金曜日の夜九時過ぎ、比企谷八幡が塾帰りの家路を歩いていると道の先にガードレールに腰掛ける見覚えのある人物を見かけた。遠目からでもよくわかる目立つその姿は同じ奉仕部のメンバーである雪ノ下雪乃の姉、雪ノ下陽乃に間違いなかった。
部活が同じとはいえ、その姉というのは本来接点がほとんど無いはずなのだが、なにかと不思議な縁のある相手だった。
八幡は考える。声をかけるべきか、それとも回れ右をしてどっかで時間を潰すか。
結論を出す前に陽乃が八幡に気がついた。
「おーい。比企谷くん」
塾帰り、日が落ちて結構立つとはいえ、まだ人通りがあるところで手を振りながら大きな声をかけられ、無視できるほど比企谷八幡の肝は大きくない。
「ちょっと陽乃さん。大きな声で……って酒臭っ」
慌てて駆け寄り止めに入ったところ、八幡の鼻に強烈な酒気が浴びせられる。
よくよく見れば陽乃の顔は常よりも赤く、平服でもいつもきっちりと着こなしている服もすこし乱れ気味。
「ん? ああ、これね。 んふっ。まあ大学生になるといろいろあるのよ」
「陽乃さんって、まだ未成年じゃ……。どうしたんですか?」
「ふふ、ちょっとね……じつは……」
陽乃にしては要領の得にくい言葉を統合すると、誘われたテニスサークルのコンパで全員を飲み比べで叩き潰したところらしい。悪いうわさもあるサークルで、知り合いが引っかかりそうだったのを先を越して叩き潰したということだ。
「さすがに……ちょっと脚に来ちゃった。あっ」
ふらりっとガードレールから立ち上がろうとする陽乃の脚から力が抜け、身体を崩す。
「おっとっ」
慌てて八幡は陽乃の身体を支える。
「……ありがと、比企谷くん」
「いや、礼はいいですから、早く立ち上がってください」
慌てて身体を支えたが、力なくしなだれかかってくる陽乃の身体に比企谷八幡の心臓はバクバクいっていた。酒の臭いとは別の柔らかな女性の香りが濃厚に八幡の鼻に漂ってくる。添えた手から伝わってくる柔らかさは未知のものだ。
八幡に促されて、力を入れて立とうとする陽乃の身体がまたも崩れ落ちる。
「……ごめんね。ちょっとダメみたい」
「いえいいですよ。でも……」
道路を見るが、近くにタクシーは無い。
しかたが無い雪ノ下雪乃に電話して、家から迎えに来てもらうか。と八幡が携帯を取り出したが、そっと陽乃の手がそれを止める。
「ダメ。せめて……もうちょっと酔いが冷めてからにして」
「でも……このままじゃ」
「お願い」
顔が近い。意外に真剣な表情に躊躇する。家はいろいろ複雑な状況らしいし、こんなグデグデの状態がバレたらいろいろとまずいのかもしれない。と八幡は察する。
「でもどうすれば……」
「……あそこで少し休みましょ」
陽乃が指さしたその建物を見て、八幡は息を飲んだ。
※※※
なんでこんなことになったんだ。八幡は混乱していた。
グデングデンに酔っ払った陽乃を肩に担ぎ運び込んだそこはラブホテルだった。
その一室に、比企谷八幡と雪ノ下陽乃はいた。
とりあえず部屋の中央にあるベッドに陽乃を寝かせる。
「服……キツい」
動いたことで酔いが回ったのか、陽乃の動きは更に鈍くなっている。
「ねぇ、手伝って……」
甘くねだるような陽乃の言葉に八幡は逆らえず、手伝う。
緩めるだけ、手伝っているだけ、やましいことは何もない。八幡は自分に言い聞かせる。
「ふぅっ」
服の束縛が緩められ、バタンっと陽乃がベッドに倒れ込む。はだけた服の下に見える白い肌に八幡はどぎまぎする。
「じゃ、じゃあ俺は先に帰りますから」
そういってベッドから離れようとする八幡の腕を寝転んだままの陽乃が掴む。
「んっ!?」
予想外の力に身体を崩し、引き倒された八幡の唇に、やわらかなものが当たる。
チュッ
「!!!?」
比企谷八幡のファーストキスの味は……アルコール臭かった。
慌てて唇を離す八幡を陽乃の顔は妖艶な笑みを浮かべていた。
「ここまで来たのに、それは無いわよね。……据え膳食わぬは男の恥。国語の得意な比企谷くんはどういう意味か分かるわよね」
「は、陽乃さん。酔っ払って……んぐっ」
再びキス。
