一人寂しく帰りを待つ真子は熟れた体を持て余していた。
恭介と別行動をして別れてから三日が経ち、いつ帰るかもわからない彼を案じて不安がピークに達していた。連絡すらつかない、声も聴けない、そんな状態が続き気が気でなかった。
「さびしいよぉ」
あれこれと別の事に打ち込んで気を紛らわしていたがそろそろ限界が近づいていた。不安ももちろんあるが、会えないことそのものが彼を求める肢体を寂しがらせる。
顔どころか電話やメールですら繋がりを持てない期間が三日と言うのは同棲を始めてから初めてのことである。夜の静けさは寂しげな事務所に染みわたり、テレビの音は余計にそれを強調していた。
「ん!」
真子は心の寂しさを埋めるように自然とその手を胸元に当てる。ブラジャーの隙間に右手を差し込み左の乳首をコリコリと苛める。ビリビリと伝わる快感は少しだけ胸の隙間を埋めていき、もあもあと汗を蒸発させて体を火照らせていく。
「んあ……恭介……くん……」
真子はブラジャーを外すと、恭介の名を呼びながら服の上から乳首を責めた。シャツは汗を吸って湿り始め、濡れた布地は擦る刺激を大きくする。指の腹を滑らせてシュッシュと擦るだけで稲妻に撃たれたような刺激を与え、真子の心に開いたスキマを撃ち貫く。
寂しさは快楽を呼び、心の隙間は快楽を求めて肉欲を貪る。
だがどれだけの快感をもってしても寂しさを埋めきれない、ただただ切なさで快楽を求めるのだが、故に指先は止まらない。寂しさから指を動かすのだが、胸の隙間には底が無いためいくら埋めても埋まり切らない。
思い切って両の乳首を強くつねって引っ張り上げてみるも、膣穴が疼くだけで絶頂にも程遠ければ心の寂しさは埋まらない。
恭介と出会う前ならもう既に果てていたであろう。だがそれでも満足できない己が体に真子は驚く。いつの間にか恭介無しではいられない体になっていたのかと。
「いいものを差し上げますよ」
ふと真子は切比古に言われたことを思い出し、自慰を中断して小包を取り出した。九州土産と聞いてはいたが、受け取る時のニヤリとした表情は妙に覚えていた。だからこそふと頭に浮かんだのかと思いつつ、真子は小包を開けた。
「これって……」
中に入っていたのは数本の陰茎型の芋の茎だった。先日、副局長の近衛司ももらってたいそうご満悦だった例のアレ、肥後芋茎である。
司がもらったものと異なる点として墨で「嘉神恭介」と名を書かれていたことにある。よくよく見れば確かに恭介のいきり立った肉棒によく似ているなと真子は眺める。
切比古は真子と恭介の仲の良さを見て御節介のつもりでこの肥後芋茎を渡していた。愛しい君と別れて寂しい夜には何か埋め合わせるものが必要だろうという乙女心を効かせた差し入れである。
親切半分、冗談交じりのセクハラ半分の贈り物は、奇しくも恭介中毒になっていた真子にはぴったりのモノだった。
「まるで本物みたい」
真子は芋茎を一本手にもって亀頭に当たる先端部分を口にくわえた。唾液に濡れてぬめる先端はまるで我慢汁を漏らす恭介のそれに酷似している。心なしか湿り気を帯びた芋茎からは恭介の肉棒にも似た脈動を感じるほどである。
「なんで? おもちゃなのに本物みたい」
それも特注の芋茎ならではの現象である。風呂場で採取した恭介の陰毛を練り込み、足りない部分はそれを依代に虚魂を集めて補っている。これは恭介の肉棒をコピーした一種の式神である。
まるで恭介がこの場にいるかのような錯覚は真子の心の隙間を埋めていく。貪りしみ込んでいく唾液は芋茎の中に溜まっていき、疑似的な精液を精製していく。
「もっと……こっちも……」
