※この作品はR-18です。

ISー(変態)紳士が逝く R-18エンディング集   作:丸城成年

7 / 10
注意・太郎もラウラもほとんど出番がないという……。あくまでおまけなので。


ラウラ エンド おまけ 

 10年後、今のドイツに特殊部隊シュヴァルツェ・ハーゼは存在しない。彼女たちは解隊され、それぞれ違う部隊へ配属されたのか。それとも皆、除隊してしまったのか。答えはどちらでもない。シュヴァルツェ・ハーゼには新たな役割が与えられたのだ。

 

 特殊教導部隊シュヴァルツェ・ハーゼ、それが現在の彼女達の正式名称だ。彼女達に与えられた役割は教導、分かり易く言ってしまえば教官である。彼女達が教えるのはIS関連のほぼ全てである。操縦はもちろんだが、簡単な整備や組み立ても教える。さらに味方ISへの支援、IS運用の作戦ノウハウまでもが教導範囲になる。現在、彼女達はその仕事の真っ最中である。

 

 季節は春、陽気に誘われたのかハチが飛び交う森の中で一人の少女が地に伏せっている。近くには彼女を見下ろす女性が立っていた。女性はまさに百戦錬磨、叩き上げの空気を漂わせている。

 

 

「どーしたァ。もう終わりか」

 

 

 女性から投げかけられた冷たい声に、少女は歯を食いしばるが立つことは出来ない。少女はドイツのIS代表候補生である。今日は彼女を含めて5人の代表候補生が集められ、この森で特殊教導部隊シュヴァルツェ・ハーゼから訓練を受けていた。

 

 今日の訓練内容はシュヴァルツェ・ハーゼで10年前から続く伝統の……そう、襲い来る教官からの逃走である。IS代表候補生の少女たちはもちろん全員エリートだ。しかし、シュヴァルツェ・ハーゼの前では赤子同然だった。5人の候補生の相手はたった1人の女教官が務めているのだが、開始早々の犠牲者が出た。それがこの地に伏している少女である。他の者達は既に逃げ、森へ紛れている。

 捕らえられた少女は比較的ふくよかな体形で、一般人相手ならともかく代表候補生の中で走るのが速いタイプではなかった。それでも赤茶色い髪を振り乱して必死で逃げたのだが結局この有様だった。

 そんな少女を女教官は見下ろす。

 

 

「まだまだヒヨッコだな。これじゃあ話になんねえーぞ。てめえらが一人前になって専用機を受領し、空に羽ばたくのは当分先だな」

「こ、こんな生身による森での逃走が、ISに何の意味があるって言うんですっ!?」

 

 

 息も絶え絶え反論する少女だったが、それに対して女教官は深い溜息を吐き、やれやれと首を横へ振る。

 

 

「誰でもISを装着すれば強くなれんだよ。でもな、強い者がISを纏えばより強い。それが昔からの我が隊の教えだ。それに今のお前らは、IS実機を与えられるかどうかのふるいにかけられている状態だ。ISは数に限りがある。だからよぉ……ISへ実際に関わる価値の無い者はここで排除されるんだよ」

 

 

 厳然と告げられた女教官の答えに、今度は少女も反論しない、出来ない。それはあまりにも単純で、それ故に真理である。少女はただ拳で地を叩くことでしか心中の淀みを表せなかった。だが少女はそんな事をしている暇があるなら、他にするべきことがあった。

 そう、時間を稼いで少しでも回復に努め、この場から逃げる算段を立てるべきであった。そして時すでに遅し、凶暴な兎の顎(あぎと)が獲物を喰らわんと開かれる。

 

 

「さあて、未熟なるヒヨコくん。ヒヨコに下着なんぞ必要ねえーよな」

「えっっっっな、なにを、きゃああああああああ!!!!!!」

「これもうちの伝統だ」

 

 

 女教官は叫ぶ少女のベルトをガチャガチャと外し、ズボンを瞬く間に脱がせる。そこで可愛らしいパンツが露になる。流石にキャラクターなどはプリントされてはいないが、薄っすらとした水色を基調としたローティーンらしい可愛さと爽やかさが同居したデザインである。大人が身に着けるようなスケスケレースだったり、きわどい食い込みのデザインとは無縁なのが逆に、人によっては妖しい魅力を感じるだろう。

 パンツの主は色々と不幸な少女ではあったが、ここにきて一つ幸運なことがあった。それは女教官がレズでもなければ、ロリコンでもなかったことだ。その為被害は粛々とパンツを剥ぎ取られただけで終わった。

