【GODEATER】 龍治 -A Ghost of Hero- 作:あとろふ
その時初めて、親父が永音に自己投影してるって事が分かった。命令無視で家族を失った永音を可愛がる事で、母さんを殺した親父自身が許されたかったんだって事がな。
考えてみりゃ昔の親父と永音の境遇はよく似てたさ。親父は暴走族紛い、永音は喧嘩屋、そんで揃って仲良く家族殺しだ。
親父の気持ちが理解できないわけじゃないが、そりゃねえよって思ったし、少しだけ永音に同情しちまった。
二人の喧嘩を止めたのは緊急警報だった。極東に向けて大規模なアラガミの侵攻が確認されたってな、私はいつもの部隊、親父は永音と出動はしないって言って単騎駆け。唯一永音だきゃ、親父に切られアナグラの部隊にも所属してなきゃ、親父の様に単騎駆けできる戦力もなくお留守番ってわけになった。
それがまさかあんなことになるとはな。
私らが敵と交戦中、突然、平原地区で荷電型ボルグ・カムラン種と交戦中の親父のバイタル反応が急激に弱まったって無線が飛んできた。今まで何百何千の敵を屠ってきた親父が高々一匹の蠍なんざに手負うわけがねえ。ヒバリの奴も相当焦ってたんだろう。通常、アナグラ側が無線のチャンネルを全体向けにしてなけりゃ親父の戦況なんてのはこっちにゃ流れてこねえからな。私だってなんかの冗談だろって思ったさ。
・・・だけど、私たちに流れてきた無線はそれっきり。
戦況が終わってアナグラに帰るや否や、看護師に切羽詰まった顔で親父の状況を告げられた。横っ腹にバカでかい穴を開けられてるってな。親父が戦闘で大怪我を負ったのは多分それが初めてだったし、私も耳を疑ったよ。すぐさま病室に向かった。そこに居たのは状況の経過を見守るサカキと、10幾年ぶりの正虎のオッサン、腹に包帯を巻いて眠ってる親父・・・・
そして、全身に包帯を巻かれ何本も管を繋がれた、まるでゾンビかミイラにでもなっちまったような永音だった。
親父は適合率が高いから、腹に穴が開いててもあと数日で完治するだろう、だが永音には助かる見込みはない、四肢を酷く火傷している上に親父の神機による最終フェイズの侵喰が腕に見られる、親父の偏食因子を侵喰箇所に点滴して侵喰の進行を遅延しているが、近いうちに処理しなければならないーーー
そう言われた。なぜ出動していないはずの永音がそうなったのかは解らなかった、でも、私は心のどこかで永音に「ざまあみろ」って思ってた。
その後、観察室で正虎のオッサンに何があったのかを聞かされた。
敵の侵攻でアナグラの北で移動を中断して待機していたら、突然親父の救援任務が発行されて、行ってみたらそこに居たのは腹を押さえて壁に凭れ掛かってる親父と、親父の神機を握ったままうずくまって、全身から発火して火だるまになっちまってる永音、すんでの所で二人を喰おうとしていたボルグ・カムランだったらしい。
オッサンにもそれ以上の事はわからず、急遽二人をここまで搬送して今に至るって、腹立たしそうに言ってた。
私とオッサンは親父と永音を交代で看病した。親父が目覚めたのは私が看病してる時だった。目覚めた時、親父は何より永音の心配をした。言われなきゃ解らない姿の永音を見た親父はすごく辛そうだったし、それを見てる私もとても辛かった。親父のそんな顔を見るのも、永音の為に悲しんでるのを見るのも。見てられなくて部屋を出たら、丁度私と交代しに来た正虎のオッサンと鉢合わせになって、親父が目覚めたことだけ伝えて私はアナグラの自室に帰った。
なんだろう、ああいう時にさ、一番やっちゃいけないのは独りになろうとするなんだろうな。・・・もう一回親父に会う勇気がどんどん薄れてってさ、永音が回復したって知らせを聞いて驚いてすっ飛んで行った時まで会うことは無かったよ。
永音、あいつ神機使いなのに腕輪してないだろ、流石に気付いてたと思うが。永音がそん時回復したのは、親父の適合率が高い事を利用して、親父とリンクさせた状態で侵喰を完遂させて火傷を回復したからなんだ。
詳しい話は私も解らないし難しいから、簡単に言うけど・・・・
永音はアラガミだってこと。
形こそ人間だけど、アイツの身体を構成してんのは紛れも無くオラクル細胞だ。親父の神機と同個体のな。