※この作品はR-18です。

緋弾のアリア K・O・H   作:上平 英

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第6話

 無事に依頼が受諾されて、パーティメンバーにも問題がないと判断されたあと、自宅へである男子寮に帰った。

 

 そして、まずは干していた洗濯物を片付けて直し、6時30分を過ぎても遠山先輩が帰ってこないので、ひとりでコンビニ弁当を食べ、そのゴミを片付けたところで、佐々木の家から借りた弁当箱の存在を思い出した。

 

「あー、完全に忘れちゃってたなぁー」

 

 メイドさんが厚意用意してくれたものだから、佐々木に渡して返すのは悪いと思って、放課後に佐々木の家に寄って返そうと学校まで持って行ってたのに。

 

「温室でのことで忘れたなー」

 

 峰 理子さん……。会って間もない女の子にあんなことをしてしまうなんて……。

 

 リビングのソファに座り、ゆっくりと息を吐く。

 

「――ねえ、温室でのことって、何かあったの?」

 

「え?」

 

 突然聞えたアニメ声。昨日からよく聞いてた声。

 

 声の方向へ視線を向けて見ると、

 

「――あ、アリア先輩!?」

 

 なんで、部屋に!? 遠山先輩は帰ってないけど、防犯のためにカギ閉めてたはずだよな!? カギ開けしたのか!? 犯罪だぞ!

 

「な、なんで先輩がここに?」

 

 そこまで訊ねて、思い出す。

 

『遠山先輩をドレイに(スカウト)する』

 

「まさか……」

 

「たぶん、の予想通りよ。金次があたしのドレイになるまで、この部屋に住んで、どこまでもつきまとうつもりよ」

 

「本気……なんですよねー?」

 

「ええ」

 

 自信たっぷり、当然のように言わんでください……。

 

 あー……、そうなると遠山先輩はアリア先輩にから一日中付きまとわれてるのかー。

 

 そして付きまとわれ続けてるってことは、遠山先輩も了承してないってことだよな……。

 

 正直巻き込まれるのは嫌だなー。

 

「麻倉」

 

「……と、遠山先輩?」

 

 アリア先輩の後ろから同居人のイケメン先輩がさらに登場した。え? 後ろからってことは2人で帰ってきたってことか?

 

「あー、そうですよね。いくらなんでもアリア先輩がカギ開けとか、不法侵入とかやらないですよね」

 

「失礼ね。当然じゃないの」

 

「すみません、アリア先輩」

 

 いやー、実は仲良かったんですね。昨日の事とかで誤解してましたよ。

 

「おい、ふざけるな。何が当然だ。無理矢理押しかけてきやがっただろうが」

 

「そうだった? まあ、そんなこといいじゃないの」

 

「こ、この……」

 

「お、落ち着いてください、遠山先輩!」

 

 俺には何がなんだか……。どういうご関係なんですか、2人は?

 

 仲良しだと思ったら、ほんとは仲が悪いかもしてないって、ワケがわからないです。

 

「と、とりあえず昨日はアリア先輩から少し話は聞けましたが、遠山先輩からは話を聞けなかったので、事情を説明してくれませんか?」

 

「……ああ、そうだな」

 

 肩を落として力を抜く遠山先輩。よ、よかった。落ち着いてくれたみたいだ。

 

 遠山先輩から事情を聞くため、リビングのテーブルに3人でそれぞれつく。

 

 そして、遠山先輩から話される事情の一言目は……。

 

「俺はこいつに狙われてるんだ」

 

 という言葉だった。

 

「狙われてる?」

 

「ああ、そうだ。何でもこいつは、俺をドレイにしたいらしくてな。チャリジャックの件からずっと、この通り家の中まで付きまとわれてるんだ」

 

「……?」

 

 遠山先輩の説明はあくまで主観による主張で、わかりづらいが聞いてく。

 

「――と、今はこういった状況でな。こいつには迷惑してるんだよ」

 

 アリア先輩が途中で口を挟み、口論しながら、最後は結局迷惑してると締めくくった遠山先輩の話も、アリア先輩の話もまとめると……。

 

「えーと……、チャリジャックで遠山先輩がアリア先輩に目を付けられて、その日の内にアリア先輩が自宅に押しかけてきて、いきなりドレイになりなさいと言われたと?」

 

「ああ、そうだ」

 

 遠山先輩が力強くうなずく。アリア先輩も「そうよ」とうなずいてた。

 

「この場合の、アリア先輩が遠山先輩に言ったドレイになりなさい、っていう言葉は、遠まわしなパーティメンバーへの勧誘であって、強襲科のSランクである遠山先輩を、アリア先輩のパーティの前衛として置きたかったからの発言なんですよね?」

 

「そ、そうよ」

 

 今度はアリアさんが力強く……若干恥ずかしがってうなずく。

 

