※この作品はR-18です。

Magic Life   作:弩素人

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戦闘ってどう書くんだっけ…


Outside of Lights

殺人に階級をつけるとするなら、最も無難な殺人は憎悪なり負の感情を銃爪にしたものだが、タチの悪いことに、世界にはごく稀に、"理由なき殺人"が起きる。その大半は観客達の悪戯であり、大半の者は精神の壊れた、殺人に快感を覚える者達だが、中にはそれすら無い者も居る。

 

"人を殺す為に人を殺す"。理由にもならないその動機は、人を恐怖させるには十分過ぎる"理由"。人の持つ破壊欲求を増大させたようなそれは、恐ろしいことに誰にでも存在している。

 

全ての行動に理由が存在する訳ではない。理解出来ないモノに人は恐怖する。純黒の感情で出来た蛇の様な彼女は、ある意味人類の天敵なのかもしれない。

 

ーーーーー

ーーー

ー

 

何処とも知れない山中に、木々に隠される様にして1つの研究所があった。

 

長く放置されていた研究所の壁には木々から伸びた蔦や苔は張り付き、所々ヒビが入っている。

 

完全に忘れ去られた廃墟。そんな場所に、2つの人影が映る。

 

「何年振りだ?此処に来るのは。」

 

「忘れたわ。尤も、此処で起きたことは忘れようもないけど。」

 

1人は東條 雄治。黒のアンダーシャツにジーンズを履き両脇にM500とデザートイーグルをホルスターに入れ、グレネードランチャーにドットサイト、デュアルマガジンの付いたM4を持ち、研究所を見上げながら紫煙を吐き出す。腰には手榴弾や予備のマガジンが下げられていた。

 

もう1人は風瀬 凛。雄治とは対照的に軽装で、青いTシャツにジーンズ、白いコートを羽織り、彼と同じく研究所を見上げながら紫煙を吐いた。

 

「あいつの話が本当なら、"奴"はずっと此処の地下に居ることになる。灯台下暗しってやつか、永遠探してた奴が此処に居るなんてよ。」

 

「昔話は無し。早く行きましょう。此処にいい思い出はないわ…嫌でも思い出すんだから。特に貴方は。」

 

「…そうだな。さっさと終わらせて帰ろう。」

 

煙草を地面に落としてすり潰し、2人は壊れた入り口へ向かう。割れたガラスを踏みながら中に入ると、エントランスの至る所に赤黒い染みがこびり付き、ボロボロで赤黒く汚れた白衣や衣類、薬莢と共に人骨が転がっていた。

 

「ひでぇ有様だ。全部"俺がやった"とは思えない位だな。」

 

「でもこれが現実よ。行きましょう…吐き気がする。」

 

転がっていた頭蓋骨を拾い上げ、ボールの様に投げ上げる雄治を凛が急かし、肩を竦めた彼は頭蓋骨を床に落として粉々に踏み潰して彼女の後に続く。実験棟なのか、大きな試験管やコンピュータが並ぶ場所もまた、赤黒い染みと薬莢と骨が転がり、試験管は1つ残らず割れていた。

 

「凛、少し待ってくれ。」

 

「どうしたの雄治、何か感じるの?」

 

「いや、俺達の名前が入ったプレートを探していいか?そう手間はかからない。」

「…何のために?」

 

「…過去と決別する為だ。"あいつら"の分までな。」

 

「そう…いいわ、早く見つけましょう。正直、此処は何が出てきてもおかしくないわ。」

 

2人は手分けしてプレートを探し、"4つ"のプレートを見つける。それぞれのプレートに刻まれた番号と文字を見て、固く拳を握り締めた。

 

「…よし、行くか。奴も待ちくたびれてるだろうしな。」

 

「えぇ。」

 

プレートをしまい、2人は実験棟の奥のエレベータで下へと降りる。辛うじて稼働する灯りが点滅する中、最下層へたどり着く。エレベータの扉が開き、円形の広場の様な所に出た2人を待っていたのは、円の中心にそびえ立つ大きな試験管。そしてその中には、所々欠けた銀色の装甲を身に纏った、人の型をした"何か"が居た。

