※この作品はR-18です。

Magic Life   作:弩素人

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相変わらず投稿が遅い…


Desdmona daughter

「直毅、来たぜ招待状が。」

 

「あぁ…憂鬱になる…」

 

直毅の自室に訪れた雄治は、ユキと共にチェスをしていた彼にヒラヒラと招待状を見せながら声をかけ、直毅は大きな溜息を吐いた。

 

「披露宴は明日だ。チェスの途中悪いが、早速作戦会議をしなきゃな。」

 

「分かったよ。悪いなユキ、続きはまた後でな。」

 

席を立ちユキの頭を撫で、直毅は自室を後にする。地下の武器庫に2人は向かい、雄治は大きな木箱に腰掛け煙草を咥えて直毅に資料を渡す。

 

「バトルフィールドは立体駐車場だ。5階建てで全長は800m。そこにやって来るターゲットを"無力化"または確保すれば俺達の勝ち、俺達が"無力化"されたら負けだとよ。まぁ、"クライアント"は護衛機、メティスを無力化して欲しいみたいだけどな。」

 

「無理難題言いやがる。俺を襲った奴と同スペックなら、ターゲットを狙うだけでもキツイぜ。」

 

「手段を選ばなきゃ楽なんだがな。」

 

「リトルボーイもファットマンもエノラ・ゲイもボックスカーもないんだ。不意打ちがいいとこだろ。」

 

「まぁな。それに、乗るならメンフィス・ベルの方がいいしな。」

 

ケタケタと笑う雄治に、直毅は溜息を吐き、壁に掛かった銃達を見る。

 

「で?どうするよ。まさか駐車場を丸ごと爆破するわけにもいかないし、正面から迎え撃つか?」

 

「そうだな…どうにかしてターゲットから護衛を離さなねぇと。」

 

2人は真剣な面持ちで作戦を練り始める。駐車場の構造を頭の中に叩き込み、武器の用意をしながら時折冗談を言い合う。直毅はP90のマガジンに弾を込め、雄治はドットサイトにグレネードランチャー付きのM4カービンのマガジンを2つテープで巻き付けていく。

 

「いっそのことチェーンガンでも使ったらどうなんだ?」

 

「どうせ当たらない弾だ。そうだ、M82の用意もしなきゃな。」

 

手程の大きさがある銃弾の入った箱を取り出し、雄治はM82のマガジンに弾を込めていく。

 

「その対物ライフルはどっちが使うんだ?」

 

「勿論お前だ。狙撃の腕は俺より上だからな。」

 

「勘弁してくれ…全く。結局白兵戦に持ち込まなきゃ勝ち目がないんだ。ショットガンは?スラッグ弾なら案外効くかもしれないし。」

 

「殴れる距離ならナイフでも変わらない。弾が撃てればなんでもいいんだよ。」

 

マガジンを積み上げ、準備を進める。チャフグレネード、フラッシュバン、グレネード、C4等、机の上に武器が乱雑に並べられ、黒いバッグ詰め込んでいく。

 

「そういや、サイドアームは44マグナムなのか?いい加減オートマにしたらどうだ。」

 

ある程度用意を終え、雄治は椅子に座り机の上に脚を投げ出して直毅に尋ね、直毅は呆れ顔で答えた。

 

「化け物拳銃を2丁も使う人には言われたくないね。」

 

「それもそうか…よし、後は俺が用意しとくから、お前は身体を休めとけ。明日は早いからな。」

 

「殺し合いの前日に寝ろっていうのも無理難題だ。はぁ…それじゃ先に休むとしますかね。」

 

直毅は頭を掻き欠伸をして地下室を後にする。自室に戻ると、ユキがベッドに腰掛けて本を読んでいた。

 

「…また、戦うのね…」

 

凛から受け取ったマントを確かめる直毅に、ユキは心配そうな声で尋ねる。魔法石が収められたベルトとマントをしまい、直毅は彼女の隣に座って頭を撫でた。

 

「あぁ、けど大丈夫だ。怪我しないとは言い切れないけど、絶対帰ってくる。約束だ。」

 

「でも、直毅震えてる。」

 

彼の手を取り、彼女はその手を温める様に握り締める。微かではあるが、彼の身体は震えていた。

 

「身体が怖がってるのかもな…いや、心もか…」

 

震える身体を軽く摩り、苦笑しながら直毅が呟くと、ユキはその小さな身体で彼を押し倒して口付ける。

 

誓いの様に優しく、触れるだけの口付け。だが何よりも想いを込めたその口付けは、直毅の心を酷く揺さぶる。

 