 遠山先輩はというと……。

 

「今の俺は、探偵科のEランクだ」

 

 難しそうな表情でそう吐き捨てるようにつぶやいて、うつむかれました。

 

 あー、遠山先輩が強襲科から探偵科に転科した理由、かなり重そうだなぁ。

 

「そういえば麻倉、おまえ強襲科のSランクだったよな? おまえがこいつと組めば……」

 

「――ダメよ」

 

 遠山先輩の声を遮ったのは、アリア先輩だった。

 

 アリア先輩は腕を組むと、真剣な表情で話し始めた。

 

「あたしが欲しいのは、あくまであたしと前衛で連携ができるメンバーなの。同じ強襲科でも前衛で連携がとれないレオンは、あたしのパーティには合わないわ」

 

「同じSランクだろ? 相性が悪いのか?」

 

 疑問符を浮べてる遠山先輩に、アリア先輩が静かにうなずく。

 

「そうね。パーティメンバーで考えると最悪かしらね。連携なんてあったもんじゃないでしょうし。お互いを潰しあうなら組まないでいたほうでしょ? それよりも別のパーティで活躍してもらっていたほうが、別の場所で起きた事件を解決しやすくなるじゃない」

 

「そ、そこまでなのか……」

 

 呆れたようにおでこに手を当てる遠山先輩。俺ら仲悪いと思われた? まあ、これで遠山先輩から身代わりに使われることはまずなくなったな。あと、アリア先輩ー、俺があなたに昨日言ったことですよねー、ほとんど。

 

「だから、金次があたしのドレイになるほか道はどこにも存在しないのよ!」

 

「だーかーら、俺は嫌だっていってんだろ! それに俺は一般高校に転校して武偵自体やめるつもりなんだって、何度も言ってるだろうが!」

 

 ギャー、ギャーと言い争いをはじめてしまった2人。

 

 あー……、これ以上は関わらないほうがよさそうだなぁ。

 

「そ、そういえば! 俺、友達から借りた物を返し忘れてたんだった! すみません、2人とも少し出かけてきますね!」

 

 リビングにおいてる弁当箱入り学生鞄を手にとって、玄関へ。

 

「レオンッ!」

 

「麻倉ッ!」

 

 アリア先輩と遠山先輩から呼ばれたような気もしたけど、すみません。

 

 俺、急いで佐々木(正確にはメイドさん)にお弁当箱返さないといけないんです!

 

 

 

◆

 

 

 

 

 そういうことで、やってきました佐々木邸。

 

 夜も8時30分を回って遅い時間でしたけど、対応してくれたメイドさんは嫌な顔せずにお弁当箱と、お礼として購入したお菓子も受け取ってくれました。

 

 そして、そのあと夜も遅いからと帰ろうとしたんですけど……。

 

「聞いてください、麻倉くん! 私、あかりちゃんに好きって、大好きと言ってもらえたんですよー! うふふふふ……」

 

「よかったね、志乃さん」

 

 俺の来客を知った佐々木が、俺を自室に招きいれて、自慢話を話されてます。

 

 それにしても、本当に行動起こしたんだ……。

 

 その日の内に。

 

 まあ、戦姉妹契約を破棄するには72時間の縛りがあったら、納得だけど。

 

 今日の放課後に間宮さんを自宅につれてきたあと、夕食食べさせたあとに、あの噴水がある中庭に呼び出して切りかかるなんて……。

 

 俺に切りかかってきたときと似てるな。へぇ、『物干し竿』まで使ったのに負けたんだ。意外に間宮さんって強いんだなぁ。総合的に壊滅的な成績でEランク認定されていたからちょっと舐めてた。評価を改める必要ありだな。

 

 ちなみに間宮さんはもう帰宅済み。丁度俺は入れ違いで訪問したようで、間宮さんに大好きと言われた佐々木がご機嫌MAXなところに、のこのことやって俺がやって来たから捕まえたそうです。捕まえた理由はもちろん自慢話をするため。

 

「うふふふふ……あかりちゃんが私のことを大好きって」

 

 あー、佐々木がトリップしてる。ネグリジェ姿で、その場でダンスするように回りながら、頬っぺたを両手で挟んでヤンヤンしてる。佐々木は美少女だし、その姿はかわいいんだけど、内容がなぁ。問答無用で間宮さんに切りかかった結果、というのがなんとも……。

 

「志乃さーん」

 

 ちょっと俺の存在忘れてませんかー?

