※この作品はR-18です。

妄想成層圏   作:王子の犬

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ご無沙汰しております。
本作は男性向けです。今回の注意箇所は次の通り。
・傍点機能を使用
・みさくら語
・女性同士の性交
上記を苦手とする方は引き返すようお願い致します。



淫獣の幻影

   <五十六>

 

 

 

「ここです。バスはこっちですよー」

 

 真耶に案内されるがままついて行くと、一台の観光バスがとまっていた。

 

「しばらくしたらほかの皆さんも来るので、それまで待っていてくださいね」

「す……すみません、先生」

 

 箒が軽く頭を下げると、真耶はうれしげなに豊満な胸を張った。くるりと踵を返してバスを降りる彼女の臀部を見つめ、残り香に反応してしまう。

 ――どうしてしまったんだ、私は……。

 紅椿が元気を取り戻して自己主張を再開する。福音戦に勝利してから興奮作用をもつ脳内物質が全身を駆け巡っているからなのだろうか。女を見ては股間を硬くしてきた幼なじみをなじることができなくなっていた。

 箒は十五年間の人生で初めて抱いた感情にずっと戸惑っていた。

 紅椿を押さえつける。

 ナノマシンが漏れ出して敏感になった先端がさらに硬くなった。

 今のうちに処理しておかねば……と、席を立つ。携帯端末を握りしめ、まだ遠くに行っていないであろう姉に連絡を取ろうとした。

 と、そのときバスの狭い通路に姿を見せる者がいた。

 驚いて体をこわばらせる。ブルーのサマースーツを身に着けた白人女性が立っており、箒を見つけて吸い込まれるような笑顔を浮かべた。

 

「あなたひとり?」

 

 バスの運転手さえも不在だ。

 箒はゆっくりとうなずいた。

 

「そう、あの男の子にお礼を言いに来たんだけど、早すぎたようね」

 

 女性が言うと、隣に立って箒の視線を追った。

 

「あ、こんにちは。篠ノ之箒です」

「ナターシャ・ファイルス。あなたたちが助けてくれた銀の福音のパイロットよ。紅の侍さん」

 

 よろしく、とナターシャが握手代わりのハグをした。スーツごしによく鍛えられた肉体と甘い香りが匂った。

 紅椿がサポーターを押し上げ、スカートをめくり上げる。

 ――こらっ。

 言うことを聞いてくれない。

 しかもナターシャが隣に座ってしまい、道を塞がれて出るにでられない。

 ――ダメだ。彼女は米軍だ。いま電話をかけても姉さんは来てくれない。

 顔を出したが最後、姉は捕まってしまうだろう。だから身を隠す。紅椿は暴走し続け、他人に見られたくない部分をさらけ出すに違いない。

 箒は太ももをこすり合わせて、腰をよじった。

 ――いい香水を使ってるんだな……。

 黒い髪を左右に振った。こんなことなら朝のうちにナノマシンを放出しておくべきだった。けれど、本物の戦闘で高ぶった体を一回や二回で静めることができるはずもない。

 ナノマシン放出の手順を実演した姉は、後半になると体力を使い果たしてぐったりしてしまっていた。

 箒はいてもたってもいられなくて腰を浮かせた。ナターシャが醸し出す大人の芳香から逃げ出せば、少しはおとなしくなるかもしれなかった。

 だが、箒のもくろみはついえてしまった。

 

「あっちゃー。一夏、いないじゃん」

 

 凰鈴音だ。

 セシリアとシャルルが続いた。

 鈴音はノースリーブの改造制服を身につけており、いかにも涼しそうな格好だ。

 鈴音たちが通路を塞いでいる。

 股間を手のひらで押さえつけていると、鈴音がナターシャに挨拶した。

 ――談笑なんかしないで、そこを、早くどいてくれ!

 鈴音をにらみつけるが、彼女はまったく意に介さない。

 もったいぶった仕草で艶然と見下ろし、ナターシャに席を替わるよう告げたのだ。

 

 

 

   <五十七>

 

 

「聞いたわよ。アンタ、あたしを仲間はずれにしようって腹だったんじゃないの」

 

 鈴音が腰の上にまたがった。狭い空間にもかかわらず、慣れた手つきで下着を脱いでシャルルに向けて放り投げた。

 

「もってなさいよ」

 

 投げ渡されて、シャルルがあわてて両手で抱え込む。

 白のローライズだった。

 鈴音はスカートをたくし上げると、髪と同じ色をした和毛(にこげ)がちらりと見えた。

 

「な、何をする気だ」

「ナニって、オナニーするんだけど?」

 

 当たり前のように言われて混乱する。

 ――ここはバスの中だぞ! 凰には羞恥心がないのか!?

