雪×主
※女装の本質を追求する悠、それに協力するのはもちろん同じパルスの雪子だ!
「鳴上、お前は女装の本質が分かってないな」
「……何っ!?」
長瀬の言葉にギョッとする悠。
「お前の女装は確かにキレイだった。しかしな、あれは女が憧れるキレイさだ。女装とは、やはり男が惚れてしまうものでないといけない」
「ちょっと待て。お前、確か女が苦手だったはずじゃあ……」
「さすがに社会に出ちまえばそうもいかんだろう。……ま、お前のように得意とまではいかんが、それなりに好きにはなってきた」
街角のコーヒーショップで話す悠と長瀬。
悠より四年先に社会人になった長瀬は、今年から偶然悠の会社と取引先関係になった。
そして、二社の合同忘年会が先頃行われ、その際、余興で悠が女装を披露したのだ。
元々、社内の女性は手当たり次第に食っていた悠だけに、女装姿はOLたちには大ウケだった。
もちろん、男性社員たちの喝采も浴びたが、それはあくまでノリの域を超えないものだったのだ。
それが、長瀬に言わせれば『男が惚れるタイプではない』ということらしい。
「そうか……。そうなのか……」
長瀬の指摘に真剣に考え込む悠。
「おいおい! お前マジだな、相変わらず……」
「当然だ。いついかなる時でも、俺は全力がモットーだからな」
「なら、せめて俺が惚れるくらいの女装をしてもらいたいもんだな。ハハ……」
そう言ってコーヒーを飲み干す長瀬。
「……どうすればいいんだろう?」
「ん~、俺が言うのも何だが、やっぱり女らしい女から学ぶのが一番じゃねーのか?」
「女らしい女……か」
考え込む悠。
そして、やはり頭に浮かぶのは雪子であった。
* * * * *
「……というわけで、俺に女らしさの指南をしてくれ」
そう言いながら、雪子に深々と頭を下げる悠。
「えっと……、そう言われても、何をすればいいの?」
困惑する雪子。
「俺の身近で女らしい女と言えばお前が一番だと思う。……頼む! 俺に、女の全てを教えてくれ!!」
悠の真剣な眼差しに、雪子も覚悟を決めた。
「分かった。じゃあ、私の知っていること全てを伝える!」
休暇を取って天城屋旅館に数日間部屋を取った悠は、その日から雪子の教えを乞う形となった。
「じゃあまずは、たとえ短期間でも女性ホルモンを増やすことは必須ね」
「そ……そんなことが出来るのか?」
「目に見えては無理よ。でも、女らしさを求めるなら、身体の根幹を少しでも変えておくに越したことはない。……ひとまず、毎日これを飲んで」
そう言って、雪子は悠にサプリメントの袋を手渡す。
「……これは?」
「女性ホルモンの源はエストロゲン。その要素が多く入った有効なサプリよ。……これ高いんだけど、鳴上君になら……惜しくない」
少し照れた表情になる雪子。
その赤みがかった顔に、悠は早速雪子の女らしさを垣間見た。
これだ!
これを学ばねば……!!
「それ飲んだら、今日はまず着物の着方と歩き方についてをやりましょう。カリキュラムはこんな感じで……」
懐から一枚の紙を出して悠に手渡す雪子。
そこには、着物の着付け、化粧の仕方、立ち振る舞い、言葉遣い、茶道、華道、裁縫、洗濯、アイロンかけ、ベッドメイクに至るまで、詳細なスケジュールが書き込まれていた。
ただ、料理の項目だけはなかったが、そこはそっとしておく悠だった。
「あ、そうそう! 女らしさはやっぱり身体のラインも重要だわ。上半身はどうしようもないところだけど、下半身は形で誤魔化せるかも」
「形で?」
「そう。男の人の目は、やっぱり自然とヒップラインに行くもの。ホントはフンワリとした脂肪を付けるべきだけど、それは無理なので、服の上からでもラインを意識させられるように筋肉を付けよう」
「なるほど」
「じゃ、足腰鍛えるメニューも付け加えるね」
そう言いながら、雪子は筋トレの時間をさらにカリキュラムに付け加えた。
そして始まった雪子の猛特訓!