 

 

「いやっいやぁぁ、なんで、返してぇぇぇ」

 

 

 泣きながら懇願する少女を女教官は冷めた目で見ている。そして、さらに厳しい現実を突きつける。

 

 

「娑婆(しゃば)ではペットに服を着せる者もいるそうだが、ここでは認めてねえ」

「シャバ? ぺ、ペット……?」

 

 

 女教官が何を言っているのか分からない様子の少女、そんな彼女を女教官は襟首を掴んで顔の間近へ引き寄せる。そして、言い聞かせるようにゆっくりと告げる。

 

 

「てめえらはまだ人間じゃねえ。代表候補生になったばかりの……そう、卵から孵ったばかりのヒヨコだ」

「そんな、ひどい」

「自分が人間だと言うのなら、一人前のところを見せてみろ! その毛も生え揃わん穴ぽこのことじゃねえぞ!」

 

 

 女教官が下品な言葉で詰(なじ)る。その姿はまさに新兵を扱き上げる鬼軍曹といった様相だ。酷い、それはまだ幼い少女への仕打ちとして不適切このうえないものだろう。しかし、そのあまりに酷い状況は、ある者達の心に変化をもたらした。

 今この訓練を受けている候補生は、女教官に打ちのめされたこの少女を含めて5人。この少女を見捨て、森の中に紛れて隠れていた4人がその姿を現した。彼女達は降参するつもりで出てきたわけではないと誰が見ても分かる、そんな強い憤りが表れた顔つきだ。

 女教官はその少女達の姿にかつての自分を見たような気がして、口元を無意識に緩めてしまう。

 4人の少女のうち最も女教官から近くに来た背の高い金髪の少女が、眉を吊り上げ強い口調で糾弾する。

 

 

「こんなものが訓練と言うんですか! 下着を彼女に返して謝罪してください。この件は大きな問題になりますよ!!!」

 

 

 女教官は自身を激しく責める声にしおらしくなるどころか、呆れたように肩をすくめて見せた。それを見て金髪の少女のボルテージは上がる。

 

 

「軍隊による訓練とはいえ未成年の私達にこんなことをして、マスコミや政治家が知、えっ」

 

 

 まくし立てる少女だったが、女教官は無造作に彼女へ近付いて行く。その辺を散歩しているような普通の歩き方に、少女は警戒を怠ってしまう。女教官は少女の襟、丁度少女の首を挟むように両手で掴み、その手を引き付けながら交差させる。そして交差させた両手を今度はそのまま押し込むように少女の首を締め上げた。

 

 

「ぁっぐぁっんんん……」

 

 

 少女は為す術もなく締め落とされてしまった。少女は完全に意識が飛び、体から力が抜ける。弛緩した少女のズボンの股間部分に大きな濡れ跡が出来る。つい先程まで女教官を責めていた面影など全く残っていない。

 4人の少女達は、4人が揃って敵意を見せて目の前に現れれば女教官が怯むと思っていた。しかし、女教官はそれを全く気にする事も無く暴挙に出た。これには無事な3人の少女も一瞬唖然としてしまう。それが致命的な隙となった。

 少女達が見せた隙を教官は見逃さない。残った3人の少女のうち、小柄な少女へ飛び込みながらのボディーブローを鳩尾にめり込ませる。

 

 

「がぁっ!!?」

 

 

 女教官はボディブローによって悶絶している小柄な少女には目もくれず、流れるような動きで次の獲物の懐へ飛び込みながらの掌底をアゴに喰らわす。比較的がっちりとした体つきの少女だったが掌底の鈍い音の後、地面に倒れこんだ。その時には既に女教官は残った最後の一人へと向かっている。

 

 あっと言う間に無事な者が残り一人となってしまった少女達。まだ幼いとはいえ彼女達も同世代ではエリートである。最後の一人は女教官の動きへ、反射的に反応出来た。最後の1人は金髪で少女たちの中では一番長身だ。女教官に締め落とされた少女も背は高かったが、彼女よりもさらに頭一つ分高い。走り寄って来る教官の顔面を打ち抜かんと、渾身の右ストレートを打ち下ろし気味に放つ。完璧なタイミングである。教官は少女に向かって走って来ているので当たれば強烈なカウンターだ。

