雪×りせ
※天城屋旅館での二人のまぐわいはかくも美しく……。
「やっほー!! りせちーだよ☆」
稲羽市の公民館は、かつてない観客動員数を記録していた。
今夜は久慈川りせの凱旋公演と銘打たれ、盛大にコンサートが開かれていたのだ。
事件の後、再び芸能界に復帰して瞬く間にトップアイドルの座に返り咲いたりせは、今回の凱旋公演を心待ちにしていた。
それは、ここに残っている仲間たちと会えることはもとより、悦楽の時を迎える密かな目論みがあったからだ。
* * * * *
コンサートが終わり、りせはスタッフらとともに今夜の宿泊先へと向かった。
もちろんそれは、天城屋旅館である。
移動中、りせの携帯には仲間からのメールが次々と来ていた。
「りせちー最高! 俺、改めてファンになっちゃったもんね!」
「りせちゃん久しぶり! カ~ッコ良かったよ~! また遊ぼうね♪」
「コンサートなんて初めてなんで実はちょっとビビってたけど、お前の歌いっぷり、なかなか良かったぜ!」
「りせちゃんお疲れ様! ……じゃあ、後でね」
今も稲羽市在住の陽介、千枝、完二、そして雪子から嬉しいメールが来ていた。
「みんな来てくれてたんだ。……ありがとう!」
思わず涙ぐむりせ。
そして、一行は天城屋旅館に到着する。
「よろしくお願いしま~す!」
りせのマネージャーが先頭で挨拶する傍らで、何故かりせは落ち着かない様子。
雪子の母親である天城屋女将を中心にして、仲居たちが一行を部屋へと案内する。
キョロキョロと周りを見渡すりせ。
と、他のVIP客が帰るのをもてなす雪子の姿が目に入り、思わずピタリと立ち止まった。
今年成人した雪子は、母親に継ぐ若女将として、今や旅館では一目置かれる立場となっている。
内気だった雪子も、あの事件と仲間とのふれあいが、その精神を存分に成長させたようだ。
客をもてなしつつ、りせの存在に気付いた雪子は、ごく自然な振る舞いの中でりせに向かって軽くウィンクする。
思わずポッと赤くなるりせ。
「ゆ、雪子センパイ……」
* * * * *
悠にゾッコンだったはずのりせが、事件以後、雪子に惹かれ始めたのは一つのきっかけがあった。
芸能界復帰を決めたものの、やはり後輩であるかなみんへの嫉妬心は拭えず、同時にかつての絶対的自信も揺らいでいた。
そんなある日、八十神高校の屋上で佇むりせに、雪子が話しかけていった。
「……どうしたの? りせちゃん」
振り向くりせ。
「あ、雪子センパイ!」
りせの横へ歩み寄り、金網越しに外を眺める雪子。
「もうすぐね。りせちゃんをまたテレビで応援出来るまで」
雪子の言葉を受け、逆に動揺してしゃがみ込んでしまうりせ。
「……りせちゃん?」
しばらく顔を伏せていたりせが、ゆっくりと首を上げる。
「……私、ホントに大丈夫なのかな。このブランクでかなみには完全に抜かれちゃったし、も一回私を応援してくれる人なんて、いるのかな……」
首だけ斜め下に向けてりせを見つめていた雪子は、りせの横に同じようにしゃがみ込む。
「……私も、ちょっと前まではすっごく不安だったわ。女子高生女将とかチヤホヤされても、私にそんな実力なんてない。いや、そもそも旅館を本気で継ぐ気なんてなかった。……でも、あの事件をみんなで乗り切ったことで分かったの。自分の実力がどうとか、相手がどう思ってるとか、そういうことじゃないのよね。今、自分にできることを自信を持ってやり遂げるってことが大切なんだな……って」
「今、自分にできること……」
「そう。りせちゃんは自分を信じて復帰を決めたんでしょう? じゃあ、やる前からその道を疑っちゃダメよ。自分の信じた道を信じなくっちゃ!」
