後悔も反省もしておりません!
ある日の天地の裁判所、相変わらず魂の往来が絶えずに今後の行く末を求めて死者が続々と裁判所を通り、空港へと向かっていく。
今日も閻魔大王に休みはない、相変わらず雑務室に籠もり書類に追われている頃のことである。
今代の閻魔大王の側近の一人にして真っ赤に燃え上がる色の髪と角が特徴的な少女、紅亜逗子は虚空を眺めながら何となしに溜息を吐いていた。
深い理由はない、強いて言うならばフラストレーションというか最近欲求不満なのだった。
「はぁ、何だか気怠い」
麒麟亭の娯楽室で珍しく大金星を上げたのにも関わらず、親友であり幼馴染であり、更には同じ閻魔大王の側近である蒼麻稚と喧嘩をしたわけでもない。
何故だかわからないが、亜逗子の胸中で何かがモヤモヤとしてならなかった。
頬づえを突きながら半目になり、欠伸を漏らしてしまう。
仕事中、というわけではないが、こんな日に限って何か変わったことが起こってほしいものだった。
何の気もなしに亜逗子は天地の裁判所にある大書庫、ベンガディラン図書館に足を運ぶ。
「あ、亜逗子さん!どうしたんすか、煉獄さんに御用で?」
図書館に入り最初に迎えてくれたのは褐色の肌とオレンジの髪を生やした鬼でありベンガディラン図書館職員でもある笹雅光清だった。
その後ろの本棚の影からは同じ職員である間宮が律儀に一礼した。
「あ、ううん、違うよ。別にあいつに用があって来たわけじゃないのよ」
「そうッスか、まぁゆっくりしていってください!」
「ありがとね」
ニッコリと営業スマイルを浮かべ、亜逗子を見送った。
(.....こんな所で働いてなかったら、彼女の一人できそうなのに)
実際笹雅は気配りもできるし、包容力もある。
そして何より顔もどちらかというとイケメンの部類に入るであろう。
さて、何の気もなしにやって来たが本当にすることが思いつかなかった。
とりあえず椅子に座り机に突っ伏して一つ溜息を吐いた。
そんな状態だから油断したのかもしれない、亜逗子はこの図書館の館長を務めている者の接近に気がつかず脇をくすぐられてしまった。
「ひゃぅ!?」
「あ、ははははは!やっほー、亜逗子!」
「お、お前なぁ」
亜逗子をくすぐった女性、月見里査逆は先ほどの彼女の反応が相当ツボに入ったらしく、腹を抱えて大爆笑していた。
左右がそれぞれ違う瞳の色を宿し、盛りに盛った金髪でなんちゃってギャルを自称しているが、亜逗子には何度聞いてもわからないことだった。
こんな少女がこの大書庫の司書長であり館長でもあるのだから世も末である。
「ははは、で、どったの?マジであんたがここに来るなんて珍しいじゃん?」
「別に、行く宛てがなかったからブラっとしてただけだよ。何か最近妙にソワソワして落ち着かないのよね」
「ほほぅ、煉獄君と会えないストレスとかいうやつかね?」
「その顔面歪めるぞ、ガンマ」
ピキピキピキピキ、と額に青筋を浮かべながら力を込めて右拳を握りしめる。
その気になれば素手でも鋼を砕ける握力があるのだ、頭など握られれば頭蓋骨なんてひとたまりもない。
「マ、マジで冗談だから!ウチの言うことマジにしなくていいから!」
「チッ」
「.....でも亜逗子、あんたマジで萎れちゃってるじゃん。本当にどうしちゃったわけ?」
「わかんないから悩んでんじゃん、何か胸の中でモヤモヤした何かが漂ってる感じなんだ。ストレスにしても嫌な感じはしないし」
瞬間、カッ!と査逆の両の瞳が勢い良く開かれた。
そして、もしやと過程をすっ飛ばして天邪鬼の頭脳は結論に辿り着く。
(こいつ、性欲が足りてないな!)