着物は、着付け以前に畳み方から難しい。
さらには歩き方や身体の曲げ方などが独特で、これによって女らしい動きそのものが身に付いていく。
化粧は、出来るだけ自然な色白さを演出する方法が好ましい。
天城屋伝統の化粧術を、悠は会得した。
立ち振る舞いは、やはり大和撫子的な雰囲気がポイントだ。
ニッコリとした笑顔、何気なしに目を見つめる、髪を掻き上げる、アンニュイで若干ガードが緩いムード、しゃがんだ時にスカートを気にする恥じらい、相手の服を少しだけつまむ、前かがみで質問、下着の位置調整をするなど、男がドキリとする仕草を悠はじっくりと学んだ。
言葉遣いも、立ち振る舞いと同様に奥ゆかしさがポイントだ。
丁寧過ぎず、と言ってフレンドリー過ぎず、常に一歩引きつつ相手に甘えるような話しぶり。
ただ、小声で笑うようなしとやかさは、雪子自身もともに特訓していった。
茶道・華道は一朝一夕に会得できるものではないが、その一挙手一投足がキビキビとした女らしさを磨く。
この辺りは筋のいい悠だけに、雪子が求める女性独自の毅然とした姿勢を確実にモノにしていった。
裁縫は完二のテリトリーだが、雪子も出来ないわけではない。
ポイントは作る物ではなく、作っている時の表情と仕草なのだ。
ここに男を想う女の気持ちが反映されることを知り、悠は目から鱗が落ちる思いだった。
洗濯も、裁縫同様その仕草が命だ。
愛する男のために真っ白に洗い上げる、そのために汗をかく、そういう姿が女らしさを呼び起こすのだ。
その他、アイロンかけやベッドメイク、飲食マナーや周囲への気配り、整理整頓に基づく美意識の習得など、女の全てを雪子は悠に叩き込んでいった。
* * * * *
数日後、悠は新たなる女体像をその身に纏い、雪子の前に立ちはだかった。
長めのウィグに自然な薄化粧、パッドで膨らみを演出した上半身は白いブラウスに赤のカーディガン、下半身はフレアーがキュートなピンクのスカートでもちろん美しく剃毛した生足。
それは、今までの見かけだけの女装ではなく、内面から女らしさが滲み出る見事な変身であった。
「うん! 完璧よ、鳴上君!!」
悠の変わりっぷりに、思わずサムズアップする雪子。
「あ……ありがとう。……それはそうと、天城、お前まで何なんだ? その恰好は……」
そう。
雪子は逆に、纏め上げた髪に短いウィグを付け、胸に晒を巻きクールなダークグレーのスーツに身を包んでいた。
「いや……、その、私が男性目線にならないと分からないから、気持ち入れるためにちょっと……ね!」
外見的に男女が入れ替わったような悠と雪子。
それは見事なカップル像を演出していた。
「じゃ、ちょっと旅館の中を歩いてみよっか」
「えっ!? 大丈夫なのか? そんなことして……」
「大丈夫よ。鳴上君、とってもかわいいもん!」
そう言って悠の手を取る雪子。
心配なのは寧ろお前だと言いたい悠であったが、雪子にそうした理論が通じないことも承知していた。
腕を組んで旅館内を闊歩する雪子と悠。
雪子がシークレットブーツを履くことで、二人の身長差はうまく釣り合っていた。
まるでファッション・モデルのような二人の姿は、すれ違う様々な宿泊客の目を虜にした。
そして、グルリと旅館内をひと回りした二人は、悠の部屋へと戻る。
「……さて、と。じゃあ、最後の仕上げにかかる?」
「仕上げ?」
男装の雪子が女装の悠に密接し、その愛らしい顎を右手でクイッと持ち上げる。
そして麗しのキス。
無言のままキスを続ける二人。
それは次第に舌を絡め合うディープさを加えていき、雪子の手は悠の疑似長髪を掻き上げながら悠の両頬を優しく包み込んでいく。
そして、次第にその両手はスルスルと南下し、悠の首筋から胸元へと文字を書くようにつたっていく。
「……!!」
思わず感じる悠。
一瞬、雪子が唇を離して囁く。
「女らしさが本当に身に付いたかどうか……、これが卒業試験よ」
再び悠の唇を奪った雪子は、そのまま仲居が敷いておいたであろう布団の上へ悠を押し倒した!
上になった雪子は、自分のジャケットを脱ぐと、悠の着ていたカーディガンを剥ぎながら素早くブラウスのボタンも外していく。
完全に雪子は男目線で悠を抱きにいっている。
「(……むう! これはまたとない倒錯体験かもしれない。ここは一つ、天城に身を任せてみるか……)」
覚悟を決めた悠もまた、女性目線で雪子に抱かれるモードに入った。
悠の胸をはだけさせた雪子は、ブラとパッドを外して悠の乳首へと唇を移動させる。
雪子の艶やかな唇と滑らかな舌先が悠の乳首を攻める。
それはまさに、男が女に対して胸を愛撫するかの如く、ワイルドかつマイルドな攻撃であった。
「ああ……、うっ……」
次第に悠の股間へと右手を這わせる雪子。
スカートの下から黒いショーツに手を伸ばすと、既に硬いピラミッドが形成されていた。
しばらくそのピラミッドを揉みしだくと、雪子はスマートにピンクのスカートを脱がせ、レースのショーツも剥ぎ取る。
と、ピンと真上にそそり立つ悠のダイヤモンド・ポール!
