花×主
足×主
※これまで積み上げてきたものを、足立によって全て崩されてしまった悠。
その悠にさらなる悲劇が舞い降りる!
そして、特捜隊の面々は!?
公判にて無罪判決が下った足立は、その日の内に留置場から釈放された。
約5年半の休職扱いの後、足立に言い渡された警察本部からの処分は、武蔵野署・生活安全課への配置転換だった。
世間を騒がせた張本人の異動としてはいささか甘く感じるが、物的証拠が何もない状態では重い処分も下しにくい。
しかし、判決文には「職務怠慢に関する是正」が項目として挙げられていた。
苦肉の策として、警察本部は足立に対して許認可や安全捜査の雑務をあてがうことにしたのだろう。
それにしても、左遷で地方から東京への配置転換というのは例がない。
もしかするとこれは、足立が新たにイザナミから与えられたペルソナ能力が何らかの影響を及ぼしているのかもしれなかった。
一方、見も知らぬ青年裁判員の精神に介入した結果、その青年を精神異常に追い込み、さらには足立に犯されたという現実を受け入れたことでしばらく茫然自失となっていた悠は、何とか立ち直って出社できるまでになっていた。
足立裁判以後、一週間ほど風邪の名目で出社せずにいたが、まだ新入社員の分際。
さすがに有休の前借りもこれ以上できず、悠は虚ろな目のまま社会復帰した。
* * * * *
日の暮れかけた頃、久々の出勤で疲れ果てた悠が三鷹駅へと歩く。
と、後ろから突然声をかけられた。
「……悠君! 悠君じゃないか!」
悠が振り向いたその眼前には、足立透が立っていた。
「あ……、足立…さん……!!」
足立の姿に動揺する悠。
そして足立は……、ニヤリと笑っていた。
駅前の古めかしい喫茶店で向かい合う悠と足立。
ガタガタと震える手でコーヒーカップを掴む悠。
その悠の表情を、足立は注意深く見つめている。
そして……、徐に足立が口を開く。
「いやあ、参ったよね~。釈放されたと思ったらす~ぐに呼び出し。まあ色々あったからさあ、僕もクビなんだろーなーって思ってたのよ。でもビックリだよ。武蔵野署に異動だってんだからね」
にやつきながらコーヒーをすする足立。
「まあでも、よく考えたらクビにするわけにはいかないよね~。無実が証明されちゃって、職務怠慢がどーとかいう話になってたけど、僕一人の問題じゃ済まないからね。そこ認めちゃったら稲羽署全体の問題になっちゃうから、大事には出来なかったんだろうね。……結局、逆に目の届くところに置いとくしかなかったと。ああ、仕事は雑用ばっかりだけどね。……っと、ゴメンゴメン、僕ばっかり喋って。君はどうなの? その後。あ、会社って、この辺?」
「……すぐ先の、商社です」
「へぇ~、じゃあ職場がご近所ってことかあ。そりゃあ……、いいね」
意味ありげにニタつく足立。
悠は……、緊張した面持ちで俯いている。
「悠君。僕を……、恨んでるかい?」
「い……、いえ、それは……」
「じゃあ、もう僕の身体が……、恋しくなってきたかい?」
「な……!!」
足立の言葉に思わずテーブルを叩く悠。
コーヒーカップが音を立てて揺れ動く。
冷や汗を流す悠をジッと見つめながら、足立は名刺入れから自分の名刺を一枚出して、その裏側に何やらメモる。
そして、その名刺を悠の手元へそっと置いた。
「こっちに来て、周りの空気も悪しい仕事も窓際。僕、寂しいんだよね~」
足立は、そう言って立ち上がり、スッとレシートを取って一人レジの方へと歩いていった。
足立の名刺を手に取り、ジっと見つめる悠。
一瞬破りかけ……、またその手を緩める。
悠の中で交錯する、足立への複雑な思い……。
* * * * *
自宅マンションへ戻ると、そのままバタンとベッドに倒れ込む悠。
悠の脳裏に、足立の顔が、身体が、そしてあの生々しい記憶が甦る。
そして、自らのペルソナ能力の暴走によって精神介入してしまった見も知らぬ青年。
その青年がその後発狂し、今も精神病院の中だという事実が頭の中をグルグルと回る。
「う……、うわああああ、うわあああああああああ!!」
頭を抱えて唸る悠。
と、悠の身体がジワッと発光し、首筋から愚者のカードが浮かび上がってきた!
