<四十六>
臨海学校初日。
食後の湯を終えた箒は満足げに
「うむ。良い湯だった」
箒が言い、静寐や本音が同意した。
途中、飲み物を買い足すつもりで彼女らと別れ、うら寂れた遊技場を通りかかった。
――ん? 珍しいな。
セシリアとシャルルだ。
美男美女というお似合いの二人組だが、残念なことにシャルルは女になりたがっている――というのが箒の認識だ。
だが、とんでもないものを見てしまい、あわてて角に身を潜めてしまった。
――壁ドンじゃないか!
箒はドキドキしながら一部始終を見守った。
「こんなところでよくありませんわっ」
セシリアが言って顔を背けた。
壁際に追いやり、指先でくいっと顎を上向けると、シャルルが顔を近づける。
セシリアの襟が乱れ、少女が身につけるにしては淫らな下着が垣間見える。
互いの身体を密着させ、片膝を持ち上げられたセシリアは小刻みに背を波打たせながらシャルルに爪を立てた。
切なげな吐息を洩らして目をつむり、何かに耐えている。
――うらやま……けしからんなっ!
水を差さねば、と箒は使命感に燃えた。
「デュノア」
言って、自販機に直行して通りかかったばかりのように振る舞う。お茶のペットボトルを片手に振り返った。
身体を離すふたり。
手の動きからして下着を直しているとわかった。
――怪しいぞ……。
「これから一夏の部屋に行くが、ついてくるか?」
「少しお待ちになって」
前屈みになったセシリアが裾を軽く持ち上げ、足首に香水を吹きかける。
レリエル・ナンバーシックス。箒ですら希少なものだと知っていた。
顔を上げたセシリアにシャルルが耳打ちする。
――こそこそと打ち合わせか。人に言えないことなのか。
「あとで合流するよ」
「わたくしもすぐ参ります」
一夏の部屋に行くと、既に鈴音が陣取っていた。
彼女は腕を組んでぐるぐる歩き回っている。
「箒! アンタもかっ」
覗き、と口に仕掛けたので強引に手で覆う。壁に頭を打ちつけ、ゴンッという鈍い音がして鈴音はその場でうずくまった。
「イタタ……」
一通り謝罪すると、鈴音は一夏の部屋を指差した。
――中にいるのか……?
――なあっ! ……あ、あえぎ声!?
二人は意気消沈し、セシリアが来たことにも気づかず漏れ聞こえる艶声に夢中になった。
<四十七>
「ふー、さっぱりした」
食後に露天風呂を堪能した一夏は上機嫌になって部屋に戻った。
室内は無人だ。一夏は姉のスーツケースの周囲が散らかっているのが気になってかがみ込んだ。
「また散らかして」
水着や下着が散乱しており、他の生徒が見れば「片付けられない女」とレッテルを貼るに違いない。
黒い豪奢な水着を広げると、ビーチでの姉を思い出してしまった。
――千冬ねえが姉じゃなかったらなあ……。
いい女だ。ものすごくいい女だった。
――いっけね。
股間に血がたぎり、浴衣に山がそびえ立つ。
淫らな気分になった一夏は、注意深くあたりをうかがった。
「久しぶりに……いいよな」
少しためらいながら下着をずらして肉棒をさらけ出す。
姉がビーチで披露した水着で亀頭を包み込みながら手で摩擦していった。
誰か来るかもしれない……という恐怖心は、一夏の期待を相当に高めていた。
「千冬姉の口に……俺のが……」
彼女が勃起した一物をくわえると、喉奥を突かれて悩ましげな表情を浮かべる。
姉の困った仕草で激しく勃起した。
「やりたい……やりたい……千冬姉と」
幹をこする手を速めた。
張りつめた亀頭が精を放ちたいと震える。
急に余裕を出した姉が弟をもてあそび、どこに出したいか、と意地悪を告げようとする。想像して一夏の胸が高鳴った。
――肉親とか関係ねえ……千冬姉、俺の子を産んでくれえ!
「くっ……!」
あっという間に達して黒い水着に白濁液がこびりつく。
一夏は背をふるわせ、射精の快感を堪能した。
肉棒が最後の一滴を絞り出したとき、ちょうど千冬が帰ってきた。
「ん? 一人か? 女の一人も連れ込まんとはつまらんやつ……!?」
一夏が泊まる部屋は『織斑先生』の部屋でもあった。姉の水着で自慰にひたり、あまつさえ射精してしまおうものならあとでどんな目に遭わされるかもわからない。
――見られたっ!?