彼女を強く抱き締め、口付けを交わしたくなるその衝動を押し殺し、彼はただ優しく彼女を抱き髪を撫でる。

 

「直毅の身体…暖かい…」

「…心が冷えてる証拠さ。このまま眠ってもいいか?明日は早いから。」

 

「目が覚めた時、私の側に居てくれる?」

 

「あぁ、約束する。ゆっくり眠っててくれ。」

 

ユキの温もりを感じながら、直毅は髪を撫で続け静かに目を閉じた。夢の中で語り合う約束を交わした様に。

 

ーーーーー

ーーー

ー

 

「さて、行くか…」

 

まだ薄暗い早朝。直毅はユキを起こさないようにベッドから離れ、凛から受け取ったマントとネックレス、そしてM29を持ち、静かに部屋を後にベランダへ向かう。

 

「寝れたか?」

 

「あぁ。さっさと終わらせよう。」

ベランダには雄治が煙草を吸いながら、デザートイーグルのマガジンに銃弾を込めていた。直毅も椅子に座り、机の上に置かれた箱から銃弾を取り出し、ゆっくりと弾を込めていく。

 

「寝たりないなら車の中で寝とけよ?欠伸で死んだんじゃ笑い話にもならねぇからな。」

 

「歌でも歌ってる方が気持ちが落ち着くさ。」

 

ホルスターに銃を収め、2人はベランダから飛び降り車に向かう。直毅は1度振り返り屋敷を見上げてから助手席に乗り込んだ。

 

「さて、今日の曲はなんだ?」

 

エンジンキーを回し、雄治がランダムに曲を流す。『Danger Zone』が流れ出し、車は戦闘機のように走り出した。

 

 

ーーーーー

ーーー

ー

 

「メティスの準備は万全だろうな?一条主任。」

 

「えぇ、万全ですよ社長。アリスの方はどうなんですか?」

 

N.E.T社の最上階の社長室に呼び出された一条は、咥え煙草で髪を掻きながら白髪の社長に答える。

 

「そちらは気にしなくていい。まぁ、"君の命を預ける"機体だ。気にするのも無理はないだろうが。」

 

「えぇ。今生の別れになるかもしれませんからね。」

 

「それは困る。社運をかけたプロモーションだ。必ず成功させろ。」

 

「わかってますよ。自分も、死にたくはないですからね。」

 

煙草に火をつけ、一条は紫煙を吐き出してから部屋を出ていく。扉が閉まると、彼は大きく紫煙を吐き出して吸い殻を床に落とし怒りを込めてすり潰した。

 

 

ーーーーー

ーーー

ー

 

「さぁてと。此処がバトルフィールドか。」

 

2人を乗せた車は、開発により廃棄された大型ショッピングモールの隣に建てられた、巨大な立体駐車場の前に止まる。

「何階に来るかは分からないからな。取り敢えず中間の3階に停めるか。」

 

「親父の勘は良く当たるから、十中八九3階にやってくるだろうよ。」

 

横長な駐車場の中央部の入り口から入り、車を3階の昇降部の近くに停める。辺りには疎らに車が止められており、直毅は車から降りて身体を伸ばし、雄治は黒い皮のジャンパーのポケットから煙草を取り出し咥える。

 

「その格好、暑くないのかよ?」

 

「相手はターミネーターなんだろ?ならこっちもそれなりの格好をしなくちゃな。」

 

「それにしちゃサングラスもかけてないし、どっちかって言うとカイル・リースだろ俺達。」

 

後部座席からマントを取り、直毅はバックドアを開け積み込まれた黒いバッグを確認する。

 

「ターゲットはいつ頃来るんだ?」

 

「後1時間ってところだ。さっさと準備しなくちゃな。」

 

ジャンパーを脱ぎ、雄治は大きな箱を引っ張り出してM82を組み立て始める。直毅はP90の予備マガジンをホルダーやベルトにねじ込み、魔法石の収められたベルトを胸に巻く。

 

「チャフも持ってけ。機体が相手なら効きそうだろ?」

 

雄治からチャフグレネードを渡され、ポケットの中にしまった直毅はP90を構えてサイトの確認をする。

 

「結局、作戦という作戦も立たなかったわけだけど、どうするよ?」

 

「出たとこ勝負、成るように成るさ。」

 

「楽観的にも程があるぜ…まったく。」

 

溜息を吐く直毅に対し、雄治は面白そうに銃を組み立て、荷台の荷物を降ろしM82を荷台に乗せた。

 

「撃てて2、3発だろう。ターゲットの車を無力化すれば十分だ。」

 