 

「こいつが…」

 

雄治は銃を両手で持ち、警戒しながら試験管の中のそれを見つめて呟く。左腕は完全に装甲が欠け、内側からは黒い筋肉繊維が見え、顔は右目の辺りが欠け、黒い瞳が開く。

 

「…予定より早かったな。」

 

無機質な男の声が響き、2人は戦闘態勢に入る。

 

「まぁいい、"完成"にはまだ早いが。」

 

「久しぶりだな。今は何て呼べばいいんだ?」

 

銃を構える雄治を一瞥し、男は左腕に比べて肥大化した右腕を振るい、試験管を叩き割って外へと出た。

 

「好きに呼ぶといいJulius.死ぬまでに考えておけ。Milky way,君もな。」

 

「分かった。ならJackass(ロクデナシ)、今度こそ地獄に送ってやる。いい加減、螺旋階段を登るのも飽きたんでな。なぁ?凛。」

 

「えぇ。いい加減、昔の名前で呼ばれるのはウンザリだわ。」

 

両手足に魔方陣を緑色の付与させ、凛の髪が風で靡く。好戦的な笑みを浮かべる雄治と冷たく睨みつける凛を見下ろし、銀色の男は両手を広げる。

 

「死ぬがいい、螺旋に囚われた神に叛きし者達。"我等"に救いの道など無い。」

 

男は両手を前に出し交差させ2人と対峙する。堪らず銃爪を引いた雄治の銃声が、死闘の幕開けを告げた。

 

ーーーーー

ーーー

ー

「さて、どうするよ凛!」

 

残像を残しながら2人の周りを高速で移動する相手を追うように銃撃を加える雄治の問いに、凛は拳を握り締めて飛び出す。

 

「動きは私が止める、雄治は撃ち続けて!」

 

空を駆け、凛は男の後を追い殴りかかる。魔法使い…いや、魔術師として異常な行動。東條 雄治と対等と言われるその理由が、近接戦闘も行える魔法使いという点である。

 

無論、近接戦闘が出来る魔術師も少数ではあるが存在する。だが魔法使いとなると話は別。ましてや東條 雄治が近接戦闘の指導をしたのだから、戦闘力という点において彼女に勝る者はそういない。

 

肘にバーニアが付いているのかと言わんばかりに凛の拳は加速し男に襲いかかる。光弾や波動を放ちながら攻撃を繰り出すも、男は速度を上げ彼女の攻撃を避け、捌く。

 

「放っておかれるのは嫌いでね!」

 

雄治は男の動く軌道を予測し、グレネードランチャーの銃爪を引く。そのまま行けば直撃する弾を、男は直前で躱し右手を引いて雄治に高速で突撃する。紅く輝いた右手を槍の様に突き出し、雄治が間一髪で避け、男が右手を壁に衝突させると、一瞬にして壁が赤くドロドロに溶けた。

 

手に付いた液体状の金属を男が雄治に向け振り払い、即席の銃弾が彼に襲いかかると、凛が前に立って障壁で弾き飛ばす。

 

「10トン爆弾でも持ってくりゃ良かったな。思ったより手強いぜ。」

 

「跡形も無く消し飛ばせばいいわ。幾ら速くても、この閉鎖空間じゃ避けられない位の攻撃で。」

 

右手を突き出し、凛の足元に巨大な白い魔方陣が描かれ、高速で回転し始めた魔方陣は凛の右腕に集まっていく。

 

「Start and End,Max. Truth,Zero. Lie,Maximum…Starlight was Tear,Shed tears are Milky Way. Stars make Infinite,but it hide star,and it is alone too」.(入力最大。出力最大。実像は無く、虚像に限りなく。星の輝きは水に似て、その輝きは川の流れのように。無数の個が無限を創り、無限の中で個は無に等しくなる)

 

魔方陣が七色に輝き、凛の右腕に無数の魔方陣が集まり歯車の様に回る。1つの魔方陣が巨大に拡がると、彼女の周りに無数の光が瞬いた。

 

「…光になりなさい。Taer Ways, Star liner!」

 