 

「織斑先生に聞いたの。アンタ、いいものもらったんだって?」

 

 ショーツをずらし、ふしだらなつぼみが現れた。

 箒は助けを求めてシャルルを見やった。

 

「デュノっ……うわ……!」

 

 大声を上げたが、誰も助けてくれないと悟ってしまった。下半身を見つめる。彼の破城槌(パイルバンカー)は深々と肉体の門をくぐっているではないか。

 

「ごめんっ……」

 

 シャルルは対岸の席に座っていた。ナターシャがまたがり、背をのけぞらせた。日本人とくらべて体が大きく、騎乗位には不向きな下つきの淫所だが、シャルルの破城槌(パイルバンカー)は身体的ハンディをものともしない。

 

「い、い、こんなところでいたすとは……破廉恥」

「箒だって人のこと言えないじゃないかっ!」

 

 シャルルが指さした先には、硬直した紅椿の先端が透き通った粘液で潤っていた。千冬の計らいで帰り次第特別整備が行われる手はずとなっていたが、紅椿自身は鈴音に整備されたがっているのだ。

 鈴音はけろっとした顔でつぶやく。

 

「ナ(ヽ)ノ(ヽ)マ(ヽ)シ(ヽ)ン(ヽ)に(ヽ)興(ヽ)味(ヽ)が(ヽ)あ(ヽ)ん(ヽ)の(ヽ)よ(ヽ)」

「セックスしたいだけだろう!」

 

 鈴音曰く、一夏が真っ黒焦げになって死にかけたので、性欲を発散するどころではなかった。

 ――ふぁ、凰のやつ……そこにナニがあるからさ……などと言うつもりではあるまいな!?

 淫らな睛(ひとみ)から逃れようと、顔を伏せた隙にぬるっとした感触が股間に走った。

 

「今のは、オナ……マスターベーションなんだからっ……アンタっ絶対に動くんじゃないっわよ!」

 

 セックスになっちゃうでしょ、と鈴音がかすれ声で切なげに告げる。

 熱く潤っていた秘所はナノマシンによって十分すぎるほどなめらかだった。紅椿は水晶のように透き通っており、密肉がまとわりつく様子がはっきりわかる。

 

「ああッ……」

 

 鈴音は羞恥心を忘れて声を上げ、内部の柔肉をヒクヒクと蠢(うごめ)かせた。細かな肉襞(にくひだ)が入り組んだ膣口はがっちりと紅椿を捕らえて放さない。細身が跳ね、恥骨を前後左右にすりつけるたびに、箒は吐息を漏らすまいと口をつぐむ。

 鈴音が顔をつかむと、無理やり正面を向かせた。近々と迫り、鼻の頭が触れあう。顔を僅かにかしげて舌を伸ばしてきた。唇を重ねるつもりだ。

 ――肉棒さえあれば誰にでも股を開くつもりかっ……淫売(ビッチ)めっ。

 心のなかで鈴音をさげすむ。が、胸の奥がチクリと痛んだのも事実だ。彼女の濡れた瞳に、自分ではどうしようもなく感情を揺さぶられてしまった。

 ――私はおかしくなってしまったんだ……。

 

「ん……」

 

 箒が小さくうめいた。ぴったりと唇が重なり、驚いて口を開けるとあっという間に舌の侵入を許してしまった。長い舌だった。口の中をなめ回され、生温かい吐息に甘美な酩酊に陥る。

 鈴音が体重を預けてきた。腰を埋めて左右小刻みに押しつけてくる。

 凰鈴音は一夏と何度も寝て、時折シャルルとも遊んでいた。先日まで処女だった姉とは比べものにならない膣技が箒の理性を穿った。

 

「き、気持ちいい……、軽くだけど……い、イクっ……気持ちいいっ……ああーッ……!」

 

 鈴音が口を離すや、箒はおしよせるさざ波にあらがった。理性に反して腰が止まらない。互いに身を揺すってガクガクと絶頂に達する。

 箒は最後の一滴までナノマシンを絞りつくし、力を抜いてシートにもたれかかった。

 遅れて、鈴音が体を預けた。

 

「あ、あんたの紅椿がすごいってこと……認めてやっても、いいわよ!」

 

