「ここかあ」
一件のマンションの前にケータイを片手に真子は立っていた。
画面に写っているのは上峰麻衣という旧友からのメールである。
最近カレシが出来たみたいだけど
そんなアンタにぴったりの講習会があるよ
興味があるなら行ってみてよ
いくら友人からのメールとはいえ怪しい文面だが真子は従ってここに来ていた。
事前に彼女の姉が働いているとは聞いていたし自分なりに探偵として下調べもしている。
だから大丈夫だと真子は確信していた。
「ごめんください」
指定された部屋の呼び鈴を押した真子は職員に導かれて奥の部屋に入った。
見た目の割に広い室内に小首を傾げながらダイニングキッチンにたどり着いた真子の前にいたのは眼鏡をかけた女性だった。薄い記憶の中に確かに残っている面影と胸の名札にある「上峰亜衣」の字を見て、真子も彼女が友人の姉だとすぐに気づいた。
「いらっしゃい……あら、アナタ麻衣の……」
「やっぱり上峰のお姉さんですか。今日は麻衣ちゃんの紹介で来たんですよ」
「そうなんだ。あの子が私のところの客引きするをなんて珍しいじゃない」
目の前の女性は確か三歳ほど年上だとは聞いた覚えがあるが、真子には妙に大人びて見えていた。
口元のグロスは派手すぎず、その上で大人らしさを演出している。年上の女性で知り合いと言えば近衛司などもいるが、彼女は素材が良すぎて工夫を知らないタイプである。故に大人として工夫の術を持つ亜衣の姿が羨ましい。
「それで……今日は体験コースでいいのかな?」
「はい。ですが、具体的にはどんなことを? 恋人がいる人向けの恋愛相談みたいなものとは聞いていますけれど」
「あの子……ちゃんと教えてなかったのね。いくら私が頼りなさそうだからって、そこまでしなくてもいいのに……」
「あれ? 大丈夫ですか?」
急にぶつぶつと呟きだす亜衣の様子に真子も面食らってしまう。だがしばらくして気を入れ替えたのか亜衣の眼が最初のように大人の眼に戻る。その豹変に真子も驚いて背筋を伸ばした。
「―――ごめんなさい。それで、講習の内容だったわよね」
「ええ」
「うちで教えているのは、ちょっと言いにくいけれどえっちのテクニックなのよ。雑誌にもITって広告だしているんだけど知らないかな?」
「そんなのあったかなあ」
「ウチの知名度もまだまだってことね。普段は先輩たちが教えるんだけど、体験コースや初心者コースは私のような若手が教えるのよ」
「そうですか」
「でも安心して、私でも素人さんに教えるのなら充分だから。でも惚れるのはナシにしてね、結構レズに目覚めちゃって風俗感覚で通っちゃう子も多いって言うし」
事前の調査でセックステクニックのようなものを教えているのは実のところ知っていた真子ではあったが、はしたないエロ介だと思われたら嫌だなとシラを切っていた。それが逆にお姉さんの妹に対して情けないと思う様子を見るきっかけになったように思えて真子は申し訳ない気持ちになる。
「それじゃあ部屋に行きましょうか」
こうして受付が終わった真子は亜衣と共に奥の部屋に向かう。
三つほどの部屋が用意されていて各部屋は防音されているので隣の部屋の様子はわからない。
先に隣の部屋に入っていった人の姿を見ていたが、彼女らが行っている行為の音など伝わってこない。
「―――随分静かですが……」
「やっていることがやっていることだからね。外見はボロいけれど中身は抜け目ないわよ。これならいくら大声あげても隣には聞こえないから安心してね」
「ちょっと怖いですよ、お姉さん」
「大丈夫だって。さあ、アナタも服を脱いで」
隣の様子を気にしなくてもいいのは逆に何があっても逃げられないことになる。
流石に下調べをしていなかったら友人が関係しているとはいえ絶対に寄り付きたくないし、だからこそここがもうかっていないのだろうなと真子も察していた。
言われるがまま真子は服を脱いで裸になり亜衣も服を脱いでいた。小ぶりだがほどほどのおっぱいがかすかに揺れてぷるんと乳首が躍る。
「脱ぎました」
「それじゃあ今日は体験コース……その名もオトコノコ体験」
「オトコノコ体験?」
「そう、さっそくだけどまずは準備運動ね。ほら、そこに横になって……」
