主×花(千枝)×主
雪×千枝(花)×雪
※いわゆる「入れ替わりストーリー」です。
悠と雪子、陽介と千枝の魂がそれぞれ入れ替わってしまい、その夜のプレイは大混乱に!
大学生生活も3年目が終わった春休み。
バイトも休暇を取ったので、今回は長めの滞在が可能だ。
仲間との楽しいひと時を存分に楽しもうと、悠はいつものように稲羽市を訪れた。
あれから、陽介の穴はどうなっただろう?
後ろはもう軽々拳が入るくらいになっただろうか。
前は10mmくらいまで拡がっただろうか。
そう考えるだけでワクワクして、予定よりかなり早い時間に八十稲羽に着いてしまった。
陽介との約束は夜だし、堂島家に行ったとしても菜々子は遊びに行ってるはずだ。
思案した揚句、悠は最近リニューアルされたという市立図書館へ行くことにした。
陽介との関係をもっと深いものにするために、自分にはまだまだ男色知識が不足している。
いい機会なので、その歴史からちゃんと調べてみよう。
* * * * *
図書館は静かだった。
特に人が少ないというわけではないが、みんなマナーを守って静かに利用している。
悠は目的の文献をいくつか物色し、しばし読書に耽った。
やはり男色の歴史は奥が深い。
特に、日本の江戸時代全般に渡る隆盛と衰退の背景は非常に興味深く、いくつかの書物を読破した悠は次を求めてまた席を立った。
と、本棚を眺める悠の後ろからふいに声がかかった。
「……鳴上君?」
振り返ると、そこにいたのは雪子だった。
「あ、天城……」
「こっち来るの、今晩からじゃなかったの?」
「ああ。ちょっと早く着き過ぎたんで、ここで時間潰ししてた」
雪子が悠の持っている本を覗き込む。
「……歴史の勉強?」
「あ、ああ! ……ちょっと課題でね」
一瞬焦りつつ、無難に誤魔化す悠。
「あ、天城は?」
「私は例によって資格の方。……まだまだ勉強することがいっぱいね」
「天城は偉いな」
「え!? そんなこと……」
思わず赤くなる雪子。
そして、話をそらすように悠に提案する。
「……あ、良かったら一緒に休憩しない? 最上階に、喫茶スペースができてるのよ」
「ああ、いいな」
悠と雪子は、最上階の喫茶スペースでティータイムを楽しむ。
傍から見ると、まるで恋人同士のようなビジュアルだ。
悠はともかく、雪子は出会った頃なら決してこんな誘い方はできなかっただろうし、こうして自然と楽しく会話することなど無理だったろう。
やはり、あの一年の戦いは雪子にとって大きな財産となってその身体に宿り、今では自分に自信を持って何にでも取り組めるようになっていた。
だからこそ、りせや千枝とのまぐわいでも常に攻め側でいるのだろうが……。
「そろそろ行こっか」
「ああ」
雪子から切り出して、二人は席を立つ。
喫茶スペースから出ると、目の前は結構長い階段だ。
「休憩場所を高い位置に作りたかったから、こんな長い階段になったんだって。館主の人が言ってた」
「へぇ。……結構通ってるんだな」
「あ、いや……、まあ、ね」
ちょっぴりドキマギとする雪子、一段目を降りようとしたところで少し右足を踏み外す。
「……あ!」
「危ない!!」
咄嗟に雪子を支えようと前かがみになる悠。
と、自分も足を踏み外し、雪子を抱きかかえるような姿勢のまま、階段から転げ落ちた!
「キャーーーーッ!!」
一瞬の内に下まで転がり落ちた二人。
その間、悠が雪子の頭をしっかり押さえていたので、恐らく大きな怪我はない。
しかし、さすがに周囲の人たちが心配で駆け寄ってくる。
「大丈夫ですか!?」
喫茶スペースの方でも、他の客が下を不安そうに覗き込んでいる。
皆の視線が集まる中、ゆっくりと二人が半身を起こす。
「……ホントに大丈夫?」
他のお客さんが心配そうに声をかける。
悠と雪子は、互いに身体に痛みがないことを確認し、周囲の人たちに礼を言う。
「大丈夫です! お騒がせしてすみません!」
安堵の溜め息とともに、他のお客さんたちが離れていく。
そして、悠と雪子が互いに手足を揺らしながらゆっくりと立ち上がる。
「大丈夫か……、え?」
「うん、大丈夫。……え?」
「ええええ~~~~!?」
悠の目の前には悠が、そして雪子の前には雪子がいる!
なんと、悠と雪子の身体と心が入れ替わってしまった!!
「ど……どういうことなの!?」
悠の身体を持つ雪子が戸惑う。
「分からん……。だが異常事態であることは確かだ……」
雪子の身体を持つ悠が答える。
「……プーーーー、ハハハハハハッ!!」
突如、悠肉体の雪子が笑い出す。
「……え?」
「アハッ、私が鳴上君で、鳴上君が私……、ハ、アハハッ!!」
相変わらずどこにどうツボがあるのか分からない雪子が、この異常事態に笑いのツボに入ってしまった。
途端、周囲の視線が集まる。
「す、すみません! ……おい、とりあえず出るぞ」
雪子肉体の悠は周りに頭を下げ、大笑いする自分自身の手を引っ張って外へと出ていった。
図書館を後にし、公園のベンチに座る悠と雪子。
「ご、ごめんなさい……。ついツボに入っちゃって……」
悠肉体の雪子が詫びる。
「いや、それはいい。それより、この状況下を笑いに昇華できる天城って、逆に凄いな」
雪子肉体の悠が素直に感心する。
「おかしいよね……、おかしい、おかしいのよ、プーー!!」
「ストップ!!」
また笑い出しそうになる悠肉体の雪子の口を、雪子肉体の悠が即座に押さえて止める。
「笑ってる場合じゃない。……少し考えよう」
「……そうね。ごめんなさい」
雪子肉体の悠、悠肉体の雪子がそれぞれ神妙に座り直す。
「どうしてこうなってしまったのかは分からないが、やはり原因はあの階段だろう」
「うん。信じられないけど、落下の衝撃で、二人の魂が入れ替わってしまったってこと?」
「そういうことになるな。……本当に信じられないが、まずは受け入れるしかない」
雪子肉体の悠が、その美しい顔を右手で掻きむしる。
「……あ、お化粧取れちゃう!」
「え!? いや、ゴメン! って、そういう問題?」
「あ、そうだね。私思わず……」
悠肉体の雪子が、モジモジとして恥ずかしがる仕草。
「……女っぽい」
ボソッと呟く雪子肉体の悠。
「え? だって私、女だし……」
沈黙する二人。
大変な事態だというのに、何故かあまり動じない悠と雪子。
さすがは天然同士の二人、この波長の酷似さがこの事故を呼んだのだろうか。
ふと、悠肉体の雪子が腕時計を見る。
「……あ、もうこんな時間! 帰んなきゃ。今夜、千枝がウチに泊まりにくる約束なのよ」
「そういや、俺も陽介と約束していたな。そろそろ行かないと」
雪子肉体の悠も、我に返って上を向く。
「じゃ、またね」
「ああ。また」
立ち上がり、逆方向へ別れかけたところで再び振り返る二人。
「「……ダメだったら!!」」
「私、この身体じゃ、旅館に帰れないよ!」
「俺だって、このまま堂島家へ行くのも、陽介ンチに行くのもマズい」
どうする?
