「……あの子達ちゃんと逃げきってくれるかしら…」
1時間ほどすると隠し扉を閉め、スイッチを破壊すると静かに呟きながら研究資料を処分しようとするレイナ。彼女が彼らを逃がしたのは、純粋な善意からだった。彼女は彼らと過ごすうちに親のような情を抱いていたのである。故に彼らに最高機密であるISを与え、逃がしたのだ。彼ら自身にこれからの道を選ばす為に……
「困りますね~。最高機密を渡すとは」
部屋の扉が開くと銃を持った男たちが部屋に入ってきた。指揮官風の男はレイナに声をかける
「まさかあなたが、組織を裏切るとは思いませんでしたよ…レイナ・ヴァイオレット研究主任」
拳銃を向けながら、指揮官は言葉を続ける。レイナはそんな彼に気づかれないようにPCを操作するが、反応はない
「残念ながらこの部屋のシステムは既に掌握しているのですよ。あなたが処分しようとしている資料のデータも既に我々の手の内です」
「っ!!」
レイナは驚いた顔となる。この部屋の電子セキュリティは完璧なはずだったのだ…それがいともたやすく掌握されるとは思っていなかったのだ。
「驚いてるようですね…無理もありません…ですが、彼女ならここのシステムを掌握することなど容易いものですよ。ナンバー001ならね」
「001…ですって?!」
001…それは、組織が作り出したデザイナーズ・チルドレン…その中でも最高傑作と呼ばれた存在である。108達のように実験で改造するのではなく最初から調整されて生まれてきた天才と言うわけだ。
「隊長・・・108,109は既に施設を脱出、どこかに向かったという情報が入りましたが、いかがいたしましょう?」
「ほおっておきなさい。既にデータを手に入れた以上、彼らに価値などありません」
隊長格は笑みを浮かべ、部下の報告を受ける。
「(それに、組織の敵となってくれた方が後々都合がいいですからね)追跡はしなくていいですよ。それより、ごみを掃除しましょう…」
隊長が手を掲げると、部下たちが銃を向ける
「ではさようなら、レイナ主任」
手を振り下ろすと同時に大量の銃弾がレイナの体を貫き、絶命させた。
「さ、あとは処理係に任せましょう。我々は撤収しますよ」
「了解です!!」
部下に指示を出し、部屋をあとにする男たち。部屋にはレイナの死体だけが残っていた。
~ところかわり施設から数キロ離れた密林~
隠し通路を使い、施設から脱出した108と109は密林の中を歩いていた。
「これからどうなるんだ?俺たち」
108が呟くように言うと109があきれたように言う
「そんなの決まってるだろ。レイナが渡してくれたISに記されてる座標に向かうんだ」
「それはわかっているさ。だが、そこからはどうするべきか…わかんなくてな…」
頭をかきながら108は空を見上げる
「…姉さんはなんで俺たちを逃がしたんだろうな?」
「わかんないよ……そんなことはね」
「……わからないことだらけだな」
話しながら黙々と密林を歩く二人。
「しかし、遠いな…とりあえずこの森を抜けたら、どこがで車を調達するべきか」
「そうだね…その方が効率はよさそうだ」
しばらくすると森を抜け、人気のない倉庫の近くへと出る。そこには1台の車があった
「とりあえず利用させてもらうとしよう」
そのまま二人は乗り込むと、なんと鍵が付いていたのだ。
「恐らくこの車…姉さんが用意したんだろうな」
108が呟く。更にダッシュボードには身分証明書が入っていたのである。
「身分証まで…結構用意周到だったんだね姉さん」
「で、なんて名前になってるんだ?」
「ご丁寧に昔の名前と姉さんの名前から来てるみたいだね」
そう言い身分証の片方を渡す。
「フッ、そうらしいな…」
身分証にはこうかかれていた『紫藤大輔』『紫藤圭司』と108…兄である大輔と109…弟である圭司。兄弟は再び番号以外の名前を得たのであった
兄は19歳、弟は18歳を想定してます