査逆はその場から走り去り、小さな小瓶を持って戻って来たと思えば息を荒げて若干興奮している様子だった。
心なしか頬も赤く染まっている。
「亜逗子、とりあえずこれ飲んで閻魔様の所に行けばいいよ!」
「何で鼻息そんなに荒いの!?怖いんだけど!」
「だ、大丈夫だから!これは亜逗子のそのモヤモヤを消すための薬みたいなモノだから!」
「.....ふーん」
「信用してないな、その目は絶対に信用してないな、こいつー!」
ムキー!と髪をワシャワシャと掻き乱す査逆を無視して亜逗子はとりあえず彼女の右手に握り締められていた小瓶を奪う。
「じゃあ、飲むよ。一応ありがとうとは言っといてやるよ」
そのまま亜逗子はなんの躊躇もなく小瓶の中の丸薬を一つ取り出し、ゴクリと飲み込む。
査逆はその様子を見て「あ」と小さな声を上げるが、亜逗子本人には聞こえなかったようだ。
そのまま彼女は立ち上がり、図書館から去って行ってしまった。
査逆はその様子を静かに見送り、机の上にある先ほど亜逗子に手渡し、彼女が置いていった小瓶を見つめる。
亜逗子の飲んだ丸薬は性欲を一時的に高める査逆の昔馴染みの作った特製の代物である。
更に、この丸薬には異性を見た途端に効果が発症するというとんでもないオプション効果付きなのだ。
即効性で効き目も長い、査逆もストレスの溜まった日には図書館で一人飲んで強制発情をして発散せずに我慢し続けるという極限の状態を楽しんでいる時が多い。
どうしても我慢できない日は天地の裁判所を歩き、見つけた人物を拉致しレイプ紛いのことをしていることも周知にも結構知れ渡っている。
彼女に人望がない原因の一つとも言っても過言ではない。
査逆はそのまま親指を立ててニッコリと黒い笑みを浮かべる。
「ガンバ、閻魔様☆」
もはや知らぬ風に振る舞い、鼻唄を歌いながら成人向けコーナーへと足を運んだのだった。
※
紅亜逗子は早速、自身の身体に起こった異変に気付き始めていた。
たしかにモヤモヤは少し晴れた気がする、しかしそれとは別の、具体的に言うと下半身が落ち着かない感じだった。
(ぅ、なんなんだろ、本当に。何か全然落ち着かない)
熱でも出たかのような感覚だった。
息も次第に荒くなっていき、尿意とはどこか違う感覚に支配されていた。
それでいて、どこか気持ち良く不快感はない。
閻魔大王であるヤマシロの雑務室の前に着いた時には既に頭の中が真っ白にでもなったかのように全身が蕩けるような快感に支配されていた。
雑務室の中からは「終わったー!」とまるで定期試験から解放された学生のような叫び声が廊下にまで響き渡った。
タイミングを見計らい、亜逗子はコンコン、と雑務室の扉をノックすると中から「どうぞ」と何やらげんなりした声が返ってきた。
この先の亜逗子は知る由もないが、ヤマシロはこの時仕事を追加で持ってきたと思い声のトーンがやや疲れたようになったとか。
「失礼します」と亜逗子が扉を開いて中に入ると、白髪の青年が机に突っ伏していた。
彼こそが今代の閻魔大王であるヤマシロである。
亜逗子は静かに扉を閉めて、ヤマシロと向かい合った。
「おぅ、どうした亜逗子。仕事か?」
「い、いや。そういうわけじゃないけど」
「良かったー!バンザーイ、少し休める!」
ヒャッホー!と子供のようにはしゃぐヤマシロを見ながら、ムズムズムズムズ、と亜逗子の感情に何やら刺激するように下半身が疼いて来ているのがわかった。
「ていうか、お前顔赤いぞ?熱でもあるんじゃねぇか?」