二人の頭の中で様々な思いが巡ったが、次の瞬間、同時に頷き合った。
「……とりあえず今は時間がない」
「うん。このまま入れ替わって帰るしかないわね」
冷静に状況を受け入れる悠と雪子。
「陽介んトコへは、九時に行く約束だ。その前に堂島家へ寄って荷物置いて、菜々子と晩ご飯を食べてやってほしい」
「分かった。ウチに千枝が来るのは六時だから、早く戻って準備しとかなきゃ。ああ、今日は仕事のメンバーからは外してもらってるので、私の部屋にいれば大丈夫よ」
「なるほど。……で、準備って何だ?」
「え!? ……あ、いや! 何でもない……。いやその、夕飯一緒に食べるから、仲居さんとかに色々と頼んどかないといけないし……」
慌てて取り繕う悠肉体の雪子。
準備というのが、今夜千枝と楽しむための性交玩具の整備であることは言うまでもなかった。
「そうか。なんか難しそうだな。俺にうまくできるだろうか」
「鳴上君だったら大丈夫よ! あ、ウチの間取りはね……」
悠肉体の雪子は、落ちていた木の枝で土の地面に旅館の見取り図を書く。
「……なるほど、大体分かった。堂島家は簡単だ。俺の部屋は二階にあるので」
「うん。……じゃあ、気を付けてね」
「天城もな。……ああ、まずは言葉遣いを直さないとな。えっと……、行って、くるわね」
早い変わり身で女言葉になる雪子肉体の悠。
「そっか。ん、じゃ行ってくる。……こんな感じ?」
悠の喋り方を真似る悠肉体の雪子。
ニコッと笑ってサムズアップする雪子肉体の悠。
そして二人は、互いに慣れぬ方向へと歩き出した……。
* * * * *
遡ること二時間。
ジュネス八十稲羽店では、千枝の買い物に陽介が付き合わされていた。
「次は~、インナーの売場ね!」
「まだあんのかよ~。って、なんで今日まとめて買うんだよ!」
荷持ちと化した陽介が、額に汗かきながら千枝に従う。
「だって花村と一緒なら安くなるじゃん! 明日は鳴上君が来るし、たまにはオシャレしないとね~」
「……ハッ。今さらオシャレってガラかよ」
「なんか言った?」
「ああ! いえ、何でも……」
結局、いつものように千枝のペースに合わせてしまう、お人よし陽介であった。
「……ああ、買った買った! じゃあ、フードコートで休憩しよっか! ジュースくらいオゴッたげるよ」
「ジュースかよ……。たまにはお前が肉でもオゴれっての!」
「ああ、ダメダメ! 今日はこの後、雪子んトコに晩ご飯食べに行くんだもん!」
「ゲッ! マジかよ。いいなあ、旅館料理、ウマそ~」
「まあ、旅館料理ってわけじゃないよ、多分。雪子も今日休みだから、フツーの家庭料理じゃないかな」
「それでもウマそーには変わりない……」
落ち込む陽介を尻目に、千枝は昇りのエスカレーターに足をかける。
と、エスカレーター上部で顧客サービス係の女性がしゃがんで何やら操作している。
「ん? 何だろ」
それを見て呟く千枝の後ろで、陽介は荷物を足場に降ろす。
そして半分ほどの位置に差し掛かった時、ふいにエスカレーターがガクンと停止した!
「うわっ!!」
バランスを崩して後ろへ倒れ込む千枝!
「ええっ!? 何何!!」
後ろの陽介を巻き込んで、二人はエスカレーターを転がり落ちる!!
「……お客様!!」
顧客サービス係の女性が叫ぶも遅し、千枝と陽介は揉み合うようにエスカレーターの最下部まで落下した。
そこには『調整中』という札が貼ってあった。
どうやら千枝も陽介も、その札に気付かずエスカレーターに乗り込み、途中で顧客サービス係の女性が二人に気付かず停止ボタンを押してしまったようだ。
幸い、短い距離だったので大事には至らなかった様子。
停止中のエスカレーターを駆け降りてくる顧客サービス係の女性。
「お客様! だ、大丈夫ですか!?」
倒れ込む千枝と陽介の傍へ必死の形相で駆け寄るが、当の二人はケロッとしていた。
「イテテテ……、んだよ里中! あっぶねーじゃんか!」
「……ゴメンゴメン! だって、いきなりストップするんだもん……って、あれ? 調整中だって。これって、悪いのはあたしら?」
顧客サービス係の女性は、それでもやはり心配そうに二人を覗き込む。
「……本当に大丈夫ですか!? お客様……」
「あー、平気平気! こっちこそすみません! 全然張り紙見ないで乗り込んじゃって……」
陽介が顧客サービス係の女性に頭を下げる。
「……あの、ホントに何かあったら言って下さいね。万一どこか打ってたりしたら大変ですので……」
「あーーー、お構いなく! このバカが悪いんですから!」
千枝が陽介を指さしながら係の女性を労う。
「……そうですか……、では……」
自分の頭をコツンと叩きながら、顧客サービス係の女性は再び停止中のエスカレーターを昇っていった。
「あ! ちょっとバカって何よ! アンタも張り紙見落としてたでしょうに……、って、え?」
「んだよ、お前が先に乗り込んだんじゃねーか……、って、え?」
「ええええ~~~~!?」
陽介の目の前には陽介が、そして千枝の前には千枝がいる!
なんと、陽介と千枝の身体と心も入れ替わってしまった!!
