※この作品はR-18です。

僕らはみんなわがままで   作:やまのじ

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27P

 

 

 

『ダメよ。絶対に行かせないから』

 

 

冷静に話す山倉さん。そしてヒロを見つめると絶望したような表情を浮かべていた。

 

 

『なんで?そのSクラスって!?わかんないよ!』

 

 

あの平和な学校にそんなことする人がいるなんて信じられなかった。皆、仲良くて、優しくて、人を殺すなんてことが出来るわけない!

 

 

『嘘だよ!この間のカラオケの奴等に決まってるよ!あいつら悪そうだったじゃないか!』

 

 

僕は大声をあげて怒鳴り散らした!

だが、三人とも口を閉ざしたまま話そうとはしなかった。

 

 

『なんだよ!何とか言ってよ!』

 

 

仲間の為に喧嘩をしてくれたり、何かあるとすぐに答えを導いてくれる。いつものように行動に移してくれると思っていた。だが、返ってきた答えは…

 

 

『…平和な学校ではないの』

 

 

その時、山倉さんの携帯が鳴る!

鳴り続ける携帯の電源を切ると、何か吹っ切れたように話し始めた…

 

 

『私達は皆、人を殺しているの…犯罪者なの』

 

 

 

え?

 

 

僕は驚いて声も出なかった。

 

 

『私達だけじゃない。学校の全ての生徒が犯罪者なの』

 

 

この学校に通う者、皆、犯罪者。

この建物は軽犯罪から重犯罪を犯した者を更生させる為の施設。少年院の通う施設と言ったところだった。

 

階が上がる毎に罪が重くなり、私達がいる三階のクラスは重犯罪の殺人の犯罪者の為の教室となっていた。

 

平和そうに見えていたのは二年に進級した者だから。入学してから様々なことを学び適応力が備わった結果、こうゆう普通の表情を見せ、普通に生活出来るまでになったのだ。皆、一年の頃は荒んだ顔つきで手のつけられない犯罪者そのものだった。

 

そして、Sクラスとは殺人やレイプを喜々として行ってしまう者。私達とは別格の罪人。少年にして死刑囚レベルの集団。

 

 

『嘘だよ!山倉さんが?ヒロが?渡辺さんが?人なんて殺せるわけないよ!僕だって人を殺すなんてこと出来るわけない!』

 

 

思わず腰を抜かしてしまった。

 

 

そんな僕に近づき、両膝をつく山倉さん。

 

 

『あなたは多重人格障害なの』

 

 

そして…

 

 

『蒼太の記憶にはないかもしれないけど、私は子どもの頃からあなたを知ってる』

 

 

と、少し淋しそうな目で僕を見つめる山倉さん。ゆっくり立ち上がると…

 

 

『四階の住人には絶対に関わってはいけない。あの二人は…あの二人は、踏み込んではいけない領域に足を踏み込んでしまった。真理はわかっていたはずなのに…』

 

 

と、携帯の電源を入れ電話をかけながら玄関に向かう山倉さん。そして、そのまま外に出ると少しの間、戻って来なかった…

 

 

『蒼太、とりあえず茶でも飲むか』

 

 

と、僕の腕を掴むと引っ張るように起こすヒロ。そのままリビングに向かうとソファーに腰掛け、話し始めた…

 

 

授業が終了してPM5:00〜AM7:00までは学校敷地内侵入禁止令という決まりがあった。これは学校が決めたのではなく、やはり、山倉さんが作ったルール。

 

全教員の撤退。

敷地内から出れなくなってしまうからだ。校内を完全封鎖することで帰宅した生徒に専念出来るという意味もあった。

 

教員が居なくなったことによる無法地帯。誰も守ってくれる人はいない危険区域となるのは必然。一年生の半分近くは度胸試しやサバイバル感覚で顔を出し、オモチャにされ殺される。今年入った一年生もすでに何人も殺されていたのだ。

 

入学初日に一通りの説明は受けていたはず。だが、犯罪者の本能と言うのか若気の至りとでも言うのか、深夜の侵入は後を絶たないのも事実だった。

 

話を聞けば聞くほど信じ難いことだった。だが、二人の表情を見ていればそれは紛れもない事実なのだろう…。そして、小牧さんの無念を晴らすことすら出来ない自分の無力さに腹立たしさを覚えた…

 

 

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