真子は上着を脱ぎ、自慢の乳房を晒す。先ほどまで苛めていたためビンビンになっていた乳首に芋茎をあてがい、先端を擦りつける。芋茎から染み出るぬめり成分と疑似我慢汁は乳首をべとべとに濡らし、それが心を埋めていくとともに快感を与える。
やや強引ながら真子は両方の乳首と乳房をべとべとになるまで芋茎でもてあそび、汗も混じって体はふやけるほどである。真子の全身が汗ばみ、ずっと弄らずぱんつを穿いたままの膣は愛液があふれていた。
「そろそろいいよ」
真子は呟いてぱんつを脱いだ。溢れる蜜は糸を引き、ぱんつ一枚を脱ぐだけの動作すら官能的にする。その場に恭介がいたら辛抱たまらんと襲い掛かっていたかもしれない。だがこの場に居るのは肥後芋茎でできた偽物である。
遂にあらわとなった膣穴に芋茎の先端をあてがいすりすりと擦る。いつも恭介がするように膣穴と陰核と大陰唇を擦ると本物さながらの快感が真子を襲う。
流石に唇や体全体を使って攻め立てる本物の恭介には完全には追いつかないものの、肉棒による攻めだけは再現できている。まだ初心なころならこれだけで何度も果てて気絶していたであろうか。
「おもちゃだから、いいよね?」
真子は本物の恭介じゃないからとハメを外し、ついに禁を破った。
いや、相手はしょせんは肥後芋茎なので禁を破ると言うほどの大事ではないとはいえ、その感触は紛れもなく本物と一緒である。入れただけで竿がピクピクと気持ちよさそうに蠢いている。これが本物の恭介でも同じ反応をしていたかと思うと真子は嬉しくなる。
ゆっくりと芋茎を前後させるといきり立つ亀頭が膣内をゴリゴリと擦る。抜く動作で引っ張る際の引っ掛かりは真子の体に電気を走らせるほどである。
「恭介君、凄くいいよぉ」
真子は甘えた声をあげながら腰を抜かしていた。甘える声は本人がいたら耳をとろけさせていたであろうが相手は偽物肥後芋茎であり人間ですらない。だがこの肥後芋茎も一種の式神である。恭介と同様に真子とイチャイチャするだけで元気になるので膣内に留まる間はどんどん愛液を吸って大きくなる。
ビクンビクンと蠢くそれは真子を絶頂に導かんとしている。
「恭介君、はげしい!」
限界まで愛液を吸った肥後芋茎はついに自我を持ち暴走した。実際に動かしているのは性欲を暴走させた真子本人ではあるが、まるで彼女の右手に恭介の腰が乗り移ったかのように芋茎を前後させる。
膣内をピストン運動する芋茎はついに限界を迎え、ため込んだ疑似精液を吐き出した。
「嘘! 恭介君がいっぱい出てる!」
この肥後芋茎が普通じゃないことを知らない真子は突然の射精に驚く。
だが相手はしょせんはおもちゃである。気に留めるほどでもないし、なにより疑似的な生ハメ膣内射精の気持ちよさの前ではどうでもよく感じていた。
さんざん擦りあげられてからのナカダシは絶頂のトリガーとなって真子を果てさせ気絶させた。芋茎の中に溜まった疑似精液が枯れ果てるまでの都合三回にも及ぶ抜かずの膣内射精は真子を失神させるに充分な快感となった。
三回目の射精を追え、真子の右手に乗り移っていた恭介の腰も抜けて芋茎を動かすものは無くなる。脱力した真子の膣に刺さった芋茎はずるりと抜けて、あふれ出た白い汁は事後のいやらしさを演出した。
「この気持ちよさ、癖になっちゃうかも」
数分の気絶から目を覚ました後、真子は冗談めかして呟く。
だがしょせんは相手はおもちゃである。いくら疑似的に本番セックスを体験できても、それは本物の恭介と抱き合うことにはかなわないことを彼女の体が一番知っている。
ただ、寂しい夜を紛らわす程度には充分な、御大層なおもちゃでもある。
「寂しくなったら、またお願いね」
残る特注芋茎はあと四本、芋茎を使い切るのはいつの日になるだろうか。真子としてはいつまでも使い切らない方がいいと思いつつ、机の上にオブジェとして未使用の芋茎を飾った。
ずいきシリーズ②