とある提督が鎮守府に着任しますた 作:へんたいかがくしゃ
「で、深海棲艦を倒したら……生まれてきた?」
自分でも何を言っているのかわからない。
いやそもそも、この艦娘達がウソを言うような子供ではないことを知ってはいるが。
流石に真偽を疑うだろう。
深海棲艦から艦娘が生まれてきたなんて……普通に考えてみても。
「な、なによ……雷に文句でもあるの……?」
何やらぶつぶつと言っているようだが、一先ず落ち着くべきだろう。
報告書を幾つか眺めてみるが、それらしい文や記録は……一つとして見受けられなかった。
これをどう報告するか悩ましいところだ。
いやもしかすると、上が理解してないだけか、あり得ないと思うのが大半だからこそ、記録がないのか。
恐らくはその2つともあり得てしまうのか、と考えるだけで頭痛がしてくるが。
「なんでもない……少し考え事をしてただけだ……」
とは言うものの、どうするべきかは悩ましいところだ。
どうやら雷も第六駆逐艦だったらしく、本人はこの鎮守府への編入を望んでいる。
人手不足ということもあり、二つ返事で了承しようとは考えているが。
「一応聞いておくが、何があったのかは覚えていないのか?」
何があった、というニュアンスに何が込められているかは分かるだろう。
しかし、うーんと唸るばかりで要領を得なかったのか、
「え……っと、わかんない……です」
そんな怖気づいた口調に、自分の表情を客観的に確認する。
額に寄っているしわを揉むようにしながらほぐし、思考を少しずつ冷静な物に戻していくように努める。
自分としたことが、どうやら少しムキになってしまっていたらしい。
この鎮守府に配属されてからというもの、こういったことが多くなってしまった気がする。
何の感動も達成感もない世界に身を置いていたせいか、感受性が強くなっているのか。
それとも単なる疲れなのか。
……どちらにしても、らしくない。
「済まない……少し考えていたんだが、是非、力を貸してほしい」
「おっ!?そうそう!もーっと、私に頼っていいのよ!」
――確信した。
この子は出来るだけ近くに置いておくとやばいってことだ。
何がやばいって、電と雷とがかわ……疲れているのかな俺……。
ある程度の調査資料は纏めて置くとして、本部には送らなくとも問題はないだろう。
最低限、第一水雷戦隊を整えるためにも即戦力は必要だろうが、資源は有限。
本部から送られてくるのは最高3回分の建造用の開発資材も少ないとなれば。
周辺の海域で少しずつ仲間(?)を集めるのが得策だと言える。
ただ、今日のところはもう休むとするが。