さきほどまでの醜態はどこにいったのか、驚くほどの機敏な動きで陽乃は八幡を引きずり倒し、いつのまにか八幡はベッドに押し倒されていた。
マウントポジションを取られる。なんでもできる陽乃には格闘技の覚えもあるのか八幡は動けない。
「比企谷くんってさ。童貞でしょ」
陽乃が比企谷を見下ろす。
「うっ」
言葉が詰まることで肯定してしまう。
「これから誰と付き合うことになるにしても、練習しておいたほうがいいと思うんだけどな」
八幡の頬を陽乃の指がゆっくりと滑る。細く繊細な指。それはそのまま首、胸と降りて行き、最後にベルトへと手がかかり……。カチャカチャッと慣れた手つきでベルトが外される。
「あっ、ちょ、ちょっと」
「あはっ、おっきくなってる」
ズボンを脱がして露わになった下着は中の存在を強く主張するように盛り上がっていた。
「~~~っ」
陽乃は器用に身体を反転させる。
ホットパンツでむっちりと身体の線が露わになったお尻が八幡の目の前に突き出され図らずもシックスナインの形になる。
恥ずかしさで顔が燃えそうになる八幡を無視して陽乃は手を動かし続ける。
「さぁて、中はどんなのかな」
ずるっと下着を下ろすと、ブルンっと陽乃の目の前に八幡のソレが現れる。
「うわっ、結構大きいね。でも……」
陽乃は目の前に現れたソレに顔を近づける。
「仮性包茎なんだ……あはっ、持ち主といっしょで恥ずかしがり屋なんだから」
八幡のチンポは先端に少し皮がかぶっていた。フッと陽乃は息を吹きかける。吐息がチンポの先に当たり、ビクンッと反応する。
「剥いちゃうねー」
陽乃の細い指が、チンポを軽くなぞり、むきっと先端を露わにする。むわっとした一日のチンポ臭が陽乃の鼻を突く。
「臭いが濃いね。綺麗にしておかないと、嫌われちゃうわよ」
れろーーっと軽く舌が這わされる。それだけで脳が痺れるほどの快感が八幡を襲う。
「あっ」
「にがーいっ」
そう言いつつも陽乃は舌を動かし続ける。
れろっ、ちゅぱっ、はむっ、くちゅっ
八幡は股間に感じるその感触に身悶えをするが、身体の要点を押さえつけられ動けない。
陽乃の舌はまるで蛇のようにチンポに絡みつく。
しゃぶり、甘咬み、吸いつき、ついばみ、キスをする。
想像の中でしか味わうことの無かった快感に八幡は悶える。
このまま快楽に流されたいという思いが強くなる。
しかし……理性が、邪魔をする。
脳内に浮かぶ、雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣の顔が、理性を支え、八幡の口から言葉を発せさせる。
「や、やめてくださいっ、は、陽乃さん」
なんとか絞り出す。
その瞬間、ピタッと陽乃の口の動きが止まる。そして陽乃は身体を起こし、立ち上がる。
「えっ?」
先ほどまで上に乗っていた重石も、快感も無くなり、あっけに取られた八幡に背を向け、陽乃はベッドから降りる。
フラフラとしながらもしっかりとした足取りで、冷蔵庫の中から缶ジュースを取り出し飲む。
八幡は、下半身丸出しで呆然とそれを見ていた。
陽乃がジュースを飲み終わり、アルミ缶を潰し、ゴミ箱に捨て、ゆっくりと振り返る。
その顔には笑みが浮かんでいた。
「ん? どうしたのかな」
純粋に不思議そうな声を陽乃は発する。
「えっ」
八幡は混乱する。
「やめてくださいって言ったのは比企谷くんだよね」
本当に酒が入っているのか、その声はいつもの陽乃の人をからかう、もてあそぶような口調だった。
「だからやめたんだけど。どうしたの? 早く服着れば? 寒いでしょ」
そういって脱ぎ散らかした下着を顎でさす。
「あっ、うっ」
丸出しのチンポはまだビクンビクンッと勃起したままの状態だった。
「あ、先にオナニーしてそれを収めなきゃダメだよね。AVも見れるらしいし、それでオナニーでもする?」
ぽんっと手をたたき、名案だとばかりに提案する陽乃。
「……てください」
八幡の口から、か細い声が漏れる。
「んっ。なにかな? よく聞こえないよ」
にっこりと笑う陽乃。
「つ、……」
「つ?」
「続きをしてください」
プライドを叩き潰し、すりつぶし、絞り出した言葉。
それすらも陽乃は躱す。
