グレードマッチの初日が終わり、琉伽と切比古が勝ち上がって上機嫌の狗星一行は上機嫌で風呂へと向かった。一番風呂は誰にも渡さない。そんな些細なことでも開斗には負けていられないと琉伽は意地を張っていた。
湯船に漬かって汗を流す男たちの中に切比古の姿はない。なぜなら彼、いや彼女は女性だからだ。普段は男として振る舞っているし、幸いながら胸元の薄さから他の派閥の人間は気付いていない。琉伽を含めた狗星派の人間だけが知る秘密である。
「そろそろ上がるぞ、オメーら」
充分に汗を流した琉伽は風呂から上がる。部屋に戻っても切比古の姿は見えないが、あれでも女なのだから風呂くらい男の俺より長くても普通だろうと気に留めない。琉伽がそう思っていた頃、実はまだ切比古はまだ風呂に入っていなかった。
隠れて琉伽が風呂から上がるのを見張っていた切比古は、琉伽が風呂場から出たのを確認すると張り紙をして中に押し入った。
『入浴時間 十八時~二十二時』
このとき時刻は夕方五時を回ったところで、本来は既に入浴準備が完了しているのは先に琉伽らが入ったとおりである。切比古はこの偽装の張り紙をして他人を遠ざけることで男湯を占拠した。
一糸まとわぬ姿になった切比古はタオル片手に浴室に入る。軽くかけ湯をして汗をながし、興奮して肌を紅潮させながら湯船に漬かった。
「ああ……琉伽さん……」
切比古はうっとりとした表情を浮かべ、湯船の中で脱力する。この湯は先ほどまで琉伽が入っていたものであり、その琉伽の汗が混じった湯につかるというのはまるで琉伽の体に抱きかかえているかのような錯覚を覚えさせる。
体を温める熱に当てられて切比古の心臓は高鳴る。目を閉じて琉伽の胸板を想像するだけでよだれが出そうになる。自然と体の敏感な部分を自分で苛めて悦に入る。
「あ!」
思わず声をあげてしまう。電気が走ったような快感に襲われてもっと気持ちよくなりたいと欲求が暴走していく。レーズンのように小さかった乳首は充血して苛めるたびに大きくなる。元より乳輪が薄くて目立たないだけで乳頭の大きさは女性らしい範疇の大きさであり、ピンと立ったことでアメリカンチェリーのように目立つ。
「切比古」
琉伽に名前を呼ばれた時の声を脳内で再生しながら両手で乳首を苛める。絶壁と揶揄されるほどの胸板も次第にほぐれていき、心なしか少し膨らんだようにも感じる。
胸だけとはいえ性感帯が詰まった胸板である。琉伽の一番出汁が効いた湯船と琉伽に襲われているという妄想があれば切比古が果てるのには充分である。
湯船のなかで行為に及んでいるせいか全身が茹で上がっていき、特に額の傷跡はピンクに染まる。
「入れるぞ」
妄想の中の琉伽は何かをそそり立たせ、そして切比古の秘部にあてがった。現実の切比古は己のクリトリスに指を当てて軽く上下に擦った。充血しコリコリになったメスちんこを擦るだけで切比古の陰部は濡れる。溢れる蜜は湯船に流れていく。
あの日以来、琉伽の左眼は執拗に皇開斗しか見つめていない。それが部下として悔しいし、それ以上に女として悔しい。右眼を失う前は男として振る舞う自分をしっかり女として見てくれた、そんな琉伽の事が女として好きだから。
「琉伽さん……もっと突いてください。訓戒……訓戒を……」
自慰に耽る切比古はしきりに『訓戒』と呟く。妄想の中では俺様な態度を誇る琉伽が肉棒を使って折檻しているのだ。この日の切比古は開斗を撃ち漏らしている。その訓戒として琉伽は切比古を強引に犯す。
いわゆるレイプだが切比古はそれを求めている。故に和姦なのだ。
「オラ! オラ! オラ!」
琉伽の激しい腰つきは切比古を強引に突き上げる。恥骨がゴツンゴツンと金的を撃たれたかのように叩かれるが痛みより快感が先走る。まあ、それをしている琉伽と言うのは妄想の存在なので切比古のいやらしい肢体が感じるのはすべて都合のいい快感なのであるが。
現実の切比古は中指を膣穴に入れて執拗に右腕で膣を突き上げる。まるで女性器を壊してしまいたいかのように、激しくかき回す。湯船の中で行為に及んでいるためバチャバチャと水しぶきが上がる。その飛沫が顔にかかると、切比古には琉伽の体液がかけれたかのような錯覚を覚える。
「膣内に射精したら訓戒にならねえからな……顔に刻んでやるよ」
「あ、ありがとうございます」
妄想の琉伽は激しかった腰の動きを止めて竿を膣から引き抜き、そして切比古の顔に熱い体液をかけた。
現実の切比古は恍惚の笑みを浮かべて湯船に沈んだ。溢れる愛液は湯の中に溶け込み、顔が埋もれたことで飲み込んだ湯は琉伽の体液である。脳内麻薬で息の苦しさも忘れて脱力したが、流石に我慢が効くのは数十秒間だけである。
「んんん! ぷぱあ!」
息が続かなくなった切比古はスイッチが入ったように起き上がった。はあはあと息を切らせ、窒息しかけたことで先ほどまでとは打って変わって正気に戻っていた。少し湯船に色が付いたかのように思えたことから桶で出来るだけ湯を掻き出して中身を入れ替える。そうこうしてあたふたしているうちに時刻は六時を超えた。
「白天丸一番乗り!」
声に驚いた切比古はタオルを体に巻いて浴室の奥に隠れた。時計を見れば六時を過ぎており、しまったと心の中で叫ぶ。
風呂場で自慰に耽り、挙句絶頂を迎えたことは隠蔽できたのだが、このまま出て行こうにも女であることがバレてしまう。仕方なく切比古は目立たぬように奥に隠れ、浴室から全員が出て行くまで待ち続けた。