急いで職員室に向かった僕達は忙しなく動き回る先生達を横目に吉谷先生の元へと駆け寄った。
『先生!』
両肘をつき頭を抱える先生。ゆっくりと立ち上がると奥の部屋に通された。
『皆はわかってると思う…』
言葉を詰まらせる先生。
『…蒼太には辛い報告をしなくてはいけない』
真剣な眼差しで見つめる先生。僕達を椅子に座らせるとポケットから取り出したタバコに火を付けた。『フゥー』と窓から外に煙を吐くと髪の毛を掻き上げる。
『せ、先生…もしかして二人のことですか?』
この重たい空気に耐えられず自ら喋り出していた。
目を瞑り、眉間にシワを寄せる。タバコを何度も吸う先生はタイミングを測っていた…が、言いたくない…認めたくはなかったのだ。
『あの二人は何か悪いことでもやったんですか?退学とか言わないでください!僕が何でもしますから!どんな罰でも受けますから!』
僕は何度も頭を下げた。膝をついて土下座をしてお願いをした。
『蒼太…違うんだよ』
そんな僕の背中を優しく触れるヒロ。
『違くなんかない!あの二人は本当に優しいんだ!仲間なんだよ!これから…これからもっと仲良く…』
必死だった。
やっと友達が出来て、もっともっと分かり合えて、ずっと一緒に笑い合える。そうなると確信していたんだ!それを学校の物差しで離れ離れにするなんて絶対に許さない!僕は絶対にさせない!
『…蒼太?』
『なんですか!?…』
感情を剥き出しにし睨むように先生を見ると…
そこには口元を震わせながら目に涙を浮かべる先生がいた。
『蒼太?先生もわかってる。…わかっててもどうすることも出来なかった』
声を震わせながら話す先生は何度も歯を食いしばり話し続けた。
『じゃあ…やっぱり二人…は…』
声を詰まらせる山倉さん。
『………ごめんなさい』
我慢出来なくなった先生は謝りながら俯き大量の涙を流した。そして…
『……小牧…真理……………卒業…』
卒業って?
『卒業って何ですか!!!先生!』
俯きながら声にならない声を出す先生。そんな先生に掴みかかろうとする僕。
『ヒロ!!!』
叫ぶようにヒロを呼ぶ山倉さんは泣いていた。
渡辺さんも先生を見つめ、必死に涙を堪えるも溢れ出した涙は決壊したダムのように零れ落ちた。
暴れまわる僕を強引に掴むと、そのまま力尽くで引きずるように部屋の外に連れ出す。ヒロもまた目を真っ赤にし、必死に堪えていた。
『まだ……蒼太には早かったのです!わ……くっ……私達……私達が!……後で話しますので……くっ…うぅ……つ、続きを!お願いします!!!』
部屋の外まで聞こえる叫ぶような声、辛くても通さなくてはいけない意地でもあった。ここで感情に流されているようでは…この先には進めない世界だから!
震え涙する山倉さんの声は、別れと覚悟と決意の現れ。何があっても必ず守る!これ以上、仲間を失わないと心に深く刻み込んだ!