亜衣は真子を諭してベッドに寝かせた。準備運動とは? とドキドキと緊張してきた真子のことなどお構いなしに亜衣は胸に飛びついて優しく手を乗せた。
ゆっさゆっさと乳房を動かして淡い刺激を真子に送る。女の人にされるのは初めてだが、恭介が飛びついてきた時と感じ方が違うのはすぐにわかった。
「あ……くすぐったい」
「だんだん体が温かくなってきたようね。こそばゆいのはその証拠よ」
「ん!」
淡い愛撫の中に亜衣は不意に乳首へのタッチを織り交ぜた。
ビリビリと痺れる快感は恭介とまぐわってハイになった時の様で真子も驚く。まさか女の人にここまでされるとはと。
真子の顔を見て亜衣は攻め方を変えて腰をやさしく撫でながら腰を経由して股間まで這わせた指で膣を穿った。真子本人もまさかと思うようにすんなりと膣内は指を受け入れて入れた傍で蜜で穴を濡らす。
加えて亜衣の舌は真子の陰核を舐めておりそれだけで刺激が強い。クリトリスは強くないのでそんなところを弄られたらすぐに果ててしまう。
「お姉さん……ちょっと!」
「待たないわ。先ずは軽くイっちゃっていいわ。我慢はしなくても大丈夫だから」
「そんなこと言われても」
「嫌ならやめるけれど次に影響しちゃうわよ。それにこの様子、本当はアナタももっとしてほしいんでしょう。二年もこの仕事をやっていれば流石にわかってくるわ。アナタ、最近えっち方面で欲求不満になっているわね」
「!!!」
「やっぱり。かたくなに貞操を護ろうとする強さとえっちで満足できてない弱さをアナタから感じるわ。たぶんアナタは彼に体を許していない。だけど彼の精処理をしてあげている。そんなところかしら」
経験と勘だけで恭介との関係を言い当てられて、挙句果てそうなほどに強い快感を与えられている最中である。
気持ちよさと恥ずかしさで真子の顔は赤くなり言葉を失った。
「その様子だとマジみたいね。いい機会だからアナタはここで学ぶべきよ。ほら、最初は気にしないでイっちゃって……おもらししても平気だから」
「ふわ……あ!」
亜衣の手慣れたクンニの前に真子は果てた。
おちんちんが欲しくなり膣穴が疼く。
眼鏡にかかった愛液を軽く拭った亜衣は更に講習を続けていく。
「ごめんなさい。汚れちゃいましたね」
「いいて、慣れているし。それよりそれだけ濡れていれば大丈夫ね。それじゃあこれを入れてあげるわ」
亜衣が言うコレとは双頭のディルドーである。
真子も以前の司とのことで経験はあるとはいえ、そそり立つピンクのそれはまるでおちんちんが二本くっついたようである。イったばかりで敏感になった膣に亜衣はディルドーを差し込む。抜けないようにバンドも付いているのでそれを真子の腰に巻くと、亜衣は軽く先端を咥えてフェラチオをした。
すると真子の膣内に不思議な刺激が走っていく。自分のおちんちんではないのに弄られると気持ちがいい。どういう仕組みなのかはよくわからないが、外部のディルドーが膣内のもう一対と連動しており刺激が伝わって膣を苛めたのだ。
「完全とまでは言わないけれど、ウチの団体特製の男性器体験ディルドーよ。どう? おちんちんが生えた気分は」
「不思議な感覚ですね」
「顔真っ赤にして我慢出来なさそうね。握っているだけで気持ちがいいでしょう? 今日の課題は私の膣内に入れずに気持ちよくなるにはどうすればよいか。そして私を気持ちよくするにはどうすればいいかよ。どう、アナタのお悩みとはぴったりに思えるけれど」
「そうね。正直ここまでぴったりなシミュレーションを用意してくるなんて予想外ですよ」
仰向けに横になる亜衣はこれからセックスをするんだと覚悟を決めた自分のように真子には見えた。違うのは胸の大きさだろうか。
だが寄せて集めれば使えないこともないと真子は胸元に覆いかぶさった。
「まずは胸を使わせてください」
「アナタと違って大きさには自信が無いんだけれどなあ」
「いいですよ。これだけあれば」
真子は寄せて集めた亜衣の胸をディルドーに押し当てた。パイズリと言うには挟み切れないので乳圧が弱いが亜衣の鼓動がディルドーを通じて真子にも伝わる。無いズリともパイズリともいえない半端な大きさだが胸元に肉棒を押し当てるのは疑似体験とはいえ気持ちがいい。寄せてあげる胸を動かす動きは愛撫となって亜衣を火照らせていく。亜衣の眼にもうっすらと随喜の涙が浮かんでおり気持ちがいいのだろうか。
