とある提督が鎮守府に着任しますた 作:へんたいかがくしゃ
日本には言わずもがな、資源というものがない。
過去の統計資料を読み漁らずとも自明のことなのだが、他国と比べて、国土が圧倒的に狭いのも原因の一つだと言えるだろう。
建造に必要な油や鉄、弾丸からボーキサイトに至るまで。
どれもこれもが日本にとって最重要であり、市民の生活にも必須なものばかりだ。
それはどうやら、戦火に包まれた現在でも言えてしまえるもので。
下手をすれば10年単位の速さで、国が管理している緊急用の石油が枯渇すると、まさかその会議の議題に持ち出されたのだ。
――まさか、あんなことをしておいてのうのうと会議など出来るはずもないのだが。
詳細な資料を先日、無罪放免で保釈となる前に受け取っていた。
例のごとく、時代錯誤な大日本帝国時代の漢文とカタカナで、だ。
「さて諸君、というワケでこの鎮守府近海の製油所地帯沿岸に攻め入ることとなった」
「「おー!」」
約一名、ウラーと棒読みで叫んでいる気がした。
そんなことより、優先すべきは資材だ。
いくら艦娘といえども――いや、そう考えている自分が
変わりに食費が色々と厄介になるが、他の鎮守府と比べれば異常に安い勘定なのだ。
これを期に、新米少佐から中堅少佐へと階級を引き上げてくれるらしい。
少しばかり虫のいい話だが、今は余計な事を考えるべきではないだろう。
海図をひっぱり出し、練った作戦を公開していく。
「――敵の挟撃を防ぐため、先ずは周辺の艦を叩く。常に敵との距離を一定にしたまま速度を保て。何か質問は?」
と、全員の顔を順に眺める。
前回の大勝は確かに会心的なものだった。
しかし、敵の勢力は依然として強大なものに変わりはないのだ。
質疑応答はなかった。
「以上で
その言葉は艦娘だけでなく、自分にも向けたものだった。
――気持ちを切り替えろ。
未だ三人の駆逐艦だとは言えども、指令が滞らなければ重巡艦にも劣らないはずだ。
必要なのは冷徹な判断力と、客観的な軍制の未来予測能力。
そして、各々に合った的確な指示を常に心がけることだ。
――なにやってんだ。
「はぁ……」
眉間を指で揉みほぐしながら頭を冷やす。
これでは勝てる戦も負け戦にしてしまうのは目に見えていた。
しかし、準備は既に万全。ここで退くメリットは一つとしてない。
どうやって繁殖しているのかも分からないような相手に長期戦は向かない。
少しずつ落ち着き始めた頭を揺らし、指令を飛ばすべく、無線室へと足早に向かった。