疲れているんだと思いました。
妄想成層圏
<一>
篠ノ之箒は久しぶりに再会した幼なじみを見て、嘆息した。
――挙動不審だぞ。軟弱者が。
四月の陽気のなか、脂汗が滴りおちて、しきりに指先をもみ合わせている。
おそらく彼は「やあ、箒。久しぶりだな。元気にしてたか?」などと言って、その場を穏便に済ませようと考えているのだろう。
――馬鹿め! 甘い誘いに乗ってやるものか。再会を口実に近づこうと浅はかな考え……この学校に来るとわかった時点で予期できたであろう。
教壇では眼鏡をかけた若い教師が彼の答えをいまか、いまかと待っている。
当初、箒は剣道の強豪校に通うつもりでいた。しかし、彼女の保護者がその希望を許さなかった。高校剣道日本一の夢を諦め、姉をおびき寄せるパンダ役として三年間を過ごすように要望されたのである。
ここはIS学園。本土に建設された、事実上の租界。箒は十五歳だった。
ISという特殊な強化外骨格を扱い、世界中から適性をもった少女を囲っている。専用機保持者・IS適性で評価され、スクールカーストが成立していた。
箒の適性値はCだ。つまり凡人なのだが、一点だけ、他の生徒と違う点がある。ISの発明者である篠ノ之束博士の妹なのである。束の影響力は絶大であり、ひいては誰も箒を無視できない。
だが、箒は姉の七光りにすがるつもりはない。
――姉さんとはしばらく、会ってないな。
箒には姉とふたりでいた思い出がない。
姉はいつも千冬と一緒にいた。件の千冬はつまらなそうに仏頂面で一夏の答えを待っている。彼はその姿に気づいた素振りすらない。
――焦らせば焦らすほどハードルが上がっていくぞ。たわけ。
心のなかで毒突きながら、教壇に立つもうひとりの大人を見やった。
――待っても何も出てこないと思うのだが……山田真耶教諭。
淡い浅黄色のワンピース。胸元が大きく開いており、本人にはそのつもりがなくとも、強烈な自己主張を放っている。
――けしからん。
箒はそう思い、頭のてっぺんからつま先までなめるようにねめつける。
美容院に行ったばかりなのだろう。毛先が整っている。新聞広告で見たことのある有名ブランドの眼鏡をかけている。
爪にはベースコートを塗布。光の加減でわかった。
机においた手がこわばっていることから、彼女も緊張しているに違いない。背筋をまっすぐに伸ばすと、ことさら乳房の形が強調される。
――まるで初対面のようだ。
真耶と一夏が顔を合わせたのは今日が初めてではなかった。
IS学園の入試会場で出会っていたはずなのだ。当人は翻弄されっぱなしで混乱していたと思われた。
――私は知っているぞ。入試の裏で何かあったか、いまでもはっきりと覚えている。
箒は視線を前に向けたまま、ゆっくりと記憶の扉を開いていった。
<二>
一夏は医務室を訪れていた。
昏倒した試験官――確か山田と名乗ったような――にせめてひと言、わびを言いたくてたまらなかったのだ。
ベッド脇の丸机に眼鏡を置かれている。2L入りペットボトルに入ったミネラルウォーター。透明のコップがトレーに重ねてあった。
室内は十二畳ほどの広さだ。コートが必要な季節のためか、窓は閉め切られている。
エアコンが稼働しているものの、ほのかに甘ったるい汗のような匂いが漂い、室内に立ちこめていた。
女はISスーツを身につけているだけで、ほかは何もつけていないと見えた。
毛布と薄手の布団がかかっているが、美しく整った乳房の形までは隠せなかったようだ。
一夏は「謝りたいだけなんだ」と、自分に言い聞かせながらベッドのそばに寄った。
朱色の唇から白くきれいな歯並びがのぞく。呼吸のたびに微かに開閉する。
姉以外の女の芳香をかぎ、頭がくらくらとしてきた。
一夏は荒くなる息を押さえ、近くにあった丸いすに手をかけた。ガタリ、と床をこすって大きな音がした。肩をびくつかせ、とっさに扉のほうに目を向けた。
誰もいない。