「ちょ……、ど、どういうことよ! コレ!?」
陽介肉体の千枝が動揺する。
「俺が知るかよ! ……ど、どうなってんだ、コレ……」
千枝肉体の陽介がさらに動揺する。
「……お前、俺だよな? でも……、里中なのか?」
千枝肉体の陽介が、自分自身の姿をマジマジと見つめる。
「あ……、あたしはあたしよ! でも、あたしは目の前に……」
陽介肉体の千枝も、自分自身の姿を恐る恐る見つめる。
「……い、入れ替わっちまったってことか……、俺たち」
「そ、そうみたい……。ど、どうしよう花村ぁ~!!」
陽介肉体の千枝が、千枝肉体にしがみつく。
「おい、こんなトコで騒ぐなって! ほら、人が集まってきちまった。……とりあえず、屋上行くぞ屋上!」
千枝肉体の陽介が、涙ながらの自分自身を引っ張って階段の方へと向かう……。
屋上フードコートで向かい合って座る、千枝肉体の陽介と陽介肉体の千枝。
「どうすんのよ! こんなことになっちゃって……」
「どうするったって、そんなの俺にも分かんねーよ!」
「分かんないじゃ済まないじゃんか! このままじゃ帰れないよ……。あ~~~ん!!」
テーブルに伏して泣き出す陽介肉体の千枝。
「ちょ……、やめてくれよ! 俺の身体でそんな……って、無理ないか……」
千枝肉体の陽介もまた、ペタリとテーブルに顔をつける。
「……里中、気持ちは分かるけど、こうなっちまった以上、とにかく元に戻る方法を考えねーと!」
「んなの分かんないよ~。……そうだ! 雪子んチ行く時間までもうあんましないじゃん! どうしよ~!! 花村ぁ~!!」
陽介肉体の千枝が、千枝自身の両腕に掴みかかる。
「落ちつけって! そんじゃあ、今日のところはお互い入れ替わって帰るしかなさそうだな」
「マジで!? だって今日は雪子と……、あ!」
言いかけて、思わず口を押さえる陽介肉体の千枝。
「天城と何だ? メシ食うんだろ?」
「まあ、そうなんだけど……。(この際、打ち明けるか……)」
意を決した陽介肉体の千枝。
「……花村、実はあたし……、その……、雪子とも付き合ってんだよね……」
「付き合ってるって……、親友だろ? お前ら。……え? まさか、そーいう意味?」
「……そーいう、意味……」
恥ずかしげにコクリと頷く陽介肉体の千枝。
「お前ね~、俺の顔でそんなコト告んなっつーの! ……まあ、俺も人の事言えねーけど……」
「……鳴上君?」
「ゲッ! 何で分かんの!?」
「あのね~、分かるに決まってんでしょ。アンタらの仲、あの頃からおかしかったもん」
「あの頃って、事件の時?」
「そう。花村はもちろん、鳴上君もなんか花村だけ特別扱いしてたって感じだったよ」
「そ……そう、か……」
思わず赤くなる千枝肉体の陽介。
「あのね~。あたしの顔で照れないでくれる~? あ! そんなことより、時間ないんだった!」
立ち上がる陽介肉体の千枝。
「……しょうがねぇ。どうするかは明日考えるとして、とりあえず今夜は入れ替わって帰るしかねーな」
「やっぱし!? ……ん~、でもそれしかないか~」
諦めて座り直す陽介肉体の千枝。
「今日は悠が9時に泊まりに来るから、とりあえずアイツに合わせてろよ。親父やお袋には、できるだけ近付かねーようにして……」
「え!? 鳴上君来んの!? それって……、ヤバくない?」
「え?」
「……その、つまり、そーいう空気にならない?」
恥ずかしげに問う陽介肉体の千枝、その妙な可愛さに千枝肉体の陽介自身が若干ドキッとした。
「あ……。いや、そうなったら……、もう身を任せるしかないんじゃない?」
「ちょ……、無責任なこと言わないでよ!! ……ま、そっちも状況はおんなじか……」
「……何だか複雑な気分だな」
沈黙する二人。
「……何にしても時間ない! 早く帰んなきゃ!」
陽介肉体の千枝が、買い物した袋を両手に持って立ち上がる。
「おい、それ持って帰んの、俺の方……」
「あ、そっか。……じゃ、よろしく!」
買い物袋をたっぷり、千枝肉体の陽介に渡す陽介肉体の千枝。
「あ、それから一応女らしく振舞ってよ! 俺とか言わないで」
「あー分かった。あたしって言っときゃいいんだろ? 後は大して変わんねーしな」
「ちょっと! どーいう意味よ!?」
「お前も女言葉はやめてくれ」
「わ、分かったわよ……じゃなくて、分かった。そうするよ!」
キリッと表情を引き締める陽介肉体の千枝。
「……ああ、里中」
「え?」
「……その、もし何かあっても、あんまし驚くなよな……」
「ど、どういう意味? ……あ、それを言うなら、そっちも雪子の印象、変えないでよ」
実に複雑な表情で見合わせる二人。
しかしもう時間がない。
二人は、不安ながらも勇気を振り絞って互いの行くべき先へと向かっていった……。
* * * * *
堂島家に到着した悠肉体の雪子。
玄関先で立ち止まり、シミュレーションを繰り返す。
「(落ち着いて……、落ち着いて……。まずは菜々子ちゃんに変に思われないように。そっか、菜々子ちゃん、じゃないんだ。鳴上君は確か『菜々子』って呼び捨てにしてたわよね)」
悠肉体の雪子が玄関の扉を開ける。
「……た、ただいま~」
若干力ない声だったが、即座に反応した菜々子が奥から走ってきた。
「お兄ちゃん! おかえり~!!」
今年十歳になった菜々子だが、悠に対するなつき度は全く変わらない。
まだ靴も脱いでいない悠に、いきなり飛びついてきた。
「(な、菜々子ちゃん……。かわいい……)」
素直に菜々子を抱き返した悠肉体の雪子。
この調子ならいけそうだ。
リビングへと歩を進めた二人。
テーブルの上には、既に二人分のビフテキ弁当が用意されていた。
「な、菜々子……(呼びにくい!)。おじさんは?」
「八時には帰ってくるよ。だから、夕飯は二人で食べといてくれって」
そう言いながら、菜々子はお茶を入れる。
「(そっか。だから花村君チに9時なんだ。……おじさんには、注意しないと)」
改めて気を引き締め、テーブルの前に座る悠肉体の雪子。
弁当を食べながら、菜々子がにこやかに話しかける。
「お兄ちゃん、今日も陽介お兄ちゃんとこ行くんだよね!」
「え? あ……、ああ。(なんだ、知ってたのか)」
「お兄ちゃんと陽介お兄ちゃん、ホントに仲良しだね~。こっちに来る度に泊まりに行くもんね~」