 当たる、少女が確信を得た瞬間、少女の視界から女教官が消える。

 女教官は少女の手が届く範囲へ踏み込む前に、身を低くしていた。走る速度は落とさず、自身の頭は少女の膝くらいの高さまで下げて突っ込む。パンチを空振り、隙だらけとなった少女へ女教官のタックルが牙を剝く。女教官の両手が少女の両足の太ももを捕らえた時、勝負は決まった。

 少女は踏ん張ることもタックルを上から潰す事も出来ず、何の抵抗も出来ずに地面へ叩きつけられてた。

 

 

「ぅうがぁぁッ!?」

 

 

 背中と後頭部を地面に打ち付けられた少女が身をよじり、うめき声を上げる。勝負にならない。女教官にとっては赤子の手をひねるよりも簡単な仕事だったようだ。

 女教官は5羽のヒヨッコの醜態を見て鼻を鳴らした。

 

 

「フンッ……てめえらは阿呆か、私がいつ訓練を止めると言った。ん? それなのに無防備な状態で近づくとはな。呆れるのを通り越して、こんな雑魚共がこの世代の代表候補生なのかと悲しくなってくるぞ」

 

 

 倒れた候補生達を嘲りの表情で見下ろす教官、それに反応したのは意外にも最初に捕まって下着を奪われた少女だった。

 

 

「わ、私達みたいな、代表候補生になったばかりの子供が、あ、あ、貴方みたいな現役の軍人で、しかもエリート揃いのシュヴァルツェ・ハーゼの隊員に勝てるわけないじゃないですか」

 

 

 涙を浮かべ局部を手で隠した赤毛の少女が訴える。勝てるわけがない。やる前から分かり切ったことだと、そんな事で責めるなど理不尽だと。女教官の不興を買う可能性を恐れつつも少女は言わずにはいられなかった。

 しかし、そんな少女の訴えも女教官は鼻で笑う。

 

 

「じゃあ、こいつ等は自分達の方が弱いって分かりきってんのに、奇襲をかけるわけでもなくアホ面(づら)揃えて近付いて来たんだな。これを阿呆と言わずになんと言うんだ?」

 

 

 かつて、ある男によって魂へ刻まれた教訓を、今度は教え子へと刻み付ける女教官。

 女教官は自身に抗議しようと近付き締め落とされることとなった金髪の少女のもとへ歩く。そして、締め落とされ地面に横たわる少女の腹を蹴り上げた。

 

 

「おい聞いているのか。お前に言っているんだぞ!」

「グハッ、ゲホッ……んん? な、な、何???」

 

 

 蹴りの衝撃で意識を取り戻した少女は、状況が把握出来ず困惑している。驚いたのは意識を失っている相手を蹴り起こすという暴挙を見ていた赤毛の少女である。

 

 

「こんなの、ひ、酷過ぎるよ」

 

「酷い? この程度で何言ってんだ。私が若かった頃の教官はもっとエグかったぜ。私なんて優しいもんだ」

 

 

 女教官の台詞は老害特有のお決まりのものみたいにも聞こえるが、彼女は実際にこれよりエグい目にあっている。ケツにパイルバンカーをブチ込まれて毒を注入されたり、マンハッタンドロップを喰らってケツ穴を破壊されたりしている。だから女教官からしてみれば、自分の教え方など少し甘過ぎるのではないかと思うくらいである。

 

 

「あの人ぁ、本当にキチ〇イだからな~。てめえらは教官が私で感謝すべきだぞ」

「誰がキチ〇イなんです?」

「そりゃあ当然、あのたろ……あっ」

 

 

 唐突に聞こえて来た男の声に女教官ティナ・ヴェンデルが振り返ると、そこには件(くだん)のキチ〇イ、もとい山田太郎が立っていた。その横にはシュヴァルツェ・ハーゼ隊長のラウラもいた。

 ヴェンデルは先程までの代表候補生達に対するガラの悪い態度からは打って変わって、気まずそうに頭をかく。

 

 

「……聞いてたか?」

「ええ最初から」

「あ~あれだ、キチ〇イって言っても良い意味でってことだから。そう、良い意味」

 

 

 キチ〇イに良いキチ〇イなんてあるのだろうか。もちろん無い。キチ〇イはあくまでただのキチ〇イである。

 太郎は笑顔でヴェンデルにハグをする。

 

 

「えっ、ちょ、ま、急にな」

 

 

 驚くヴェンデルを太郎はそのまま抱え上げ、片膝を立ててそこへ彼女の股間が当たるように勢いよく下す。

 

 

「あばァァァァッ!!!」

 

 