一夏は胸をなで下ろして、試験官の寝顔を見下ろす。二十歳を超えているはずなのだが、同年代くらいに見える。
震える指でつややかな肌に触れた。吸い付くような感触にびっくりした。
一夏は顔の前で何度も手を振って眠っていることを確かめ、おもむろに指で唇をつついた。
引き締まった歯茎の感触を楽しむうちに、とうとう我慢ができなくなった。
――千冬ねえ。
姉の顔がよぎったが、本能の前にかすんでいった。
医務室に二人きりという状況が、彼に邪な情念を駆り立てさせる。
すでに下半身はたぎっており、屹立した肉棒が下着を押し上げている。ファスナーの一部がちょうど鈴口に当たって痛みすら覚える。
ベルトを緩める手があわてるあまり、何度もすべった。いつもの三倍以上時間がかかっただろうか。
一夏はかがみ込んで竿をつかんで露わにさせた。
再び試験官の唇に指を差し入れ、女の唾液をすくいとるや、肉棒の先端にこすりつける。
彼は感極まって、自身の先端を女の唇に押し当ててしまった。
指先で歯茎をこじあけ、もう一方の手で試験官の顔を横向かせる。
荒い息をつきながら、白い歯に鈴口を当てて硬い感触を味わう。
一夏はそれ以上の冒険をするつもりはなかった。
法的に許されない行為だとはわかっていたから、女が気づかないうちに自分で処理してしまおうと思ったのだ。
だが、予想外の出来事が起こった。
にわかに口が開き、肉棒が竿まで飲み込まれてしまった。
唾液でぬめった口腔と滑り込むときに舌先が竿に触れ、一夏は思わずうなってしまった。
――すげっ……。
声が半ばでかかったところで口をつぐむ。
試験官はまだ眠っているようだ。一夏は名残惜しそうに肉棒を引き抜こうとする。
「うっ……」
口腔が亀頭をやわらかくつつんだ。唇がすぼまり、激しく吸い上げられる。下腹部がにわかに熱をもつや自慰では味わえなかった強烈な感触に流されそうになった。
「ぐう……」
腰を引いたが間に合わない。頭のてっぺんに焼け付くような感覚があふれ、亀頭に熱が宿った。
歯を食いしばるが一度始まってしまった射精を止められない。一夏は試験官の顔に熱くたぎった粘液を放出した。
どくん、どくん、と脈打つ。
最後の一滴まで出し切ってなお、亀頭に心地よいしびれが残っている。
膝から力が抜け、丸いすに座り込んでしまう。
一夏は左右の膝に手をついて、前かがみになりながら余韻に浸った。
徐々に頭が冷えてくる。部屋の外から話し声が聞こえてきた。部屋に近づいてきているらしい。
乱暴にウェットティッシュを手に取り、試験官の頬に付着した精液を拭き取る。
扉の前で足音が止まった。今度は別の声がしたかと思いきや、足音は再び元来た道を引き返していた。
――助かった……。
一夏は胸に手を置きながらズボンをたぐった。肉棒さえ隠しておけば何とかなる……というのは浅はかな考えだ。イカ臭さでわかってしまうだろう。
緊張していた両肩を落とす。下腹部を見たとき、一夏は驚いてしまった。
――まだ、元気じゃないか。
<三>
「まだ……できるよな?」
一夏は試験官の顔に精を放ってしまったこともあり、行き着くところまで行こうと思った。
見つかればタダではすまない。もはやヤケだった。
布団の裾をつかんでゆっくりと下ろしていく。
布一枚で柔肌を隔てているのかと思うと、一夏は生唾をのみこむ。繊維越しに乳房に吸い付き、乳首とおぼしき突起周辺を舌で転がした。
形が変わるよう柔らかくつかむ。
ふたつの頂きを寄せて、交互にすった。甘ったるい体臭が強くなった気がして、一夏は熱心に乳首を吸った。
布越しに感じている。だったら布がない場所なら?
一夏の好奇心は横道にそれていく。胸部から肩へ、腋へ降りていく。
きちんと手入れされている。発汗抑制剤か香水か、甘酸っぱいにおいに頭がおかしくなりそうだ。
脇腹にも舌を這わせ、へその周り、下腹部もなめた。
布団をもっとずらして、全身を露わにした。
――実は美人?