そして、真っ暗なテレビモニターがザザッと乱れたかと思うと、うっすらと足立の顔が……!!
しかし、ベッドの上で丸くなって震えたままの悠はこれに気付かない。
テレビの中の足立は、自分のカードを持った手をモニターから出し、その先から黒い光を放つ!
それは一直線に悠の首筋目がけて伸び、悠のカードを黒く包み込む。
そのまま悠の首へと吸い込まれていく真っ黒なカード。
そして、足立はニヤリとした表情のままスウーッとテレビの奥へと消えていった……。
* * * * *
翌朝、悠は晴れ晴れとした表情で出社した。
「おはようございます!」
上司や先輩たちに快活に挨拶しながら自分のデスクへと向かう悠。
その間、同じセクションの同期女性社員数名に巧みにウィンクして廻る。
悠のセクシャル・ビームに朝からジュンとなる女性社員たち。
ここ数日の鬱加減を吹き飛ばすように、実にアグレッシブな仕事ぶりを見せる悠。
周囲の目を盗み、コピー機の陰で1年先輩のグラマラス社員にそっと口づける大胆さも発揮。
当然昼休みには、同期の女性を捕まえて社用車の中で大胆なカーセックス。
今ふたたび、現代に甦ったイザナギの如く悠は猛り狂っていた。
同時刻、八十稲羽の駅では、もう一人の悠が小さなバッグを持って汽車から降り立った。
偶然休日を取っていた陽介が、悠に走り寄る。
「悠ーーーっ!」
陽介を見るなり、バッグを落として抱き付いていく悠。
「……とと! おい、悠。どしたんだ?」
「陽介! 陽介! ……俺の陽介!!」
いつもクールな悠がこれほど感情を露にするのは珍しい。
しかし、逆にいつもリードされっ放しの陽介とすればこういうシチュエーションは嬉しいもの。
素直に悠をギュッと抱き返していった。
「……でも、どうしたんだよ急に。会社、大丈夫なのか?」
「ああ、大丈夫だ。休暇を取った」
「休暇って……、お前こないだ有休一週間も前借りしたばっかじゃねーか!? ホントに大丈夫なのか?」
と、スッと身体を引いた悠は、陽介の唇をもう言うな!とばかりにキスで塞いだ。
「……んん! ……はう……う……」
長い口づけ。
田舎町で人っ子一人いない駅だからこそ出来るこの芸当。
さらに悠は、キスの嵐で硬化した陽介の股間に手を伸ばす。
「ん……、ちょ、待っ……」
陽介の制止を振り切り、悠はジーンズのジッパーを下ろして陽ペニを露出させる。
「ダ、ダメだって……こんなとこで……、悠!」
「我慢……、我慢できないんだ、陽介!」
息の荒い悠。
頬がかなり火照っている。
「……分かった。分かったから、せめて向こうの陰で……」
二人は揉み合いながら駅のホームから建物の陰へと移動。
そして、さらにキスを繰り返しながら互いの股間をまさぐる。
美しく屹立した陽ペニ。
そして悠のダイヤモンドは、今にもスラックスを突き破りそうな勢いだ。
悠が静かにしゃがんで陽ペニをその眼前に持ってくる。
張りのある美しい亀頭部分は、フルーツのような瑞々しさを感じさせ、その先端にはフレッシュな果実液が滲み出てきていた。
陽ペニの美しさにうっとりと頬を赤らめた悠は、ゆっくりとその亀頭に滲む果実液を舐め上げる。
「う……、ああ」
陽介が悠の両肩を力強く握る。
そして悠は、その最上級の果実を唇に預けていく……。
同日午後5時半、さらにもう一人の悠は三鷹駅前の喫茶店にいた。
深刻な表情、そして何か落ち着かない様子だ。
カランコロン♪
古風なドアチャイムの音色が店内に響き、足立が軽やかな足取りで入ってきた。
「いやあ、待たせちゃったね」
悠の正面に腰を下ろす足立、ウェイトレスにアイスコーヒーを注文する。
「はは、窓際族もいいもんだね。毎日キッチリ定時で上がれるし、誰も文句言わない。今の僕にはピッタリの職場かも。……これもある意味悠君、君のおかげかな?」
