※この作品はR-18です。

Magic Life   作:弩素人

28 / 69
対抗戦前の準備の話になってしまったが、こういう話も必要だよね(震え)


Lonely Boy Scar Heart

「取り敢えず、これが俺の相手方の代表メンバーの予想だ。皆んなの意見が聞きたいんだが。」

 

生徒会室に集まった薫達に、直毅は文音から提供された情報を提示し、皆その資料と直毅の顔を交互に見て瑞貴は疑問を投げかけた。

 

「メンバーの予想って、どうやって他校の生徒の情報を集めたんだ?」

 

「この学園の"埃"を調べた時と同じさ。しっかし疲れたぜ。優等生だけ調べればいいと高を括ってたんだが、それでも軽く100人は居たからな。」

 

「100人って、1人でこれ全部に目を通したんですか⁉︎」

 

ファイルを手に取り、資料の数を見て白也は目を見開き驚きの声を上げる。

 

「それでも手を抜いた方だ。本当なら生徒全員に目を通すべきだからな。だが、幾ら時間があっても足りないしキリがない。」

 

さも当然といった様子で答え、大きな欠伸をしてソファーに寝そべる直毅を、薫は感嘆の表情で見つめる。目を閉じた彼はゆっくりと口を開いた。

 

「3年の代表は十中八九、生徒会長の諏訪 優季。頭脳明晰、冷静沈着。正に司令塔ってわけだ。恐らく1、2年のサポートと妨害の役割だな。」

 

直毅の説明を聞きながら、3人は資料を回し読み優季の成績に舌を巻く。全評価満点、非の打ち所のない優等生。確かに3年の代表として文句の付けようがない。

 

「次に1年の代表だが、1年の代表は生徒会の選抜に一任されてる。無難にいけば優等生を引き抜くだろうから、似たり寄ったりの奴が選ばれるだろうし、俺が見たところでも大差なかった。ピックアップした奴らもそう違いはないだろう?」

 

「…確かに…なら、問題は2年生の代表ってことですね?」

 

資料に目を通した白也の意見に直毅は頷くと、大きく息を吐いて言葉を続ける。

 

「セオリー通りにいくなら2年の代表も優等生だが、 家系的な事を考えると単純に能力で決められるってわけでも無い。まぁ大抵そんな家系の奴らは総じて優等生だから、そいつらの能力の特徴だけ頭の中に入れておけばいい。だが問題は、2年の代表は生徒会の認証も必要って所だ。そうだよな?瑞貴。」

 

「あぁ、そうだ。選出された生徒が対抗戦に相応しいかどうか、生徒会はそれを審査する役目がある。」

 

「つまり、その代表は少なからず生徒会の意向が含まれるわけだ。そうなると、名声の為だけに代表になろうとする奴を、恐らくこの生徒会長は選ばない。会長さんと似たタイプの奴だな、コイツは。」

 

身体を起こし、薫の方を向いた直毅がそう言うと、彼女は諏訪 優季の資料をもう1度手に取り眺める。

 

「そして、もしそいつが会長さんに似てたとしたら、選ばれそうな奴が1人居たんだ。それも俺に似た…いや、俺より優秀な奴がな。」

 

直毅は声を殺して笑い声を上げ、その者の資料を机の上に放り投げた。

 

「稀崎 翠樹。成績は中の上程度だが、攻め手としては最有力候補だ。俺に似て接近戦を得意にする、"真っ当な"魔術師としてはイレギュラーの部類だが、1年を撹乱に、3年をサポートと妨害に持ってくるとしたら、正にコイツはうってつけだ。」

 

「火、木、土、金…森羅万象の使い手,ですか…」

 

机の上に置かれた資料を取り、白也はその内容を読んで他の2人に回し、2人もその資料を読んで笑い声を上げる直毅を見つめる。

「でも直毅先輩には、戦い易い相手じゃないんですか?」

 

「おいおい、戦い難いに決まってるだろ?接近戦しか取り柄の無い俺より、接近戦も中遠距離も出来る相手の方が優秀さ。」

 

「にしては嬉しそうだな。内心勝つ見込みがあるんじゃないか?」

 

「そんなことないぜ、虚勢を張ってなきゃやってられないだけだ。それに、そいつが選ばれると決まったわけでもないし、選ばれないのを祈るばかりさ。」

 

直毅はまたソファーに横になると、大きな欠伸をして寝息を立て始め、白也と瑞貴は眠る彼を呆れ顔で見つめる。

 

「本当によく分からない人ですね…直毅先輩。」

 

「あぁ…どうやったら人はこうなるんだ?」

 

「けれど、何故か期待が湧いてくるわ。彼なら何とかしてくれる気が。」

 

直毅の姿を見て呟いた薫の言葉に、2人も内心頷いて各々の作業を始めた。

 

ーーーーー

ーーー

ー

 

「…毅、直毅?」

 

「んん?あぁ…眠っちまったのか…」

 

薫に声を掛けられた直毅は身体を伸ばして目を擦り辺りを確認する。

 

