んでいた情欲が溢れ出そうになり腰を引き、快楽から逃げようとすれば、逃がさんばかりに腰に抱きついて深く分身を含んだすずかさん。
「出る、出るからっ」
放せ、と言いたかったけれど、すずかさんは嬉々として顔を動かし情欲を求めた。
叩きつけられる快楽。息を止めて抑えていた情欲が堰を切ったように出口を求めて吐き出された。
「んんんんっ!」
吐き出されたソレはすずかさんの喉奥を叩き、驚きながらも決して分身から口は放されはしなかった。
抑え込んでいた開放感と温かい泥に包まれたような倦怠感。荒い呼吸を繰り返しながらその両方を感じて、慌ててしまう。
「ご、ごめん」
すずかさんが抱きついていたからではあるが、その口の中へと情欲を解き放ったのだ。
すずかさんは口から分身を引き抜いて、思わず謝ってしまった俺へと向き、口を開いた。
赤い舌の上に白い情欲が乗っている。口を閉じ、モゴモゴと口を動かし、眉間に少しだけ皺を寄せて、白い喉が動いた。
もう一度、見せ付けるように俺へと口を開いたすずかさん。赤い舌の上には何も無い。
汚した。女神にも見紛う彼女を汚してしまった。
けれど溢れてくるのは嫌悪感ではなくて、更に汚してやりたいという汚らわしい欲求。
そんな女神はクスリと笑い、力を取り戻した分身に軽く口を付ける。
「まだイけるね」
まだ求めたい。茹った頭がソレだけを考え、思わず身を動かす。椅子が低く音を鳴らし床と擦れる。
そんな事もクスリと笑ったすずかさんは俺を跨ぐようにして膝に腰掛けた。
すずかさんと目が合い、愛らしい口を求める。絡み合った舌から生臭い味がしたが、ソレよりも甘い何かが脳髄と溶かしていく。
分身が熱に包まれ、互いが求める様に、間など空かない様に密着する。
先ほどよりも激しい鼓動が彼女から伝わる。コチラの鼓動など既に筒抜けだろう。
口を放しても、視線だけを絡ませる。
「すずか、外してくれ」
「……うん!」
抱きつかれながら腕の拘束が解かれ、彼女の髪を撫で、抱き締める。
はっきり言えば華奢。彼女だけのモノで、そして俺だけのモノ。
漂う甘い香りと甘い蜜を与えられながら、そのままゆったりと時が流れる。
互いに何も語る事もなく、ただただ抱き締め合い、そして接吻を交わすだけの時間。
ただただお互いを感じるだけの、それだけの時間。
語らないというのに、どうしてだか気持ちが伝わっている様で、けれどもそんな事は分からない空間。互いに見つめ、微笑み、蕩けるだけの世界。
足の拘束も外し、引っ掛かるズボンと下着も脱ぎ捨てて、彼女と繋がったままベッドへと優しく倒れる。
見つめあい、軽い接吻を落とす。それでも物足りない様にすずかは俺の首へと腕を伸ばししがみ付く。
腰を打ち付けてやれば、喉を反らし、高い嬌声を上げる。
「アアッ!」
何度も腰を打ちつけ、肌と肌がぶつかる音が響き、彼女の嬌声が耳に響く。
「ああッ! イッてッ、イッてうの!」
どこか言葉足らずで絶頂を知らせる涙目の彼女。そんな事は知っている。先ほどから分身を絞るように蠢いている蜜壷がその証拠だ。
そんな彼女の訴えを敢えて無視して俺は更に腰を激しく動かす。グチュグチュと水音が響き、更に彼女の声は荒げられ、背中から僅かに痛みが走る。
「だめなのっ! いっしょに、いっしょに」
「ああ」
「すきなのぉ! ずっとずっとすきらったのぉ! いっしょにいたいの!」
「ああ」
「もうひとりにしないでよぉ! わたしだけをみてよぉ!」
「……ああ」
泣いているすずかの涙を拭い、荒く接吻をする。
絡めてくる舌に応え、唾液を混ぜ込む。
「すずか、イクぞ」
「きて! まってたのぉ! ずっとずっと! ああああああああああああああ!!」
吐き出された情欲と一緒に咆哮したすずか。彼女の奥へと吐き出す様に、腰を深く突き入れながらキスをする。
唇を放し、汗に濡れた彼女の前髪を横へと流す。すずかはどこか納得したように、微笑んで瞼を降ろした。
疲れたのだろう、とあたりを付けて彼女から分身を引き抜く。二度目だと言うのに溢れて零れた情欲に苦笑して、背中の引っ掻き傷が痛み出す。
溜め息を吐き出して、頭を軽く掻く。
立ち上がり、電話があるであろう部屋に向かう。
どうやら今日も俺は縛られる事になるだろう。けれどコレも、ソレも、俺の性分なのだ。
ベッドから小さく「馬鹿」と罵る声が聞こえた気がした。
今回のコンセプト。
ただただ甘いエロを書きたかった。
>>エロが稚拙じゃね?
まあ、ほら、雰囲気エロけりゃいいんですよ。
>>入れてからが短くね?
力尽きたんだよ、言わせんな恥ずかしい。
>>どうして縛られてんの?
趣味
>>首輪してM側の女神様が攻めてるのはなんで?
マスターだからですが?
>>フェラの後にキスとか勘弁してくれ
男も女を舐めた後にキスさせるだろ? それと一緒一緒。
>>絶頂早くないっすかね?
文章は一行でも時間は掛かってるんじゃないっすかね?
>>もっと喘ぎいれてもええんやで?
個人的には喘ぎの文は嫌いなんです。いや、読む分には好きなのだけれど。書けばこの悩みが分かるやで^^
>>最後の『馬鹿』って何?
推して知るべし
>>前書きにバッドエンドって書いてたけど? 別に普通じゃね?
個人的に、です。その個人が誰かなんて言わなくてもいい事なんです。
>>アトガキ
エロ毛です。
規制されそうな名前になってしまった……。猫毛です。
エロを書くに至って、少しだけ。
前話で言っていたのですが、口とか胸とか使いたかったなぁ、とか。そのリビドーは抑えるつもりだったのですが……まあ、書いてしまったものは仕方ないですネ。
物語的に進めるつもりは毛頭なかったのですが、書く前にトイレに篭っていると淡々とラストシーンが思い浮かんだのでコンナのです。
加えて、フェラシーンを書き終って、色々して、賢者タイムに突入した辺りでこのエンドが決定しました。
結果を言うなら、バッドエンドです。誰の為のエンドかと言えば、この世界の不特定多数の為のハッピーエンドです。
終わった後の話をすると、
正義の味方が舞い戻って、また悪と戦い、人を救う。といった感じです。ハッピーエンドデスネー。
私をよく知る人は、「男が攻めている」と珍しく映るでしょう。つーか、私本人がそう思います。ラブラブエッチが書きたかった、という建前と背中に引っ掻き傷を付けたかった、という本音がチラホラ。
ラブラブエッチ、と言えば座位をいれた理由なんですが、あの時点で彼の記憶を戻して、スローセックスにしたかったからです。なんというか、二人だと動きのあるセックスよりも繋がりを確かめる深いモノが合っている気がして……まあ描写らしい描写なんて『スローセックス』だと難しいのでだいぶ削られていますが……。動きが少ないんだよ!
じゃあ書かなきゃいいじゃん(いいじゃん
ってなるんですけど、ソレは、ほら、違うんですよぉ。
退廃的な前話もいいけれど、こういう甘いだけのエロもいいよね!
という話でした。うん、そういう事にしておきます。