 

「――っ! そうでした! 麻倉くん!」

 

 ハッと気づいて、俺の手を両手で掴む佐々木。

 

 佐々木は俺を見上げて、

 

「アカリちゃんともっと一緒にいられる方法、他にありませんか!?」

 

「……え? 一緒にいられる方法?」

 

「そうです!」

 

 断言ですか……。

 

 それにしても間宮さんと一緒にいられる方法ねぇ。あるにはあるけど、間宮さんが困らないかな? ……まあ、刀で切りかかってきた相手に大好きって言ったぐらいだし大丈夫か。

 

「――なら志乃さん、『アミカ・グループ』って知ってる?」

 

「アミカ・グループですか?」

 

 その様子じゃ知らないみたいだねぇ。

 

「戦妹(いもうと)同士がグループを作る制度なんだけど、それそれの戦姉(あね)からの指示を受けて、協力して訓練するって制度なんだよ。――簡単に言えば、お互いの戦姉(あね)をグループでシェアできるってこと。この制度を利用すれば、間宮さんといられる時間が増えると思うよ」

 

「あかりちゃんとの時間が増える……」

 

 ギラリ、佐々木の瞳が光る。

 

「だ、だけどこの制度を使い場合は、基本志乃さんも誰かと戦姉妹契約を結んでないとダメなんだぞ?」

 

 そこのところわかってる?

 

「ええ、わかってます。まずは戦姉妹の相手を探さないといけないってことなんですよね?」

 

「う、うん」

 

 目が怖いよ……。

 

「――麻倉くん、私の戦兄になってくれませんか?」

 

「だ、だいたい予想はしてたけど……。ヤダ」

 

「ふぅ……」

 

 小さく息を吐く佐々木。あれ、もう諦めてくれたの? 正直、脅されるのかと……。

 

「今日の私はすごく機嫌がいいですし、――いいでしょう」

 

「?」

 

 呆けてる俺を無視して、佐々木は静かにネグリジェのスカート部分に手をかけて、脱いだ。

 

「――っ!?」

 

 軽く巨乳の部類に入る佐々木の胸、それを保護してる紫色のブラジャーが露になり、かわいらしいおヘソから、ブラジャーと同じ色で柄のショーツと健康的な太ももから、肢体が明かりの下にさらけ出された。

 

「あんまり、ジロジロ見ないでください」

 

 恥ずかしそうに胸と下を手で隠す佐々木。

 

「ごっ、ゴメン! ……き、綺麗だったから」

 

「――っ! い、いきなり何を言い出すんですかッ」

 

「で、でも志乃さんもだろ! 何でいきなりなんで脱いでるのさ!?」

 

「あなたが私の胸を触りたさそうにしてたからですよ!」

 

「はあっ!?」

 

 俺、触りたさそうにしてた? まあ、そりゃあ見事のなものが目の前で揺れてりゃ、男のなら誰だって見る……けど、だからって脱ぎますか?

 

 佐々木が視線を逸らして、つぶやく。

 

「わ、私だって……は、恥ずかしいですし、嫌なんですよ。でも、あかりちゃんと一緒にいるためには……」

 

 うー……、相変わらず間宮さん関係に対しては盲目だなぁ。しかも今日は間宮さんに、大好きって言われたこともあっていつもより暴走して短絡思考になっているみたいだ。

 

 けど――。

 

 佐々木に近づく。下着を見ないように。至近距離まで近づく。――もちろん、触れたいとか、触りたいからという理由ではない。

 

 そして、肩を掴もうとして、

 

「――っ」

 

「…………」

 

 佐々木が怯えたように体を強張らせられた。……いやね、勘違いされてるのはわかるけど、この構図で勘違いされるのは理解できるけど、心に来るものがある。

 

 ……なんとか、気を取り直して。

 

 やさしく肩に手を乗せる。

 

「志乃さん」

 

「……? しないんですか?」

 

 訝しげに俺の顔を見え上げてきた彼女に、冷静な、優しげな表情で言う。

 

「――冷静になろうよ」

 

 と。

 

 ……俺もね。そう頻繁に許可されたからって女の子の胸を揉まないよ……。特に理子さんの胸を揉んで、自分の勘違いに気づいて、女王さまプレイに発展した今日の出来事を思い出せばね……。

 

 佐々木は俺の言葉に、ポカンとした呆けた顔になり、改めて自分の格好を見下ろして見て、

 

「~~~~っ!」

 

 顔を真っ赤にして声にならない悲鳴をあげると、その場にしゃがみこんだ。

 

 よかった。冷静になってくれて。 

 

 

 

◆

 

 

 

 間宮さん関係のことで暴走していた佐々木が、我に返ってくれたみたいだけど、今度はソファで体育座りして落ち込んでしまった。

 

「うううぅ……。わ、私はな、なんてことをしようと……」

 

「よしよし、もう大丈夫だからね」

 

「いくらなんでもはしたなすぎます……。もうお嫁にいけません……」

 

「志乃さんはちょっと混乱してただけなんだから、ね。あんまり気にしないでいいよ」

 

 しくしくしくしく……。体育座りで自分の行動を後悔する佐々木。

 

 俺は隣に座って背中を擦りながら慰める。い、一応、ネグリジェを背中に羽織らせてるけど、よ、横乳や女の子らしい柔らかそうなお腹とか、むっちりしてる太ももが見えたりしてて……。

 

 ええいっ、ダメだ。興奮するな! 