「え? ……ん、まあ……、ね。(なんと、そこまで仲良かったんだ……)」
事件の頃から陽介が悠のことを『相棒』と呼んで慕っていたことは分かっていたが、まさか3年経って悠の方から泊まりに行くほどになっていたとは……。
雪子としては、悠のちょっと意外な面を知った気分であった。
「でも、お兄ちゃんと結婚するのは菜々子なんだからね! 忘れちゃダメだよ!」
「あ、ああ。もちろん……、分かってるよ。(……って、鳴上君罪つくり! そもそも菜々子ちゃん、男同士は結婚できないんだよ? ……あれ?)」
そして夕飯を終え、悠肉体の雪子はしばらく菜々子とテレビを見て過ごした。
「(……ふう。何とかやり過ごせそう。おじさんが帰ってきたら、花村君とこへさっさと行こう。……で、明日まで……え!? 明日まで!? ……ってことは、今晩花村君と一緒に過ごすってこと!? ……ちょっと待って、それはあり得なくない? そりゃ、あの事件があって花村君のことだいぶ見直したけど、ひと晩一緒ってのは……。あ、でも鳴上君として一緒に過ごすのか。なら男同士だから問題ないのかな……。ん~、でもなんか引っ掛かるなあ……)」
と、雪子の心が葛藤している内に遼太郎が帰ってきた。
「ただいまー」
「あ、お父さん、お帰りなさい!! ……お兄ちゃん、来たよ!!」
「おう、悠。久しぶりだな、元気だったか?」
「は、はい! お久しぶりです、おじさん!」
無意識に直立不動になる悠肉体の雪子。
「何だ、どうした? 具合でも悪いのか?」
「いえ、何でも……。その、お、俺、はな……じゃなくって陽介んとこ行ってきます!」
「ああ。そりゃいいが、荷物はちゃんと二階へ上げとけよ」
「あ……!! はい!」
慌ててボストンバッグを掴み上げ、二階へと上がっていく悠肉体の雪子。
二階でボストンバッグを開け、お泊りセットらしき小さな鞄を取り出して再び階下へ。
「……じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい、お兄ちゃん!」
無邪気な菜々子とは対照的に、遼太郎はジッと悠肉体の雪子を見つめている。
遼太郎の視線を感じつつ、無言で靴を履く悠肉体の雪子。
「……悠。なんかお前、変じゃないか?」
「え!? ……べ、別に何ともありませんよ! それじゃ、行ってきますんで!」
「お、おう……。気を付けてな」
逃げるように堂島家を出てきた悠肉体の雪子。
「(……さすが刑事。危なかった……)」
遼太郎の鋭さを肌で感じながら、悠肉体の雪子は陽介の家へと小走りに向かっていった……。
* * * * *
遡ること二時間。
天城屋旅館では、雪子肉体の悠がなんとか仲居たちをやり過ごして自室に引き籠っていた。
母親と話したりしたら一発で怪しまれるだろうが、幸い女将としての仕事で今夜もてんやわんやのようだ。
とりあえず、ここで静かに千枝が来るのを待とう。
千枝が相手なら、ひと晩くらい何とかなるだろう。
と、ほどなくして仲居の一人が千枝の訪問を知らせてきた。
部屋を出て、廊下で千枝を出迎える雪子肉体の悠。
そこへ、ぎこちない笑顔の千枝肉体の陽介がやってきた。
「ゆ、雪子ー、お待たせーーっ!(こんな感じだよな~)」
「い、いらっしゃい、千枝!(いかん、さすがに緊張する)」
妙な作り笑顔の二人が、雪子の部屋へと入っていく。
部屋に入った千枝肉体の陽介、やはり初めてだけに、キョロキョロと部屋の中を見回してしまう。
「(……あ、ダメだ! こんなことしてちゃ怪しまれる!)あ、ハハッ! 雪子んチ来るの、久しぶりだよね~」
「え? あ、そう……かな(ダメだ、分からん)」
「(ヤベ! 墓穴掘った!?)いや、その、雪子んチはやっぱ、落ち着くわー。ハハハハッ」
「で、でしょう? フフフフ……」
会話が途切れる二人が、二人して感じる。
「「(……絶対、怪しまれてる)」」
と、ここで仲居が夕飯を運んできた。
「失礼します」
有り合わせであろうが、綺麗に重箱に詰められた弁当はさすがにウマそうだ。
仲居が机を拭いて丁寧に弁当とお茶を並べる。
「どうぞ」
「あ、ありがとう!」
雪子肉体の悠、千枝肉体の陽介が同時に礼を言う。
仲居が出ていき、二人は机を挟んで弁当と向き合う。
「(よっしゃ! 食ってる間は時間稼げるぞ~)」
「(いいタイミングだ。食べて心を落ち着かせよう)」
二人は、ほぼ会話なく黙々と弁当を食べ続けた。
しかし、やはり食べ物の力は偉大である。
ぎこちなかった二人の会話が徐々に動き出し、他愛のない話にうまく花が咲いてきた。
「(よしよし、この調子! こーやって自然に喋ってればいいんだよな~)」
調子に乗ってきた千枝肉体の陽介は、食事が終わってもあれやこれやと雪子に話しかけていった。
対する雪子肉体の悠も、相槌を打つだけである程度交わしていけるので、かなり精神的にも楽になっていた。
と、そこへ再び仲居が顔を覗かせた。
「お嬢様。今なら露天風呂、空いてますよ」
「あ、ありがとう」
「里中さんもご一緒に、どうぞ」
仲居がスッと姿を消し、何気なく放たれた一言が二人の胸に突き刺さった。
「里中さんもご一緒に、どうぞ」
「(里中さんもご一緒に……だって!? ちょっと待った! そりゃマズいだろ。出来ればそういう展開にはならない方が……。あ、でも天城の裸見られるってのはもしかして役得? ……あ、里中ゴメン!)」
「(一緒に……か。まあ、天城も里中も去年テレビの中で助けた時に挿入まで至ったわけだが、あの時は興奮するどころじゃなかったからな。これはこれでいいチャンスかも……)」
女の身体を借りながら、やはり二人とも女の裸体には目がないようである。
静かに頷き合い、二人は露天風呂へと向かっていった……。
* * * * *
同じ頃、悠肉体の雪子は陽介の家に来ていた。
千枝自体は陽介の部屋には何度か来ていたため、比較的うまく陽介になりすますことが出来ていた。
しかし、雪子はやはり勝手が違う。
「(花村君と二人かあ……。もう、何喋ったらいいか分かんないよお!)」
「(鳴上君、無口だなあ。花村と二人でもいつもこんなに無口なのかな? これで深い仲って、一体どんな感じなんだろ。う~、ちょっと興味あったりして!)」
千枝は若干余裕を感じ始めていた。
