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電車を降り、改札を抜けると一瞬ヒヤッとした空気に包まれた。積もった雪は殆ど溶けてはいたものの、道路の端に追いやられた雪は冷気を零していた。
辺りをキョロキョロと見渡し、誰かを探しているのか『やっぱりいないね〜』と、少し暗い表情を浮かべゆっくり歩く山倉さん。そんな山倉さんのピョンと主張する寝癖を見ながら歩く僕は意地悪だった。
『おはよ〜』
いつもの朝の教室。
鞄を置き席に着くとヒロと渡辺さんが近づいてくる。
『綾、寝癖!』
すぐに気づく渡辺さん。
『えっ?』と慌てて髪を触る山倉さんは僕の顔を見ると急いでトイレに駆け込んだ。
そんな山倉さんを呆れる二人は溜息を吐きながら
『また晴也来てないけど、寝坊とかじゃねーか?』
と、頭を掻くヒロ。
『もう腕立てとか嫌だな〜』
と、僕の前で両手を上げ背伸びをする渡辺さん。細いくびれと、ピアスが輝くおへそが僕に挨拶をするように顔を出す。笑いながら愚痴をこぼす二人は殆ど寝てないのに元気だった。
確かに晴也の席を見ると、まだ来ている様子は無かった。
朝方、小牧さんと一緒に帰ったのかと僕は思っていた。だが、その小牧さんの姿も見当たらないのが少し気になった…
『また、腕立てとかならいいけどね』
と、笑いながら教科書を机にしまうと、奥の方で『クシャ』と潰れる音がする。僕は手を入れて取り出すと四つ折りの手紙が入っていた。
『あ〜、寝癖が反抗期だよ』
と、慌ただしく戻ってくる山倉さん。水を付けたのか少し濡れた髪の毛は、やはり力強く主張していた。
『蒼太!なんで教えてくれなかったの!?も〜』
不機嫌をぶつける山倉さん。口を尖らせながら一生懸命髪をとかしていた。
そのままチャイムが鳴りHRが始まった。
また、遅刻か…
さすがに減点はまぬがれない。そう覚悟を決めHRを迎えるも…
覇気を感じない先生がゆっくりと歩き教卓に立つ。
目を真っ赤に染めた先生は僕のことをジッと見つめ、少し俯く。そして、深呼吸をすると…
『おはよう』
少し震える声。出席も取らずに今日の予定と連絡事項を告げると早々にHRを終わらせた。
『綾乃、ヒロ、美奈、蒼太。後で職員室まで来てくれる?』
と、足速に教室を後にした。ざわめく教室。
何か嫌な予感がし、ふと横を見ると山倉さんもヒロも渡辺さんも真剣な表情を浮かべていた。僕達は見つめ合うと同時に席を立ち、急いで職員室に向かった。
何があったのかはわからない!僕達のグループだけ呼ばれたってことは…
僕の知らない世界…
ここから始まる悲劇はもう一人の僕を蘇らせる引き金となった…