長い髪が布団の上に流れ、キュートなブラウスとカーディガンを羽織ったままの悠の股間に、何故か棒状の突起物が生えている。
その不自然さに雪子は興奮度を増し、ダイヤモンドを頬張りながら自らベルトを外してスラックスを脱いでいく。
そして、ダイヤモンドを咥えたまま、雪子は器用に百八十度身体を回転させ、自らの股間を悠の顔上へと持っていった。
女性風体の身体から生えたポールを男性風体の唇がストロークする。
一方では、女性風体の舌が男性風体の花園を舐め回す。
この倒錯状景は、とびきり奇妙で艶めかしい絵画となっていた。
逆転的なシックスナインが落ち着くと、徐に雪子は立ち上がり、いつの間にか用意していた極太のペニスバンドを腰に装着した!
「……さあ、行くわよ」
猛獣の目つきとなった雪子は、悠の両太腿を持ち上げて、既にローションまみれになっている疑似雪ペニをその菊門へと押し付けた。
「うっ! ううううう……」
が、思ったほどスムーズに雪ペニが挿入出来ない。
「(……あれ? おかしいな。いつも花村君としてるはずだから、このくらいの太さなら簡単に入ってくと思ったんだけど……)」
「(……マズいな。いつもは俺が攻める方だから、残念ながら俺は陽介ほど拡張されてはいない……。ここは無理やりにでも入れてもらうしか……)」
悠は、超感覚を駆使して性感帯をアヌスに集中させる。
そして雪子もまた、悠のダイヤモンドを再度頬張って興奮を促す。
と、次第に弛緩してきた悠の菊門。
ズルズルと雪ペニが入り込んでいく。
「ああああ……、うっ!」
「……よし!」
本体が確実に挿入されたことを確認した雪子は、ゆっくりとピストン運動を始める。
「あっ! ……ふ……」
歪む悠の表情を凝視しながら、雪子は腰の動きを徐々に速めていく。
「ああっぐ! うっ! ……あいいいいっ」
久々に入れられた悠が、素直な快感ボイスを発する。
と、雪子から教育的指導!
「……鳴上君、ダメよ! 女の子はそんな喘ぎ声は出さない! ……もっと、もっと色っぽく!!」
「……あ、ううう……、あひあひ……、ふん!」
「鳴上君! ……思い……出して! いつか……私たちの魂が入れ替わった……あの時のことを!」
「(……そ、そうか!!)」
悠の脳裏に、かつて雪子と魂が入れ替わった事件が甦ってきた。
あの時は陽介と千枝の魂も入れ替わり、中身が陽介の千枝肉体と、自らも女体で交わったのだった!
「……あの時……私の身体で……存分に女の快感を……味わったはずよ!」
ピストン攻撃を続けながら、雪子が悠の遠い記憶を呼び戻させる。
確かにあの時、悠は女性肉体で女性独自の快感を味わったのだ。
あの感覚を思い出せば、女らしい喘ぎ声が出せるのか!?
「……あ……ああ、……はん! ……んふ」
徐々に色気を醸し出す悠の喘ぎ声。
「……いい! いいわ! ……その調子よ! 鳴上君!!」
さらに高速ピストンへとシフトしていく雪子。
「あああ! あん……あんんん! はうぅぅ~~~~~っ!!」
ついに絶頂に達した悠、地上最硬状態のダイヤモンド・ポールからプレミアム・ホワイト・ドレッシングが噴出!
その甘酸っぱい調味料が、悠の顔面をアーティスティックに彩る!
自らの顔面を白くペイントされた悠が、まさに大の字で桃色吐息。
その口元に男装の雪子がそっと近付き、ねっとりとしたキスをプレゼント。
唾液と精液がミックスされ、雪子と悠の唇を甘い糸がつなぐ。
そして、悠の耳元で雪子が囁く。
「合格よ。……鳴上君」
見事合格通知を手に入れた悠。
しかし、キング・オブ・キングとしては今回雪子に完敗してしまった形だ。
それでも、今は素直にその負けを認めることが出来た。
それほどまでに、雪子の攻めに満足且つ、女らしさという新たな武器を手に入れたという価値に、悠の心は満ち足りていたのだ……。
* * * * *
翌日、早速帰京した悠は、昼休みに長瀬を公園へ呼び出した。
「長瀬! 俺は会得したぞ! ……真の女らしさってヤツを!!」
「……えっ?」
「改めてお前に極上の女装を見せてやる。……間違いなく惚れてしまうだろうが、な」
得意げにウィンクを長瀬に投げつける悠。
「あ、わりぃ。俺、そーいう趣味ないんで。……じゃーな!」
悠の攻め手をあっさりとスカした形で去っていく長瀬。
そして、所在無げな悠が一人立ち尽くす。
「……えっ……と……」
悠の身体を、ピュウと冷たい風が通り過ぎる。
しかし、改めてキリッとした表情で天を仰ぎ、拳を握り締める悠。
「これで……いいのだ!!!!!!!!!!」
(了)