※この作品はR-18です。

Magic Life   作:弩素人

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早々に1度死ぬ主人公君。
魔術師と闘うには命賭けないとね、仕方ないね。


1度目の死

「Well,do ya,punk?」

 

銃爪が引かれ、魔法の弾丸はジョンに向かって飛んでいく。

直毅が銃弾を弾いた時点で、彼は何重にも障壁魔術を展開していた。

しかし、対戦車ライフルどころか、戦車の主砲をも止める量の障壁を、たった1発の弾丸が破いていく。

銃弾が当たる寸前、ジョンは身体を右に反らして軌道から外した。外した筈だった。

 

「何っ⁉︎」

 

銃弾は、文字通り凶弾と化し軌道を曲げ男の左胸を貫いたのだ。

 

銃弾を放った時点で直毅の身体は死に始めていたが、男の左胸を弾丸が貫いたのを見ると、苦しげな笑い声を出して膝をつく。

凶弾は心臓と左肺を、また軌道を変え背中から右肺を貫き、左のこめかみから頭を打ち抜いた。

直毅は全身から力が抜けていくのを必死で堪えながら、霞む目で男を見て驚愕した。

 

「…くそったれ…まだ…生きてんのかよ…」

 

風穴の空いた頭と胸から血を流しながらも、男は未だ立っていたのだ。

身体の至る所を凶弾に撃ち抜かれながらも、男は倒れない。生きている死人の様に。

悪態を吐いた直毅の意識は、死で黒く塗り潰された。

 

意思を持ったかの様に動く凶弾は、ジョンの身体中を打ち抜いていたが、直毅が倒れると彼に向かって軌道を変えた。

直毅に凶弾が当たる寸前、男が放った銃弾が凶弾を射抜き軌道を逸らし、凶弾は動くのを止める。

銃をしまった男は、撃ち抜かれた箇所を手で触れ魔術で修復していき、身体を治し終えた男は、倒れた直毅の元へ近づいていく。

ジョンが直毅の側に着くと同時に、ジェーンもまた直毅の側へ移動していた。

 

「君は、"俺の知っている君"だが、俺は、"君の知っている俺"じゃない。俺は、君の知る俺になりたかった。」

 

「そうかもしれない。でも死人の名を名乗る私達が、未来を消してはいけない。」

 

ジョンがそう呟くと、ジェーンは倒れた直毅に触れながら答える。

 

「だが、1910回って数は、人1人が絶望するには十分過ぎるんだ。」

 

「けどそれが、彼が失敗すると決めつける理由にならないことを、貴方は1番良く知ってるはずよ。」

 

「…そうか、君がそう言うのなら賭けてみよう、此奴に。」

 

男は直毅に触れていた彼女の手に自分の手を重ね合わせると、地面に魔方陣が浮き出る。

 

 

継ぐ者よ、目を閉じるにはまだ早い。

名を捨てた死者は、眠る生者を起こせない。

 

その身は盾、その身は銃弾、その魂は死すら恐れず、少女の死だけが彼を殺す。

 

人は2度死ぬ。なら蘇れ、継ぐ者よ。

 

 

光が直毅の身体に溶け込むと、ジョンは立ち上がり倒れていたユキの元へ向かう。

 

「おとぎ話なら、奴が君を起こす場面だが、君が奴を起こしてやってくれ。」

 

その髪を1度優しく撫でた彼は、直毅の元にいる彼女の方を向く。

 

「死人が未来を消しちゃいけないだろうが、導くことぐらいは出来るだろ?なぁ、ーー」

 

「そう。やっぱり、貴方は私の知ってる貴方ね。ーー。」

 

お互いの名を呼び合った2人は、風と共に消えた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

後悔

 

直毅が鎖に繋がれたのを見て、彼の側に駆け寄ろうとした瞬間、私の意識は途絶えた。

 

正確に言えば、目の前が真っ暗になったものの、感覚は残っていた。だから直毅や夢で会った彼、そしてもう1人女の人の声も聞こえていた。

 

銃声が鳴り止み、夢で会った彼が私に声をかけると、私は意識を取り戻す。

 

「直毅!」

 

彼の名を呼びながら、私は倒れこんだ直毅の元へ駆け寄った。

 

動かない直毅の姿を見て、私は彼が死んだこと無意識に理解してしまった。出来てしまった。

 

違う、理解なんて出来ない。彼の死を受け入れることなんて出来ない。

 

無意識に彼の死を受け入れようとした私自身が恐ろしく、また許せない。

 

彼が私を生きる理由と言ったように、私も彼が生きる理由なのに。

 

その腕で抱きしめて欲しい。

その手で髪を撫でて欲しい。

その目で私を見ていて欲しい。

その声で私の名を呼んで欲しい。

 

彼をまだ、失いたくない。

 

私は彼の手を握って、ただ祈ろうとした。

もし本当に、神様がいるのなら…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

死

 

意識の途絶えた俺の前にあったのは、正しく無だった。

 

多少の虚無感や後悔を抱いていたのも、ほんの一瞬。

 

まるで永遠と、暗闇の宇宙を漂っているようだった。

 

自分の存在が消えてしまう様な感覚に、なす術も無くただそうしていたが、1つの小さな光が見える。

 

その光に、何故だか必死に手を伸ばす。理由も解らずに。

 

ただそうしなければ、本当に俺が俺で無くなることだけは、東條 直毅で無くなることだけは、それだけは理解出来た。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…どうしたんだ?ユキ。涙なんか流して…」

 

ユキが直毅の手を祈る様に握り締めると、彼はゆっくりと目を開き、彼女の頬に手を当て涙を拭う。

 

彼女は彼に抱きつくと、胸を涙で濡らしながら呟く。

 

「…よかった…直毅が…生きててくれて…」

 

「…俺は確か…そうか、ユキが助けてくれたのか…ありがとう、ユキ。」

 

直毅は泣きじゃくるユキの髪をゆっくりと、只々撫で続けた。

 

 




如何でしょうか?
凶弾のモチーフは、ケネディ大統領暗殺で使用された銃弾、証拠物件399です。

次回は主人公の身体の変化から。

それではまた。
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