今日の放課後、地下メロにてバトル!
と、書かれた手紙。
しかも、隅の方に…来ないと殺すヾ(@⌒ー⌒@)ノ
地下メロって?バトルって?行かないと殺されるって?またしてもよくわからない内容。午後の授業は手がつかなかった…
そして、帰りのHR。
少し暗い表情を浮かべながら教卓の前に立つ先生。こんな辛そうな顔…初めてだ。
『今日、新学期始まってまだ二日目です。にも関わらず六人の生徒がいなくなりました。学校が終わったらすぐ帰る!お願いだから約束してくださいね!でわ、解散』
と、静かに教室を後にした。
先生の背中が小さく、少し寂しそうに見えた。
何かあったのかな…いつも明るいのに。
少し気になった。
僕は、先生の所に行こうとした…が…
『蒼太、早く行くよ?』
と、呼び止められる。僕は『ちょっと、先生』と、話の途中にも関わらず僕の荷物までまとめ始める山倉さん。
『蒼太は優しすぎるの!』
と、少し怒ったような口調で話す山倉さん。そのまま僕の荷物を担ぐと僕の手を引っ張り教室を飛び出した。
『ちょ、ちょっと!』
山倉さんに掴まれていた手を少し強引に振り払う。訳のわからない行動に苛立ちを露わにした。
『そ…蒼太?』
驚いた表情を見せる山倉さん。そんな僕を見つめ再び手を掴むと『いいから行くの!』と、手を引っ張り出す。
『だ、だから!』
そんな時、後ろから両腕を抱え込まれ持ち上げられる僕。振り向くとそこには川嶋君と中居君の姿があった。
『どうしたよ、蒼太苛立っちゃって』
僕は『だって』と、まるで子どもが言い訳をするように言い出す…
『気持ちはわからなくもないけどさ、山倉の気持ちも少しはわかってやらないとな』
と、優しく微笑えむ川嶋君。
『…川嶋君』
僕は、ただ、先生が辛そうにしてたから…気になっただけなんだ。行ったからといって何も出来ないのもわかってる。けど、やっぱり心配だったんだ。
後から走ってきた小牧さん。ちょっといつもと違う空気を察してか…
『とりあえず学校は出ましょ?』
と、僕のベルトを掴み階段を降りだした。
わかっていた。盗聴器があるから言いたいことも言えないで誤解を招いている。だからって学校から出たって何も変わらないじゃないか!
僕は、争いごとは嫌いだ。出来ることなら何事もなく一日が終わり、何事もなく家で好きなテレビを見て、好きな時間に寝たい。
でも、今の僕はまるでただのペットだ!言われるがままに行動するペットだよ!訳のわからない出来事ばかりで何もわからないんだよ!意味がわからない!
と、頭の中で考えれば考えるほど苛立ちが込み上げてくる!そして、思わず口走ってしまったんだ…
『僕っていったい何なの?』
その瞬間、皆の顔つきが変わったんだ。
あ…嫌われた。もう後戻りできないかな…また、転校しなくちゃいけないのかな…
そんなことが頭をよぎる…
『蒼太?』
僕を呼ぶ声。
山倉さんでも川嶋君でもない。階段の上から聞こえる声。その声は吉谷先生だったんだ!
『蒼太?あなたはあなたよ。でも、私の大切な生徒でもあるし、皆の大事な仲間なの。もっと仲間を信じてあげなさい。』
と、階段を一段一段降りる先生は僕の肩に触り『蒼太は優しいからね』と、優しく微笑んだ。
『先生を誰だと思ってるの?私のことは何にも心配いらないから、もっと心を開いて、もっと仲間とぶつかりなさい。そうすればもっとわかりあえるよ』
僕に微笑み、皆に微笑むと『帰った帰った』と、笑顔で手を振り僕達の前から姿を消した。
『あ、俺も山野のこと蒼太って呼ぶから俺のことはヒロって呼んでな。もっと仲良くなりたいからよ』
と、しらけた空気を払うように笑う川嶋君。
『蒼太ね。俺も晴也って呼んでね』
と、僕のお尻をポンポンと叩き階段を降りて行った。
ずっとベルトを掴んでいた小牧さん。ゆっくりと手を離すと『信じてくれたら…嬉しいです』あまり表情を変えない小牧さんが少しだけ笑顔を見せると中居君の後について行った。
『蒼太?』
不安そうに見つめる山倉さん。
『山倉さん、本当にごめんなさい』
『蒼太〜』
ホッとしたのか笑顔がこぼれる山倉さん。僕はそんな山倉さんの笑顔を見て思ったんだ。
まだまだわからないことは山ほどある。学年が同じでも皆の方が詳しくて、何が大事で何を優先しなくちゃいけないってことを教えてくれてる。心の何処かで不安があり、不満があり、優しくされてても何処かで疑っていたのかもしれない。
そんな僕を、それでも支えてくれる皆。
そんな皆を心から信じられる、信じてもらえる本当の仲間になりたいと思います。
少しギスギスした雰囲気。そんな空気を吹き飛ばす川嶋…ヒロの性格。
だが、一人だけ…一人この出来事を知らずにずっと下駄箱で待つ女性。さすがのヒロも後退りする負のオーラを放ちながら化粧を直す女性の姿がそこにあったんだ…
ビッと勢いよく化粧ポーチを閉めると…
『…遅いよ?』
クールビューティーが歩み寄る…