意味ありげにニヤリと笑う足立。
悠は何も言わず、冷や汗をかきながらホットコーヒーをすする。
「で? ここに来たってことは、僕の要求を受け入れる気になったってことだね?」
足立の言葉に、唇を噛み締めながら頷く悠。
「フフ、結構結構……。んで、休暇は何日取ったの?」
「……三日です」
「三日かあ。まあ、とりあえず三日もあれば十分かな。君の資質なら……」
不気味な笑顔の足立、アイスコーヒーを勢いよくストローで吸い上げる。
「そ……、それで、俺は救われるんですね!?」
「ん~、そうだね。少なくとも悩むことなんかなくなるよ? それでいいじゃない。人生、楽しく過ごさなくっちゃ!」
一気にアイスコーヒーを飲みほした足立が、スックと立ち上がる。
「じゃ、早速行こうか」
足立がレシートを掴んで歩き出す。
その後ろを、悠はすがるような眼をして追っていった……。
足立が住むワンルームマンションへ、悠は足を踏み入れた。
着替えが入った小さなバッグを隅に置き、所在無げに立ちすくむ。
「どうしたんだい? 遠慮せずに座りなよ」
足立が中央のソファーへ座るよう促す。
重い足取りで、悠がそれに従ってソファーに沈み込む。
同じ時刻、悠の勤める会社では一人目の悠がロッカー室で同僚の女性社員をファックしていた。
八十稲羽では、二人目の悠が陽介の腕の中で眠っていた。
そしてここ足立の部屋では、三人目の悠が鳴り止まぬ心臓の鼓動と戦っていた。
そう。
悠は今、三人の悠に分裂しているのだ。
昨晩、足立がテレビの中からアルカナのカードを通して悠に何かのエネルギーを注入したせいなのか?
それとも、悠の巨大なペルソナ能力がまたしても思わぬ方向に暴走してしまった結果なのか?
真相は分からないが、ともかく悠の実体が三人になっているということは事実のようだ。
神妙な面持ちの悠の目の前に、足立が立つ。
「お腹、減ったかい?」
「……いえ、まだ」
「そっか。じゃあ、ワンプレイしてから何か食べに行くか」
足立はそう言って、自ら下半身のジッパーを下ろし、徐にそのイチモツを露出させた。
「食前酒だ」
フェラを強要された悠、若干震えながらも足立のジュニアを右手で掴み、ゆっくりと動かしながら口を開く。
足立の特徴なくごく平均的な長さ太さを持つペニスを、唇で優しく包み込む悠。
そして次第に、ストロークのスピードを速めていく。
「おお……、いいねぇ、実にいい」
無心に足立のペニスを頬張る悠。
いや、正確には無心になろうとしている必死の精神状態だった。
足立はかつての敵。
しかし憎しみはない。
償ってほしいと心から願い、いつもどこかで気にかけていた存在。
だからこそ、巨大化した自身のペルソナ能力の暴走で足立と共有した精神世界に入ってしまい、そして結果的に犯された。
ジゴロと呼ばれ、大学時代には女100人斬りを果たし、陽介との愛に目覚め、一方では直斗にも惚れ込み、ついには捜査隊の仲間全員とセックスを経験し、変態仲間のリーダーとしても自他ともに認める存在となっていた悠。
そんな悠が、何の罪もない青年裁判員を心の闇に突き落とし、足立におもちゃのように弄ばれた。
心に深い傷を負い、そして気持ちとは裏腹に足立のファックに感じてしまった肉体。
その入り乱れた精神を、足立は救ってくれると言う。
どんな方法で?
しばらく休みを取り、その間足立のマンションで過ごし、足立の命令に全て従う。
要求はそれだけだった。
それで地に堕ちた心が救われると言うのか?
しかし、完全な精神薄弱に陥っていた悠に、これを断る力は残っていなかった。
足立からのメールに即座に応え、今こうして足立のペニスを悠は貪っている。
これで、本当に救われるというのだろうか?