そして、徐々にその余裕は企みへと変わっていった。
「え~っと、悠」
「……な、何だ?(何何!?)」
「その……、今日は、どうする?」
陽介肉体の千枝は、悠に鎌をかけてみた。
「ど、どうって、何が!?(何~? ホントに何なの!?)」
ぎこちなく部屋の隅に座っていた悠肉体の雪子を、陽介肉体の千枝はその手を取ってベッドへと誘導した。
「え? ……え!?」
ベッドの縁に隣り合って座る二人。
そして、陽介肉体の千枝は、悠の太腿にそっと右手を置いてみた。
「悠……」
思わずドキッとして身体を背けようとした悠肉体の雪子だったが、迂闊な行動で怪しまれてはと、とりあえずその空気に耐えて情勢を見守った。
「(ちょっと待って。どういうこと? これってつまり……、そういうことなの? この二人……)」
陽介肉体の千枝が、悠の身体に擦り寄りながらジワリと顔を近付けてきた。
千枝にすれば、悠は元々食ってみたかった獲物だ。
今は男の身体を借りているとは言え、このチャンスを逃す手はない。
しかし、雪子にとって陽介にそこまでの感情はない。
今にも唇と唇が触れそうになった瞬間、スッと顔を下へと背けた。
「(ダメ! いくら何でもそれはダメよ! ……でも、もしそういう関係なら拒否するのはやっぱりマズいのかな……)」
「(……あれ? ここで恥ずかしがるなんて、意外と鳴上君ってウブなのね! ハハ~ン、花村の奴、あたしとの時やられっ放しだから、鳴上君で憂さ晴らししてんのね! なんだ、結構やるじゃん)」
陽介肉体の千枝は、さらに身体をくっつけてくる。
そして、右手を徐々に股間へと近付ける。
ハッとして再び陽介の顔を見遣る悠肉体の雪子。
よくよく見ると、陽介も結構美男子だ。
自分のタイプというわけではないが、拒絶するほどでもない。
元々、今夜は千枝と一戦交える予定だったわけだし、こういう珍しい体験はいい糧になるかもしれない。
事件以後、一転して何に対しても積極的になっている雪子は、こういうところでも今は前に出る。
「悠……」
「……陽介」
まるで初めての時のように、二人はゆっくりとキスを交わし、互いの股間に指を這わせ始めた……。
* * * * *
一方、天城屋旅館。
露天風呂の湯船では、雪子肉体の悠と千枝肉体の陽介が、互いに一糸纏わぬ姿で寄り添っていた。
「(うわっ、天城マジで綺麗じゃん! でも、こっちからはさすがに……)」
千枝肉体の陽介が戸惑っている間に、悠の鬼畜魂が弾けた。
「……千枝」
雪子肉体の悠が、徐に千枝の唇を奪い、手は胸元へと滑らせていった。
「……!!」
驚いた陽介だったが、元々そういう関係ならば不自然じゃないはず。
ここは素直に身を任せてみよう。
火が点いた悠は、もう誰にも止められない。
千枝の身体を壁際まで押しつけると、その乳首を貪り始めた。
「あ……、あう!」
思わず演技でない声を漏らしてしまった陽介。
それもそのはず、女体での感じ方など生まれて初めてなのだから。
「(か、感じる……!! 女の乳首って、こんなに感じるものなのか!? うわっ、堪んねーーーっ!!)」
続いて雪子肉体の悠は、千枝のヴァギナへと右手を移す。
雪子肉体の悠の右中指が、千枝の中へと静かに入り込む。
「はう!」
ビクンと震える千枝肉体の陽介。
「(……な! 何だ今のは!? 今一瞬、頭ん中になんかが来たぞ!? ……あああああ、気持ち、いい……)」
と、そこへ他の宿泊客が入ってきた。
素早く動きを止める雪子肉体の悠。
そして、千枝の耳元でそっと囁く。
「続きは部屋で」
既に自由が利かなくなり始めていた千枝の身体を抱えるように湯船から出し、雪子肉体の悠は露天風呂から元の部屋へと美しき肢体二つを移動させていった……。
* * * * *
陽介宅。
陽介肉体の千枝が、悠のペニスを取り出して手で弄ぶ。
「(おおお……、鳴上君のすっごいな! どんどん硬くなってくるよ……)」
「(……ああ! 何だかフワフワした変な気分。ああ、だんだん硬くなってくる! なんか腰回り全体がムズムズする!)」
陽介肉体の千枝の手技に、悠肉体の雪子が初めての男・性感覚を味わう。
早々にダイヤモンドと化した悠の分身。
その剛棒を陽介肉体の千枝が激しくしごく。
「(うわ、すっげー!! すっげー!! ガッチガチだよ、こんなの見たことない……)」
一方で悠肉体の雪子は、かなり動揺していた。
「(……ダメ。何だかお腹痛くなってきた。……あ、お腹のムズムズがアソコに移動する! ……あ、ちょっと待って!)」
早くもイキそうになる悠肉体の雪子は、自らをしごく陽介の手首を半ば無意識に掴んで動きを止めさせる。
「……え?」
陽介肉体の千枝が、手の動きを止められて思わず悠の顔を見上げる。
「(鳴上君のプライドのためにも、まだイクわけには……)よ、陽介!」
悠肉体の雪子は、ふいにグッと陽介の身体を抱き寄せて唇を奪う。
「……う!」
陽介の身体を持ちながら、悠に激しいキスをされて全身が熱くなる千枝。
「(ダ、ダメだ……。勃ってきたみたい……。鳴上君に、鳴上君に触ってほしい……!!)」
陽介肉体の千枝は、自ら自分の下半身を露にし、悠の手を硬化中の陽ペニへと誘導した。
「……え?」
陽ペニを触らされた悠肉体の雪子、フッと唇を放して下方を見遣る。
「(な……、何これ!? 花村君の、なんかすっごく綺麗?)」
ツルリとした陽ペニを目の当たりにし、悠肉体の雪子は思わずしゃがみ込んで美肉棒に顔を近付けた。
千枝よりさらに男性経験の少ない雪子ではあったが、陽ペニの美しさが一般的なそれに比して極上に美麗であることは瞬時に分かった。
艶と皺のコントラスト、そしてカリ部の微妙な色合いがまるで芸術作品のように秀でている。
気がつくと、悠肉体の雪子は陽ペニを口の中で弄んでいた。
「(……あ、おいしい! 男の人のコレって、こんな味したっけ? これは花村君だから……?)」
悠肉体の雪子は、さらに陽ペニを口中で踊らせる。
「(う、うわ~、なんか全身の神経が集中してくるみたい! 男の感じ方って、下半身全体にジワジワ来る感じなんだな……)ああ……!!」
思わず素の声を漏らす千枝。
我慢の要領が分からず、押し寄せる陽ペニへの熱い流れを止めることの出来ない千枝。
「あ……、ああ! 何!? 何!?」
悠の口中で陽ペニが暴発!
