「お〜白旺おかeゴフッ」
「何が『お〜白旺』だクソガキわたしに死体回収押し付けやがって!」
死体入りの大袋を肩に担いで、絨毯から華麗に飛び降り着地する白旺。早速満面の笑みで出迎えた男は、彼女に盛大な腹パンを喰らった。
彼こそは煌帝国の「神官」にしてマギ、ジュダル。堕転したマギで、アル・サーメンの一員である。
「だって面倒だし。それに白龍と紅玉に会えたみたいだから良いじゃん?」
悪びれずしれっとそう言うジュダルに深いため息を吐くと、白旺は潔く諦めた。同時に、かの幼き少年を頭に思い浮かべる。
「シンドバッドと八人将と……………シンドリアに逗留中のバルバッド第三王子及びファナリスの女の子とも会った。一緒にいた、マギの坊やにも」
「あのチビと会ったのか?何か話したか!?」
自分なりに気にしている彼、アラジンの話とあって、ジュダルは食いつく。
「わたしの、半堕転によるルフのカムフラージュを、一発で見抜かれた。将来が楽しみな子だ」
「へ〜…お前、珍しく随分とアイツを気に入ってんのな?」
「まあ、彼はわたしの………いや、これはまだ言う頃合いでは無いね。悪い、気にしないで」
「?おう」
何かを言いかけて口を閉じる彼女に首を傾げるも、すぐにどうでも良くなって、「それより」と寄りかかる。
「久しぶりにアソボウぜ〜、俺いろいろと溜まってんの、相手してくれよ」
「神官殿」
すると、白旺があしらう前に、1人の女性の声が聞こえた。
「ああ、リーアか、ただいま」
「お帰りなさいませ、姫様。神官殿、本日はお諦めください。姫様におかれましては、お仕事が沢山残っていらっしゃいます」
「うん、だから諦めろジュダル」
「えー」
リーアと呼ばれたその女性は、赤い髪と特徴的な目元を持つ、端正な顔立ちの人。白旺の従者を務める彼女は、あのモルジアナやマスルールと同じく、ファナリスだった。
静かな声で正当な理由を示され、不満げに頰を膨らませるジュダル。そんな様子に白旺は苦笑を零し、抱きしめて宥めてやる。
「明日か明後日には構ってあげるから、今日は勘弁してくれ。シンドリアに行ったせいもあって、仕事が全然片付いていない。一応立場上、仕事しない訳にはいかないしな」
「む〜…分かったよ………」
「良い子だねジュダル、ありがとう」
渋々承知し諦めたジュダルの頰に軽いキスをすれば、彼の表情がパァッと明るくなる。そんな様子を可愛らしいと感じながらも、白旺はリーアを伴い執務室へ歩を進めた。
「そういえば、例のマギの少年とお会いになったのですか?」
「うん、優秀な子で将来が楽しみかも」
「そうですか」
「ふふ、さすがはわたしの……………『俺』の愛しい我が息子」
(そう思わないかソロモン?)
(ああ、全く本当に、頼もしい限りだ)
誰に語りかけているのか、リーアではない誰かに同意を求める白旺。彼女には確かに見える男性の姿は、アラジンによく似た見た目の、若々しい青年であった。
オリジナルキャラクター設定
名前:リーア
性別:女
年齢:本作品開始時点で25歳
身長:約165cm
体重:52kg
容姿:赤い長髪と鋭く特徴的な目、顔立ちは端正で凛々しい。
性格:礼儀正しく物怖じはせず、意見はハッキリ言うタイプ。常に冷静沈着で動揺は一切しない。主、白旺を心底尊敬している。
設定:ファナリス出身で、奴隷狩りに遭い売られていたところ、居合わせた白旺に買われ助けられた。以降は自ら望んで彼女の従者を務める。
ファナリスとしては魔力は多いほう。反面、腕力や脚力は僅かに他のファナリスに劣る。とはいえ十分に強い。
白旺の最初のジン「フェンリル」の眷属。
武に優れる一方でなかなかに頭の回転も速く、駆け引きもそつなくこなす。