※この作品はR-18です。

妄想成層圏   作:王子の犬

5 / 12
 男性向けです。
 間にいろんなイベントがあったと思いますがスキップしました。


原作2巻
Teacher's Pet


   <二十一>

 

 箒は壇上に並ぶふたりを見て、背筋を伸ばしたまま嘆息した。

 ――また転校生か。

 織斑千冬が新たなクラスメイトを紹介している。

 フランス人とドイツ人の組み合わせだ。一方は線が細くそれでいて腹の底が見えぬ得体の知れなさがあった。もう一方は小柄ながら四方八方に気を張り巡らせ、今にも刃を抜きそうな気配だ。

 ISは女性にしか操縦できないというのが常識だ。

 ――でも、あの人がつくったわけだ。

 姉のふにゃふにゃとした表情を思い浮かべると、二人目の男性操縦者というのもありがちな話だ。

 まして、これだけの美少年ならば。

 

「はい。こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国より転入を――」

 

 人なつっこそうな表情。紳士的な立ち居振る舞い。寄宿舎ものの耽美小説に出てきそうな貴公子。黄金色の美しい髪。声は高く、華奢で大人になりきれていない。

 他の女子が黄色い声をあげた。

 箒は興味なさそうに頬杖をつく。

 ――今のうちに騒いでいろ。そのうち化けの皮が剥がれるぞ。

 このクラスに転入してきた目的は情報収集だろう。

 ――隣のドイツ人のほうが好感がもてるな。彼女は自分を偽っていない。だが、彼はまやかしだらけだ。織斑先生……いや千冬さん。私の目はごまかせないぞ。

 箒は千冬とシャルル・デュノアを蔑みながら、交互に一瞥した。

 ――千冬さん。私は見たんだ。昨日、あなた方が何をしていたのか……。

 

 

   <二十二>

 

 

「織斑先生っ、ちょっといま手が離せないので、彼を見てくれませんか。校内を見学したいそうです」

 

 織斑千冬が応接室に顔を出すと、真耶が困り果てた様子だった。

 ラウラ・ボーデヴィッヒから質問攻めに遭っており、余裕を無くしていた。

 横で行儀よくソファーに腰掛けていた少年が、肩をすくめて千冬を見上げる。

 

「さっきからずっとこうなんですよ。……失礼しました。明日からこの学園でお世話になるデュノアです。よろしく、織斑先生」

 

 シャルル・デュノアが立ち上がって千冬と握手を交わす。

 

「山田くん。ボーデヴィッヒを頼んだ」

「お願いします……ああっと、ここはですねえ」

 

 千冬はシャルルを連れて校内を案内する。

 教室棟を訪れ、忘れ物を取りに来た篠ノ之箒にシャルルを紹介した。

 

「篠ノ之だ。よろしく」

 

 シャルルが手の甲に口づけしようとした。すぐさま手を引いた箒は千冬に険しい顔を向けた。

 

「あまりクラスメイトをからかうなよ」

「僕は挨拶のつもりでした」

 

 シャルルが悪びれなく口にすると、箒が一礼して教室から出ていった。

 普段教室を走ることのない彼女が、まるで逃げるように小走りになって階下に消えた。

 その後案内を続け、特別教室棟の一室に彼を招き入れる。

 

「ついでですまんな。少し頼まれてくれないか」

「はい。もちろんいいですよ」

 

 シャルルに先に室内へ入るよう促し、彼は疑うことなく応じた。

 千冬は後から入って、さりげない手つきで扉の鍵をかける。

 世間話を話題にしながら壁際に誘導し、荒々しく手を突いた。

 

「あの……先生?」

 

 困惑するシャルルにかまわず、千冬は顔を寄せて強引に唇を奪った。

 

「先日、フランス政府から直々に私に打診があってな」

 

 千冬が唇を遠ざけながら言い、シャルルの股間を艶めかしい手つきでまさぐった。

 シャルルは目を見開いたまま次の言葉を待った。

 

「デュノアの秘密を守るように『お願い』されたのだよ……」

「政府が……」

 

 シャルルは神妙な顔つきで身をこわばらせた。

 

