※この作品はR-18です。

Magic Life   作:弩素人

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もう少しほのぼのさせようと思ったが限界でした。


光無き場所に影は生まれるか

直毅が2つの新しい魔術を覚えたその日の昼下がり。彼はベランダで椅子に座り2つの魔術の使い方を色々と思案していた。

ベランダへの扉が開き、中から麗華が現れ、彼女は直毅の姿を見つけ尋ねる。

 

「直毅、少しいいかしら。」

 

「ん?麗華か。頼み事が思いついたのか?」

 

「え、えぇ。買い物に付き合って貰えないかしら?」

 

麗華は自分でも驚くほど緊張しながら、ありきたりの頼み事を伝え、直毅は拍子抜けしたような表情で聞き返す。

 

「そんなことでいいのか?まぁいいぜ。何を買いに行くんだ?」

 

「魔法石の残りも少なくなってきてね。それに直毅にも必要になるでしょう?」

 

「そう言えばそうだな…何処に買いに行くんだ?」

 

「もちろん学園よ。購買に行ったことないの?」

 

「食物を買いにしか行ったことないさ。」

 

「そうだったわね。それじゃ行きましょか。」

 

呆れ顔で答えた直毅に麗華は苦笑し、2人はベランダを後にした。

 

ーーーーー

ーーー

ー

 

「学園にこんな所があるなんて知らなかったな。」

 

「今からでも勉強したらどう?知識がないだけで、魔術のセンスは抜群にあるんだから。」

 

魔法石や魔術の素材、魔術書などが至る所に置かれた、年季の入った雑貨屋といった感のある購買に訪れた2人。直毅は物珍しそうに、棚に置かれた羽根や宝石をつまみ上げ見つめては元に戻して答える。

 

「今更覚えたところでなぁ…」

 

「でも貴方、決闘で魔術を使って学園側から通達が来たでしょう?」

 

麗華の言葉に直毅は頭を抱えて溜息を吐く。

柊兄妹との決闘で、条件付きながらも魔術が使えることが知れ渡り、学園側から実技教科への出席と、魔術試験で一定以上の得点を得ることを通達されたのだ。

 

「程のいい退学通告だぜ。試験まで1ヶ月とねぇのに…ん?」

 

直毅偶然にも、棚の横に貼られた"学園対抗戦"と書かれたポスターを見つける。

 

「学園対抗戦?そんな行事があったのか。」

 

「そういえばそんな時期ね。今年の代表は誰なのかしら。」

 

「学園の代表同士で決闘でもするのか?」

 

「えぇ、そんなところよ。これは高等科の対抗戦ね。各学年から代表を選出して決闘を行うの。優秀者はロンドン留学の招待が来るわ。」

 

麗華の説明を聞きながら、直毅は柊兄妹との決闘を思い出す。

 

学園対抗戦。上部だけを見るのなら、普段関わり合わない他学園の生徒との交流を目的にした行事。しかし実際のところ、決闘がそうであったように、この学園対抗戦も各学園の優劣を決める場であり、上層部同士の欲望が渦巻く場でしかない。麗華が言った通り、優秀者は魔術の本場…ロンドンへの留学招待が来るのだ。上流階級の家系では喉から手が出るほど欲しい招待状であり、学園側としても、ロンドンからの招待状は学園の優秀さを表す最高のバロメーターとなる。

根本的に魔術師は他者との関わり合いを拒み、見下したがるもので、高位の魔術師になればなるほど、その度合いは強くなる。実際、高位の魔術師は大半が、高潔な血統の生まれや先天的才能を持つ者で、そんな者が集まる場所で役に立つものなど、それこそ実力しかない。その点で言えば、上部だけで見れば誰にでも機会はあると言える。(そうならないのは明白だが)

 

「対抗戦ねぇ…その代表は誰が選ぶんだ?」

 

「生徒からの推薦、立候補もあるけれど、学園側が最終的に判断するわ。」

 

その言葉に直毅は内心教師達を嘲笑い、ある考えを思い付き不敵な笑みを麗華に見せた。

 