「んー。何の続きかな。はっきり言ってくれないとわかんないなぁ」
「……くっ」
「うそうそ、冗談だよ」
陽乃の笑みが邪気を増す。
「陽乃さんのお口で情けない包茎チンポをちゅぱちゅぱして、精液をビュクッビュクッて気持ちよく出させてください。って言ったら続きをしてあげるわ」
「……っ」
八幡の顔が歪む。葛藤。葛藤。葛藤。
「は、陽乃さんの……」
「あっ、ちょっとまって」
言葉を遮り、陽乃がスマホを取り出し、操作し、八幡へと突き出す。
そこには録音マークが浮かんでいた。
「はい。これに向かって言ってね。はっきりしっかりとね」
三回撮り直しをした。
「うーん。よくできました」
再生した八幡のセリフを聞き、にんまりと笑う陽乃のその顔は比企谷八幡が今までみたなかで一番の笑顔だった。
「そこまで頼まれたらやってあげるしかないなあ」
陽乃は再びベッドに上がる。そして服を脱ぐ。パサリっと上着が投げ捨てられ、露わになったのは、シンプルだが高級そうなブラに包まれた胸。 そしてそれもスグに外される。
「ご褒美に胸も使ってあげるね」
ぷるんっとブラの中から現れたのは、綺麗な双丘だった。白い肌に浮かぶ綺麗なピンク色の先端はツンっと立ちは芸術的美しささえ感じる。
「どう。初めてみるんじゃない?」
「っはい」
「ふふっ、これでもっと気持ちよくしてあげる」
陽乃は八幡の下半身に身体を寄せ、その豊かな胸で胸でチンポを左右から押さえつけ、突き出たチンポの先端に舌を這わせる。
唾液を垂らし、滑りを良くしてのパイズリフェラ。
「雪乃ちゃんの大きさじゃ出来ないかもね」
「ふわぁっ」
情けない声を心地よく聞きながら、陽乃の動きが加速する。
にゅちゅりっと陽乃の豊かな胸にチンポが埋まる。
ちろっ、ちゅぱっ、あむっ、ちゅぱっ
チンポから溢れる我慢汁が胸の動きを滑らかにする。
くちゅっ、にゅちゅっ、くちゅりっ
「ふぁっ、んぁ」
女のような声で八幡が喘ぐ。
それを楽しそうに眺める陽乃。
くちゅ、にゅりゅっ、ぬちゅっ、ぺろっ
「だ、ダメですっ」
「ひひよーっ、らして」
陽乃がチンポへベロを伸ばしながら許可を出したと同時に、八幡の限界が来た。
びゅくっ、びゅるっるっ、びゅくんっ
飛び出た精子が宙を舞い、陽乃の顔を穢す。
びゅくっ、びゅくんっびゅくっ
口で受け止めるも、あまりの勢いに
べっとりと濃厚な臭気を放つ雄汁まみれの陽乃。
「んっ、濃い」
顔にとびかかった精液を指で掬い舐めとるすがたを見て、八幡のチンポは萎えるまもなく硬くなる。
それを見て陽乃は優しく笑う。
「あはっやっぱり若いね」
「すみません」
二年しか離れていないのに。と思うが口には出さない。そんな余裕はない。普段もあまり回ってるとはいえない脳が空回りする。
「ふふっ、まだ満足していないみたいだし。じゃあ……」
立ち上がった陽乃は、パサリッと下半身を覆う布地を剥いでいく。ショーツを脚から抜き取り、一糸まとわぬ姿になった陽乃。
そのすらりと伸びた両足の付け根に、八幡の間は釘付けになっていた。丁寧に整えられた黒い茂み、そこの奥に隠された女性器。写真や動画で何度も見たが、間近で見る本物はなにもかも違った。
「しようか。セックス」
その言葉に、八幡は首を縦に振ることしかできなかった。
不慣れな手つきで八幡がコンドームをつけ終える。昔、練習したことがあったが、緊張で手が震えて手間取ってしまった。
「準備できた?」
ベッドを見ると、服を全て脱ぎ去り、一糸まとわぬ姿で脚をM字に広げる陽乃の姿があった。
いままで見たどんなAV女優よりも美しいその身体に、八幡は息を呑む。
「入れる場所わかる?」
「た、たぶん」
そういって、にじりよりチンポをマンコへと導く。
「あ、あれ?」
入るはずだったのに、うまくいかない。焦れば焦るほどチンポが上滑りする。
そんな八幡のチンポに陽乃の手が伸びる。
「ここ」
少し恥ずかしい思いをしながら、八幡は腰を一気につきだした。
ぬちゅんっ
抵抗なくチンポは陽乃の中へと沈んだ。
「んっあ」
「ひうっ」
だが決して陽乃マンコが緩いわけではなかった。中に入れた瞬間、恐ろしいほどの締め付けが八幡のチンポを襲う。ざらついた膣壁がチンポをこすり、きゅっと握りしめるような圧がチンポを襲う。
