※この作品はR-18です。

【GODEATER】 龍治 -A Ghost of Hero-   作:あとろふ

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最終回

ーーー喜鴉はすこし振り返りがちに、零に隣に来るように促す。

「隊長がアラガミである」「喜鴉の父親が感応種の最初の個体である」「あの部屋にいた人間が隊長だった」「喜鴉が隊長に対して強い嫉妬を抱いている」ーーーー零は受け取った情報量の多さに硬直し、立ち竦んだ。

返事を寄越さない零に痺れを切らした喜鴉は、心持ち軽快に、片足立ちで体をひねらせた、肘を突いていたカウンターに飛び乗るように腰をかけ、んまあ、そんなに重く考えなくていいさ、と先刻までの深刻な雰囲気を取っ払う。

しかし空気は重苦しいままで、神妙な表情を見せたままの零に引っ張られたように、喜鴉の作り笑いも次第に暗く曇っていく。

先に口を開いたのは喜鴉であった。なあ、と喜鴉には似合わない情けない声をあげ、零の顔をまっすぐ見つめる。

「話聞かせてやった代わりってわけじゃあないんだけどさーーーもしも、もしもの話、永音がお前に弱音を吐いたり、なんか辛そうな顔を見せるようなことがあったらさーーーーーー」

喜鴉の言葉が途切れる。

「見せることがあったら・・・?」

と、零が顔を上げ、喜鴉と視線が交差する。喜鴉は視線を横に逃がし、わざとらしく首筋を掻いた。

「ああ・・・うん、その、何ていうか、ほら、私がアイツに嫉妬してる事、多分アイツも分かってると思うんだよ・・・。だからさ、私じゃだめなんだ」

輪郭のはっきりとしない言葉に、零は戸惑う。

「何が、だめなんだ?」と、踏み込む零に、喜鴉は首を掻く手を下ろし、再び零のほうを見た。

「私じゃ、アイツの事、助けてやれないと思うんだ。私じゃ・・・・きっと、アンタじゃないと・・・。」

「俺じゃなきゃ・・・?正虎や洲は?」

「駄目だろうな・・・きっとアンタじゃないと、アイツを助けてやれないと思う・・・。だからさ、もし、アイツがアンタに弱さを見せることがあったら、支えてやってほしい。アイツの助けてってサインを、見落とさないでやって欲しいんだよ。じゃないとアイツは、ダメになっちまう気がするんだ。」

隊長を快く思っていないはずの喜鴉からそんな願いを聞くことになるとは、零はまったく予想していなかった。予想外の出来事が起きたとき、その原因を解さずには居られないのが零の性格だ。

「なんで喜鴉姉じゃダメなんだ?それに、正虎や洲だって・・・なにより喜鴉姉は隊長のこと恨んでるんじゃ・・・」と抉るような詮索する。

「恨んでるわけじゃないさ、私だってアイツの事を助けてやりたいよ、でも私はほら、アイツに嫉妬してないって言うと嘘になっちゃうし・・・正虎のオッサンや洲の野郎だって、何とは言わないけど、腹ん中に永音に一物抱えてんだよ。そんな奴が何を言ったって、永音には届かない。独りで塞ぎこんで閉じこもっちまってるアイツの、心ん中にこさえた壁はどうやったって越えられないんだよ・・・。それに、今のままだとアイツ、いつか壊れちまう。」

「壊れる・・・?」

「ああ、親父が死んでからもう2、3年になるが、アイツはずっとその事を引きずったままだ。まだ親父が死んだこと、受け入れ切れてない、それこそ最初のうちはまだそれでも誤魔化せたんだろうが、こんだけの年月が経つと、それももういつまで保つか。いつか親父が死んだこと受け入れようとしたとき、誰かが支えになってやらねえと、アイツはきっと壊れちまうだろう。優治・・・んあぁ、永音の息子だが、アイツじゃ今の永音の支えにはなれないしな・・・。アイツが壊れちまったら、アイツだけじゃない、極東もタダじゃすまない。親父の力を補喰で吸収した上、もともとかなり高等な種なんだ。アイツが暴走するようなことがあれば、アナグラは間違いなく壊滅だ。それだけは何としても避けないといけないだろ。」

「アナグラが・・・?そんな・・・」予想をはるかに上回る事の重大さに、零は慄いた。

「あー、あまり難しく考えんな、アンタが永音のそばに居てやってくれさえすりゃ、大丈夫だ。」

発言に明確な根拠を感じることのできなかった零は、

「何を根拠に・・・」と質した。

その問に対して、喜鴉はやけに自身ありげな笑顔を浮かべ、

「なんとなく、さ。」と答えた。

「なんとなくって・・・」と、納得のいかない答えに困惑する零。

「適当に言ってるわけじゃないさ、幼馴染としてずっと見てた私が言うんだ。親父に散々に傷つけられて、心も体もズタボロになっちまってた私を助けてくれたのはアンタだ。あの時アンタが居てくれたから、私は親父の事を許せたし、こうやって神機使いになろうって思えたんだ。アンタは覚えちゃ居ないだろうし、考えてやった事でもないんだろうけどな。私はアンタに救われたんだ。だからさ、アンタに久々に遭えた時・・・・・ああ、いや、それは関係ない・・・か・・・。」喜鴉はカウンターを両手で突いて飛び降り、零に近づいた。そしてすれ違いに肩を叩きながら

「とにかく、アンタのそういう優しさなら、アイツを助け出してやれるはずだ。だから、永音の事、よろしく頼んだぜ。信頼してるぜ。零。」と言い残し、ラウンジを後にした。

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