 

 視線を斜め前に持ってきて、固定。……見ないよ。俺は、見ない。

 

 それから結局、自分が犯した、犯そうとした行動についての後悔は、佐々木が寝落ちするまで続きました。

 

 …………。

 

 ……ソファの上に体育座り状態で寝てる佐々木。背中にネグリジェを羽織っているだけという、実際には下着姿で寝ている。

 

 ……その隣では頭を抱えている少年がひとり――というか、俺だった。

 

 よく男が部屋にいるのに寝られるよなー。

 

 佐々木は俺のことを男として意識してないのかなー? それともそれ以上に戸惑っていたのかなー? だけどいくらなんでも下着のまんま寝るなんてないよなー? このまま俺に襲われたとしても何も言えないんじゃないか?

 

 …………。

 

「まっ、とりあえず、ベッドに寝かせるか」

 

 いくらなんでもこのままソファの上には寝かせられない。メイドさんを呼びたいところだが、誤解されそうだし、今の時間は深夜1時……。いつまで慰めてたんだよ、俺は……。

 

 まずはベッドの布団を捲り、それからソファに戻る。ソファの上に膝をついて、佐々木のヒザの下と、背中に手を差し込み、起こさないように気をつけながら横抱きにして立ち上がる。

 

 こういうときにも体を鍛えておいてよかったって思う。ライカちゃんと別れる前の鍛えてない貧弱な俺だったら、持上げられなかったはずだ。

 

 起こさないよう気をつけながら佐々木をベッドまで運んでいき、ベッドの上に乗せる。

 

 佐々木の格好は下着姿。運んでる最中もとてもとても目の毒でした。

 

 あとは布団を掛け――。

 

「あかりちゃぁーん……」

 

 危険を察知。視界の端に、佐々木からこちらの首に向って伸ばされる両手を確認。回避。

 

 体をひょいと移動させて回避に成功すると、佐々木は近くにあった枕をひとつ掴んで、両手を自分へ引き寄せると、

 

「ん~~」

 

 と、そのまま強烈なキスをするという特殊な寝返りを……。

 

 あ、危なっ! 避けてなかったらあのままキスされてたぞッ。一見するとなかなかおいしいシチュだが実際にそんなことになったら、寝込みを襲ったことになって、社会的に死ぬ! ただでさえ佐々木は下着姿なんだし!

 

「ふぅぅ……」

 

 安堵の息を吐いて、今度こそ布団を掛けてあげる。

 

 俺は……もう時間も遅いし帰れないから、ソファですね……。

 

 まあこれでもサバイバルとは比べ物にならない快適空間だから、喜んでおこう。

 

 自宅もいま、色々面倒事が起きてるから、丁度いい。

 

 ……そう、思うことにしておく。

 

 

 

 

◆

 

 

 

 朝の訪れを感じさせる小鳥の囀り、朝日のやわらかな光。

 

 そして、それらに加えて、鋭く暗い殺気が向けられた。

 

「――っ!?」

 

 突然向けられた殺気に反応して覚醒する。

 

 何年も度を越したサバイバル生活で培った危険察知能力が働き、脳が一瞬で体を起動させて、肌や空気の流れで殺気が放たれた方向から危険の内容まで、感じ取れるものは何でも感じ取り、体が対処しようと自動で動く。

 

 殺気の出所は左側。それと殺気と同時に、俺の体へと何かが振り下ろされる。風きり音から、振り下ろされているモノは刀と断定。狙いは俺の腹部。

 

 そこまで理解すると、手が勝手に動く。

 

 親指と人差し指で振り下ろされる刀をピタァッ、と挟み込んで片手真剣白羽取りを成功させた。

 

「――っ!?」

 

 襲撃者が驚愕で息を飲むのがわかる。俺は驚いている間に飛び起きて、刀を握っている手を掴んで止める。

 

「お、落ち着け、佐々木!」

 

「はっ、離してくださいッ!」

 

 襲撃者は予想通り、佐々木でした。……下着姿の。

 

 そんな佐々木の目には涙が溜まっていて、

 

「私にいったい何をしたんですか!」

 

 なにやらとんでもない勘違いしていらっしゃる!?

