※この作品はR-18です。

Magic Life   作:弩素人

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日が空いて尚且つ短いです。筆が止まってました。勢いで登場人物を殺すと大変なことを悟った。


悪夢

彼女が意識を失った時点で、大半の観客達は自らの仕事の出来栄えに満足したのか、談笑に花を咲かせていた。私は細やかな反抗として、理由なき反抗として彼女を彼の家の前まで送り届けることにした。恐らくそうしなければ、彼女は肉欲と陵辱の捌け口にされていただろう。そんな情景を記すほど私は趣味が良くない。ただ1つ厄介な点として、彼女は美しいと記すに値していた。無論、万人が美しいと思える者は存在しないだろう。(もし存在したとしても、その者は長くは生きられないのは明らかだ)

 

美しき者は皆、幸福を得る権利を持っている。幸福を得る権利は誰にでもあるものではない。ただ美しき者は同時に、その"美しさを汚される権利も持っている"。それは、美しき者にのみ与えられる忌まわしい特権である。少なくとも私には、そうなることを"先延ばし"にするだけの良心と力しか残っていなかった。

 

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もしそれを悪夢という言葉で片付けられるなら、どれほど彼女は幸せだったのだろうか。扉の横にもたれて眠る春音に、虫の知らせで直毅が気が付いたところまでは良かっただろう。目覚めた時に彼が目の前に居なければ、十中八九彼女は発狂していた。彼を見るなり泣きつき、混乱する頭で意味の繋がらない断片的な単語をえづきながら告げる。彼女をただ抱き締め、大体の状況を理解した彼は怒りに拳を震わせた。直毅の自室のベッドで泣き疲れて眠った春音の頭を撫でながら、彼はジェーンと名付けた少女を思い出していた。

 

「どう?彼女の様子は。」

 

麗華がゆっくりと扉を開け中に入り、彼の肩に手を当てて尋ねる。

 

「疲れて眠ったみたいだ。今はまだ、悪夢を見てるようなもんだからいいが、目が覚めて落ち着いてからの方が悪夢だろうな。話も聞かなきゃいけないし。凛さん達は?」

 

「メティスとアリスを連れて彼女の家に向かったわ。警察の手が入る前に調べておく為に。…でも貴方も、目星はついているんでしょう?」

 

「…あぁ、大体な。」

 

左腕を撫で、彼は静かに答える。麗華はその冷たい声色と、背中の陰りを知っている。感情を殺し、怒りを抑えつける姿を。

 

「直毅…貴方、1人で闘うつもりね。」

 

「闘うだなんて綺麗なもんじゃあない。殺し合いになる。相手は狂気の塊、俺の五感を奪った奴だ。俺1人でケリをつけないと。」

 

彼は背中で、相手を殺せるなら自分が死んでも構わないて告げた。それは自己満足に過ぎない。だが彼の血の宿命を知る彼女は、この闘いさえ仕組まれたもののように思えた。無論その考えは的中している。何者かの見えざる手に操られて。

 

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「…酷いものね、死が漂ってる。」

 

春音の家に向かった凛は、赤黒く染まったリビングを見て呟いた。

血で汚された天井や壁、床。死体は残っておらず、血の匂いだけが残っている。凛は煙草を咥え火は付けずに、指を鳴らして床に魔方陣を出現させた。

 

「凛様、余り長居は出来ません。」

 

「分かってるわ。此処で何があっただけ知れればいいの。犯人探しは警察の仕事。」

 

時計の針が巻き戻るようにして魔方陣が回転し、残留思念を形にして、此処で起きた惨劇が映し出される。見るに堪えないその光景にメティスは目を背け、アリスは彼女を気遣う。凛はただその光景を見つめて、ジェーンの残り香を探す。春音が彼女と出遭ったところで、彼女達は顔を蒼白にして家を飛び出した。急がなければ、取り返しのつかないことになることを知って。

 

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もしかしたら、彼女を送り届けたのは間違いだったのかもしれない。誰も私を止めなかった時点で、私の行動も台本に記されていたのだとすれば、この舞台で繰り広げられる更なる惨劇にも合点がいく。

 

恐らくであるが、ジェーンと名付けられた彼女を創った観客の誰かはH・R・ギーガーのファンだったのだろう。でなければこうはならなかっただろう。

 

春音は、直毅の目の前で息絶えることになったのだから。

 

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