「……私に、できるかなあ……?」
「できるって! あの戦いの時、りせちゃんがいなかったら、私たち勝ててなかったのよ?」
「……雪子センパイ」
まだ不安げな表情のりせ。
そんなりせを見て優しく微笑む雪子。
そして、雪子はりせの身体をギュッと抱き締める。
「……せ、せんぱ……!!」
「りせちゃん。あなたなら、で・き・る!」
りせの耳元で囁く雪子。
りせは何かかつてない高揚感を覚え、逆に雪子の身体を強く抱き返す。
そして雪子がりせの頭をそっと撫でると、りせの表情はホッとしたように安らいでいった……。
雪子の励ましで、りせは無事芸能界復帰を果たした。
そして、その後幾度かりせがオフの日に稲羽市を訪れる度に雪子との仲は自然と深まり、二人は互いを求め合うまでになっていき、現在に至っていたのだった。
* * * * *
りせの部屋は、当然ながらS級の最高客間。
一年ほど前に新設された、露天風呂付きの『観世音』なる名の部屋だ。
恐らく、雪子がりせのために付けた名であろう。
露天風呂で汗を流したりせは、食事も済ませて就寝すべき時間となっていたが、立ったり座ったりと落ち着きがない。
と、襖の外から声が。
「……起きてる? りせちゃん」
飛び上がって襖へ走り寄るりせ。
「は、はい! 雪子センパイ!!」
りせが襖を開けると、そこには凛々しい着物姿の雪子がいた。
「ゴメンね、遅くなっちゃって。明日の準備に意外と手間取っちゃって」
「ううん! いいんです! 忙しいのに、ごめんなさい……」
「うふふ、何を謝ってるの? ……変なコね」
艶めかしい笑みとともに、りせの部屋に入る雪子。
「露天風呂、どうだった?」
「すっごく気持ち良かったです! 眺めも最高!」
「そう、良かった」
満足げな表情の雪子。
「私も、汗流させてもらおうかな~」
「どうぞどうぞ! ……あ、私、背中流します!」
着物を脱ぎ、雪子の白い柔肌が露になる。
逆にりせの方が赤くなり、そんなりせを雪子は素直に可愛いと感じた。
先に露天風呂へと足を踏み入れ、雪子が身体を洗い始める。
少し遅れて、りせが浴衣の袖と裾をたくし上げた状態で入ってくる。
「あら、りせちゃん、脱がないの?」
「え? 私、さっき入ったし……」
「何度入っても気持ちいいのが、旅館のお風呂ってものよ」
ニコッと笑う雪子。
そう言われてしまえば脱ぐしかない。
りせは、少し恥じらいながら全裸となり、雪子の背中を流し始める。
「雪子センパイの肌、やっぱり綺麗……」
雪子の背中を流しながら、うっとりとするりせ。
「りせちゃんだって、ツルツルスベスベじゃない」
そう言いながら、雪子は後ろ手でりせの太腿を軽くさする。
「……あ」
思わず声を漏らすりせ。
「相変わらず、感じやすいわね」
雪子の言葉にポッと照れるりせ。
全身の泡を流して立ち上がった雪子の体躯は、まさに神々しい天照大神そのもの。
一方のりせも、普段グラビア撮影で鍛えているだけあって、キッチリ締まったパーフェクト・プロポーション。
二つの美しき肢体が、並んで湯船に浸かる。
「ああ……、気持ちいいわね」
「お仕事、お疲れ様です」
「りせちゃんこそ、今日は疲れたでしょう?」
「ううん! 大丈夫! ……だって、雪子センパイに会えるの楽しみだったし」
キュートな笑みを浮かべたりせは、甘えるように雪子にそっと抱きつく。
コツンと額同士を合わせる雪子。
二人は笑い合うと、その唇を自然と重ね合わせる。
正面を向き合って抱き合い、キスを続ける二人。
揺れ動く湯船の中で、二人の乳首が擦れ合う。
「……!!」
感じやすいりせは、塞がれた口の中でも呻く。
「一旦出ましょう……」
