「一色ー」
「なんですか~?」
せんぱいともはや恒例になった生徒会のお仕事をしていると、珍しくせんぱいから話しかけてきました。いつもは私が話しかけないと一切話さずに黙々と仕事をこなすから本当に珍しいです。
「今日この後うちに来ないか?」
「え……?」
え……。
えええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇっ!!??
せせせせせせせせんぱいからおうちに招待ってどういう風の吹き回しですか!? 私が言わないと放課後デートだってしてくれないのに! いや、送ってくれるだけでもうれしいですけど!
「いや、その、小町がいい加減彼女を紹介しろって……」
「……あぁ」
なぁんだ、妹さんの差し金でしたか。ちょっとテンション落ちちゃいましたけど、おうちデートに変わりはありません。男の子をつか……りよ……げふんげふん。男の子と仲のいい私も最後の男の子の家に行ったのは小学校低学年の時なのでドキドキです。
よーし、そうと決まればパパッと仕事終わらせちゃいますよ!
* * *
で、今せんぱいの家の前にいるんですが。
「…………」
「…………」
き、気まずいです。せんぱいからのお誘いに舞い上がっていて失念していたのですが、せんぱいの妹さんとのファーストコンタクトって朝の玄関で、その、キスを見られた時……なんですよね……。大丈夫かな、ビッチとか思われてないかな。
「ま、まあ大丈夫だ。あれで割と度量があるからな。この間のことなんてもう笑い話だろ」
「そ、そうだといいんですけど」
せんぱいが意を決したように玄関のドアノブを掴んで力を込めます。その表情は今からウィツァルネミテアと戦うような。ハクオロさんに頼ってたら絶望ですね。そんな顔されたら私不安になっちゃうんですけど。
「ただい、うぉっ!?」
「お兄ちゃんおかえり! 彼女さんもいらっしゃいです!」
扉を開けた瞬間、奥の部屋から全力疾走でせんぱいに飛びついてきたんですけど。この間も思いましたけど、妹さんアグレッシブですよね。
「あはは、ど~も小町ちゃん」
「まあまあ、立ち話もなんなんで、中へどうぞ!」
明るい子だなぁ、なんかせんぱいとは正反対な感じ。顔は結構似てる気がするけど。
「いやぁ、まさかお兄ちゃんにこんなかわいい彼女さんができるとは。小町はうれしいですよ一色さん」
「大げさだなぁ、それと私のことはいろはでいいよ?」
「それではいろはさんと呼ばせてもらいます!」
リビングに通されるとせんぱいはお茶を取りに行きました。というか、小町ちゃん普通にコミュニケーション取ってくるなぁ。せんぱいに名前で呼んでって言っても時々しか読んでくれないのに。
「ほい、コーヒーでよかったよな?」
「あ、ありがとうございます!」
こくっと一口飲むと私好みの味。せんぱいいつの間にか私の好きな砂糖とミルクの分量覚えてたんですよね。こういうところやっぱりあざといです。
「ところでいろはさん」
「ん?」
「お兄ちゃんとはどこまで進んでるんですか!?」
「ごほっ!?」
あ、危ない……コーヒーを口に含んでいたら人様の家で醜態をさらすところでした。いや、それにしても女の子にあるまじき声が出てしまった気もしますが。隣でせんぱいもごほごほ咳込んでいます。
「いや、その……それは……」
いや実際私たちのペースは結構ゆっくりめなはずです。告白のときのキスから次のキスまで二週間かかったわけですし、ちょっとその時濃厚なあれをやった気もしなくはないですが、ほら、それ以来はちょっとキスしたりするだけですし、十分健全なお付き合いのはずです。おしおき? ちょっといろはわかんない。
「あのな、小町。そういうことは聞くもんじゃないぞ」
「えぇ、だって朝から外でキスするような人たちだよ」
それを言われると返す言葉もございません。いや、あれは一時の気の迷いというか、加減が分からなかったというか……。
「はぁ、一色。俺の部屋にいこうぜ。このまま小町の相手してたら俺の精神力が持たん……」
「ぇ……せんぱいの、部屋……」
それはこう男の子の部屋ってやつですよね? 私男の子の私室に入るのは初めてなんですけど。あれ、なんか顔熱くないですか? あはは、この部屋暖房効きすぎですよ~。
「あ、いや。行きたくないなら別にここでもいいんだけど」
「い、いえ。行きましょう」
女の子を部屋に入れることが恥ずかしいのか、せんぱいの顔が真っ赤です。なんか小町ちゃんがによによ笑ってるんですけど。にやにやじゃなくてによによ。超恥ずかしいんですけど!
