※この作品はR-18です。

【GODEATER】 龍治 -A Ghost of Hero-   作:あとろふ

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第廿回

「龍治さん、応答できますか。たった今アナグラから救援が向かいました、約5分でアナグラからの救援、それから15分ほどで正虎さんが到着します、それまでなら持ちこたえられそうですか。」

あくまで泰然と振る舞ったつもりだったのですが、龍治さんの返答は真一文字に僕の泣き所を貫いた。

「アナグラからーーーフッ・・・永音だろう。」

錆びた冷水の様な呼気を呑んだ舌の根がひゅうと鳴いた。それを以て振り絞ったように嗄れた龍治さんの声が弱々しく続ける。

「お前のことさ・・・どうせ、っ、そんな事だろう、と・・・な。仕方のねぇ事だ、なるようにしか、ならねえよ・・・」

その声は時間を追う毎に弱く細くなり、ついには喉を掻き切ったような、掠れた笛の音のような呼吸音しか聞こえなくなった。

鋭さを保ったままの意識の中で、ふと、先刻の永音さんの『やってやる』という言葉がやけに神経に引っかかっているのを感じました。それまでもそうでしたが、僕の胸騒ぎーーー直感、と言うべきでしょうかーーーは大凡、的中してしまうものです。そしてその直感はいつも、予見以上の災厄を連れてくるーーー顕れのような、着信音と言ってしまえばそんなものの気もしますがーーーその予感は案の定。それは、サカキ博士からの通信を通して確信へと変わった。

「ああ良かった繋がった。洲くん、君のところの女の子、えぇと、藍原くんだったかいーーー」

緩みを見せていた緊張の糸が再び、より強く、引きちぎれん程に引っ張られる感覚がした。

「永音さん!?永音さんがどうかしたんですか?」

僕の取り乱し方が予想外だったようで、博士は困惑した様子を見せた。

「いや、どうしたって程じゃないんだけどね、出撃前に僕の研究室に来てーーーほら、この間の。メテオライト作戦で使われたバレットモジュールと、偏食因子アンプルを寄越せってね。随分切羽詰まった様子でね、何か変なことを考えていなければいいんだが・・・君なら何か知っているかと思ったんだけど、その様子だと君にも心当たりはないようだね。ならいいんだ、失敬。」

そう言って博士は通信を切った。取り残された静寂のなかで冷や汗が轟々と吹き出して、僕の神経を覆った。

メテオライトバレット・・・?あれはオラクル消費量がバレットモジュールの中で群を抜いて高かったはず、当然、永音さんの適合率では使える代物ではない、無理に使用すると体内での過剰なオラクルの奔流によって発生する膨大な熱で筋繊維が変質しかねないーーー何より、メテオライト作戦で偏食因子アンプルが用いられたのは、捕喰形態を持つ近接型神機のコア付近に注入して神機の捕喰能力を故意に暴走させるという用途・・・遠距離型である永音さんには本来使えないはず・・・あの場所でそれが使えるとしたら、龍治さんの神機くらいしか・・・

龍治さんの・・・神機?

 

『やってやるよ!!』

脳裏にひしめいて居た永音さんの最後の言葉がフラッシュバックした。ーーー僕の中で繋がった瞬間だった。今まで誰一人に必要とされなかった人間。唯一味方になってくれた人が生死の境界線に立たされているという状況。その人の生き死にが自分に懸かっている。ーーーもし、彼女が『この人を独占したい』と思っていたならば、どうするか? パズルのピースが音を立てずに揃っていく、その予感に思わず目を閉ざしてしまった。

救援に行くことは即ち、自らの命をも落としかねない危険な賭けーーー永音さんは、彼女には到底使用不可能なメテオライトバレット、そして龍治さんの神機でしか使えないであろう偏食因子アンプルを携行したーーー

僕の推測が正しかったなら・・・想像するのも耐え難い悲惨な光景が、強く閉ざした瞼の裏に浮かぶ。

そしてーーー永音さんの反応が作戦地域に到着した直後、龍治さんとの通信がブツリと途絶えた。 僕は確信した。してしまった。

 

永音さんはーーー心中するつもりだ。

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