「『彼』の便宜を図るように何度も念を押していったよ。生活を保障する以上は秘密はないほうがいい……と、もったいぶった仕草で私に教えてくれた……」

 

 千冬がシャルルの女性名を耳打ちした途端、彼の表情が凍った。

 彼にかまわずカーディガンのボタンを外し、下着で覆い隠された乳房を露わにする。

 きめ細かい肌。白い乳房。色づいた乳首が硬くとがっている。

 

「シャルル・デュノア。男なら女が脱いだらどうすると思う?」

 

 ブラジャーを腕から抜いて、美少年の頭を優しく抱いた。

 シャルルは腕に力をこめて突き放そうとしたが、千冬のほうが上手だった。

 

「腕力では私に勝てない。鍛え方が違うからな」

 

 シャルルは唇をかむ。

 

「わからないのか? 貴様は本当に男か」

 

 千冬が嘲るように言った。

 シャルルは身体を震わせ、拒否しようと身をこわばらせたが、結局千冬の言葉に従った。

 

「僕は男だ」

 

 乳首を含んで強く吸いながら柔らかな膨らみに顔を押しつける。

 甘ったるい汗の匂いが鼻孔を突き抜けた。

 唇で乳首を挟み込んで吸い上げると、千冬の吐息が徐々に甘くて熱いものに変わっていった。

 シャルルのたどたどしい動きに応じて、千冬が自ら膨らみを揉みしだく。

 

「そうだ。赤ん坊のように吸うんだ」

 

 室内に濃厚な女の匂いが充満していく。

 彼は飲み込みが早いのか、緩急をつけて吸引するようになり、舌で円を描くように乳首をねぶった。

 

「才能があるぞ……アア……いい」

 

 もう一方の乳房を差し出すと、シャルルは遮二無二むしゃぶりついていた。

 チロチロと舌で先端を転がし、唾液を絡ませる。

 だが、女の手がシャルルの股間を揉みしだくようにさすると、彼は硬直して舌を動かすどころではなくなってしまった。

 千冬がシャルルの顔を優しく突き放す。

 

「シャルル・デュノア。河岸(かし)を変えるぞ」

「え?」

 

 シャルルは物惜しげな吐息を漏らした。

 

 

   <二十三>

 

 

 シャルルが連れてこられた場所は学園の地下五十メートルにあった。

 レベル4権限を持つ関係者しか入室を許されない、隠された空間だった。

 

「シャルル・デュノア。貴様にはフランス政府たっての希望でこの部屋に入室する権限が与えられている。無論、この部屋で見たこと、聞いたことは他言無用に願う」

 

 しゃべったら終わりだぞ、と千冬がほのめかした。

 室内は薄暗く、投影ディスプレイの光で照らされた千冬の顔はひどく冷たいものだった。

 

「この部屋は私とシャルルの貸し切りだぞ」

 

 千冬は言ってから、封筒を無造作に投げ渡した。

 

「これは?」

 

 封筒には数枚の紙が入っていた。シャルルは何の疑いもなく取り出し、椅子に座って読み始めた。

 

「ルールだ。もちろん修正は可能だ」

 

 千冬が告げた。

 

ルール

・服従

『従属者(サブミッシブ)は、支配者(ドミナント)から与えられた指示に、躊躇したり迷ったりせず、即座に従うこと。別に定めるハードリミット(補遺2参照)を除き、ドミナントが適切と判断したうえで快楽のために行う性的行為に応じること。その際は積極的に、またためらわずに受け入れること』

 

 睡眠、食事、衣服、エクササイズと続き、シャルルはぽかんと口を開けた。

 頭が混乱して何から話してよいのかわからない。

 

「交渉して互いに納得し、条件を整えていく。ただし、デュノアにはすべてを断るという選択肢が残されていない。理由はわかっているだろうな」

 

 デュノア社のことだ。

 シャルル・デュノアは政府を通じて千冬に、IS学園に売られたのだ。

 現デュノア社社長――父親も関与しているのは間違いなかった。

 