「……ン! ングング!!」
驚きつつも、陽介の白きモノを喉で受け止め、そのままストロークを弱めつつ陽ペニの裏筋に舌先を沿わせ、唇で亀頭を再度刺激する悠肉体の雪子。
「あ、ちょ……!! ダメ! ダメだってば!!」
射精直後の超敏感さを初めて体感した千枝は、思わず演技を忘れて悠の両肩を掴み足を踏ん張る。
無意識にSっ気が出た雪子だったが、ニヤリとした目で陽ペニを口から放す。
そして、憔悴した感のある陽介の表情を見てさらにゾクゾクと雪子は本能を揺すぶられた。
「(私も……味わいたい! ……そうか! 入れればいいんだ。いつもしてるようなら、問題なく入るはず……)」
悠肉体の雪子は、足をふらつかせている陽介の腰を掴み、半ば無理やりバックの体勢へと持っていった。
「……え? 何!?」
「今度は、俺の番だ……」
* * * * *
天城屋旅館。
雪子の部屋に戻って来た雪子肉体の悠と千枝肉体の陽介。
既に仲居の手によって布団が敷かれてある。
そこへ雪子肉体の悠は、千枝の身体を無造作に放り出す。
初めての女体感性の余韻がまだ残っている陽介は、抵抗できずに布団の上で半裸となっていた。
そして、雪子肉体の悠が千枝の身体を貪る。
はだけた浴衣の胸元へ、雪子肉体の悠が顔面を潜り込ませる。
指と舌で、千枝の両乳首を激しくまさぐる雪子肉体の悠。
「ああ……、ああうあうあう……」
もはや我を忘れて、感じたままを口にしてしまう陽介。
そして雪子肉体の悠は千枝の浴衣を剥ぎ取り、そのまま千枝の秘部へと舌先を移動させる。
その舌先が千枝の豆粒を刺激すると同時に、二本の指がヴァギナへと忍び込んで蠢き始める。
「ぐあっ!(……ヤッベ! もう演技どころじゃねーってば。何だ? この感覚! 女って、女ってスゲェ……)」
もだえまくる千枝。
そしてふと、雪子肉体の悠が顔を上げる。
「(……入れたい! しかし女には入れるモノがないぞ!? バカな……!! これで天城は満足しているというのか? いや、そんなはずはない。何かあるはずだ……何か……)」
高速で頭を働かせる雪子肉体の悠。
と、昨日の雪子との会話をふと思い出す。
-----回想
「分かった。ウチに千枝が来るのは六時だから、早く戻って準備しとかなきゃ。ああ、今日は仕事のメンバーからは外してもらってるので、私の部屋にいれば大丈夫よ」
「なるほど。……で、準備って何だ?」
「え!? ……あ、いや! 何でもない……。いやその、夕飯一緒に食べるから、仲居さんとかに色々と頼んどかないといけないし……」
-----回想、おわり
「(……準備? 準備……。なるほど、そういうことか!)」
徐に立ち上がった雪子肉体の悠、タンスの引き出しの奥を手早い動きで探る。
そして、そこから一つの箱を取り出した。
「(……これだ)」
箱を開けると、そこには黒光りするペニスバンドが……!!
何故、雪子がアイテムを隠している場所をいとも簡単に悠が嗅ぎ分けたのか?
それは謎だが、やはり二人には共通した何かのスキルがあるのだろうか。
ともかく、雪子肉体の悠は自らの浴衣をバッと脱ぎ捨て、悠のゴールデン・ポールに勝るとも劣らない硬さを誇るブラック雪ペニを腰に装着した。
そして、その黒きモノにローションを塗りたくると、うなだれる千枝の両太腿を持ち上げ、その湿地帯を射程距離に据えた。
「……な、何!?」
戸惑う千枝肉体の陽介。
しかし、雪子肉体の悠は容赦なくブラック雪ペニを千枝のヴァギナに突き刺した!
「ふぁっ!!」
そして、最初からクライマックス高速ピストン!
「うわっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
激しく揺れ動く千枝の身体。
そして陽介はかつてない快感に全身を貫かれていた。
「(だ……うっ……、これは……、スゲェ! 手も……足も……指先までビリビリが走る!)」
再び千枝の乳首へ吸いつきつつ、さらにピストンを繰り返す雪子肉体の悠。
しかし、ここでふと疑問を感じる。
「(……む!? ちょっと待て。俺はどうやってイケばいいんだ? 女同志って、一体どうやって……)」
悠の疑問をよそに、陽介は絶頂を迎えた。
「ああ! あああああ~~~~~っ!!」
ヒクヒクと全身を痙攣させる千枝肉体の陽介。
そして、雪子肉体の悠は、鬼畜の表情で自らの股間を千枝の顔面に押し付けた!
「……ウグッ!!」
「(これしかないだろう。ほら、舐めるんだ!)」
雪子の繁みが口の周りで蠢く。
千枝肉体の陽介は、その動きに呼応するように舌を出し、雪子のクリ&ヴァギを舐め回す。
「おおっ! おおおお……」
不思議な感覚に、思わず素の声を漏らす悠。
徐々に襲ってくる快感により、両手を布団につけて下半身を上に突き出す雪子肉体の悠。
「ち……千枝……、お願い……」
艶めかしく震える雪子を目の当たりにし、千枝肉体の陽介が焦る。
「(……ど、どうすりゃいいんだ!? 里中、こういう時いつもどうしてるんだ!?)」
悩む陽介。
しかし目の前に道具は一つしかない。
やはりこれか!
