地下メロ。
地下室のメロディー。略して地下メロ。
その訳のわからない地下室のメロディーは駅近くの繁華街にあった。
繁華街に着くと皆一斉に上着を鞄に詰め出す。僕も皆の真似をし、鞄に突っ込んだ。
確かに来て納得。見て納得。
地下室のメロディーは地下にあるカラオケ店だった。
『今日、休みだから遅くまで遊べるんだ〜。今日オールだからね、オール!』
満面の笑みを浮かべ誰よりも早く階段を降りる渡辺さん。クールなイメージが強かったせいかハシャグ姿がなんだか可愛く見えた。
渡辺さんは、夜のお店でバイトをしていた。
親からの仕送りもなくアパート代や生活費など、全て自分でやりくりする。皆と一緒に居たくてもなかなか都合がつかなく、今日みたいにバイトが休みだとおもいっきり遊ぶみたいだ。
下駄箱で待ってた渡辺さん。凄く楽しみにしてたんだな。そんなことを思っていたら皆においていかれた…
皆、早い…
階段を降りると真っ黒のドアがあり、ドアを開けると受付となっていた。
少し暗めな照明でなんとなく怪しい雰囲気を感じるお店。
『ちょ、ちょっとストップ!美奈ストップ!』
奥からヒロの声がする。
見ると渡辺さんと睨み合う三人の女性。険悪な雰囲気の中、止めに入るヒロ。
受付では山倉さんと小牧さん。晴也はその横の椅子に座って携帯をいじっていた。
僕は、喧嘩してるし!
と、ヒロと一緒に止めに入った。
受付では『B215です…が、あの』『B3空いてないですか?』『…空いてますよ』と、ドギマギする店員に対し普通にやりとりし、普通に部屋番を貰う山倉さん。そして…
『行くよ〜』
と、マイクをくるくる回すと…
『きゃっ!』
可愛らしい声が…
再び止めに入ろうと…
目を疑う光景…僕は思わず自分の目を疑った…
渡辺さんの後ろに立つヒロ。そしてシャツの下から両手を入れて渡辺さんの胸をワシワシと揉みしだいていたのだ!
『て…てめ〜ヒロ!』
ニヤニヤしながら山倉さんが持っている部屋番を奪うと、逃げるように廊下を走り出すヒロ。顔を真っ赤にし、胸元を抑える渡辺さん。睨むようにヒロを見ると凄い勢いで追いかけ始めた!
え、え〜!
その場に放置された僕と他校の女性三人。目を合わせると『すみません』と、頭を下げる僕。そのままゆっくり歩き山倉さん達の元へ合流した。
『ふざけんなよ!』
苛立っていたのか不満を爆発させる女性。僕達に近づき…
『あの女連れてこいよ!いますぐ!』
怒りが治まる気配のない雰囲気。
小牧さんがコソコソと晴也の後ろに回り込むと
ほい!
晴也を押し出した!
『え、あ、俺?』
いきなり押されて慌てる晴也。振り向くと横を向いて目を合わせようとしない小牧さん。山倉さんに助けを求めようとするも歩き出していた。
……僕の方は見なかった。
『はぁ』と、ため息を吐きながら頭を掻く晴也。
『女と交わるのは夜だけにしてくれる?』
『はぁ!?なにいっ』
『それに俺達、そこの学校だよ?意味わかるかな?お嬢様』
と、少しニヤけると真ん中の可愛い子の頬を舐めるように撫でた。
『やめといた方があんたらの為だから。うちの女は怖〜ぞ〜』
そして、軽く頬をつねり笑いながらその場を離れた。
そんなやり取りを間近で見ていた僕は、またしても『すみません』と、軽く頭を下げてその場を離れた。
喧嘩とかにならなくて良かった。少しホッとする自分がいた。
『いてっ!マジいてっ!』
僕の前を歩く晴也の悲鳴。
真顔で晴也のスネを蹴り続ける小牧さん。
あんな険悪な雰囲気になっても動じない山倉さん…
もしかしたら…
進級できないかも…卒業出来るのかな…
なんだか先が思いやられるな…
そんなことを思いながら部屋に向かった。