風呂上がりの千冬ではなく、先ほどまで自慰していた事実にパニックになり、胸が締め付けられた。
「なあっ……千冬姉」
鋭いチョップが飛ぶ。
「織斑先生と呼べ」
一夏は肉棒をさらけ出したまますばやく後ずさった。
<四十八>
「織斑先生っ!」
畳に額をこすりつけて土下座した。
汚れた水着をつまみ上げながら、千冬は眉をひそめて一夏を蔑んだ。
「弟がこんな変態だったとはな」
――身に覚えがありすぎて申し開きができねえっ。
上目遣いに姉の顔色をうかがう。
イカ臭い匂いを発する水着が眼前に落ちた。
「これが欲しかったんじゃないのか?」
姉がしゃがみこむと、一夏の頭を無理矢理上向かせ、汚物に向けるような視線を突きつける。
「自分の体内から出たものだぞ。汚いとでも思っているのか」
「くっ……」
「言いたいことがあるなら言ってみろ。ほら」
千冬が手を離し、座椅子に腰かけた。
――下手に言い訳したらダメだ。一生口をきいてもらえないかもしれない……それは嫌だ!
「千冬ね……織斑先生! お願いがあるんだ!」
「で?」
「やらせてくれ! 千冬姉とセックスがしたいんだ!」
――い、言っちまったあ……。
一夏は目を閉じて、姉の反応を待つ。
とても長い時間が流れたような気がした。
千冬の笑い声が室内にこだまし、一夏は呆けたまま顔を上げた。
「貴様はとんだ大馬鹿者だ」
――終わった。だけど、俺に悔いはねえ。
だが、突然の衣擦れに一夏は胸を高鳴らせ、頬を強ばらせながら再び畳に額をすりつける。
足で小突かれて千冬を見やると、浴衣から美しい太ももが覗いていた。
こっそり持ち込んでいたらしく、千冬はビール缶に口をつける。
「規則違反だが……酒でも飲まないとやってられんな」
弟の頭を何度も足蹴にした。
「土下座すれば女を抱けると思ったか。馬鹿者。貴様には足で十分だ」
「ち、千冬姉。俺」
「舐めろ。いや、舐めさせてやる。ただし、手は使うなよ。舌以外が触れたら容赦なく蹴る。わかったか」
一夏は、姉の豹変ぶりに圧倒されながらも、身体の奥底からあふれ出た肉欲には逆らえなかった。
血走った目で舌を出し、ベースコートで美しく輝いた足先に触れた。
「ンン……」
千冬はくすぐったさ故か熱い鼻息を漏らした。
興奮した一夏は器用に舌先を使い、硬い指の股をチロチロと舐めた。
――せっけんの匂いだ。
夢中になってしゃぶりつくと、足以外も舐めたくなって
「あうっ……! どこで覚えたっ変態」
酷い言葉でののしられると、余計に興奮が高まった。
このまま行けば太ももどころか陰部の匂いをかげるかもしれない……一夏は冒険を試みる。
だが、うっかり頬が触れてしまい、そのまま蹴られた。
「興がそがれた。汚した水着を洗ったら久しぶりに……頼む」
一夏は頬を押さえて畳に転がった。
言われたとおり水着を洗って戻ると、姉が蒲団の上にうつぶせになって手招きした。
――指圧しろってか。はあっ……。
<四十九>
――俺は弟。俺は弟。さっきのは幻……幻だったんだ……。
一夏は頬を張った。
緊張してる? と口にしたまではよかったが、彼のほうが張り詰めていた。
「そんなわけあるか、馬鹿者」
指圧以外をしようものなら殺されかねない雰囲気だ。
按摩師に徹すると決めたのだが、千冬の声がそれを許さない。
「くあっ! そ、そこは……やめっ、つぅっ!!」
目を閉じて指先の感覚だけで押したのが逆効果だった。
――くそっ! 誘ってるとしか思えねえ!
「すぐに良くなるって。だいぶ溜まってたみたいだし、ね」
頬を引きつらせながら言って、股間の痛みをこらえる。
「あぁぁっ!」
身じろぎすると、臀部が妖しく蠢いた。
意に介さない振りをして仙骨や膝の付け根を指圧する。
「千冬姉……?」
嬌声が絶えて久しい。
手を止めて、千冬の髪を払った。だが、彼女は身じろぎひとつしない。
――チャンスだ。
一度寝付いてしまえば一時間は眠りっぱなしだ。
彼女は疲労していたのだから……一夏は指圧するつもりで臀部をなで回す。
「やっぱりな」
――足を舐めさせた千冬姉が悪いんだ……。
千冬の浴衣をめくりあげ、レース柄をあしらった黒い下着を露わにした。
股間の食い込みに顔を近づけると、女特有の蒸れた匂いをかぎわける。
指で布上から擦り、肌熱や柔肉の感触を確かめた。
股間に鼻を埋めると、熱気と湿り気が顔中を包み込んできた。
――これはっ!!