「……んむ! イ、イクイク!」
軽く腰を動かしながら、足立が悠の口中で果てる。
「飲むんだ」
足立に促され、そのほろ白濁ジュースをゴクリと飲み込む。
陽介と違い、サラッとした舌触りだ。
この辺り、肉好きと野菜好きの違いが表れているのか。
「ふう……」
悠の口から自らのイチモツを抜き取り、そのままソファーに座り込む足立。
「……さあ、まずは第一段階だ。僕のエネルギーを入れてあげたよ。どうだい? 何か感じる?」
「少し……落ち着いてきた気が……します」
それは偽りでも気のせいでもなかった。
足立の精液を飲んだ瞬間、身体の震えが止まり、心臓の鼓動が落ち着きを取り戻した。
単に緊張がほぐれただけなのか、それとも足立の精液に本当に特殊なエネルギーが含まれているのか。
いずれにしても、悠は足立の半軟禁状態を受け入れた。
その先には、果たして何が待っているというのか……。
* * * * *
一人目の悠は、ますますセクシャル・エンジン全開となっていた。
今日は外交の生保レディと意気投合し、いや、正確には悠のフェロモンに落とされたレディがその身を委ね、パーテーションに囲まれた商談ブースでその体躯を密着させていた。
「もう少し詳しく、聞かせていただけますか?」
悠がレディの耳元で囁きながらその太腿を優しくさする。
「……はい。ではこの資料をご覧ください」
自ら胸ボタンを外し、黒いブラに包まれた双子山を露にするレディ。
「ほう、なるほど。人生山あり谷あり。それに備える、というわけですね」
ブラのフロントホックを外し、白き丘陵に指を這わせていく悠。
「あ……。そ、そうですね。私どものプランでは、ポイントを踏まえた保障をお約束しております」
双子山のポイントを指でつまみ、コリコリと刺激していく悠。
そして、素早い動きで上半身を傾け、そのサーモンピンクの突起物を舌で転がす。
「う……。ど、どうですか?」
「……ふ、……んん、いいですね。絶好のポイントですよこれは。……で、この辺りはどうなってるんですか?」
そう言いながら、悠はレディの短いスカートの下から右手を這わせ、パンティの上から割れ目を触診する。
「あ……、そこですか。そこは……、潤いを忘れない……仕組みになっています」
「潤いですか……。それは大事ですね。どれ……」
パンティのサイドから指を侵入させ、レディの秘部を生触診する悠。
「いい……感じでしょ? では、貴方のご要望も見せていただきましょうか」
そう言ったレディは悠の御用棒をまさぐり、静かにジッパーを下ろしていく。
「うまく、御社のプランに合えばいいのですが……」
悠の言葉に艶めかしい笑顔で応え、レディは生身の悠ダイヤを引っ張り出す。
「まあ、なんて硬いご決心でしょう。これなら……」
二、三度悠のポールをしごいたかと思うと、レディはメインディッシュを食らうが如くそのダイヤモンドを口に含む。
「……ありがとうございます。とてもいい……ご提案ですね」
悠の下半身でレディの首が上下に動く。
「はふ……、はふ……」
「ん……、んんん……」
状況的に短時間勝負ということもあり、悠は手早く脳内で射精信号を出した。
「…………!!」
レディの口内に悠のエキスが充満する。
そしてひと呼吸置き、その喉から体内へと悠のエキスが流れ込んでいった。
「……概要は、理解できました。では今晩にでも、詳細を詰めましょうか」
悠の言葉にレディは身体を起こし、一つ舌なめずりをして応える。
「承知致しました。それではこの方向でプランを仕上げて参りますので、今夜よろしくお願いします」
身なりを整えたレディ、スクッと立ち上がると悠に深々と礼。
商談ブースから出てくる二人。
生保レディは再度礼をすると、実に良い姿勢で退室していった。
その後ろ姿を見ながら僅かに口元を上げた悠、振り返り、自身のデスクへと戻っていった。
その導線途中にデスクがある同期の女性社員に、昼休みの車中同行についてメモを渡すことも怠らない。