 絶叫を上げ股間を両手で抑えて飛び跳ねるヴェンデル。その様子を見て代表候補生達は唖然とした。

 あれほど強かった女教官が手も足も出ないという事実に対する驚き。この男が何者なのかという疑問。様々な思いが交錯し、一時思考停止状態に陥っていた候補生達だった。だが人は物事を自分に都合良く解釈しやすい生き物だ。少し時間が経って状況を把握し始めた彼女達は、狂った女教官からこの男性が救ってくれたのだと考えた。

 パンツを奪われた赤毛の少女は、股間を手で隠しながら礼を言う。

 

 

「あ、あの、助かりました。この人無茶苦茶なんです。私なんてし、下着を盗られてしまって」

 

 

 赤毛の少女は太郎に頭を下げた後、ヴェンデルへ冷たい視線を送る。赤毛の少女は当然太郎が共感してくれるものだと思い込んでいた。しかし、いつまで経っても「つらかったね」や「大丈夫?」といった少女が望む言葉は掛けられなかった。それどころか太郎の口からは─────────────

 

 

「何が問題なんですか?」

「えっ、下着を無理矢理ぬがされたんですよっ!?」

「それだけですか」

「それだけって……ぼ、暴力も振るわれました」

 

 

 赤毛の少女の必死の訴えにも太郎は顔色一つ変えない。ここにきてやっと少女達も太郎のおかしさに気付き始める。

 

 

「そういえば貴方は誰なんですか。教官と知り合いのようですが」

 

 

 赤毛の少女が恐る恐るといった感じで質問した。さっきまで悶絶していたヴェンデルがそれを聞いて「ぷっ」と吹き出す。

 

 

「意外と知名度低いっすね」

「まあ、テロ対策などで私の個人情報はメディアへの露出が少ないですからね」

 

 

 ヴェンデルの煽るような言い草にも太郎は気を悪くしたような様子は無かった。というか人を挑発するような言動はヴェンデルにとっては挨拶みたいなものなので、太郎もあまり気にしないし、たまに挨拶代わりの攻撃を先程みたいにかますくらいである。

 ちなみに太郎の名前は世界で1、2を争うほど有名だが、顔や住んでいる地域などはほとんど知られていない。それは太郎の立場上その身柄や命を狙う者が後を絶たない為、日本国政府やIS委員会などによってメディアに規制がかけられているからだ。その徹底ぶりは、太郎がISの国際大会であるモンド・グロッソに出場した時など、テレビでは彼の顔にモザイクがかけられているほどである。そのうえ会場内での観客による撮影も禁止されていた。

 未だに太郎が誰なのか分からない少女へ、太郎はその素性を明かす。

 

 

「私は山田太郎。世界で二人しか存在しない男性IS操縦者と言えば貴方達も分かるでしょう」

「ヤマ、えっ? ヤマダタロウっ!? いや、えっなんで、なんでこんな所に?」

「私は10年ほど前からシュヴァルツェ・ハーゼのアドバイザーのようなことをしてましてね」

 

 

 太郎の名前を聞いて混乱する赤毛の少女へ、太郎はさらっと答えた。ただ立場的にはアドバイザーだが、やっている事はアドバイザーと呼べるようなものではない。なにせ太郎はアドバイスをするより先に行動で示す。

 そう、このように。

 太郎は赤毛の少女に近付きいきなり抱き着く。驚いた少女は悲鳴を上げる。

 

 

「キャアッ!?」

「さて、そろそろ私も仕事をしましょうか」

「いや、放して! いやあ、なんでこんなこと、いや止めて!!!」

 

 

 助けてくれたと思った太郎に襲われた少女は、振り解こうとするがビクともしない。赤毛の少女は混乱の極みに達する。藁にも縋る思いで未だ一言も口を開いていないラウラを見る。

 

 

「た、助けて」

「ん? 何を言っている。未だ訓練は継続中だぞ」

「えっ……」

「さっさと拘束を振り解け。追跡者から逃れるのがお前達に課せられた訓練内容であり、任務だ。早く任務を遂行しろ」

 

 

 助けを求める声にラウラは真顔で返す。その一切の反論を許さないラウラの態度に赤毛の少女は一時絶句する。しかし、それの沈黙もすぐに破られる。抱き着いている太郎の手が少女の胸や性器へ移動し始めたのだ。

 

 

「いやあ、やああ放して放してええ!!!