千枝肉体の陽介は雪子の腰からペニスバンドを外し、その突起部分を雪子の股間に擦り付けた。
「ああああ! ああ~ん!!」
感じながらも演技を忘れない悠。
そう!
その調子だ!
千枝肉体の陽介は中腰になって黒いペニスバンドを素早く装着、そして雪子の腰に両手をあてがった。
「……行くわよ」
戸惑いながらも、張り切って雪子に黒い突起物を突き刺す千枝肉体の陽介!
「……あぐっ!?」
一瞬、ビクッと身体を硬直させる雪子肉体の悠。
「ち……千枝……、そこ、違う……」
千枝肉体の陽介がゆっくりと黒い物体Xを入れ込んでいたその穴は、なんと後ろの方であった!
「(……ゲッ! 間違えた!?)」
なんとも陽介らしいミラクル・アクシデント!
焦るあまり、雪子のアヌスにブラックXを挿入してしまったのだ!
「(……ヤベ、どうしよ)」
「……んん、でも千枝……、これも……いい」
「(……え!?)」
雪子肉体の悠が思いのほか感じている。
「(い、いいのか? ……よし、じゃあ!)」
千枝肉体の陽介が、ゆっくりと腰を振り始める。
「お、あ、あ、おおお……」
感じる悠。
「(んん……、いいな。時折陽介に入れてもらっている時のようだ。……そして)」
雪子肉体の悠は、千枝のピストンに合わせて自らのクリトリスに右中指をあてがう。
「……ああ、あふ! あふ! あふ!」
悠もまた、初めての女体性感覚を存分に感じて、全身を震わせる。
そして、やがて悠も昇天!!
布団の上でうつぶせになり、湿地帯をヒクつかせる雪子肉体の悠。
それを見た千枝肉体の陽介は、雪子をイカせたはずだがまるで悠に一矢報いたかような妙な錯覚を感じていた……。
* * * * *
陽介宅。
陽介をバックの体勢にして、ダイヤモンドの如く硬化したスペシャル・ゴールデンポールを今、悠肉体の雪子が陽アヌに突き刺さんとしている。
「(……大丈夫かなあ。いつもやってるはずよね。キャラクター的にきっと鳴上君が入れてるはずだから、きっと大丈夫! ええい、ままよ!!)」
悠肉体の雪子が、陽介のアヌスに硬き肉棒を突き刺した!
「(……あれ?)」
意外な事に、悠のポールは陽介のアヌスへスルスルと入っていく。
「(こ……、こんなことが し、 締めつけるってことがないのかしら……)」
陽アヌのあまりの滑らかさに驚愕する雪子。
「(何でこんなにスムーズなの? やっぱり、これがホンモノとおもちゃの差ってことなのかしら……)」
一方、千枝は千枝で、痛さの全くない感覚に困惑していた。
「(何何? どーいうこと!? フツーに気持ちいい! これが慣れた者同士のプレイってやつなの!?)」
あまりのスムーズさに二人して困惑したものの、雪子と千枝は男の肉体を以て素直にその快感に酔った。
男っぽく激しく、腰を盛んに揺り動かす悠肉体の雪子。
「(はぁ、はぁ、……い、一度、こんな風に激しく動かしてみたかったのよね! ああ! いい! い……イク~~~!!)」
陽介の中で絶頂を迎えた雪子。
そして、二人はそのまま重なり合うようにヘナヘナと絨毯の上に崩れ落ちていく……。
* * * * *
悠、陽介、千枝、雪子それぞれが別の肉体を駆使して貴重な性感覚を体験した。
そして深夜、四人は疲れ切ってスヤスヤと互いの身体を寄せ合って眠る。
と、雪子肉体の悠の脳内に、鋭いショックとともにクッキリとしビジョンが流れ込んできた。
ガバッと上半身を起こす雪子肉体の悠。
「……マ、マーガレット!?」
悠の魂はベルベットルームへと飛んでいた。
そして、そこにはマーガレットがカードを4枚持って佇んでいた。
「愚者、魔術師、戦車、女教皇……、この4枚のカードがバランスを崩して壊れそうになってるわ。……何かあったの?」
「それは……、俺と陽介、それから里中と天城か」
「そう。ペルソナは精神が生むエネルギー。よって、その精神と肉体のバランスが崩れると、アルカナ自体の存在が崩れてしまう」
「精神と肉体……、そうか! 今の状況がペルソナにも影響しているということか! ……しかし、俺と天城はともかく、陽介と里中も?」
「……見ると、愚者と女教皇、魔術師と戦車が混在しているような状態になってるけど……。心当たりあるわね?」
考え込む悠。
「(……なるほど。そういうことだったのか。俺と天城のように、陽介と里中もいつも間にか入れ替わっていたんだ。……ってことは、俺は昨日、陽介とやったということになるのか!?)」
思考が複雑になり、思わずしゃがみ込む悠。
「状況は複雑のようだけど、心当たりはあるようね。それじゃあ、元に戻すために、夜が明けたらテレビの世界へ行って」
「……え? あっちの世界へ?」
「そう。そこでペルソナを正常発動させることによって、心の場所を元に戻すのよ」
「……分かった」
コクリと頷いた悠。
そして、悠の魂は元の世界へと戻っていった……。
* * * * *
天城屋旅館。
早々に起きていた雪子肉体の悠は、目をこすりながらゴロゴロしている千枝肉体の陽介を一喝した。
「早く起きろ! 起きたらすぐジュネスに行くぞ」
「……え? 何ソレ!?(で、なんで天城、男言葉なの……?)」
有無を言わさぬ勢いで支度を済ませ、まだ朝陽も昇ったばかりといった時間に二人は天城屋旅館を出た。
「ねぇねぇ雪子! どういうことなの? ねぇってばー!!」
陽介が女言葉で盛んに問うも、雪子肉体の悠は沈黙を守ってジュネスへ向かう。
開店前のジュネスの社員通用口近辺には、既に悠と陽介の姿があった。
「……あれぇ? 何で!?」
「はな……、いや天城と里中……!!」
千枝肉体の陽介、陽介肉体の千枝が二人して驚く。
一方、既に連絡を取り合っていた悠と雪子は、互いに目配せして頷き合った。
「うまく入れるの?」
雪子肉体の悠が陽介肉体の千枝に問いかける。
「あ、ああ~。何だかよく分かんないけど、悠がどうしてもって言うから、臨時通行証を3枚用意しといたよ(良かった~。前に花村に置き場所聞いといて!)」
「……じゃあ、行こう」
悠肉体の雪子がキリッと言い放つ。
陽介を先頭に、四人が社員通用口からジュネス館内へと入っていく。
そして、家電売場に着くと、大型テレビの前で立ち止まった。
「え? もしかして今からあっちの世界に行くワケ? ……な、何で?」
千枝肉体の陽介が問いかける。
「自分たちを取り戻すために……。さあ、行こう!」
雪子肉体の悠がそう言いながら、右手でモニターを触る。
と、触ったところから波紋が広がり、雪子の身体がテレビの世界に入っていく!