性の権化となった一人目の悠は、もはやブレーキの壊れたダンプカーと化していた……。
* * * * *
一方、陽介宅に転がり込んでいる二人目の悠は、珍しく陽介に甘えっきりだった。
今回はお忍びのため、他の仲間はもとより、遼太郎や菜々子にも連絡していない。
陽介も合わせて休みを取ってくれたので、時折職場の様子を見に陽介が出社する時間以外、悠はほぼ全て陽介のベッドで過ごしていた。
昼下がり、定例会議のため少し会社に顔を出していた陽介が帰ってきた。
「ただいま~。あれ? 悠、まだ寝てんのか?」
「……陽介!」
ガバッと上半身を起こす悠。
鞄を椅子にかけ、悠のいるベッドに陽介も座り込む。
「悠……」
そして、甘いキスひとつ。
「陽介……、来て」
「ちょ、ええっ!? 今朝やったばっかだぞ? ……ったく、しょうがねぇなあ」
悠の懇願に悪い気はしない陽介、シャツとスラックスを脱いでベッドに入る。
もちろん悠は、全身何も纏わずに掛け布団にくるまっていた。
悠の隣で横になる陽介。
その陽介に抱きつき、首筋を舐め上げていく悠。
「……あ、俺帰ってきたばっかだから、ちょっと汗ばんでるぞ?」
「うん……、陽介の汗の匂い……好き」
相変わらず甘えた声を出す悠。
一体、これまでのクールさはどこへ行ったのか。
「何か調子狂うな……。ま、いいか」
陽介も負けじと悠の全身を舐めまくる。
ベッドの上で縺れ合う二人の身体。
時折、2本の矢が天を向いたり地を這ったりしながら、互いにそれを掴んで頬張ったりする。
悠のダイヤモンドは相変わらず地上最高の硬さを誇っている。
そして陽ペニは、世界の全てを凌駕する美しさを保っている。
この2本の棒が織り成すハーモニーは、恐らくどんな芸術作品でもその境地には及ばない。
硬きモノと美しきモノ。
その二つの宝が交じり合う時、世界は眩い輝きに包まれる!
「……陽介が……、ほしい」
美しきモノを欲する悠。
「よし。じゃあ……行くぞ」
悠のアヌスにローションをしたため、世界で一番美しいモノが洞窟侵入を開始する!
「お……、おふ! おふ!」
陽介がバックで悠を攻め立てる!
「ど…う…だ! この! この!」
「う……、あふ! あふ!」
腰を動かしながら、陽介は悠のダイヤモンドに手を伸ばし、激しくしごく!
「ふぐ! ふぐ! ふぐ! ふぐ!」
「はひ! はひ! はひ! はひ!」
「あ……!!」
陽介が悠の中でブチまけた瞬間、悠のダイヤモンドも超・ホワイト・ラッシュ!
ともに果てた二人、そのままベッドの上にへたり込む。
「はあ……、はあ……」
快感の余韻吐息を漏らす悠。
その横で、陽介はシーツに弾け飛んだ悠のミルクを眺める。
「……ん、なんかちょっと……薄いかな? いつもの1/3くらい……」
* * * * *
夜6時、足立がマンションに帰ってきた。
「はーい、悠君。戻ったよ~」
「……おかえりなさい」
三人目の悠が、足立のために夕飯の支度をしていた。
「ふーん……。だいぶ、効いてきたね」
ポツリと呟くと、足立はジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩めてリビングの椅子に腰掛けた。
「お待たせしました」
悠が、テーブルに缶ビールとカレーライスを持ってくる。
「ああ、ありがと」
ビールをプシュッと開栓し、ゴクリとひと飲みする足立。
悠も同様にビールから。
「……ぷっはあ~。いやあ、やっぱり仕事終わりの一杯は格別だねぇ。……ま、仕事と言っても、大したことしてないんだけどね」
「生活安全課って、大変なんじゃないんですか?」
「ああ、もちろん大変な人はいるよ? でも僕はあくまで窓際。窓際は窓際らしくしてなくっちゃあ」
そう言いながら、カレーを食べ始める足立。
「……それで、足立さんはいいんですか?」
「もぐもぐ……。ん~、良くないって言えば良くないかもしれないけど……、仕方ないじゃない? あんなことがあって左遷された僕だよ? 警察としてもまともなポストにつけるわけにはいかないし、周りの奴らも関わりたくないと思ってる。そんな状況で無理したって同じだからね。な~んにも変わんないよ」