 鈴音が荒い呼吸を繰り返しながら、耳元でささやく。

 箒は答えの代わりに唇を重ねた。

 

「ちょっ……」

 

 鈴音は驚いて何度も瞬きしながらも口を開けて箒の舌を受け入れる。ヌルリと滑りこんだ舌先を硬くしてしごきあげる。

 

「ンン……」

 

 ――どうしてこんなに巧いんだ。

 答えはひとつ。一夏に調教されたからだ。膣肉をえぐられ、何度も子種を受け入れたに違いなかった。

 背中に手をまわして体温と心臓の鼓動を肌で感じ、執拗(しつよう)にクチュクチュと舌を絡めた。

 腰を抱え込むや立ちあがって入れ替わった。

 鈴音がシートに腰を落ち着けた形だ。

 贅肉のない柳のような肌に触れ、敏感な頂きを指の腹でなでる。

 鈴音がうっとりとなって、箒の髪に触れた。しばらくの間、頭を撫でられているうちに愛おしさと妬ましさ、憎らしさが充ち満ちていく。

 思い人と寝ている女が恋敵を誘ってまぐわっている。異常な状況がもたらす甘美な酩酊感に頭がくらくらした。

 目まぐるしく頭を働かせているうちに、鈴音の手が箒の手首をにぎった。股間まで導かれ、箒が震える手で茂みをかきわけた。

 ヌルヌルしていた。汗をかいていた淫核に触れる。

 

「ふああっ……ンンッ!」

 

 鈴音の吐息が妖しく薫る。長いキスを終え、肩で荒く息をついて見つめ合っていると鈴音が熱くささやいた。

 

「もうっ。まだキスなのにイっちゃったじゃない……。はまっちゃったらどうすんの……アンタ、責任とりなさいよっ」

 

 肘掛けのレバーを引き、リクライニングシートを倒した。

 鈴音が両手で陰唇を左右に広げた。ぽっかりと口を開けた穴から白濁したナノマシンが漏れ出している。

 

「入れて……入れなさいよっ」

 

 ナノマシンが先走った先端を膣口にあてがい、ゆっくりと押し込んでいく。

 

「これぇ……これよぉ……」

 

 根元まで完全に押し込む。下腹部に和毛があたってくすぐったい。

 柳のような腰をつかんで股間を前後させた。大量の蜜とナノマシンの混ざり合った粘液が溢れ出し、クチュクチュ……と淫らな調べを奏でる。鈴音の内股に濁った蜜が伝い流れた。

 摩擦音が生じ、鈴音の喉から音色が生まれた。淫らにぶつかり合うたびに肌が吸い付いた。

 鈴音と目が合い、身体を前傾して唇を吸う。一夏の女を奪った背徳感で激しく燃え上がった。

 

「いぃ……いぃ……気持ちいぃ……」

 

 鈴音が声をうわずらせた。太ももを閉じて快楽から逃げようとする。

 

「い、イク……イきそっ……」

 

 膣の入り口付近で小刻みに抽挿した。摩擦が高まり、無言で腰を動かした。

 

「凰(ファン)」

「鈴、鈴(りん)って呼びな、さいっ……」

 

 ――出したい。出したい。膣内(奥)に出したいっ!!

 箒は快感を屠ることしか頭になかった。何度も鈴音の名を口走り、熱にうなされたように紅椿と尻を振った。

 

「そうよっ……いいのっ……すごすぎっ……」

 

 鈴音も箒の動きに合わせて恥骨をこすりつける。密着感が増し、あまりの心地良さに箒は軽く上り詰め、ナノマシンが先走る。

 膣壁がぴったりと貼りついて内部が収縮、痙攣し出した。蜜が溢れて箒の膝を濡らす。

 

「わ、私もっ、私もイク……イキそうなんだ!」

 

 両膝を抱え込んだまま乱暴に腰を揺すった。シャルルたちが耳をそばだてているのも構わず獣のように鈴音、鈴音、と叫んだ。

 背筋に稲妻が走った。下腹部の熱が高まり、大量のナノマシンが勢いよく鈴音の子宮を直撃する。紅椿はなおも硬度を保ったまま蕩(とろ)けそうな快楽が続く。

 

「来たわっ! 熱いのが……感じるぅ……感じちゃうのおぉ」

 

 噴出を受け止めた鈴音はリクライニングシートの端部を強く握りしめた。

 