 

「ほんとに落ち着けって! な! 俺は何もしてないから!」

 

「ウソですッ!」

 

「断言!?」

 

「あ、あああ朝起きたらベッドに下着姿で寝かされてて……。あ、あああなたッ! あなたが私を襲ったんでしょうッ!?」 

 

「襲ってねえよっ! 下着姿には佐々木が自分でなったじゃないか!」

 

「何を言ってるんですか! 私がそんなはしたないことするわけないじゃないですかッ!」

 

 ぐぐぐっ……と、刀に力を込められる。

 

「はじめての相手はあかりちゃんだと決めていたのに……ッ!」

 

 刀を使うのは無理だと判断したのか、刀から手を離して攻撃法が拳や蹴りに切り替わる。

 

 俺はそれらを危なげなくかわしていくけど、罪悪感が半端ない。何せ相手は女の子で泣いている。

 

 とりあえず落ち着かせないと。

 

 両手を、指を組むようにして掴む。ぎりぎりと握られて佐々木の爪が肉に食い込んで痛いです……。

 

 けど、佐々木が先決だ。どうにかして落ち着かせないと、メイドさんが今やって着たらアウトなんだし、急がないと!

 

「落ち着けって、間宮さんとはじめては無理だから!」

 

「やっぱり、あなたが私のを……ッ!」

 

 あ、あれ!? 殺気がキツくなったぞ!? 女の子同士ではって意味だったんだけど!?

 

 腕を組んだ状態で、今度は膝や足が飛び出し始めた。

 

「ちょっ!? 止めろって!」

 

「うううう~~!」

 

 錯乱してる!? どうすればいいの!? え、えーと……。

 

 こ、こういう場合は……。

 

『――キスで口を塞いじゃいなよ』

 

 脳内にいた理子さんからニッコリ笑顔で言われる。

 

『こういう場合、ギャルゲとかだったら鉄板シチュでしょ。男ならいっちゃいなよー!』

 

 ブイブイとかわいらしいポーズと合わせて、理子さんから拳が突き出される。拳の形が……おいこら、指の間に親指入れるな!

 

 それに佐々木とそんなフラグ立ててないから! よくて協力者フラグか、友達フラグぐらいだから!

 

 元々好感度高くないのに、今みたいな好感度マイナス状態でキスなんてしたら、強制わいせつ罪で文字通り即逮捕されちまう! 武偵には逮捕権があるんだよ!

 

「このッ! このッ! 死んで! 死んでくださいッ!」

 

 うわああ……でもこんな狂乱状態じゃ、キスして思考を停止させないことには、正気に戻ってくれなさそうだ……。

 

 だけど、さすがにキスはマズい。

 

 うー……。

 

 メイドさんが来る前に落ち着かせないといけないし……、覚悟を決めるかぁ。

 

「死ね! 死んでよぉぉぉ!」

 

 佐々木から繰り出される膝蹴りが戻されたところを見計らい、体を半歩前に出す。

 

「――っ」

 

 驚いて指の力が緩んだところで手を離し、佐々木の背中に手を回す。

 

 肩に顔を入れて、耳元でつぶやく。

 

「落ち着いて……。ね、落ち着こう」

 

 やさしく、やさしく……。抱きしめるというか包むように抱いて、体を密着させる。

 

「う、うう……、ううう、うわあああーん」

 

 子供みたいに泣き声を出しながら、ポロポロと涙を流しながら泣き始める佐々木。やさしくしたことでこれ以上怒るに怒れず、そのまま涙へと気持ちが還元されたようだ。

 

 ……全てが勘違いで、勘違いする主な原因も彼女にあるのだが……。結局泣かせた俺が全部悪いと思ってしまうのは仕方がいない。女の涙には誰も勝てないんだ……。

 

「ひぐっ、ふぇええ……。私……、あかりちゃんとぉ……」

 

「よーし、よーし。大丈夫だからねー」

 

 小さい子を慰めるみたいに背中をなでる。佐々木は俺にすがり付いて泣き続ける。あー……俺って佐々木を慰めてばかりだなぁ……。しかも慰める理由がなんとも……。

 

 それからしばらく。

 

 しばらく泣き続けた佐々木は、何とか落ち着きを取り戻し始めてくれた。

 

 そろそろいいよな?

 

 体をゆっくり離す。急に殴られたり蹴られないように、顔が覗けるくらいの位置で留めて、つぶやく。

 

「落ち着いたか?」

 

「…………」

 

 俺の顔を見上げて、ポカーンと停止する佐々木。……え?

 

「~~っ! な、なんで抱きしめてるんですかッ!?」

 

 急に再起動されて、真っ赤になって怒鳴られた。

 

「え? えーと……、志乃さんがいきなり襲い掛かってきたからなんだけど……。覚えてないのか?」

 

「私が……? ――っ! あ、あなたが私を襲ってベッドに……」

 

 わー!? また狂乱モードになるのはカンベンしてくれよー!