そう呟いて、彼女の右腕から巨大な光が壁となって男に放たれる。光は男を覆い、背後の壁を突き抜け、果てが見えなくなるまで地中を消し飛ばした。

 

…銀色に輝く鎧を纏った男を除いて。

 

「…おいおい、マジかよ。」

 

無傷で佇む男の姿に雄治は苦笑し、凛は唖然として言葉を失う。絶対の自信を持って放った、"物体を光に変化させる"オリジナルの術式。その事実は、凛にある絶望的な仮説を立たせた。

 

「凛、驚愕するのは後にしとけ。魔術師お得意の障壁で守ったんだろうよ。それなら俺がどうにか出来る。」

 

雄治の声で意識を取り戻し、凛は彼の言葉を脳内で何度も言い聞かせる。

 

(物体変質にも対応した障壁なら、確かに防げるかもしれない…そう考えるしかない。あいつはあの一瞬で私の術式を読み切って障壁を展開した…そうとしか)

 

絶望的な仮説を振り払い、彼女は目に映る男の姿を見据えて次の作戦を練る。

 

「まだ策はあるか?凛。」

 

「えぇ。あまり世界に干渉するのは気がひけるけど、魔法を使うしかないみたい。」

 

「この際出し惜しみは無しだな。放っておけば世界ごと滅ぼしそうな奴だ、用意にどれ位かかる?」

 

「タイミングが合えば何時でも。魔法に面倒な術式は要らないから。」

 

凛は再び両手足に緑色の魔方陣を付与させ、雄治はM4を捨てM500とデザートイーグルを引き抜いた。

 

「OK.それじゃ、第2ラウンドだ。用意はいいか?Jackass.」

 

「…愚かな。貴様にとって、私は"死に至る病"だ。貴様が魔術師にとってそうである様に。」

 

男の右手が赤黒く輝き光弾が放たれ、雄治はデザートイーグルの銃爪を引き銀の銃弾で光弾を消し去る。

 

「生憎、絶望する気はない。死ぬまでな。」

 

「よかろう。ならば絶望などと生易しい。貴様にも、あの時の苦痛を味合わせよう。」

 

男は雄治に向かって残像を残しながら突撃し、斬りつける様にして彼に右腕を横一文字に振りかざす。後ろに飛び退いて腕を躱し、両手に握られた銃の銃爪を引き、銀の銃弾が男の顔面目掛けて放たれた。

 

「はぁっ!」

 

雄治の攻撃に合わせ凛が右脚で強烈な飛び蹴りを放ち、銃弾を避けた男の右の肩口に踵が直撃するも、男は微動だにせず凛を見据える。左に回転しながら左足で男を蹴り上げ足の魔方陣から波動を放つも、残像に当たるだけで男は悠々と凛を見下ろしていた。

 

「君は気付いているだろう、Milky way.諦めたらどうだ。」

 

「お断りね。諦める気も、こんな地下で死ぬ気も無いの。」

 

凛は光弾を次々と放ち、男を取り囲む様にして漂う。雄治に視線を送り、彼女は指を鳴らして小さく呟く。崩れ掛けの天井から小さな破片が落ちてくる。

 

「Stay,Breakup,Timeout.」

 

一瞬にして光弾が"魔法陣"に変わり光が放たれ、雄治もそれに合わせて弾切れになるまで銃爪を引く。天井から落ちた破片が"空中で静止した"。

 

風瀬 凛が使う魔法、それは時間停止である。

 

秒針の無い時計を想像して貰いたい。秒針の無い時計は、分刻みでしか時間を計れない。つまり60秒は見かけ上時計は止まっていることになる。彼女はその見かけ上の静止時間を現実に引き起こす事が出来るのだ。(その気になれば何時までも時を止められるが、その代償として宇宙の終わりが早まる)

 

唯一時間停止の中で動ける者は、術者である彼女と魔力の影響を受けない東條 雄治。そして時間停止の影響を受けない物質が、魔力を拒む銀だけである。

 

銀の銃弾と魔法陣から放たれた光が男に襲いかかり、微動だにしない男を光が包み込んだ。

 

 




新しく出てきた敵のイメージはHODシリーズのマジシャンです。つまり弱点は…
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