雪子がりせの手を取り、二人は浴槽から上がる。
その姿は月の光に照らされてキラキラと光り、まさに天女のようだ。
* * * * *
その頃、市街地のラブホテルには、陽介と千枝の姿があった。
あの事件の前から一種の腐れ縁であった二人は、その後も友人のような恋人のような不思議な距離感を続け、ついこの間、ふとしたきっかけで身体の関係を築いていた。
もちろん、陽介の心の中にはいつも悠がいる。
しかしそれはそれ、男同士の愛と女とのそれは別物、陽介がそう割り切ることができたのは、やはり悠の影響だろうか。
「花村のって、ホンットに綺麗だよね」
* * * * *
雪子とりせは、布団の上で淫らに絡み合っていた。
りせが雪子のうなじを舐めれば、雪子はりせの右乳首をかじる。
雪子がそのままりせの両乳首を交互に貪れば、りせは雪子の股間へ指を沿わせる。
「あ……、りせちゃん……」
「ゆ、雪子センパ……イ……」
何度か逢瀬を重ねる内に、りせは雪子の弱点を感知していた。
それは、腰のラインである。
腰を左右に優しく爪で掻きあげられた時、雪子は瞬間的に我を忘れる。
「ああ! ああああ~ん!!」
ニヤッと笑ったりせは、左指の爪で雪子の腰を掻きつつ、右指で雪子のクリトリスを刺激する。
「んんんあ! いや~~~ん!!」
悶える雪子。
そして、雪子の湿地帯は水分の嵩を増していく。
「もっと……、もっと来て! りせちゃん!!」
雪子の懇願を受け、りせは一心不乱に右指を小刻みに動かす。
「あっ! あっ! あっ! あっ!」
雪子の身体が大きくうねり、りせが腰攻めとともにその左乳首を吸った瞬間、雪子は昇天した。
雪子の恍惚の表情を見て、満足げに微笑むりせ。
「……りせちゃん、腕を上げたわね」
今度は自分の番とばかりに、雪子はりせの首元へ吸いつく。
「……う、ああ」
そして、両指でりせの両乳首をつまみながら、舌先は首から次第に下へと這わせていく。
ゾクゾクッと震えるりせ。
「……どうしたの?」
ニヤリとしながらりせに問いかける雪子。
しかし、既に答えられる状態ではないりせ。
胸の谷間からお腹、そしてりせの繁みの奥へと舌先を移動させていく雪子。
そして、りせの豆粒を高速の舌技で攻めていく。
「ああ! ああ! ああ! ああああ~ん!!」
早くも昇りつめた感のあるりせ。
しかし、この程度で雪子は満足しない。
自らの右人差し指と中指をベロッと舐めて、りせの膣口へと突き刺す!
「……んふ!!」
りせの中へと2本の指を潜り込ませ、バタバタバタバタバタフライ!
さらには、左指でりせの右乳首をコリコリと刺激しながら、残った左乳首を唇で吸い上げる!
そして、揺れる股間で満を持して待機していた右親指が、りせのクーリンを擦り上げる!
これが雪子の必殺技・五天アマテラスだ!!
横四方固めをかけられたかのように、全く身動きが出来ないりせ。
しかし、刺激だけは全身に電流を走らせ、もはや天国一歩手前だ。
「……ああああああああ! あぐぎくびくめく、ひあひあ……、ふあ~~~ん!!」
完全に果てたりせ。
そして、そんなりせの頬にそっと唇をあてがう雪子。
「りせちゃん……、やっぱりかわいい!」
「……ゆ……ゆき……、うはっ!」
まだ痙攣中の股間をいたずらに触る雪子。
「うふふふふ……」
全身汗びっしょりでハァハァと小息を漏らすりせ。
「あらあら、またお風呂に入んなきゃね。……でもその前にもうひと試合、いくわよ?」
雪子のこの言葉に一瞬ギョッとしたりせ。
しかし次の瞬間、既にアマテラスの波状攻撃は始まっていた。
雪子とりせの朧夜は、輝く半月をも溶かすほど神々しく煌き続ける……。
(了)