~施設から数十キロ離れたガソリンスタンド~
座標地点に向かうために車を走らせていた大輔たちだが、施設から数十キロ離れたガソリンスタンドで給油をしていた。幸い、車の中には紙幣が十分にあるので、当面の心配はないが、それでも大輔たちの表情は曇っていた。原因は、スタンドのテレビでやっているニュースであった。
『昨日午後、郊外の森で女性の遺体が発見されました。遺体の損傷が激しい為、女性の身元は判明しておらず、また複数の弾痕があったことから警察は殺人事件として捜査を進めております』
「これってたぶん、レイナさんだよな?」
「だろうな……」
静かな口調で話す二人。驚くほど冷静なように見える…しかし、その内面は怒りと悲しみでいっぱいであった。自分たちを逃がしたせいで彼女は死んだのだと…だが、彼らは立ち止まることも許されない。立ち止まれば、待っているのは死なのだから。
「……さて、向かうとするか」
「ああ……」
給油を終えると彼らは車を走らせ、座標の地点へと向かう。その場所はレイナの友人の住むとある民家であった。
「姉さんの友人ねぇ…どんな人だろ?」
「さあな?わからん」
運転しながら大輔は質問に答え、呟くように言う。これから先、彼らがどんな道を進むのかは誰にもわからない
~それから数時間後、とある町の一軒家~
「ここか……」
その家は普通の民家であった。
「とりあえず、呼び鈴でも鳴らすかな?」
「あれ、お客さん?」
呼び鈴を鳴らす前に家の二階から声をかけられる
「あ、どうも……あなたがこの家の人ですか?」
「ああ、そうだよ。もしかしてレイナのいってた子?今降りるから、待ってな」
2階から急いで降りてくる足音がすると、少ししてドアが開く。
「ようこそ、二人とも。レイナから話は聞いてるよ」
気さくそうな作業服の女性が立っており、その手にはスパナを持っていた
「えっとレイナ姉さんから言われてきました。紫藤圭司です。」
「あたしは新藤絵里菜よ。あなたが圭司君ってことは、そっちがお兄さんの大輔君ね」
「ああ…そうです」
「とにかく、中に入ってから話をしよっか」
そう言い招き入れる絵里菜。圭司と大輔は少し警戒しながらも入る
「警戒はしなくていいよ。あなたたちの身分証とか用意したのあたしなだけだから」
気さくな笑みを見せる。家の中は普通の間取りであった。
「あなたが身分証を?」
「うん、そうよ」
「普通の民間人…というわけではなさそうだな」
「まあね~」
彼女は家の奥へと進む。大輔たちもそれに続いた
「あたしはね。こう見えて、政府の人間なの」
「どおりで身分証などを用意できるわけだ。で、政府の人間がなんで姉さんと知り合いなんだ?」
「それは親友なのとあたしの仕事関係の事もあるの」
「……俺たちを招き入れた理由もそういうことだろ?」
「ピンポーン!大正解!!」
笑みを見せ、拍手する
「だろうと思ったぜ…だが、それしか道もなさそうだ」
「物分りが早くて助かるよ~。………あなた達には私の部下として行動してもらうわ。それがあの子と交わした契約なの」
「色々と工作する代わりにあなたの元で働けってことですね」
「そういうこと」
「はあ、上手い話には裏があるものですけど……」
呟くようにいうと頭をかく
「……で、なにをすればいい?」
「簡単な事よ。あなた達にはとある学園に職員として入ってもらうの。そのための資格も取ってもらうわ」
「とある学園って?」
圭司が問いかけると彼女は真剣な表情で言う
「世界で唯一のIS専用の教育機関、IS学園よ」