第五話で今までの話をわかり易くせつめいします。
暫しお待ちを。
菊のお客だと言う少女は、金色の髪にエメラルドの瞳を持ちどう考えても菊の家の子ではない。その姿は昔幼い頃に初めて見たイギリスと重なる。それと同時に違和感のある記憶が飛び飛びとして襲ってくる。それは、自分の記憶ではなくまた違う自分の記憶のようにも思える。
アルフレッドside
「アルはアーサーが好き?」
「うーん、税金上乗せして来るからちょっと苦手なんだぞ…」
長椅子に座る大人びた表情をした誰かと自分が座っていた。足を揺らしながら兄の姿を思い浮かべたアルフレッドは税金を増やせられ精一杯になり独立を考えるようになった。
「…アル、アーサーのこと嫌いにならないで。あれは…不器用なだけだから」
誰かは眉を下げながら苦笑いを浮かべた。アーサーのことは苦手でもこの誰かを裏切ることができずにいた。だから独立の話を持ちかけたのだ。
アーサーside
菊の客の顔を覗き込んだアメリカが固まりどうしたのか、と聞いたのだが俺の声など聞こえないのか目を閉じていた。立ちながら寝るとはどういう了見だ、と思いながら肩を揺らすと気付いたのか返事を濁す。
「君は…一体なんなんだい?」
アメリカは少女に尋ねた。俺は警戒しながらアメリカの横にたった。菊は、不安そうに眺めているだけだった。
「私は…」
彼女side
アメリカは何かを視たのか頭を押さえてまるで君に違和感がある、とでも言うよな言い方で私を見つめた。横に立つイギリスも警戒しているのか眉が上がっているように見えた。後ろのほうでどうすればいいかわからない菊さんは青い顔をしながらこちらを見ていた。
「私は…元国です。」
嘘は言っていない、この世界の国ではないが元々の世界では国としての役割を果たしていた小さな海の国だった。違和感が不安となって襲いかかってくる私は小さく微笑んだ。隠すことは得意なほうだから。
「本当にか?」
イギリスは疑っているのであろうか、冷たい瞳で私を見る。その瞳はあの時と同じ、初めて見た国の存在を思い出した。三枚舌と言われたイギリスだ、騙せるとは思ってない。でも嘘はついてない。
「本当よ。…ここじゃない世界でだけど」
隠した後は真実を塗るべし、これは私の家の子、芸術家が言い放った言葉でとても気に入ったので私も使わさせてもらっていた。まさかこんなところで使うとは思ってなかったけど。
「イギリスさん、アメリカさん、そこまでです。…事情は分かりませんが、彼女は今は病人ですよ?」
菊さんは意を決して私たちの間に入った。イギリスはこちらを睨んでいたが、菊さんの言葉に「すまない」といいながら視線を外す。アメリカは、顔を伏せていたので表情が分からなかったが、菊さんの言葉に反応して大人しく身を引いてくれたと思う。私は冷静に考えながら周りの人の顔を見る。
「すみません、もし私の話が嫌だったら耳を貸さなくていいですが…もし聞いていただけるなら全てをお話いたしましょう」
信じていただけるなら、ですが、と付け加え相手の反応を見る。少しだけ語尾が震えていたかもしれないが今は怯えて隠れるほど時間はないと思う。
「いいぜ、その話聞いてやるよ。」