「ぁあああ あぉにゃた最高よお゛お゛お゛ぉ。もっと気持ちよくにゃりたいぃから腰を振りにゃしゃいぃよお゛お゛お゛ぉ。振って。もっと! もっと強く! ぁあああ あぉんたのぉおお……」

 

 紅椿を握りつぶさんばかりに膣が収縮する。傷一つ無い白い腹部が波打ち、鈴音が涙を流しながら目を見開いた。顎をのけぞらせ、絶頂のさざ波に身もだえする。

 

「ちゅきよお゛お゛お゛ぉ。これ、ちゅき。イカしゃれまくりれよくわからにゃくにゃってるに゛ゃにゃいぃのぉおおっ! 熱くて硬くて激しいぃのぉおおがずっと続いぃてるのぉおお! いぃぃぃっよぉおお゙。最高よお゛お゛お゛ぉ」

 

 箒は満足するまでナノマシンを放出し、強烈な虚脱感に囚われた。徐々に動きを弱めていった。

 鈴音を抱き寄せ、唇を重ねて黒髪をなでた。

 

 

 

   <五十八>

 

 

 ナノマシンを放出し終え、心地よい疲労が全身に広がった。

 ――結局二回もしてしまった。

 鈴音から誘われたとはいえ、彼女を寝取ってしまったのだ。今や彼女はナノマシンの催淫作用と連続アクメにより、肌に触れただけで絶頂するほど敏感になっている。気丈な鈴音が涙を浮かべ、顔を真っ赤にして快楽の虜になる姿を目の当たりにして一夏を出し抜いた満足感で高揚した。チクリと罪悪感を覚えたが、自業自得だと思って無視を決め込む。

 今なら何でも言うことを聞いてくれそうだ。箒はちょっとした思いつきを実行に移す。

 口づけして一度イカせる。舌を絡めるだけで再び絶頂した。

 戻りかけた理性を吹き飛ばされ、鈴音は哀願の眼差しを向けてきた。

 

「もっと……してほしい?」

 

 鈴音の瞳に逡巡に色が浮かぶ。箒はすかさず股に手を伸ばし、指先で漏れ出す蜜とナノマシンをかき混ぜた。

 ビクン、と肩が跳ね上がった。

 指を曲げ、淫核の裏側あたりのザラザラとした一帯を圧迫する。鈴音が歯を食いしばり、涙と鼻水を垂らす。

 肉壁をたたくと、面白いように肌を脈打たせた。

 頭を抱き寄せ、もう一度ささやいた。

 

「してほしい?」

 

 なでる動作を止めない。鈴音はイキながら何度も頸を縦に振った。

 

「何を?」

 

 ――いじわるだったか……?

 互いの額を当てて鈴音の吐息をかぎながら、答えを催促する。

 鈴音は身じろぎしてリクライニングシートの手かけを握る。潤んだ瞳はうつろな伽藍堂でもあった。

 

「……いて」

「ん?」

「抱いてよ。あたしの身体を自由に使っていいから……もっと、さっきみたいに気持ちよくしてよ……」

 

 涙を浮かべて、しきりにえづきながら懇願する。鈴音らしからぬ痴態に箒は、自己満足的な征服欲で満たされた。

 箒はひとつだけ条件を出した。

 

「もし男(ヽ)と(ヽ)寝(ヽ)た(ヽ)ら(ヽ)……しないから。いいな」

 

 念押ししてから鈴音を見つめる。一夏と言いたかったが、シャルルや不特定多数の男たちと寝ている懸念があったからだ。答えを待たずして彼女の背を抱いた。

 箒は首を曲げてフランス人を探した。

 ――うわ……!

 ナターシャの右手がシートの取っ手にしがみつき、前かがみになって揺れていた。

 ブラウスのボタンが外れ、下着がめくれて白い乳房をさらけ出している。

 

「オオウ……イエスッイエスッ!! ううう……アアアッ!!」

 

 ナターシャは異国の言葉を早口でまくしたてた。髪を振り乱し、苦しげな顔を浮かべている。

 シャルルが彼女の腰をつかんで激しく破城槌を突きたてる。

 ――デュノアっ。

 シャルルから貴公子然として振る舞いは陰をひそめ、スラングとおぼしき汚い言葉でののしっている。

 あまりに乱暴な動きだ。まさに獣の交尾でもあった。

 同様の行為で鈴音を堕としたのを棚上げし、箒の目が釘付けになる。

 ――お、男と女とはかくも浅ましい生き物なのか。

 