「……それも……そうですね」
納得した悠もカレーを食べ始める。
ニヤリと笑った足立、さらに悠に問いかけていく。
「前にも言ったけど、人間ってのは根本的に楽して生きたいんだよ。無理して苦しい思いしたって、ストレス溜まるだけでいいことなんか何にもない。リラックスしてんのが一番よ」
「リラックス……ですか」
「そう。苦労は買ってでもしろとか言うけど、あんなのは詭弁さ。そんなの無駄遣いだよ。ある程度頑張ったら、その先なんて見えてくる。そしたら適度に力入れたり抜いたりして、苦労しないで渡り歩いてく。そーいうもんだよ、世の中」
「……じゃあ、頑張っても何も見えない人は、どうするんですか?」
「はは。そういう人はね、先のない人なんだよ。……ん、そもそもホントはね、見えない人なんていないんだ。ちょっと真面目な話になるけど、少し頑張って少し結果を出すなんて誰でもできるんだ。それをしないのは、ただ逃げてるだけ。これ分かる? 苦労しないってのと最初から逃げるのとは、全然種類が違うんだよ」
「種類が……違う?」
「うん。苦労ってのは余計な時間を食うことだ。でも、苦労までしなくても、人間ってのはある程度それなりにやれば、それなりのところまでは行ける。そこまででいいんだよ。それ以上無理して進むのは、周りとの軋轢も生むし、何より精神が蝕まれる。そんな余計なことはしない方が得策なのさ。でも、それなりのことからも逃げちゃえば、それこそ生きる意味すらなくしちゃうんだよ」
スプーンを振りながら自説を展開する足立。
「……でも、前に足立さん言ってましたよね。絶望したら何も考えなくて済む。それが一番楽な生き方だって」
「ああ。あの、2回目に君たちに倒された時ね。あの時は僕もミズハノメそのものだったし、闇を生むためにはそう思い込む必要があったんだ。でも思い直した。人間は何もできないわけじゃない。ダメージ受けない程度の努力は、やっぱりやっといた方がいいんじゃないかなって。ちょっぴり努力して出来ることだけやって、周りに合わせて平穏無事に過ごしてく。それが人間の本質。そう、僕が人間そのものなんだよ?」
「だから人類代表ってことで、イザナミに……」
「選ばれてまた力を得た。……今回君を呼んだのは、別に僕の力を誇示したかったからじゃない。君に、楽になってほしかったんだ。もちろん、お楽しみも込みでね。フフ……」
カレーをたいらげ、冷蔵庫から二本目のビールを取り出す足立。
一方、悠は頭を抱え出す。
「……わ、分からない。足立さんの言うことは正しいとは思える。……でも何かが引っ掛かる。何かが……!!」
悩む悠を背後で見つめつつ、足立がそっと呟く。
「……まだ、足りないな」
* * * * *
変わって場所は、東京・特殊科学捜査研究所の一室。
書類に目を通していた直斗に一本の電話が入る。
「はい、白鐘です。……あ、花村先輩!」
「直斗! すまねー、仕事中」
「いえ。どうかしましたか?」
「ああ。……実は、今悠が俺ンチに来てるんだが、どうも様子がおかしいんだ」
「鳴上先輩が? ……それってもしや、また能力の暴走ってことじゃあ……」
「いや、分かんねー。分かんねーから、お前の助けが欲しいんだ。俺一人じゃあ……」
自宅を出たところで携帯で話す陽介、そう言いながら二階の自室を見上げる。
そこでは、悠が幸せそうな顔でスヤスヤと眠っている。
「……分かりました。出来るだけ早くそっちへ向かいます」
「ホントすまね! 頼むぜぇ~」
電話を切った直斗、しばし考え込んだかと思うと、デスクを手早く整理して外出準備を始める……。
* * * * *
外せない仕事が入ったと悠に言い残し、陽介は直斗と約束した場所へと向かった。
「花村先輩!」
直斗の声。
女性風体にはなっているが、帽子を深く被って探偵風にキメた直斗がはるばる八十稲羽までやって来た。