「具体的な交渉に入る前に……そうだな。デュノアは女を知る必要がある」

「女だって? そんなのいくらでも知っている! 僕のことを知っているなら疑う余地なんかないはずだ!」

「デュノアがいう女と、私のいう女はまったく異なる……貴様は幸運だぞ。ブリュンヒルデが筆おろしに付き合ってやるというのだから……」

 

 ソファーに身を投げ出した千冬は、シャルルのネクタイをつかんで思い切り引き寄せた。

 

「今まで男と寝たことは」

 

 シャルルは顔を赤らめて目を伏せ、唇をかんだ。か細い声でつぶやいた。

 

「……したことがない」

 

 千冬は「したことがないのか……」とシャルルの言葉を何度も反芻しながら、突然びっくりしたように声を荒げた。

 

「なんだって?」

「僕は……女とも……男とも……」

「処女だと?」

 

 千冬は髪をかきあげながら吐き捨てた。「くそっ、聞いてないぞ」

 

「男とキスした経験は」

 

 唇同士を重ねるやつだ。シャルルは恥ずかしげに首を振った。

 千冬は完全に血の気が引いた。目蓋を閉じ、もう一度開いたとき何かを決心したようだ。

 

「いずれその問題を解決しなければ」

「え?」

「もちろん他の男に抱かせたりするものか。だが……今は男としての初めてをもらうぞ」

 

 

   <二十四>

 

 

 シャルルが目を閉じ、互いの舌を舐め合いながらうめいた。

 なすがまま唾液に酔いしれ、粘液を絡め合うたびに熱い吐息と女の匂いが鼻孔を刺激する。

 千冬が唇を離す。

 服を脱ぎ捨て、下着姿になり、ガーターベルトのフックを外した。太ももからつま先までを包む黒いタイツが残った。六十デニールなので少しだけ透けている。

 豊満な胸。訓練で絞り込まれた女体。健康的な美しさにシャルルは目を奪われた。

 

「デュノアも脱げ」

 

 シャルルは命令にしたがってたおぼつかない手つきで衣服の拘束を解いた。

 最初に現れたのは華奢な少年の身体だ。

 

「最後まで脱ぐんだ」

 

 続いて拘束を解いたとき現れたのは少女の身体だった。

 

「ほう……」

 

 千冬がある一点に目を見張る。

 最後に脱ぎ捨てた下着を取り去ったとき、シャルルの股間には見事な一物が屹立(きつりつ)していたのだ。

 

「半陰陽とはな。実物を見るのは初めてだ」

 

 十五歳という年齢にしてはたわわに実った乳房、黄金色の陰毛で覆われた秘所。極めて不自然なことに、男の証明がそそり立っていた。

 千冬は宿直用の蒲団を広げてシャルルに寝るように指示した。

 仰向けになったシャルルの顔をまたぎ、黒い茂みと湿った秘所を押しつける。千冬もシャルルの股間に顔を埋め、肉棒を軽くさすりながら唾液を膣口に垂らす。

 舌を這わせ、呼吸に合わせて開閉する膣と陰唇を舐めほぐしていった。

 口をすぼめて膣内に舌を差し込み、肉襞(にくひだ)をねぶって分泌液を味わう。顔を上げてシャルルを見下ろした。

 

「舐めろ」

 

 シャルルはおそるおそる舌を差し出し、荒い鼻息を千冬の膣に吹き付ける。

 チロチロとつたなく舌先をうごめかせた。

 薄い酸味の粘液が伝い、濃厚な女のにおいをかいだ。千冬が悩ましく腰を動かすので、太ももをつかんでがっちり固定する。

 

「いいぞ……その調子だ」

 

 千冬が快感に鼻を鳴らす。

 シャルルがジュルジュルと音を立てて粘液をすすった。

 

「ああ……たまらんな……」

 

 男を受け入れる準備が整うと、千冬が腰をあげて身体の前後をいれかえる。

 亀頭を股間にあてがい、ゆっくりと腰を沈み込ませてきた。

 重みと潤いでヌルヌルとなめらかに根元まで飲み込まれていった。千冬が股間を密着させ、太ももを閉じて締め付けを強めると、シャルルが顔をのけぞらせて深くあえいだ。

 