「もう放課後か…あれ、瑞貴と白也は?」

 

「資料に目を通して練習場に行ったわ。」

 

手に持っていた資料を机に置き、薫は席を立ち直毅の正面のソファーに座ると、未だ寝ぼけ眼の彼を見つめる。

 

「ねぇ、少し話をしてもいいかしら?」

 

「ん?別に構わないぜ、会長さん。」

 

「…その前に、私のことは薫と呼んでもらってもいいかしら。」

 

「そういや呼んでなかったな…でも先輩とか会長とか付けて呼ばないと気分的に悪い気がしますけど。」

 

「いいわ、薫と呼び捨てで。」

 

真っ直ぐに見つめられた直毅は頭を掻き、仕方なく頷いた。

 

「分かりましたよ。じゃあ薫、どんな話があるんで?」

 

呼び捨てにされた薫は微笑み、その様子を直毅は不思議そうに眺めた。

 

「何か可笑しなことでも?」

 

「いいえ。ただ、今で呼び捨てで呼ばれたことがなくて、新鮮さを感じただけ。」

 

「…成る程、優秀さ故の弊害ってわけだ。」

 

「えぇ、他人との関わりを拒むのが魔術師の本質。そもそも魔術は自己のみに公開され、自己の手のみで完結するもの。その点からして、貴方は相当なイレギュラーね。」

 

「そうだろうな。でも昔の俺は…いや、昔話をするのは止めておこう。」

 

脳裏をよぎった過去を、頭を振って払った直毅の様子に、薫は興味深そうに彼を見る。

 

「聞いてみたいわ。直毅の昔のこと。」

 

「昔話は好きじゃない。俺の昔なんて、大して面白くもないさ。」

 

「少しだけでいいわ。貴方がどうやってイレギュラーになったのかを。」

 

「どうすっかな…」

 

直毅が薫の視線から逃げるように会長席を見ると、タイミング良くアンティークなダイアル式の電話が鳴り響いた。

 

「電話だぜ、会長さん。」

 

わざとらしく親指で電話を指差す直毅。薫は仕方なくソファーから立ち上がり受話器を取る。

 

「はい、生徒会室です…はい、え?直毅を?…まずは要件と名を名乗りなさい。事と次第によっては…」

 

「貸してくれ、薫。」

 

半ば強引に薫から受話器を取ると、直毅は相手の声も聞かずに、低い声で告げた。

 

「手前が誰だか知ったこっちゃないが要件は分かってる。すぐに行くからそこで後悔しながら待ってな、このクソ野郎!」

 

勢い良く受話器を叩きつけ、直毅は生徒会室を飛び出そうとする。

 

「待って直毅!何処に行くの!」

 

直毅の腕を掴んで引き止めた薫は、振り返った彼の目を見て恐怖を覚える。その目はまさにナイフの様に鋭く冷たい目。薫が声もなくその手を離すと、直毅は部屋を飛び出した。

 

ーーーーー

ーーー

ー

 

「止めろ貴様ら!こんなことをしてただでは済まんぞ!」

 

「先輩、静かにして下さい。僕らは"話し合い"をしてるだけですよ?」

 

拘束魔術で後ろ手を縛られ跪かされた瑞貴は、白也を取り囲む男子生徒達…白也に代表の辞退を進めた者達に声を上げる。

 

「さて、黒瀬君。今からでも遅くない。辞退してくれないかな?」

 

その男子生徒は白也の首元を拘束魔術でゆっくりと締め上げ、苦悶の表情を浮かべ目に涙を溜めながらも、白也は首を横に振り続ける。

 

「強情だね黒崎君。正直に言おうか、君は代表に相応しくないんだよ。」

 

「そうかもしれないな。だが、手前よりは代表に相応しいぜ、そいつは。」

 

酷く静かな声が練習場に響き渡る。その場に居た誰もがその声の方向を向き、そこに居た直毅の姿を見た。

 

「Say "hello" to my little friend !(これがご挨拶だ!)」

 

直毅は魔法石を投げつけ、石が男子生徒の前まで来ると、彼は自らの身体に触れ転移させると、男子生徒の顔面に右肘を叩き込んだ。

男子生徒は声も無く壁に叩きつけられ、白也と瑞貴を縛っていた拘束魔術が解かれる。辺りにいた男子生徒達は皆恐怖の声をあげながら練習から逃げ出し、彼の後を追って来た薫はその状況に言葉を失う。

 

「…大丈夫か?白也。」

 

「はぁ…はぁ…はい。大丈夫です。」

 

息を整えながら返事をした白也を直毅は気遣い、彼の元に駆け寄った瑞貴と、薫の姿を見て、彼は悲しそうに呟いた。

 

「さっき俺の昔話を聞きたいって言ってたな、薫。"これ"が昔の、いや今も変わらない俺さ。」

 

直毅を取り巻く環境は何も変わっていない。彼と




如何でしょうか?
あまり出来が良くない気もしますが…元々良い出来の文もなかったか…

それではまた
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。