「いつもはしてあげる立場ですが、これって気持ちがいいですね」
「胸には性感帯が詰まっているから自分も相手も気持ちよくなるのにはぴったりよ。見た目も派手だしね。でもその動きはちょっと独りよがりすぎるわね。ほら、私が導いてあげるから」
そういうと胸を鷲頭噛む真子の手を払って亜衣は自分の胸をよせた。位置を誘導し先端を加える亜衣の口内は暖かくて気持ちがいい。じわっと亀頭の先からお汁が漏れる感覚に真子はブルブルと震えそうになってしまう。
「アナタも経験あるかもしれないけれど、パイズリしながらのフェラの最大のポイントはその視覚効果よ。カレに征服されたという満足感、口の中に押し寄せる彼の熱さはドキドキが止まらなくなるのよ」
「そうですね。普段と逆っていうのは不思議な感覚ですけれど」
真子は気持ちよさに身を任せて腰を振った。
ディルドーの先を亜衣が咥えておりそれが刺激を膣内の奥にまで届く。
いつも恭介君はこんなに気持ちがいいのだろうかと思いながら体を動かす真子の膣内はディルドーにいじめられて爆発寸前である。ディルドーがまるで自分に生えたおちんちんのように思えて気持ちよさが強い。このまま果てたら射精の感覚になるのだろうかと真子も思うほどである。
「すみません……」
「腰の動きが緩いわね。イキそうなのかしら」
「はい……」
「いいわ、先ずはこのままイっちゃって。腰が抜けるわよ」
「は……はひぃ……」
イってもいいと言われた真子はそれを合図に果てた。流石に精液こそあふれ出ないが膣の奥が気持ちよさにきゅんきゅんしっぱなしでそれがディルドーから射精しているように錯覚させる。
真子は脱力してぺたりと亜衣に抱き付いた。
「イったようね」
「はい……気持ちよすぎです」
「ちょっと違うけれどこれがオトコノコがイッた時の快感よ。ポイントは例え膣内に射精しなくてもこれだけ気持ちいいってこと。でもそれじゃあアナタ自身が満足いかない……そこが次の課題に関係しているのよ」
「次ですか」
「そう、今度はアナタが私をイかせる順番……挿入しないで私を気持ちよくするにはどうすればいいか、アナタも考えてね」
「そうですねえ……」
真子は課題を与えられて自分に振り返って次の手を考え始めた。
真子もいつも恭介をイカせているだけではなくて自分だって気持ちよくなっている。恭介を気持ちよくさせること自体が気持ちよいのもあるが、その中でも一番気持ちよかったのは何なのかと。
あれこれ考えた末で真子は一つの答えを導く。
「それじゃあ、コレを擦りつけさせてください」
「擦る……スマタってことね」
「ええ……恭介君もお気に入りみたいですし、わたしも気持ちいいので」
「恭介君? ああ、ご馳走様」
「恥ずかしいですよ」
「そういうアナタこそ急にのろけられてビックリするわよ。私だってカレシがいなくて寂しいのに」
「それは……」
「ごめんなさい、今のは忘れて。それよりアナタのお手並みを見せてもらいましょうか」
「それじゃあ、まずは正常位から行きますよ」
真子は仰向けに寝る亜衣の股を開いて軽く陰部を舐める。準備運動のお返しとして恭介の舐め方を思い浮かべながら柔らかい土手に舌を這わせる。興奮しているのか膨らんで大きくなった陰核を唇で啄むと亜衣は小さく「あん」と悶え声をあげる。お姉さんも我慢しているが気持ちがいいんだと真子は更にそこを攻めていく。
「そう……クリは多くの子が気持ちいい場所だから、アナタも彼に舐めてもらうようにしてね」
「はい」
「舐め方は個人差があるから押し付けられないけれど、彼と一緒に開発していくのが大事。それは憶えて行ってね」
真子のクンニで陰部が温まった亜衣は次第に愛液を膣からあふれさせる。口の中にあふれ出た淫水が入って来たのを確認した真子はクンニを終えてディルドーの先を亜衣にあてがった。亜衣の眼鏡の下にはうっすらと涙が見えて気持ちよさそうに真子には見えた。
「そろそろ動きますね」
「そう……そのままゆっくりとね」
ヌルヌルとあふれ出るお汁をディルドーに纏わせながら真子は亜衣の土手を擦った。
挿入こそしていないがぬるぬると滑るたびにビリビリと痺れて真子も気持ちがいい。それは亜衣も同様でつぶった瞳からは涙が溢れて頬を伝っていた。そんな状態でも彼女は指導を忘れていないのだから流石のプロと言ったところか。