亜逗子の普段とは違う様子に気がついたヤマシロは顔を近づけデコとデコを合わせる。
その行動が亜逗子の何かを爆発させた。
体温が急激に上がり、股から何かが吹き出た気がした。
「平熱より少し高いな、今日は休んだ方がいいんじゃないのか?」
「い、いえ、でも少しだけ横になりたぃ」
自分でも驚くほどトロンとした声を出してしまった。
あまりの不意打ちにヤマシロも僅かに頬を染めていた。
「じゃ、じゃあ、ここのベッド使えよ。俺がいつも使ってるやつでよければ」
「え、閻魔様がいつも寝てるベッド!?」
「な、何だよ!そんなに嫌なのか、酷いな!?」
「.....そ、そうじゃないけど」
「.....まあ、とりあえず付いて来い。こっちだ」
ヤマシロが本棚に向ったと思うと、本棚を左にスライドさせる。
すると、奥に空間が広がっており、シングルベッドが一つポツンと置いてあった。
「ま、基本的に俺が寝る時に使ってる部屋だ。オートロックで鍵もある」
二人は部屋に入り、亜逗子はベッドで横になる。
ヤマシロはそのまま部屋を静かに去ろうとしたが、亜逗子に手を握られ止められた。
「亜逗子?」
「す、すみません閻魔様。あたい、あたいもう我慢の限界です!」
そう言うなり、亜逗子は勢いよく立ち上がり、部屋の扉を驚く速さで閉めてヤマシロの唇を奪った。
「んむぅ!?」
「ん、ぁ、んぅ!」
ねちゃ、と亜逗子の突然の奇行に驚いたヤマシロはそのまま彼女にされるがまま、舌を絡まさられる。
「んぁ、ぷはぁ」
「んぁ、はぁ、亜、逗子?いきなり何すんだよ?」
「すみません閻魔様、あたい、こうしないともう駄目なんです!」
すると、亜逗子は何の躊躇もなく服を脱ぎ始め、下着姿となった。
普段はサラシを身につけているのに今日に限ってはどこか大人の雰囲気を漂わせるピンクのブラと同色のパンツのみとなった。
ピンク色のパンツはじわり、と少しだけだが染みが入っていた。
「.....あの、亜逗子さん?」
「閻魔様ぁ!」
「お、おい!」
亜逗子はそのままヤマシロを押し倒し、亜逗子がヤマシロを覆い被さる状態となった。
そのまま再度強引に唇を奪い、自慢の胸を彼の胸板に押し付けた。
「ん、むぅ!」
「んぬぅ、ふぅ、ぁん!」
くちゃくちゃ、とお互いに舌は絡み合い、亜逗子が動くたびに彼女の豊富な胸がヤマシロの体を刺激し、彼から次第に理性を奪っていく。
しかし、このまま彼女の思い通りにいかせるヤマシロではなかった。
互いの唇が離れ、長く伸びる液がまだ新しい状態で僅かにできた隙を狙い、ヤマシロは亜逗子の両肩を掴み体制を強引に変える。
今度はヤマシロが亜逗子に覆い被さる形となった。
「上等だ、俺も最近仕事が多くてフラストレーションが溜まってたんだ。一気に発散させてもらうぞ!」
すると、ヤマシロは亜逗子のブラを上にずらし、彼女の乳首を露わにさせた。
亜逗子は恥ずかしさと興奮で唯でさえ真っ赤な顔を更に真っ赤に染め上げた。
そしてヤマシロは強引に彼女の胸を鷲掴みにし、好き放題に揉み始めた。
「ゃん、そこ、だ、だめ!」
「そう言ってる割には乳首勃ってんじゃねぇかよ。興奮してるんじゃねぇの?」
「ぁ、や、んん!?」
ヤマシロは胸を揉みながら彼女の唇を奪った。
床の冷たさとヤマシロの舌に含まれる唾液の温かさの両方が彼女を襲い、気を抜けば意識など簡単に手放してしまいそうな状態にまで陥っていた。
それでも、亜逗子はこんなにもめちゃくちゃにされているのに、こんなにも苦しいはずなのに。
(と、とても気持ちいい!)