「アアっ……せんせっ……」

「これが女だ。わかるか、デュノア」

 

 千冬が腰を上下させる。

 シャルルが悩ましげに眉をひそめ、快感に耐えようと歯を食いしばる。

 肉襞の感触にあえぎ、端正な顔が歪んでいく。

 

「せんせっ……もう、僕……」

 

 急激な高ぶりが全身を駆け巡るとこらえきれずに肉棒から大量の白濁液を暴発させた。

 どくどく……と千冬の柔肉に精液を流し込んでいった。

 

「熱い……半陰陽でも射精するのかっ……アア」

 

 千冬は艶然と笑った。

 

「軽くイッてしまったぞ。最後の一滴まで注ぎ込め……そう、もっとだ。もっと突きあげろ」

 

 シャルルは腰に手を回し、がむしゃらな動きで抽挿に没頭する。

 しばらくふたりは獣のような喘ぎを漏らした。

 熱のこもったまなざしを交わす。声をうわずらせてのけぞり、シャルルの動きに合わせて腰を跳ねさせていった。

 ピタリと動きを止め、急に恥部を前後に押しつけだした。鼻を鳴らして、ガクガクと狂おしく身をよじった。

 千冬が肉棒を締め上げると、膣内に二度目の噴出を感じた。

 

「イクっ……せんせっ……僕、また……いっくうう!!」

 

 シャルルは精を絞り出し、腰砕けになって初めての女の余韻をかみしめた。

 

「先生……僕……」

 

 千冬がシャルルに覆い被さって細い裸身を抱く。

 

「私の言うことを聞いていれば、またこうやって抱かせてやる」

 

 金髪をかきわけ、額にキスをした。

 

 

   <二十五>

 

 

 箒は思索にふけっていた。ラウラの紹介を右から左に聞き流す。

 ――アリーナから千冬さんとデュノアがふたりきりで出てきたあと、別れ際に唇を重ねていた。女教師が教え子の美少年を……それも転入前日に食べるとは……けしからん。けしからんぞ!

 

「貴様が――」

 

 ラウラが急に言葉を切る。その直後に乾いた音が響く。

 

「いきなり何しやがる!」

 

 一夏が軽く怒鳴ると教室が急に静かになった。

 ――どうした? 何で私の前に転入生が?

 思索を中断し箒が顔をあげ、とっさに一夏を見やった。彼は頬を抑えながら目を怒らせていた。

 箒は何度も目を瞬かせて、眼前で仁王立ちしたラウラを不思議そうに見上げる。

 ――何があったんだ?

 千冬とシャルルが逢い引きしていた光景を思い出すことに熱中するあまり、ドイツ人の転校生が何をしゃべったのか、どんな行動をとったのかまったく覚えがない。

 ラウラは腰を落として精神を集中している。

 

「ハアアアアアァァァ……」

 

 わざとらしく深くゆっくりと息を吐き、赤い瞳は冷徹さを保ったままだ。

 シュっ、と微かな摩擦音がひびく。

 箒はゆっくりと顔面に向けて伸ばされた拳を避けようと、机の上に置いてあった教科書をつかみ取って盾に利用する。

 拳が教科書に触れた瞬間、銃声のような「パンッ」という音が弾けた。

 

「――正気に返れ」

 

 ラウラは踵を返して自席に向かった。

 千冬が咳払いしてホームルームの終わりを告げて、グラウンドに集合するよう生徒を急かす。

 箒がいち早く席を立ったあと、彼女の後ろの席に座っていた女生徒が床のゴミを拾った。

 

「あ、篠ノ之さんの教科書だ」

 

 表紙をめくると、女生徒は凍りついてしまった。中身がグチャグチャに裂けていたのだ。

 

 

 

(終)

 




※<二十三>で示したルールは下記書籍から引用いたしました。
E・L・ジェイムズ『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ (上) 』 池田 真紀子訳、ハヤカワ文庫

 最後まで読んで頂きありがとうございました。
 何かありましたら感想欄や一言にメッセージをくださいませ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。