「二人とも続いて!」
悠肉体の雪子もテレビに溶け込みながら、陽介と千枝を促す。
不安げに顔を見合わせる陽介と千枝。
しかし、とにかく行くしかなさそうだ。
雪子の後を追い、二人は同時にテレビに入っていった!
* * * * *
花畑と化していたはずのテレビの世界は、何故か4ヶ所ほど地面がえぐれて荒れ地となっていた。
「な、何だアレ!?」
思わず素で驚いてしまう千枝肉体の陽介。
その疑問に、雪子肉体の悠が答える。
「あの四つの荒れ地は、俺たち四人のペルソナが正常ではなくなっている表れなのだ」
「……ペルソナ? お、俺たち?」
雪子の物言いに驚きを隠せない千枝肉体の陽介。
そして、陽介肉体の千枝も口をアングリさせている。
「もう隠してもしょうがないだろう。俺は肉体は天城雪子だが、心は鳴上悠だ。そして、この目の前の俺の肉体には、天城の心が入っている」
雪子肉体の悠の言葉に頷く、悠肉体の雪子。
「え、え、え、えええええ~~~~~!?」
同時に叫び声を上げて、互いに見つめ合う千枝肉体の陽介と陽介肉体の千枝。
「あなたたちも、入れ替わってたんでしょう?」
悠肉体の雪子が、陽介と千枝に語りかける。
ゴクリと生唾を飲んだ陽介と千枝。
「ど、どうしてそれを!?」
「ペルソナの力を管理する者が、昨夜俺に教えてくれた。四人の肉体と精神のバランスが崩れているせいで、今四つのペルソナが壊れかけていると。そして、元に戻すには、ここでペルソナを正常発動させればいいってな」
雪子肉体の悠が説明する。
「じゃ、じゃあ、ペルソナ出せたら、元に戻れるんだな!?」
千枝肉体の陽介が意気揚々と叫ぶ。
「ああ。そのはずだ」
応える雪子肉体の悠。
「……よし! じゃあ、みんな行くぞ! 精神を集中して、四人同時に自分のペルソナを発動させるんだ!!」
雪子肉体の悠の号令で、四人が手を前に出して合わせる。
そして目を閉じ、カッと見開いて四人同時に叫ぶ!
「「「「ペルソナ!!」」」」
四人の身体から魂が浮かび上がり、何かを形作ろうとしたがモヤモヤッと消えてしまう。
「ダメだ! まだ気持ちが一つになってない! もっと集中力を高めて!!」
雪子肉体の悠の言葉に、皆がさらに強く念を込めていく。
そして、陽介肉体の千枝が号令!
「……せ~のっ!」
「「「「ペルソナ!!」」」」
再び四人の身体から魂が浮かび上がり、それははっきりとイザナギ、スサノオ、スズカゴンゲン、アマテラスへと実体化した!
と、その瞬間、肉体と心のバランスも整理された!
自分の手を見て陽介が叫ぶ。
「も、戻った~~~!!」
千枝も、自らの身体をクルクルと見回して飛び上がる。
「やった! 戻った! 戻った!」
互いに抱き合い、喜びを分かち合う陽介と千枝。
そして、悠と雪子は黙って互いに見つめ合っていた。
「(……え? 何で? ……私の身体、鳴上君のまま……?)」
「(どういうことだ? 何故俺と天城は元に戻らん!? ペルソナは正常に発動したはずだぞ!?)」
「いやあ、良かったあ。一時はどうなることかと思ったぜ!」
「雪子! 良かったね!」
陽介と千枝が笑顔で近付いてくる。
内心冷や汗を掻きながら、悠と雪子は咄嗟に誤魔化した。
「……ああ、ホントに良かった」
「う、うん。これで安心ね!」
笑い合う四人。
しかし、次第に陽介と千枝の表情が引きつってくる。
「(……だが待てよ? ってことは、昨日俺とやったのは里中じゃなくて悠だったってことか! ……どうりで違和感なかったはずだ)」
「(……ええっ!? じゃあ、昨日の中身は鳴上君じゃなくて雪子だったってこと? カーーッ、恥ずかしい!!)」
その頃、ベルベットルームではこの様子を見たマーガレットが驚愕していた。
「なんてことでしょう。愚者と女教皇の精神バランスが偶然にも一致してしまっているわ。これは予想外の展開ね……」
そしてテレビの世界の四人は、ペルソナを引っ込めて今一度気持ちを落ち着かせた。
「よっしゃ! じゃあ元の世界に帰ろうぜ。開店したらまた厄介だから、早めに出とかなくっちゃ」
「そうね。じゃ、レッツゴー!」
陽介の提案に千枝が乗っかり戻ろうとするが、悠と雪子が立ち止まったままだ。
「ん? どうしたんだ? 悠」
陽介が悠に問いかける。
「……ん、あ、いや何でもない。そうだな、帰ろう」
苦笑いしながら、悠肉体の雪子が一歩前へ出る。
そして、雪子肉体の悠が目で語りかける。
「(仕方がない、今は戻ろう。事情は分からんが、きっと大丈夫だ。また明日二人で来よう。……それより、今晩もう一日、また珍しいパターンの体験ができるんじゃないか?)」
「(また明日だね。うん、大丈夫! ……鳴上君のその顔、今夜も入れ替わったまま楽しみたいってことね? フフフ、いいわよ。昨日とはまた違った楽しみが出来そう)」
わずかに口元を上げる、雪子肉体の悠と悠肉体の雪子。
二人の野望を、陽介と千枝が知るのは今夜か、果たして……。
(了)