 

「ち、違うから! それは佐々木……志乃さんの勘違いだから!」

 

「じゃあなんで私はベッドに下着だけで寝てたんですか!?」

 

「志乃さんが昨日自分で脱いだんだろ! 俺を使って戦兄妹(アミカ)契約結ぼうとして!」

 

「…………。……あっ!」

 

「……思い出したか?」

 

「そういえば……。う……、そうでした。……す、すみません」

 

 申し訳なさそうに視線を背ける佐々木。その様子は先ほどの狂乱モードの人と同一人物だとは思えない。

 

 息を吐いてさらに説明する。

 

「昨日は、冷静じゃなかった志乃さんが俺の……。男の前で下着姿になってしまったあとで、正気を取り戻して。自分の行動に後悔して、志乃さんが落ち込んでソファで体育座りしたまま寝ちゃったんだよ。――俺は。そのままじゃマズいからベッドまで運んで寝かせたんだ」

 

「……ううぅ~」

 

 説明していくにつれて、佐々木の顔がどんどん赤くなっていき、うつむいてしまった。

 

「一応、メイドさんたちを呼ぼうかとしたけど、すでに12時を越えていたから呼ぶに呼べなくて。下着姿だからといっても佐々木に服を着せるのもマズかったから、下着姿のままベッドに寝かせて、俺はソファで寝ていたんだよ」

 

「…………」

 

「ち、誓って言うが、それ以上の事なんて何もしてないぞ! 写真とかも撮ってないし、運ぶ以外でどこも触ってもないからな!」

 

「……はい、わかってます」

 

 …………。さっきまで完全に勘違いしててわかっていなかったから、イマイチ信用できないっ。

 

 ていうか、昨日の事と今朝の事を思い出していても、今の事に気づいていない確立が高い。

 

 下着姿の佐々木が俺と抱き合っているという現状に、気づいていない可能性が高い。

 

 ど、どうやって回避しよう、この状況……。

 

「あの……麻倉くん」

 

「な、なんだ?」

 

「その、すみませんでした。勘違いで、切りかかってしまって……」

 

「ま、まあ、防弾制服の上からだったし。怪我もしなかったから、いいよ」

 

 殴られかかったり、蹴りかかられたりもしたけど、錯乱してたんだから、許すしかない。いきなり切りかかられたのも刺されそうになったのも2回目ダケドネ。

 

「ありがとうございます」

 

「うん」

 

「…………」

 

 なんとなく、顔を見合わせていることが恥ずかしくなったのか、赤くなった佐々木。俺も……普通だったら顔を赤らめるぐらいはしたと思うが、今はそれどころじゃない。

 

 未だに自分が下着姿であることを、佐々木に、平和的に気づかせるのが専決なんだ。

 

「志乃さん」

 

「はい、なんでしょう?」

 

 お嬢さまっぽい対応だけど、下着姿だからね、キミ。

 

「落ち着いて聞いて欲しいんだが、とりあえずふ……」

 

 ――コンコン。

 

 服を着たほうがいい、そう俺がつぶやこうとしたところで、ドアがノックされた。

 

『お嬢さま、起きられていらっしゃいますか?』

 

 ――メイドさんっ!? や、ヤバいぞ!

 

 危険察知によって思考が加速化されるが、意味がない。

 

 むしろ時間が引き延ばされて、絶望までのカウントダウンが長く感じられるだけだった。

 

 一拍置いてドアノブが回る。ドアが、開いていく……。

 

 フリル付のメイドカチューシャを付けた、黒髪ポニテの美人で清楚なエプロンドレスの似合うメイドさんコンビが2人そろって、ご登場された。

 

 ゆっくり動く時間のなか、登場したメイドさんコンビの表情が驚愕へと移り変わり、両手がまあっというポーズになっていくようすが、よくわかる。

 

 常人を軽く越えてる視力が、メイドさんのガラスのような綺麗な瞳に映っている自分と佐々木の姿を捉えてしまう。

 

 佐々木もメイドさんの登場に気づいて顔をドアのほうへ向けるも、自分の格好については未だに気づいていない御様子。

 

 おそらくメイドさんたちには、佐々木の様子が普通で、自然で嫌がっていないように見えたんだろう。

 

 まあっ、と小さく声を出すと、

 

 逆再生するように「失礼しました」と部屋のドアを閉めてしまった。

 

 思わず天を仰ぐ。あー、高い天井だなぁ。

 

「?」

 

 佐々木は未だにわかっていない御様子。いい加減気づいてくれー。

 

「どうかされたんですか?」

 

 佐々木がそうつぶやいたとき、コンコンとまた部屋のドアがノックされた。

 

 そして、先ほどのメイドさんコンビが静かにドアを開けて、部屋のなかへ入って着た。

 

「おはようございます」

 

 通常モードの佐々木がメイドさんたちに優雅に挨拶して、メイドさんたちは……。

 

「「おはようございます、お嬢さま」」

 

 2人そろって腰を小さく折って挨拶を返して、

 

「ど、どうぞ……」

 