 

 

 太郎の手が少女のワレメに触れたところで悲鳴が爆発する。少女は泣き、叫び、腕や足を全力で振り回す。それだけで終わらない。髪を振り乱し、頭が太郎の体に強かにぶつかる。もう少女本人も自分が何をしているのか分かっていない。その時、少女の頭が太郎のアゴを直撃した。太郎の手の力が緩んだ隙に、赤毛の少女は太郎の手から抜け出す。

 

 

「はあ、はあ、はあ、たす、助けて」

 

 

 太郎の魔の手から逃れた赤毛の少女は必死で他の候補生達の方へ逃げる。足取りもおぼつかず地を這う少女。その姿はあまりに無様だった。太郎やヴェンデルから見れば亀の歩みであり、いつでも追い打ちをかけられるはずだ。しかし、いつまで経っても追撃は行われない。代わりに太郎の声が赤毛の少女と他の代表候補生達へ届く。

 

 

「それです。やっと少しはやる気になったようですね」

 

 

 少女達が太郎を見ると彼は笑顔で頷いていた。何が何だか分からない少女達へ太郎がこじつけ(説明)をする。

 

 

「私はこの訓練の一部始終を見ていましたが、非常に残念な点がありました。それは貴方達の精神面です。訓練ということで気を抜いていたのか、それとも元々腑抜けなのかは分かりませんが、あまりに情けない。何故先程私の拘束を振り解いた時くらいに必死で取り組まないんですか」

 

「……で、でも訓練でそこまで」

 

「訓練で出来ない事が本番で出来るんですか。相手は手加減なんてしてくれませんよ」

 

 

 太郎はつい先ほど少女へ性的暴行を加えようとしたとは思えないくらい大真面目に説教する。反論もピシャリとはねつける。そして、説教は続く。

 

 

「貴方達の目指しているものは何なのか理解しなさい。IS国家代表でしょう。IS国家代表が闘いに際して相手が格上の場合負けて当然、そんな言い訳は通じません。持ちうる全てのものを使って挑むしかないんですよ」

 

 

 これは赤毛の少女がヴェンデルに対して言った、自分達のような子供がシュヴァルツェ・ハーゼの隊員に勝てるわけがないという言い訳を揶揄しているのだろう。それを察して赤毛の少女は俯いてしまう。

 

 

「しかしながら、私がドイツ軍に協力し始めた頃から訓練ごっこで満足する者ばかりなのでね。仕方なく、そう仕方なくこういったやり方を取り入れたのです。ですから必死になってください。さもなくば今度奪われるのは下着程度では済みませんよ」

 

 

 太郎は微笑みながら言った。ただその眼光は獲物を狙う獣のそれであった。少女たちは震え上がった。

 代表候補生であるこの少女達もこれからは訓練に必死で励むだろう。これらはシュヴァルツェ・ハーゼ伝統の一種の通過儀礼である。これによってシュヴァルツェ・ハーゼは精鋭となり、今は新たな精鋭を育て上げ続けている。今では欧州にこの部隊あり、泣く子も犯す鬼畜部隊シュヴァルツェ・ハーゼと勇名を馳せ、ドイツ軍内で「関わりたくない部隊№1」の座を10年連続で防衛し続けている。

 

 

「さすが私の夫だ。素晴らしい話だな」

「それ程でもありません」

 

 

 太郎の説教にラウラは頷き、感心している。それに謙遜している太郎の肩にヨーロッパではあまり見かけない大きなスズメバチが数匹とまる。普通なら慌てて振り払うところだが、太郎は全く気にした様子がない。何故ならそれらは本物のスズメバチではなく、太郎のISの装備だからである。

 

 

「良い絵が撮れたので私達はもう帰りましょうか。中途半端で止めてしまったので性欲を持て余します」

「ふっ、ヒヨッコどもとは違う大人の魅力を見せてやろう」

 

 

 太郎は膨れた股間を隠そうともせず、ラウラの尻を撫でながら歩きだす。太郎に並んで歩くラウラの瞳は、太郎と初めて結ばれた頃と全く変わらず恋する乙女といった感じだ。ちなみに姿形の方も全く変わっていない。

 IS業界に良くも悪くも名を刻んだ男、山田太郎。常にその隣には銀髪の少女の姿をしたパートナーがいた。味方からは天使、敵からは死神と恐れられた彼女は、遺伝子操作の影響から死のその時まで同じ姿で太郎と共にあった。




ラウラ「ふっ、ヒヨッコどもとは違う大人の魅力を見せてやろう」ぺたーん
太郎 「まるで成長していない……(だが、それもまた良し)」


次はセシリア編に行きます。
各ルートは並行世界です。繋がってはいません。
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