「すまない。こんなとこまで呼び出して……」
「何言ってるんですか。仲間のピンチにはどこへでも駆けつける。いつも花村先輩が言ってることですよ!」
ニコッと笑って陽介を見上げる直斗。
「あ、ありがとう」
「……で、早速ですが、鳴上先輩の様子は……?」
「あ、ああ。メールでも伝えたように、来た時からずっと妙な感じなんだ」
「いつもはクールに攻めてくる先輩が、何故か受けに回るばかりでベッタリと甘えてくる……」
「お……おい、ストレートになったな。照れるじゃんか!」
「フフ……、もうお二人の関係は周知の事実で、誰もが祝福してますから。……でも、問題はそれだけじゃないんですよね?」
「そ、そうなんだ! さすがにこれ以上休むのはマズいんじゃないかと思って、こっそり悠の会社に電話してみたんだよ。そしたら悠のヤツ、ちゃんと毎日出勤してるって言うんだよ! それもスゲー調子いいみたいで、どんどん仕事も進んで助かるって、上司の人がすこぶる機嫌いいんだ」
「つまり……、鳴上先輩がこの世に二人いることになる……と」
「そうなんだ。そんなことが……あり得るのか?」
陽介の表情が曇る。
「……普通はあり得ませんが、鳴上先輩はかつて蛇のシャドウと同化してしまった例もあります。並外れたペルソナ能力が思わぬ事態を招く。そういう事例が過去にある以上、絶対ないとは言い切れない」
「ペルソナは精神のエネルギー。だから、心が不安定になると、悠ほどの力を持っていれば逆に悪い方向へも行っちまうってことか……」
「……あの裁判以来、鳴上先輩は元気がなかったと聞いていましたが?」
「ああ。一週間くらい会社も休んでたみたいだ。何言っても生返事だったし、絶対なんかあったと思うんだが……」
「花村先輩にも話せないこと……。それはよほどの事情ですね。恐らく、それが今回の事件の原因……」
「……原因はやっぱ、アイツ……だよな?」
陽介の言葉に、直斗は帽子の鍔をつまみながら頷く。
「足立さん……ですね」
「アイツは今、どこにいんだ?」
「堂島さんに聞いたところでは、武蔵野署へ異動になったってことです」
「武蔵野署? やっぱり解雇じゃなかったんだ……」
「ええ。裁判の結果が無罪。おまけに警察機構としての不手際まで指摘された形となれば……、無茶な処分はできない。せいぜい窓際族への異動が限度でしょうね」
「……やっぱり、あの野郎を締め上げるしかねーか」
「手掛かりが何もない以上……、それしかありませんね」
「よし! 行くぜ直斗!!」
意気揚々と腕を突き上げる陽介。
と、陽介の携帯電話が鳴る。
「ん? ……はいもしもし? ……さ、里中!?」
「水臭いじゃん? 花村ぁ~!」
「え? な、何で!?」
千枝からの電話に驚く陽介。
横で笑顔になる直斗。
「僕が、連絡しておきました。……仲間ですからね」
「花村! 東京行くんだったら、私も行くからね!」
「で、でも里中……、お前今、大事な時だろーが! 警察学校の方は……」
「合格しちゃえばこっちのもんよ! ……あ!」
電話口の向こうで、バタバタと物音が。
「花村君! 私も行くから!」
「……あ、天城!!」
と、今度は直斗の携帯電話が鳴る。
「……はい。白鐘です」
「直斗君! おっまたせ~~~!! みんなのアイドル、りせちーだよ~!」
直斗が、含み笑いしながら陽介に告げる。
「久慈川さんです」
「……直斗」
「ドラマの収録終わったからさ~、しばらくオフなんだ! 私も行くよ! 悠センパイのピンチは私が救っちゃうんだから! ああ、そうそう。完二も大丈夫だって!」
「分かりました。ありがとう」
携帯電話片手に、力強く拳を合わせる陽介と直斗。
その眼は、ともに使命感に満ち満ちて光輝いていた……。
* * * * *
午前2時、足立のマンション。
ベッドの上では、行為が済んで全裸のまま眠る悠。
そして傍らには、半裸の足立が厳しい表情で座っている。
「未来を変える力……か。……そんなものは、ありはしない」
(続)