布をずらすと、すでに大量の淫らな分泌液であふれていた。
黒々と艶のある茂みを舌でかきわけて雫をすくい取る。
悩ましい匂いが鼻孔を満たす。
一夏はうっとりとしながらも、異常な熱情に駆られながら濡れた膣肉に舌を這わせていった。
陰唇をねぶると、千冬が荒い息をついて内ももをふるわせた。
舐めるたびに淫らな水があふれていく。
――濡れやすい体質なんだな……知らなかったよ。
舌先をすぼめて膣肉の奥へわけいる。
姉が白い内股を波打たせた。
執拗に吸い付いて舐め続けると、十分濡れすぎていたこともあってか口中がべっとりとしていた。
指先に唾液をからめると、中指を差し入れる。
膣内は処女かと思うくらいにきつく締まっている。
人差し指も潜り込ませて指の腹で天井を圧迫すると、膣肉が指を食いちぎるかのように締め付けてきた。
舌と指で果てたのだろう。
千冬がキュッと内股を閉じてきたので、ヌルッと指を引き抜く。
指の腹が皺になっている。
一夏は姉の身体を仰向けにし、力なく投げ出された両膝を腕で固定した。
すでに準備を終えた肉棒は急角度でそそり立っている。
布を横にずらして膣肉へと狙いを定めた。
幹の根元に指を添えて、ゆっくりと腰を進める。
――女として意識しちゃいけないって何度も目を背けてきたけど……俺は……。
ヌルヌルッと根元まで押し込む。
中はたっぷりと濡れて、心地よい温もりと感触に陶然とした。
――いったい何人くわえ込んできたのかな……。
嫉妬を覚えて、正常位でズンズンと股間に打ち込む。
さらに締め付けを強めようと両膝を抱えて持ち上げる。
身をよじって座布団を腰裏にさしこむと、菊蕾までが灯りのもとにさらけ出された。
肉棒が抜けないように強く押し込む。
グチュグチュ……と淫らに鳴り、心地よい摩擦が快感になって襲いかかってきた。
――千冬姉……千冬姉……。
気持ちいい。
極上の膣肉に酔いしれ、彼女の身体に覆い被さった。
唇を吸って密着しながら上から下へ突き入れる。
「アアッ……」
「イク……イキそうだっ千冬姉っ……」
腰を使って子宮口を突く。
甘い刺激混じりの吐息が顔にかかった。
一夏はうっとりとしながら声をうわずらせ、同時にガクンガクンと激しく痙攣を始めた。
「く……!」
大きな絶頂の快感と背徳感にうめく。
大量の子種が子宮を直撃すると、姉の膣肉も呼応してキュッキュッと絞り上げてきた。
「……アアッ……ハアッ……ハァッ……」
噴き出すたびに死にそうなほどの快感が襲いかかった。
最後の一滴まで出し尽くす。
やがて腰を引くと、子宮にそそぎ損ねた子種が膣肉からあふれ出てきた。
一夏は荒い呼吸を吐きながら立ち上がって乱れた姉の浴衣を整える。
濡らしたタオルで手早く痕跡をぬぐい、精液も拭き取った。
消臭剤をまき、情事の痕跡を消して何ごともなかったように、それでいて乱暴に扉を開け放った。
「お前らっ!」
――逃げ遅れたやつがひとりいるな……。
一夏は舌なめずりしたい気になって、突っ立っていたセシリアの手首をつかんだ。
「おお、セシリア。遅かったじゃないか。……じゃあ、はじめようぜ」
<五十>
思いっきりドアに殴られた。
箒は額を押さえてカーペットを転がり回った。
――ごめんなさいっ! 具体的な想像してみたのが悪かったんですっ!
「何をしているか、馬鹿どもが」
乾いた愛想笑いを漏らす鈴音。
逃げだそうと立ち上がったのもつかの間、足がもつれて転んでしまった。
きゃっ――と、セシリアの悲鳴が耳を打つ。
「すまっ」
言いかけて柔らかな感触に気づき、目を開ける。「思いきって背伸びしました」感のある黒いレース柄だ。
――これは何だ。
混乱したまま黒い中心をつつくと、セシリアらしき卑猥な鳴き声があがった。
少しだけ深い黒色に変色していたので、クンクンと鼻を鳴らす。
消臭したつもりが完璧ではなかったようだ。癖のある芳香が微かに漂っている。
箒には思い当たる節が一つだけあった。
セシリアの不可解な行動だ。
「さっきデュ」
「それ以上は言わないで……一夏さんにはっ」
理解できず目を瞬かせたあと、いきなり首根っこを掴まれて強引に立たされる。
「おいおい、教師の前で女同士の淫行はやめてくれよ? 十五歳」
――いったい何がどうなってるんだ!? 教えてくれっ!!
(終)
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