ずんっ
「んっ」
チンポが奥を突く。
「やっぱり大きいね。比企谷くんのっチンポ」
ずるりっと引きぬかれ、また奥へと叩きつけられる。
「ふわっ」
陽乃が甘い声を上げる。
必死で腰を振る八幡に技巧の欠片も見られないが、まるで誂えたかのように、チンポが陽乃の気持ちのいいところに当たっていた。
陽乃は八幡の首に手を回し、抱き寄せる。
ふにゅっと豊かな双丘が八幡の胸で潰れる。甘い女性の香りが八幡の嗅覚を刺激する。
カクカクと腰を動かし、喘ぐ陽乃の姿にますます興奮してくる。
「んっ、結構、ふぁっ、相性が、あっ、いいかもっ」
ゴム越しとは思えないほどに、激しくカリが膣壁を削ぐ。
パンッパンッパンッパンッ
ただひたすらに男女の絡みあう音が。
ぬっちょぐちゅっ、にゅちゅりっぐちょ
部屋に響く。
「は、陽乃さん」
限界の声を上げる八幡の腰に、陽乃は長い脚を回しぎゅっと寄せる。
雄と雌の腰が密着し、ゴム越しにチンポが爆ぜた。
ビュクッ、ビュクッビュクッびゅくんっ
「ふっ、ああっ」
八幡の気持ちよさそうな声。
「んっ、ふぁっ」
陽乃も絶頂を迎える。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
全身の力が抜けたかのか、身体を陽乃へと倒す
「もう、重いよ。比企谷くん」
「す、すみません」
少しやわらかくなったチンポをマンコに突っ込んだまま八幡は謝った。
「ほんっと可愛いね。比企谷くんは」
陽乃はぽんぽんっと優しく頭を撫でた。
「いっぱい出したねえー」
コンドームには二発目とは思えないほどの精液が溜まっていた。
二発抜いて、すこし冷静になった八幡は自分の欲望の証をまじまじとみられ、恥ずかしさで死にそうになっていた。
「はぁ、汗かいちゃったし、お風呂はいろっか?」
立ち上がる陽乃を八幡が見上げる。
「えっ?」
「一緒に入るんだよ」
陽乃は八幡を引きずりシャワールームに向かった。
その後、身体を洗いながら一回、ベッドにもどって二回した。
※※※
「……どうしよう」
目覚めた陽乃は頭を抱えた。宿酔いの頭痛だけが原因ではない。
チラリっと隣を見るとそこにはラブホテルのベッドで隣ですやすやと眠る可愛い後輩、妹の大事な相手、比企谷八幡がいた。
彼の身体は一糸まとわぬ姿であり、もちろん陽乃もそうだ。
「夢……じゃないわよね」
ガンガンと頭の中でドラを鳴らされるような痛みがそれを否定する。
大概のことなら対処できると自分では思っていたが、これはなかなか予想外の展開だった。
まだ裸で寝ているだけならいいわけができるかもしれない。
だが、部屋中に漂う濃厚な性の、男女の絡み合った匂い。そして身体にこびりつくカピカピとした白い液の跡。二人の身体のあちこちに残るキスマーク。ベッドの脇のゴミ箱の底に溜まった使用済みコンドームの量。
ぼんやりとした記憶とは裏腹に克明に写ったなにを考えて撮ったのか本人たちもわからない携帯に残る写真の数々がごまかしを許さなかった。
「……ま、いっか」
終わったことは仕方がない。比企谷くんも起こして朝マックでも食べながら後々のことを相談しますか。
陽乃はなんとかなると思っていた。いままでも何とかなってきたという自信がそれを裏付けていた。
目が覚めたらきっと陽乃以上に頭を悩ませるであろう比企谷八幡は今はまだ幸せな夢の世界の住人だった。
※※※
週明けの奉仕部の部室。
いつも以上に挙動不審な比企谷八幡の様子に雪ノ下雪乃も由比ヶ浜結衣も気がつくことは無かった。
ただ気がついたのは一点。
「あれ?ヒッキー、首のところ虫に刺されてるよ」
「うぉっ、あっ、ああ」
由比ヶ浜の指摘慌てて首を押さえる八幡。
「どうしたの、そんなにあわてて。変なヒッキー」
「変なのはいつものことでしょ」
なにも気が付かず本をめくる雪ノ下雪乃。
「あは、あはは、そ、そうかな」
変わらない二人と、変わった一人。
変わらない奉仕部の水面下に埋設された地雷がいつ爆発するのか、それは誰にも、いや陽乃にしかわからないことだった。