「彼女を部屋に連れ込んでなにするの、お兄ちゃん?」
「うっせ、お前は勉強してろ」
によによし続ける小町ちゃんを残して、せんぱいの部屋に案内されました。
「かわいい妹さんですね」
「いや、まあ、かわいい自慢の妹なのは事実なんだが、俺が一色と付き合い始めてから妙に下世話になったというか……」
あぁ、せんぱい嫌なことはあんまり顔に出さないのに、嬉しいことはすぐ顔に出しますからね。なんかあったら分かるんだろうなぁ。まあ、それだけ愛されてるってことですね!
* * *
「おぉ、ここがせんぱいの部屋……」
なんというか、思ったよりすっきりしているというか。せんぱいって時々漫画かなんかのネタ使ったりしているから、実は結構オタク趣味な部屋を想像していたんですが、むしろさっぱりしてて小奇麗ですね。安心したような、ちょっと残念なような。あっ!
「……じー」
「……なんでベッドの下を覗いてるんだ?」
「え、だって男の子のベッドの下にはエッチな本とかがあるんじゃないんですか?」
おかしい、せんぱいのベッドの下何もありません。男の人ならベッドの下にエッチな本の一冊や二冊あるものじゃないんですか!?
「最近そんなところに隠してるやついないんじゃないの? 何かベタだし」
……なんか時代遅れって言われたみたいでイマドキの女子校生としては屈辱です。あ、けど、そんなところに隠しはしないしないってことは、他のところに隠しているってことですよね!
「目を輝かせながら本棚や引きだしを見ても何もないぞ」
「え~、つまんないです~」
あのなぁ、と先輩に苦笑されてしまいました。むぅ、彼女としてはせんぱいの趣味を理解しておきたいところなのですが。あ、けどせんぱいが巨乳趣味とか言われたらちょっとショックですね……。むむむ、ジレンマです。
「せっかくせんぱいの趣味が分かると思ったのに……ひゃっ!?」
首元に回される手、せんぱいの顔が近い。吐息が、耳に当たって、くすぐったい。
「俺の趣味はお前だろ、いろは」
「ひぅっ!!」
ずるいです、ずるいですずるいです! こんなときばっかり名前で呼んで……。
「まったく、かわいい顔して。俺を誘ってるのか?」
だめ! だめ! 声だけで切なくなっちゃう! なんでせんぱい意地悪になると途端の饒舌になるの?