「少し単調になって来たわ。それでは私はイケそうでいけないわ。そろそろ体位を変えて見なさい」
亜衣はそういうと躰を起こして四つん這いになる。ドギーバックスタイルを誘っているのは明確で、後ろを振り向く亜衣の顔は男ならイチコロで襲い掛かりそうな艶やかさを醸し出す。そんな彼女の指導にこたえようと真子も太ももの隙間にディルドーを差し込んだ。
先日似たようなプレイを恭介としたが、彼はこんな感覚だったのかなと真子は心の中でつぶやく。締まりの良いきゅっと引き締まった太ももの張りはディルドーを通じて真子に伝わっている。膣内とはまた違った気持ちよさに真子もあの感覚がよみがえってくる。
「ほら、腰が止まっているわよ。今度はすぐにイったらだめ、私をイカせてからにしないと」
「ごめんさい。でもこのままじゃわたし……」
「イキそうなのね。だったら後はあなた次第……座して果てるまで待つか、それとも先に私をイカせるか」
「ここはもちろん―――」
亜衣は真子に二択を迫る。
ここで真子には逃げの手はない、逃げていたら新しい発見なんてできない。
だから真子は攻める。
「お姉さんごめんなさい。少し乱暴にします」
「正解よ。アナタも彼に」
「判りました」
真子は頷くと乱暴ながら激しく腰を動かした。ハイになった時の恭介よりも更に激しく、自分が果てるよりも先に亜衣を果てさせようと真子は頑張る。
ディルドーが擦ること以外にもパンパンと打ち付ける腰の肉のぶつかり合いが気持ちいい。
「その調子……セックスをパンパンとかパコパコって隠語にする子がいるけれど、それだけパンパンするのは気持ちいいのよ。アナタはもう少し乱暴にしてもらってもいいと思うわ。彼もアナタの事が好きだから乱暴にしきれないのでしょうけれど、時には乱暴さも必要なんだから。これが今日のまとめね」
「判りました。ところでお姉さんはまだ持ちそうですか?」
「あら、だらしない。まだまだ大丈夫よ」
「ごめんなさい。でも私はそろそろ……だからせっかくなので一緒にイキたいなあと」
「そういう事ね。体験の共有は快適な性生活には欠かせないことよ。いいわ、アナタに合わせてあげる」
「ありがとうございます……」
真子ははあはあと息を荒くしながら亜衣に頼み、亜衣もそれを受け入れた。
主導権は真子にある。だからあとは真子がスイッチを押すだけだ。
「そろそろ……あと三回でいきますよ」
「わかったわ」
「一つ……」
「二つ……」
二人は絶頂を前にカウントダウンを開始した。
実のところ亜衣もインストラクターとしての手前で強がっているだけでイキそうになっている。
だから真子のお願いは渡りに船だった。
二人は声を合わせ、そして果てる。
「「三つ!」」
最後の一つに合わせて真子は果てて疑似的な射精感を味わいながらびくびくと絶頂に震えていた。
激しさのあまりにバンドが緩んで外れると、ずるりと愛液の波でディルドーが抜け落ちて開いた膣穴からは滝のようなジュースが溢れ出す。
脱力して二人は汗とラブジュースにまみれながらベットに横になった。
「どう、参考になった?」
「ええ。今度するときに試してみますよ。ポイントは挿入だけが快楽じゃないこと、激しいさも必要なこと、そして一緒にイクこと」
「合格ね。それに最後までのろけられるようならあっちの気に目覚める様子もなさそうね。
そういえば、アナタも職が不安定と麻衣から聞いているわ。どう、ウチにこない? アナタならきっとすぐに上にイケるわよ」
「ごめんなさい。そういうつもりは……それに今は探偵稼業も安定していますので」
「残念ね……まあ、頭の片隅に覚えておいてね。また悩んだらウチにおいでよ。私を指名してくれれば特別料金で教えてあげるから」
「その時はぜひ」
二人は躰が落ち着くまでピロートークをしてこの日の講習はお開きとなった。
体験コースとはいえ二時間一万円は少し割高に思えたが、恭介君との夜の交流にいい刺激になったのだからと真子はもったいないとは思っていない。
だが次からは初心者コースでも三万円はかかるのでまた来るのは躊躇するなと思っている。自分で風俗店代わりにされると困ると言っているのにレズ風俗じみた料金設定だけは少しどうかと真子も思いながら家路を歩いていた。