 

「その対抗戦、俺が立候補しようか。2学年の代表に。」

 

「本気⁉︎一体どういう風の吹きまわしよ。」

 

「別に、たまには学園の役に立ってやろうと思っただけさ。」

 

「貴方が言うと皮肉にしか聞こえないわね。でも冗談にも聞こえないわ。」

 

直毅の言葉に1度驚いた麗華であったが、彼の表情を見ると深く息を吐き呆れ顔を浮かべる。

 

「さて、それじゃ明日にでも先生方に"交渉"と行きますかね。"善は急げ"っていうくらいだからな。」

 

「もう…買い物を済ませましょう。ほら、これが魔法石よ。」

 

麗華は棚から魔法石の入った箱を取り、直毅にも手渡す。

 

「サンキュー。そうだ、こいつを携帯しやすくするベルトとかないのか?1本ずつしまえるような。」

 

「それならあの辺りに…こういうものでいいの?」

 

直毅の要望に麗華は、魔術師用のグローブやローブの並ぶ棚から魔法石をしまう革製のベルトを手に取る。

 

「そうそう。まさに銃弾をしまうベルトだ。後は俺が変質魔術の精度を上げればいいわけだ。」

 

「変質魔術の?一体どうして。」

 

「俺の武器はやっぱり銃だからな。魔法石1本で1発じゃ幾らあっても足りない。やっぱりリボルバーはやめるべきかぁ。」

 

頭を掻きながら答える直毅に、麗華は頭上にクエスチョンマークを浮かべる。

 

「銃のことはよく分からないけれど、そのリボルバーにはどんな問題があるの?」

 

「あぁ。リボルバーってのは拳銃の種類だ。構造が単純で、変質魔術で魔法石を銃に変えるには易しいんだが、俺が使う銃の銃弾は魔法石1本で6発には大きすぎるんだ。オートマは好みじゃないんだがなぁ。それに、魔法石で作った銃は"脆い"んだ。質量的に無理があるからな。」

 

「確かに、携行出来る魔法石じゃ作れるモノには限りがありそうね。」

 

「まぁ銃を使う魔術師なんて居ないだろうからな。当分の間は新しい魔術の練習に使うさ。」

 

2人は魔法石とベルトの会計を済ませ購買を後にし、学園内から出るバスに乗り最寄り駅まで向かう。自宅の最寄り駅まで来たところで、直毅はふと思い付き麗華に声を掛けた。

 

「麗華。先に帰っててくれないか?茜の家に寄って行くから。」

 

「茜さんのところに?まだ会えてないの?」

 

「あぁ。まだショックが消えないみたいでな…」

 

直毅が左腕を無くしたあの日から、茜は罪悪感からか直毅を避けていた。そのことを気にかけた彼は背中に影を落とす。

 

「…そう…それじゃ先に帰ってるわね。」

 

「悪いな。麗華。」

 

2人は別れ、直毅は茜の家へと向かう。その後ろ姿を麗華は複雑な気持ちで見つめていた。

 

 

ーーーーー

ーーー

ー

 

直毅が茜の家の前で来ると、偶然にも裕也と鉢合わせ、2人はお互いに言葉を詰まらせる。

 

「裕也…なら俺が来る必要もなかったな…」

 

「いや、茜は無意識に直毅を避けてるだけなんだ。直毅の…左腕が無くなったのを自分のせいだと思い詰めてて…」

 

「そうか……茜の心を支えてやれるのは裕也だけだ。だから、頼むな、茜のこと。」

 

直毅は無理矢理悲しげな笑みを裕也に見せ、彼は家の前から立ち去り、裕也はその姿を見つめる。その時直毅は気がつかなかった。2階の自室の窓から茜が自分を見つめていたことを。

 

そして、彼女の背に黒い影があったことなど、この時は誰も知る由もなかったのだ。

 




如何でしょうか?
少し短めですが、次回からまた直毅には渦の中に飛び込んでもらいますかね…茜が黒くなる予感が…

それではまた。
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