「効きそうな武器はむしろこれ位だぜ?戦車の主砲ですら効くか怪しいのに。」

 

直毅は荷台に乗り込み台で高さを調整し感触を確かめ、マガジンを入れ弾を装填する。

 

「仕方ないだろ。なんならこいつを持って走り回るか?」

 

「キツいジョークだ。」

 

「ターゲットが来るまで寝てろ。来たら嫌でも目が覚めるからな。」

 

保護用のヘッドホンを渡し、雄治はM4の予備マガジンやグレネード弾の入ったバッグを持ち運転席に向かって用意を始め、直毅はヘッドホンを付け目を閉じた。

 

ーーーーー

ーーー

ー

 

静かに時が過ぎ、車の音が聞こえると、煙草を吸っていた雄治はエンジンをかけ、その振動で目を覚ました直毅は大きな欠伸をして銃に手をかける。

 

ゆっくりと車が近付いてくる音が駐車場に響き、昇降部に銃口を向ける。雄治の予測通り1台の黒いベンツがやって来ると、直毅は身構えて銃爪を引く。爆音が駐車場に響き渡り、放たれた銃弾はエンジン部に直撃する。2発、3発と前輪の駆動部を撃ち抜き、車は黒煙を上げて停止した。

 

「動きはあるか?」

 

「いや、当たり所が良かったのか?」

 

ヘッドホンを外し動きのない車を注視していると、車の屋根が吹き飛ばされ、中から黒い髪を靡かせ、ピッタリと身体に張り付いた黒いスーツを着た少女が現れる。少女…アリスは2人の乗る車に向け宙に浮いたまま突撃する。

 

「お出ましか!」

 

雄治はアクセルを強く踏み急発進してアリスとの距離を離そうとするも、瞬く間に距離を詰めるアリスは右腕からブレードを展開させる。直毅は迫り来るアリスにM82の銃口を向け銃爪を引くが、アリスはブレードで銃弾を切り裂いて距離を詰め、猛然とブレードを振りかざす。M82を捨て、左腕を引き抜いて紅い剣に変えた直毅は間一髪ブレードを受け止め、アリスの感情のない赤い瞳を見つめた。

 

ーーーーー

ーーー

ー

 

「始まったか…頼むぜ、2人共。」

 

「彼らが勝てないようなら、私達になす術はありません…信じましょう。」

 

N.E.T社の多目的ホール。バーンズとエニエスはプロモーションを観に来た大企業の経営陣や政府関係者の中に混じってモニターを見つめていた。

 

「我が社の新型アンドロイド、FXV-D12とFXV-A13は、様々な要望にお応えするアンドロイドです…」

 

別のモニターでは広報担当の女性が機体の説明をし、来客達は食い入るように戦闘を観て説明を聞く。黒煙を上げる車から、アリスに続いて要人を守りながら白い髪にスーツを着た少女が現れ、白衣を着た要人に寄り添い辺りを警戒する姿が映しだされた。

 

ーーーーー

ーーー

ー

 

鍔迫り合いの状態で睨み合う直毅とアリスの姿を、雄治はルームミラー越しに見てハンドルを左右に切る。車体が大きく揺れ、体勢を崩したアリスを直毅は蹴り飛ばし、左腕を戻して置いてあったP90を手に取り車から降りる。

 

「カミカゼと行くかね!」

 

サイドブレーキを引き急ターンし、雄治は1度アクセルを吹かし車を発進させアリスに突撃する。アリスは右腕を突き出し、宙に現れたドラムマガジンの付いたM4を片手で乱射し、フロントガラスが割れ、体勢を低くしていた雄治にガラスの破片がかかると、雄治は荷物を持って車から飛び出す。アリスは車を避けることなくぶつかり、黒煙を上げる車の手前で止まった。

 

雄治のもとに駆けつけた直毅は銃を構えて警戒する。雄治が埃を払って立ち上がると、突っ込んでいった車が2人に向け"吹き飛んで来たのだ"。

 

「「Oh, shit!!」」

 

2人は左右に身を投げ出し車を避け、車は壁を破壊して外に投げ出される。即座に立ち上がり銃を構えた2人は、黒と白の少女と、その背後に守られる白衣の男を認めた。

 

「なぁ親父。あの白衣の男は…」

 

「あぁ。どうやら、ターゲットはクライアント本人らいしな。」

 

アリスとメティスの背後に居る男…一条 護の姿に、直毅は小さな溜息を吐く。

 

「私から離れないで下さい。博士。」

 

