お目汚しすいませんッ
普通は大きな人間もどきが歩いているか、時折小動物が駆けるのみの大地に、人影が。憎らしいほどの青空のもと、翼の無い人間が、空を飛んでいる。
バシュッ、シュウウウウウウウ…
行軍する調査兵団の先頭に、特攻する形で配置された血濡れの隊。率いるのは勿論、血濡れの異名を持つロッソ・スカルラット分隊長。
普段は周囲のことに無頓着で、ハンジの助けがあって生命維持していると言っても過言ではないロッソが、その最高の速度で飛び回って巨人を根こそぎ殲滅してゆく様はとても痛感するものがある。血濡れ隊に配属されたばかりの新入りは、赤い閃光のようなものが見れた方だけマシで、空に飛ぶ隊長の姿を目で追うことすら出来なかった。
粗方巨人の姿が見えなくなってから、ようやくロッソを見つけるのだが、彼女は全身に巨人の血を浴び、シュウシュウと蒸発する死体の中で、とても気持ちよさげに笑っているのだ。
そして赤い髪を揺らしながら、遅れてきた隊員たちに向かってこう言う。
「巨人はどこ?」
ロッソは巨人の殲滅が生き甲斐だと、そう断言した。その言葉の通り、彼女は巨人の姿を目に入れた瞬間、事前運動もなしに立体機動で飛び上がり、通常種ならば数秒の間に殺してみせる。ただその殺し方がリヴァイから嫌われるものなのだ。
彼女は小柄で、筋力もない。だからといって筋力をつけると彼女の自慢の速度が出ないし、空中で体を捻る時も筋力の重さの分の力がかかり彼女の小柄な体は耐えきれない。
しかし筋力がないことは、巨人を殺すのに不利だ。せっかく立体機動を天才的に操れても、巨人を殺せない、というのは使えない。
そこで自分なりにロッソは、自分の身を犠牲にする体当たりのような、巨人の項に向け中々の高さから、一直線に落ち、突き刺し、殺すという前代未聞のことを仕出かした。
これは巨人の急所を一分でも間違えられないとても危険なことであった上、巨人に落ちる時の重力と刺さった時の衝撃、全てが彼女の体、特に腕にかかり、初めて挑戦した時は利き腕を粉砕骨折するという重傷を負った。
しかしいつも無表情と言っていいロッソが、大粒の涙を流しながら、私はこれでしか巨人を殺せない、私は巨人を殺すために生きている、腕ならすぐに治してみせる、だから退団させないでくれ、そう叫んだのだ。
彼女の狂気にのみ込まれ、訓練兵団教官は彼女の調査兵団入団を止めることは出来なかった。
それからの彼女の成長は見違えるものだった。骨折を1ヶ月で治してみせ、改良に改良を重ね、彼女だけの、彼女しかできない巨人の殺し方を編み出した。説明させようにも彼女の口下手は究極のものであるし、姿を見ようにも早すぎて姿を捕えられないので、周囲は彼女の方法を真似ることをやめた。
その上、
「リヴァイがすごい回るから真似したら体の負担は減ったけど疲れる」
と、一般人には到底理解し難いことを兵士長と話すので、兵団員は彼等から技を学ぶのを諦めた。
「いや、スカルラットがいてこその調査兵団だな」
馬に乗り帰路を急ぐ兵団内で、行きで体力を消耗した血濡れ分隊を隊の中央で休めながら馬を進めていた。
中央には古参が集まっており、門も見え始めたところで気が緩むのか、軽く話しながら進んでいたところ。
後方から死にそうな顔をした兵団員が馬を飛ばしてきた。
「後方から巨人です!奇行種で足が早く…」
巨人です、と言い終わる前に赤い髪の分隊長は馬の上から姿を消した。
「事前運動がいらないんだよなアイツ」
「見えたか、スカルラットの補佐」
「馬上で逆立ちをした後、起き上がるスピードを使って馬から飛び降りて立体機動に移りました」
「立体機動までの動きが尋常じゃねえな」
そう話してるうちに、補佐の前の無人の馬に、シュウシュウと煙をあげる主人が帰ってきた。
「奇行種1体、通常種2体、殲滅しました」
「そうか、ご苦労」
こうしてただ少し巨人を殺しただけの、壁外調査は終わり、壁内へ戻ってくる。
少なからず犠牲を出したものの、今回はパフォーマンスであり、何の意義もない。そう断言した金髪の団長の思いは、古参のみが知っている。
→
うおおおおおおおおおッ
R-18はチラシの裏でやれないんですね…恥ずかしい…