舌と舌が絡み合い、先ほどまで劣勢だったヤマシロが一気に優勢になった。
主導権もほぼ歳下の彼に委ねられ、亜逗子は成されるがまま、胸を揉まれ続けた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「へへへ、じゃあ次は俺が気持ち良くなる番だな」
ヤマシロが右手を虚空に翳すと、どこからともなく薄い四角形のプラスチック製品が現れた。
すると、ヤマシロはズボンを脱ぎ始め立派に勃った男性器を露出させる。
さきほど取り出した四角形のプラスチック製品から丸いゴムのような中身を取り出し、男性器に装着する。
「亜逗子、立て」
「む、むりぃ、少し、少しだけ休ませ、て」
「そうか。だが待つと思うか?」
「え、閻魔しゃまの、意地悪ぅ!」
亜逗子はそのままヨロヨロと立ち上がったが、脱力感が彼女を襲いヤマシロの胸板に身を預けるように倒れてしまう。
ヤマシロは亜逗子のパンツを脱がし始めた。
「おいおい、結構出てるな。めちゃくちゃ伸びてるぜ」
彼女の秘部から出た白い粘液は糸を引き、パンツから中々離れようとしなかった。
亜逗子は四つん這いの態勢になり、ヤマシロは彼女の後ろに立っているという構図が完成した。
「じゃ、俺を誘ったんだから。最後まで付き合えよ?」
そうヤマシロが宣言した時、彼女の秘部にヤマシロの男性器が挿入された。
そのために彼はワザワザゴムまで付けたのだった。
「や、だめ!あ、あぁ!?」
ズコズコズコズコ、とヤマシロの動きに合わせて亜逗子は体を震わせ捩らせる。
あまりの刺激に亜逗子は立ち上がるが、ヤマシロは冷静な様子で男性器を引っ込める様子はない。
代わりに彼女の両手を掴み、身動きの取れない状態にしてしまった。
ヤマシロの動きが止まる気配はなかった。
しかし、亜逗子はやはり不快な感覚にはなれなかった。
代わりに気持ちいい、という今までに味わったことのない感情に身を委ね、癖になりそうな感覚を永遠にこの時間が続けばいいと思うようになっていた。
「じゃあ、ゴム越しだけど、出すぜ!」
「や、閻魔、しゃまぁ!やっぱ、やさし、あぁぁぁぁぁぁ!!!」
ぶっしゃぁぁぁ!とゴム越しだが、ヤマシロの男性器から勢いよく一気に射精された。
亜逗子に挿入された男性器は射精と同時に抜け、ヤマシロも亜逗子も力尽きたようでバッタリとその場に倒れてしまった。
(鍵、掛けておいてよかった)
辛うじて意識のあった亜逗子は満面の笑みを浮かべて静かに目を閉じたのだった。
※
数秒後、ヤマシロはゆっくりと起き上がり意識の失った彼女を静かにベッドへと乗せた。
「.....これでいいのか?査逆」
ヤマシロはズボンを履き、脳話でベンガディラン図書館にいるであろう査逆を呼び出した。
『バッチグー!』
「お前から突然連絡を受け取ったときはビビったけどな」
亜逗子がヤマシロを押し倒し、舌を絡めてきた辺りだろうか。
突如査逆から脳話で『亜逗子の相手をしてあげて、手加減なしでいいよん』という連絡があったのだ。
『で、亜逗子をヤッた感想は?』
「人聞きの悪い言い方はやめろ、ていうか元はと言えばだな」
『あ、煉獄君、どしたの?』
「あいつ!」
査逆が強引に脳話を切り、ヤマシロがプルプルと体を震わしていた。
それにしても、ゼストから貰ったモノがまさかこんなところで役に立つとは思わなかった。
虚空を見上げ、この場にはいないゼストに対して柄でもなく感謝してしまったのは気のせいだ。
その後、亜逗子は胸のモヤモヤも取れて仕事も捗ったことは別の話。
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