童顔で巨乳。尻が大きい。むっちりとした太ももはアスリートのそれで、よく引き締まっている。
全身を舐め尽くしたい。
一夏は素直に衝動にしたがった。
執拗に太ももを舐めまわし、寝汗を舌でねぶった。舌を這わせたまま、足裏からつま先まで唾液で濡らす。
くすぐったさで身じろぎしたときは心臓が止まるかと思った。
反応が収まり、一夏は中心部へと顔を近づける。黒地のISスーツ越しに丸みを帯びた肉付きがよくわかった。
大きな乳房と同様に恥骨が盛り上がっている。指の腹で恥骨の上部をさすると、かすかに凹凸があった。
――下の毛か……?。
太ももをM字に開き、細い布の周辺を探るように目をこらした。手入れの痕跡を見つけて、一夏の股間は熱くたぎった。
汗だろうか。肉厚の襞がある位置がしっとりと濡れている。
一夏は舌先を鋭くとがらせ、おそるおそると熱気のなかに差し入れる。
膝から力が抜け、太ももがだらしなく投げ出された。
一夏はいてもたってもいられなくなって、ふやけてきたISスーツを横にずらした。
楚々とした匂いが鼻先をよぎる。
幼く清楚な外見と相まって
大小の陰唇が貝の襞のようにぷっくりと厚みを持ち、桃色の花弁がねじれている。
ぴったりと閉じたハマグリかと思いきや複雑な花弁に失望を覚える。が、本能は既にこれからのことを予期していたのである。一夏は陰唇に舌を差し込んで、おやっと思った。
なかへ、なかへ、と誘うようだ。
よだれがシーツを汚すのもかまわず淫肉をかき回す。花弁の凹凸を味わっていると小さな蕾みが乗っていることに気づく。
これがうわさに聞く
さらに舌で上下にゆする。
「あっ……あっ……」
反応があったことにうれしくなり、陰核を刺激し続ける。蕾みが徐々に硬さを増していくのがわかる。ふにゃふにゃだった頃よりずいぶん転がしやすくなった。
頃合いだろう。膣口に吸い付き、舌をできるだけ奥に差し入れた。
じゅるじゅるじゅる……とわざと大きな音を立てる。
試験官に訊かせるためではない。自分で楽しむためだ。
不思議な味と微香にとろけそうになりながら、執拗に吸い続けた。
<四>
試験官がこれまでにないほど背筋をのけぞらせ、両膝をきつく閉じた。
側頭部の痛みで舌を離した一夏がとっさに顔を上げる。
上体を起こした試験官は信じられないものを見るかのような目つきで彼を見下ろした。何度も目蓋を瞬かせている。状況がつかめていないに違いない。
一夏は何事もなかったかのように肉襞を舌でこすり挙げた。
「ああっ、……イッ」
上から頭を抑えつけられ、試験官の下腹部が何度も脈打った。
奥まで差し入れていた舌の先端が激しく収縮する膣の動きによって押し出された。
透明の粘液が筋を伝う。一夏は上目遣いになって女の反応を伺い、舌で陰核をはじく。
またしても下腹部が脈打つ。
――感じているのか?
一夏は蕾みの包皮を舌で剥く。敏感になりすぎた陰核を唾液まみれにしてから、円を描くように舌でねぶった。
「こんなの……」
一夏は激しい抵抗がないのを都合よく捉え、陰核に単調だが間断なく刺激を与え続けた。
はじめは膝を鋭く閉じていた彼女だったが、都合二十回以上気をやったあたりから反応が鈍くなった。
舌を離して竿を握りしめる。
先端を柔肉に押し当てて、何度も膣口にすりつけて穴を探す。
「入れます」
「……え!?」
すでに狙いはつけてあった。試験官の膣はたやすく肉棒を受け入れ、襞がからみついていった。
「ま、待って……こんなの、いやあ……」
口では抵抗を示すも腰が抜けて力が入らない。
嫌も嫌も好きのうち……と奥までさしこむ。鈴口が奥で何か硬いしこりをこすった。
その途端、女の唇がだらしなく開いてよだれが漏れ、瞳孔がひらいて、涙がぼろぼろとこぼれた。
一夏は濡れそぼった肉襞と締め付けを味わいながら、コリコリとした感触を求めて奥を嬲る。
腰使いの拙さから正常位でゆっくりと奥を突くことしかできない。
半ば失神しかけた女と交わっているせいか、どんどん反応が薄くなってきている。
一夏は少しでも多く快感を得ようと恥骨をすりつける。
膣内はどろどろだ。
少しでも動けばすさまじい快感が襲ってくる。
「うあっ」
射精感がこみあげてきたが、歯を食いしばって耐えた。
動きを止めて耐えようとする。一夏のなけなしの理性を奪うかのように、肉襞が蠢動する。
――限界だ!
子宮口めがけて子種が飛び散った。試験官の大きな胸のなかへ倒れ込み、乳を吸いながら弱いながらも腰を振った。
「また……くっ」
亀頭の刺激で出してしまった。
一夏は硬さのあるうちに、と思い快感の余韻に浸る。体重を預けたまま弱々しく抽挿を繰り返した。
<五>
「えー……えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」
前方から頼りない声がした。
救援を求める視線。箒はぷいっと視線を外す。
――などと、無理矢理にでも犯るくらいの度胸はないのだろうか。
「以上です」
箒は頬杖を突いたまま嘆息する。
箒は冷ややかな視線を投げかけつつ、頭のなかでは想像の翼を広げていた。
夕暮れの教室で真耶を相手に壁ドン! あれよあれよという間に激しいファックに突入するという超展開だ。
――男は度胸だろうが。痴れ者め。
(終)
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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