「せん、ぱ……んぁっ」
首筋にせんぱいが吸いついてくる。背中がぞわっとして、自分の意思とは関係なく背筋が伸びちゃう。せんぱいの手は耳や頬をさわさわと撫でてきて、声が抑えられない。
「はっ、んんっ、せん、ぱいっ……それ、ひんっ、だめぇっ……」
舌が首筋を、めちゃくちゃに暴れまくってぇ、首の中までむずむずしちゃう。
「かわいい声出すなよ。我慢できなくなっちゃうだろ」
触覚だけじゃなくて、声でも快感を与えてくる。先輩の声だけで、骨抜きにされちゃいそうで怖いです。耳から入った声の快感音波が急速に脳全体を満たして、もっと、もっと囁いてって心が求めてしまいます。
「ひぁっ! のどぉ、ひぐっ、こしょこしょって、ひゃぅっ、んぐっ、ぁんっ……」
喉元を猫みたいにくすぐられると、本当に猫になったみたい。けど、こんなのリラックスできないですよぉ。びくびくって、びくびくってぇ……。
首筋を吸われ、うなじを舐められ、顔中を愛撫されて、声で耳まで犯される。せんぱいの触れたところが触れられれば触れられるほど快感にしびれちゃう。首から上しかいじめられてないのに、しびれが全身に広がっていく。全身を包むびりびりが心地よくって気持ちよくって、けどすぐに物足りなくなって、重ねられる快感を貪欲に求めてしまう。
「まったく、どこ触ってもエロイ声出すとか。いろははやっぱりビッチじゃんか」
「そぅ、ですぅ……くんっ、ぁぅっ、いろは、はぁ、ひぅ、せんぱいに、触られ、た、んん、だけで、はぁっん……エッチな声、を出しちゃぅ、ふぁっ、せんぱぃ専用の、ビッチですぅっ、んんっ!」
いろはぁ、ビッチだけど、せんぱぃせんよぅなのぉ。せんぱいじゃなきゃ、こんなにならなぃのぉ。だから……
「せんぱぃ、いっぱい……して?」
「っ……いろは!」
「んんっ!?」
せんぱいが身体を少しずらして唇を奪ってくる。最初は少し怖くて、キスの間は目を閉じていたけど、最近は時々目を開けてせんぱいを観察するんです。今回も目を開けたままキスをすると、せんぱいと目が合っちゃいました。うわぁ、せんぱい目がけだものだぁ。
ギラギラした目も私を求めてくれている証拠だと思うとちょっとかわいいですね。
「ちゅぷっ、れろっ、ん、ぺろっ、んく、はむはもっ、ちゅ、ぁ、ぁっ、んぶっ……」
やっぱりせんぱいとのキスしぁわせ……。気持ちいだけじゃなくて、せんぱいと愛し合ってるっていう実感がするのぉ。
せんぱいの舌は飢えた獣みたいに暴れまわって、私の舌を絡め取るように繋がってきます。私もそれに返すように舌で舌を押し返したり、絡めたり、くすぐったりして応戦します。一方的な愛撫とは違う、お互いがお互いを昂ぶらせることのできる愛情表現に頭の中がクラクラします。
「はむっ、くちゅ、ぷはっ……かわいいぞ、いろは」
「ふぇっ! しぇんぱぃ、撫でながら、それ、反則……んっ」
頭を優しく撫でられながらそんな嬉しいこと言われたら身体が喜んじゃうっ。もぅいろはの全部せんぱいのものなのに、もっとあげたくなっちゃうぅっ。
「はぅ、んんっ、ちゅ、ちゅるっ、ねろっ、ひゃんっ、ぅん、ぁっ、ぺちゅっ……」
頭撫でられるのしあわせぇ、キスもしあわせぇ。しあわせとしあわせが合わさって、身体の真ん中のところが熱くなっちゃぅ。
この間ちょっとやりすぎちゃったからせんぱい抑えてるのかな? 舌食べたりしてこない。私を気遣ってくれるのはうれしいけど、ちょっと物足りないよぉ。
「せぇんぱぃ……」
「いろは……んんっ!?」
だから今度は私がせんぱいの舌食べちゃいます。せんぱいの舌、柔らかくって大きくて、ぬるぬるでおいしいですよぉ。
「んじゅるっ、ずっ、じゅるるるるるるるっ」
思いっきり舌を吸うと、せんぱいは少し苦しそうな声をあげるけど、優しく頭を撫で続けてくれる。せんぱいやさしい……。
……あ、なんかせんぱい悪そうな目になった。
「こいつは……あむっ」
「へん、はっ……んぐっ、あぐっ、ぁっ、ぁっ、むぐっ、かはっ、んぶっ……」
きた! せんぱいに舌食べられちゃってる。舌にせんぱいのマーキングされてるぅっ。せんぱぃ、もっと食べて! もっといろはにせんぱいを刻み込んで!