メティスは背中越しに一条に向け感情の無い声をかけ、彼は複雑な面持ちで直毅達と2人の娘を見る。アリスが左腕を上げ現れたM60E4を片手で構え、M4と共に直毅と雄治に銃口を向け銃爪を引く。

 

横殴りの雨の様に降り注ぐ銃弾を、2人は左右の壁に隠れてやり過ごし、銃声が響く中声を荒げて会話する。

 

「俺は黒、お前は白だ。銃撃の中を突っ込む勇気と策はあるか!?」

 

「凛さんがくれたネックレスを信じるさ!遅れんなよ親父!」

 

「お前こそ、コケるんじゃねぇぞ!」

 

直毅は首にかけられたネックレスの宝石を1度握りしめ、2人は同時に銃撃の中に飛び出す。宝石が緑色に輝き、障壁魔術が直毅を守ると、銃弾が弾かれていき、雄治はその背後について走り出した。

 

P90の銃爪を引きながら距離を詰めていく直毅。障壁に守られたアリスとメティス、そして一条に弾が当たることは無く、アリスはM4をXM25に変えグレネード弾を撃ち込んでいく。爆発に包まれながらも、足を止めない2人にメティスは上の階に向かうべく一条の手を取り、宙に浮いて昇降部へ飛ぶ。本来ならこの駐車場から離れてるべきなのだが、プロモーションの制約として離れられないようにプログラムされていたのだ。

 

「ブレード展開。」

 

両手の銃を消しブレードを出し、自ら距離を詰めアリスは直毅に斬りかかる。横一文字に降られたブレードを上体を反らして躱し、背後についていた雄治がアリスの腕を取り後方に投げ飛ばす。空中で体勢を立て直すアリスに雄治はM4の銃口を向け銃爪を引き足止めをすると、直毅は上の階に向かうメティスと一条の後を追った。

 

「簡単に壊れるなよ?人形遊びは得意じゃないからな!」

 

雄治は好戦的な笑みを浮かべ、アリスは感情の無い瞳のまま彼を見下ろし左腕のブレードをしまってベネリM3セミオートショットガンを構えた。

 

ーーーーー

ーーー

ー

 

「さて…どうすっかな…」

 

逃げるメティスを直毅は牽制射撃をしながら走る。一条への負担を考えてか、メティスはあまり回避行動を取らず障壁で身を守っていた。

 

("防御シールド"が剥がれるまで撃ち続けるか…?)

 

P90のマガジンを入れ替え、直毅は逃げるメティスを見て思案し、魔法石を一本抜きメティスの前方に届くよう思い切り投げつけた。

 

(一瞬でいいから怯んでくれよ…)

メティスのほぼ真上、天井にぶつかった魔法石は眩い閃光を発し、耳をつんざく高音を響かせる。彼女に連れられていた一条が咄嗟に目と耳を覆おうとして体勢を崩し、それにつられて彼女の動きが一瞬止まる。直毅は空のマガジンを握り締めて投げつけ、続いて自分の胸に手を当てて転移し一気に距離を詰めメティスにしがみ付いた。

 

「重量オーバーだろ!」

 

直毅はメティス諸共地面に落ち、一条はメティスから少し離れた位置に落ち、着地の衝撃に顔を歪める。直毅は馬乗りの体勢でメティスの後頭部にM29を突き付け、彼女は倒れている一条の表情を見て感情のこもった声を出した。

 

「博士!大丈夫ですか⁈博士!」

 

まるで父を心配する娘の様な声に、直毅は驚いて身体の力をほんの少し緩める。彼女の背中から突如現れた翼の様なブースターユニットが点火し、その勢いで直毅は吹き飛ばされた。

 

「アチチ、やっぱり、身体は機械か…」

 

障壁魔術で身を守り、多少焦げたマント払いながら直毅は再び銃を構え、メティスは右腕からロッドを展開させ、左手を突き出しソードオフ型の銀色に輝くショットガンを構えた。

 

「叩かれたら吐きそうな組み合わせだな。そんな武器まであるのか?」

 

直毅が減らず口を叩くと、メティスは感情の無い青い瞳で彼を見つめ、倒れる一条の周りに青い六角形の板を展開させ、感情の無い声で呟いた。

 

「目標の無力化を優先。戦闘、開始します。」

 

その言葉をスイッチにロッドからスパークが放たれる。

 

「あらら…感情が無いにしては怒ってないか?あれ…」

 

内心溜息を吐き、直毅は魔法を抜き剣に変えて身構えた。

 

 

 

 

 

 




戦闘回は書くのに時間がかかります…
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