「お使いになってくださいッ」

 

 そう恥ずかしそうに少しだけ頬を赤に染めてつぶやき、どこから取り出したのか、テーブルに開けたばかりらしいティッシュと、こちらも外側のテープが綺麗に開けられた長方形の箱を置いて、「学校のほうには連絡しておきますから」と言い残して部屋から立ち去っていった。

 

「「…………」」

 

 無言で、俺と佐々木はテーブルの上に置かれたものを見つめる。ティッシュはまあいいとして……隣の箱が問題だ。日本語ではっきりとあのゴムが入ってると、おしゃれに表記されていた。

 

「「…………」」

 

 視線を戻して顔を見合わせる。

 

 俺はゆっくりと顔ごと視線を逸らして、佐々木は自分の体に、格好に目を向けて……。

 

「~~~~っ!」

 

 声にならない悲鳴が響いた。

 

「な、なんで……」

 

 わけのわからないとしゃがみこむ佐々木。……しかし、下着姿でしゃがみこむのは色々マズいぞ、佐々木。とりあえず俺は防弾制服の上着を体にかけてやる。

 

「とりあえず俺は壁のほうを向いてるから、話は着替えてからにしよう」

 

「……はい」

 

 急いで着替える音が後ろから聞えて、数分後。

 

「もう、いいですよ」

 

 と声をかけられる。

 

 振り向けば、いつもの防弾制服姿を着た佐々木が、俺の制服を手に立っていた。

 

 ……ん? ちょっと佐々木の制服姿に違和感がある。

 

 上から下へと視線を向けていって……。

 

「ああ」

 

 ポンっと。

 

「ストッキングを着てないのか」

 

 いつも着てるはずのストッキングがなくて、肌色が見えてたから違和感を感じたのか。

 

「き、着る時間がなかったんです! 出る前にはちゃんと着ますよ!」

 

「あ、ああうん。……すまない」

 

 そんな大声で言わなくても……。ストッキングに愛着があるのか? そういえばいつも着用してるもんなぁ。

 

「と、とりあえず、上着。ありがとうございます」

 

「ああ。どういたしまして」

 

 制服を上着を受け取って羽織る。

 

「そ、それで……その……」

 

 片手を胸の前で握り、もじもじと視線を合わせないようにして、言いにくそうにつぶやく佐々木。

 

 そんな最近見慣れた様子に、なんとなく、察する。

 

「昨日と今朝のことは忘れよう」

 

「……はい、ありがとうございます」

 

 どうやら、予想が当たっていた様子で安堵の表情を浮かべた佐々木。

 

 先日は自身の失態を見られて俺を殺して自殺しようとしたけど、何度も続いて耐性がついたのか、意外に落ち着いている。

 

 この調子で切り出すか。

 

「それと、昨日の話しだけど、俺と戦姉妹契約は色々な都合上無理だから。他の……2年生とか3年生の先輩に戦姉妹契約を結んでもらってくれないかな?」

 

「……でも、戦姉妹契約を結んでくれる先輩に心当たりなんて」

 

 うん、そうだよね。少し前まで完全なボッチだったんだから知り合いなんて少ないよね。まあ、俺も現在ボッチで男友達皆無状態、武偵高校の知り合いなんて君たち3人と、仕事で組んだことのあるパーティメンバーか、寮の先輩たちぐらいだけどさ……。

 

「だったら教務科に推薦してもらったらどうかな?」

 

「教務科にですか?」

 

「教務科なら確か自分のスタイルに近い、戦姉候補になる先輩を紹介してくれたり、推薦してくれるはずだから」

 

「そうなんですか? 教えてくれてありがとうございます」

 

「どういたしまして。――よし、それじゃあ、俺はお暇しようかな」

 

 もう7時だし、そろそろ出ないと学校に遅れてしまう。

 

「あの、そんなに気を使ってもらわなくても、あなたの分の朝食も用意させますし、学校まで送ってあげますよ」

 

「あー、うん。ありがとう。志乃さんの気持ちはすごくうれしいんだけど……」

 

 視線をドアの方へ向ける。

 

 自然とつられて佐々木の視線が俺の視線を追って……。

 

『――っ! 気づかれた!』

 

『き、緊急離脱です!』

 

 カチャと小さく閉まるドア。控えめな足音が遠ざかっていき。

 

 また、視線を佐々木へ戻して、

 

「佐々木家の朝食は美味しそうだから食べたいけど、味に集中できなさそうだし。メイドさんたちの視線が気まずいからね」

 

 と、ドアへと向って歩き出す。

 

 ドアノブを回して、そのまま帰ろうとして……。

 

「――ま、待ってください」

 

 後ろから制服を掴まれる。後ろを見なくても、どんな表情をしてるかわかる。

 

「お、お願いですからいてください! 私をひとりにしないでください!」

 