「ウウウウアアアア……」

 

 シャルルの破壊槌(パイルバンカー)がヒクヒクと震えた。根元までズッポリとくわえこまれた竿が脈打ち、大量の精液を放つ。

 ナターシャが地面にへたりこみ、だらしなく足を投げ出す。

 股間から白い粘液が逆流した。

 ――子宮に出しおって……孕んだらどう責任をとるつもりだ。

 

 

 

   <五十九>

 

 

 一夏がバスに現れたとき、身繕いから掃除まですべて終えていた。

 彼を伴っていた千冬は、シャルル、箒、セシリアが一様に作り笑いを浮かべる姿を眺めて不可解な顔つきになる。

 互いに肘を小突きあい、不純異性交遊と乱交の発覚を恐れた。鈴音は早々と姿を消し、ナターシャもお色直しすると告げて去っていた。

 ――あああ、やってしまった……。

 昨夜は一夏といい雰囲気になったのだ。他の女子から逃げ回る彼に怒りを覚えてしまい、邪険にしてしまった。

 しかも邪険にしただけでは収まらず、他の女に手をかけてしまった。

 ――い、いかんな。私はすぐに手を出すクセがついているのではないか……?

 正直、それはまずい。

 姉ならまだしも鈴音を抱いてしまった。セシリアとは口淫の仲で、シャルルとは秘密を共有している。

 シャルルは千冬と関係を持ち、知らぬは一夏だけだ。

 とはいえ一夏も寝込みを襲って膣内射精(なかだし)するゲスだが、文句なしにいい男でもある。

 ――待てよ? 姉さんは粘膜ならどこでもいいって言っていたよな。

 最前列の席に座る一夏を見やり、ゴクリと生唾を飲み込む。

 一(ヽ)夏(ヽ)の(ヽ)処(ヽ)女(ヽ)な(ヽ)ら(ヽ)――或(ヽ)い(ヽ)は(ヽ)。

 箒はすかさずシャルルの袖を引いた。

 

「ちょっと相談があるんだが……」

 

 言いかけたとき、お色直しを終えたナターシャが車内に戻ってきた。

 

「ねえ、織斑一夏くんっているかしら?」

 

 

 

   <六十>

 

 

 不意に呼ばれ、箒はもの思いから醒めた。

 隣にはクラスメイトの布仏本音がいる。箒の隣席は空いていたが、どうやらジャンケンで負けて移動してきたようだ。

 バスが停車する。

 本音は、ずっとうなされてたよ、と前置きして、

 

「お疲れなんだね。悪い夢でも見てたのかなあ」

 

 水色のハンカチで額の汗をぬぐい取る。標識が逗子(ずし)市内に入ったことを示した。一時間以上眠っていたに違いない。遮光カーテンを閉め、布仏本音に向き直る。

 

「すまん。眠っていた」

「こっちこそ起こしてごめんね〜」

 

 本音は持っていた携帯端末に向かって、すばやく文章を入力してポケットにしまった。

 スカートを押さえつけた箒に、察しのいい本音は窮状を見抜いた。

 箒は普段ぼんやりした本音が嫌いではなかった。ただ、今は困る。

 甘いミルク臭が漂い、心配した本音が顔を近づけると確実に反応した。

 

「篠ノ之さん。特別整備のことなんだけどさ〜」

 

 箒が一番気になっている話題を持ち出す。入学当初から整備科志望を表明している彼女が知らないわけがなかった。紅椿の厄介な問題は女子なら誰もが知っている。

 異常ともいえる待機形態。箒が余計な妄想をしでかしたのが原因ではあるが、せっかくもらった力を手放したくはなかった。毎日所定の手順でナノマシンを排出すればよい……その手順が難関なのだが。

 

「生徒会長が骨を折ってくれるって太鼓判を押してくれたよ。カンちゃん……四組の更識簪さんも協力を惜しまないって言ってた。会長は顔が広いから学園中から志願者を募るって」

「の……のほとけ」

 

 箒の声が震えた。目尻に涙が浮かび、思わず手を取っていた。

 

「ありがとう! ありがとう!」

「どーいたしまして〜」

 

 感謝の念を伝えるうちに、ふとした疑問が浮かぶ。

 ――でも、どうやって?

 まあ、いっか。

 今は本音の申し出を快く受けるのだ。難しいことは後で考えよう。きっと良い考えを持っているに違いない。

 

 

 

(終)

 




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