口は少し乱暴に扱われてるのに、相変わらず頭は優しく撫ででくれててる。気持ちよさと苦しさと切なさと嬉しさと幸福感、全部が混ぜ合わさって極上のスープを私に沁み込ませてくる。
「ぁぅっ、むぶっ、ん、んくっ、んくっ、れるっ、こくっ、はんっ……」
せんぱいが私の口に唾液を流し込んでくる。せんぱいの味、おいしぃ……。食道も、胃も、せんぱいを感じられる。おかえしに私からも唾液を流し込むと、目を細めながら飲んでくれます。唾液と舌が互いの口の中を行き来して、溢れた唾液が二人の口元をてらてらとあやしく濡らしました。
「れろっ、んんっ、はぷっ、ぁっ、ぷはっ……はぁ、はぁ……」
口を離すと忘れていた酸欠が戻ってきて、お互い息が荒くなります。せんぱいと私の口は離れたけど、その間には粘性の高い二人の唾液の糸。せんぱいの濡れた唇から伸びる光景はすごく、エッチで、誘っているようで……。
「せんぱぁい……」
「……ん?」
だから――
「足りなぃです……もっと、もっとちゅーしたいです……」
――ついエッチなおねだりをしてしまうのも仕方ないと思うんです。
せんぱいは一瞬キョトンとした後、少し赤くなって、苦笑交じりの笑みを私に向けて――。
「いろは……」
「せんぱぃ……んんっ」
唾液のかけ橋ごと、私の唇を奪いに来ました。
* * *
さて、結論から言うとあの後ずっとキスしていた。放課後に彼女を家にあげて、ずっとキスをするとか実に健全な恋人らしいな。え、違う。
いい時間になったので一色を家まで送り、帰ってくると、なぜか小町が玄関で仁王立ちしていた。パーティにくる攻撃を全部庇おうとしているのん? おっとこまえー!
……と、茶化せるような顔してないんですけど。仁王立ちで金剛力士像みたいな顔してる。かわいい顔が台無しなんだが。
「……お兄ちゃん……」
「……はい」
妹が怖くて敬語になるとかよわっ、兄よわっ! そんな兄見てみたいわ! 俺だわ……。
「お兄ちゃんも彼女ができてうれしいのはわかるよ。けどさ、いくら彼女と部屋に二人きりだからってその……」
あれ? なんか金剛力士像から赤面したまどかに変化したよ? うちの妹がかわいすぎて概念になっちゃう。
というか、自分たちではそんなに大きな声上げてるつもりはなかったけど、やっぱ隣だと聞こえていたようだ。これは申し訳ないし超恥ずかしい。
「……その、妹の部屋の隣で、セッ、セッ、セッ……しないでよ……」
「……ん?」
セッ? いつから俺の部屋は鉄骨渡りの会場に……いや小町カイジ読んでないはずだし……。部屋、彼女、二人きり、セッ……あっ!?
「ま、まあおめでたいことだし、きょ、今日はお赤飯にするね……」
「待て! 違うんだ小町! 誤解なんだあああああ!!」
誤解を解くのに二時間かかった上、追加で怒られて、明日ケーキを奢ることを約束させられたのであった……。
三日ほど休憩したら反動がきた
このシリーズの一色は基本受け属性なので八幡拘束しないと
「せんぱいなんかに負けないもん!」
↓
「せんぱいには勝てなかったよ・・・」
の即落ち二コマ状態になってしまうんですが、ちょいSな一色とかもよさそうだよなーとか思ったり
思うだけで書くとは言っていないから誰か書いて(ちらちら
※UA30000、お気に入り300件ありがとうございます!