「志乃さん……。周りから向けられるだろう視線が誤解だとわかっていても辛いのはわかるよ。さっきの陽気なメイドさんたちのことだから、すでに何人かの使用人さんたちにも誤解が広まってるころだろうから」

 

「なら!」

 

「――だからこそ」

 

「――っ」

 

「俺らが2人で朝食を食べたり、車で学校に向えばその視線が2倍で、誤解も信憑性を増してしまう。俺は、ここで帰ったほうがいいんだ」

 

「ですが、そうなったら私は……」

 

 ドアノブを握ったまま振り返って、佐々木の肩に片手を置く。

 

「大丈夫。さっきはああ言ってしまったけど、いくら陽気なメイドさんコンビだからといっても、節度は守ってくれると思うよ。何せメイドさんなんだからさ」

 

「…………」

 

 何で黙ってるんだ、佐々木?

 

 佐々木は無言のまま俺を見つめ、俺も言葉を話せなくなって固まってしまう。

 

 そして、2人して無言のまま固まっていると、部屋のドアへと近づいてくる気配が2つ……5つ……。

 

 さらに話し声までも聞えてきた。

 

『でも、本当にお嬢さまが?』

 

『ええ、そうなんですよ! 先ほどまで下着姿で抱き合っててですね――』

 

『ええっ!? 今は学校の制服着てやり始めたの!? さすがお嬢さまね。また過激な……』

 

『一応、ティッシュと避妊具をお渡ししましたけど……』

 

『バカねぇ! あの年齢でちゃんと避妊具なんて使うわけないでしょ! ちゃんと付けるところまで付き合いなさいよ! それか付けてあげるくらいしなさい!』

 

『そんなの無理ですよ! 付け方なんて……。見たこともないですし……』

 

『付けてさしあげるなんてとんでもない!』

 

 …………。

 

「…………」

 

 無言で、暗い、貼り付けたような笑みを浮かべてドアの扉を指差す佐々木。

 

 ……はい、降参です。さすがに佐々木を見捨ててひとり逃げるのは酷い。

 

「……朝食、ご馳走になります」

 

「はい。――あと、学校までは私がちゃんと送りますから」

 

 肩を落として2人でドアを開けて見ると、ポニテメイドさん2人に加えて、コックコートの美人さんと、スーツ姿の美人さん2人が廊下にいた。

 

 小さく、気づかれたじゃないのと小声で言い争っている姿がなんとも……。

 

 ちなみに、あとからスーツ姿の美人さんについてひとりが秘書さんで、もうひとりが運転手さんだと判明しました。

 

 あー、学校に着くまで車の中でも視線を向けられそうだなぁ。ていうか、秘書さんからご両親に伝わらないよな? 不安なんだけど……。

 

 

 

◆

 

 

 

 メイドさんや執事さんからの生暖かい視線を浴びながら朝食を終えて、佐々木家の車で学校まで送られ、校門前で車から降りようとして、運転手のお姉さんから避妊具を渡されたり、同じ車から降りたということで周りの生徒から好奇の視線を向けられたりとしつつも、無事に教室へと向かうことができた。

 

 廊下で佐々木と別れて、俺は2つある扉のうち、裏側の扉から教室に入ってそのまま席へ。

 

 佐々木は黒板側の扉を開いて教室へ。

 

 丁度、日直で黒板を消したいた間宮さんと、掃除をしていたライカちゃんの前に出るかたちとなった佐々木。

 

「おはようございます」

 

 と佐々木が挨拶して、間宮さんが佐々木の気づて振り返る。

 

「し、志乃ちゃん。昨日は……」

 

 間宮さんが何かをつぶやこうとするが、先に佐々木が「あかりさん」と名前を呼んで会話を遮り、笑顔で近づいて、

 

「あのあと調べたんですけど……。『アミカ・グループ』をご存知ですか?」

 

 と話を切り出した。

 

 笑顔で説明する佐々木だけど、内容は私も戦姉妹契約しますから、『アミカ・グループ』を2人で組みましょうという勧誘。

 

 佐々木の勢いに思わず『う、うん』とうなずいてしまった間宮さんの手を両手で握って、

 

「だって私たち相思相愛ですもんね!」

 

「し……志乃ちゃん!」

 

 戸惑う間宮さんを無視して、佐々木はそのまま間宮さんに抱きついた。

 

 もがく間宮さんに抱きしめたまま、ハートを周りに浮べるかのように、幸せそうな佐々木の様子に、ライカちゃんは苦い顔で「間違いだけは起こすなよ?」とつぶやいた。

 

 ……俺はというと話す友人もいないので、ひとり机に突っ伏して仮眠に入る。今朝の行動で、俺と佐々木との仲を疑う噂話がクラスメイトからも聞えてくるけど、無視……。

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