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『とりあえず一息いれよ』
僕とヒロにコーヒーを手渡す渡辺さん。少し笑みを浮かべるとヒロの横に腰掛けた。そしてゆっくりと目を閉じると静かに喋り始めた…
『真理はね?綾のこと凄く慕っててさ、いつも後ろをついて回ってたの…
一年前…
ビー、ビー…
『お前は何を持って来てるんだ!』
『うるせんだよ、こら!護身用だボケ!』
入学初日、学校に入るだけで空港のように厳重なゲートを通された。そして、次々と引っかかる生徒は奥の個室へと通され、ゲート付近に置かれた箱には沢山のナイフや鉄の棒が山積みとなっていた。
もちろん私も鞄の中にはスタンガンが入っていた…
ヤバイかな…でも、鉄じゃね〜し大丈夫…でしょ?
そんなことを思い列に並ぶと前に並ぶちっさな中学生…みたいな子どもが繁みに鞄を投げていた。
『あ…ねえねえ鞄いらないの?』
『え…いらなくはないですよ。護身用ですので』
じゃ〜なんで捨ててんだよ!
心の中で突っ込んだが相手は子ども。大人の貫禄を見せつけようと優しく微笑んだ。
『じゃ〜なんで捨てたの?』
私は優しく聞くと…
『お姉さん、綺麗なくせにバカですね』
と、そのまま前を向く子ども。
子どもにバカ呼ばわれされた私。鞄からスタンガンを取り出し背中に食らわせてやる!
『厳重なのは朝だけなんですよ。だから後で取りにくるのです。』
前を向きながら話す子どもはスタスタと歩いて行ってしまった。そして、スタンガンを忍ばせていた私はゲートで捕まり没収され、個室に呼ばれると身包み剥がされ身体の隅々までチェックされた。
『もうあんな物騒なの持ってくるなよ』
『うるせ〜!』
なんで朝から辱めを受けなきゃならないんだ!苛々はするものの、やはりあの子どもみたいな生き物は少し気になっていた。
今度会えたら少し話してみたいな…
そんなことを思いながら教室に入ると
『あ!』
教室の一番前の席にキチンと座る子どもの姿が!
そして、私のことをチラッと見、再び二度見するとすぐに隣の金髪ギャルに話しかける子ども。
『あの人です。朝、教えて上げたのに捕まったおバカさんは。ホント、バカですね』
子どもだと思い我慢していりゃ調子にのるだけ。私は有無を言わずに子どもの顔面を蹴ろうとした……
『美奈!なんでお前までいんだよ!』
教室の後ろから聞こえる大きな声。蹴るのをやめて振り向くと長身のドレッド男が笑いながら立っていた。
『うるせ〜なテメー』
ドレッド男を睨みながら立ち上がるヤンキー男。そのまま喧嘩が始まった。
ちょんちょん…
袖を引っ張られる…
私はふと振り向くと、さっきの子どもが私を見つめていた。
『綺麗なお姉さん。ここでは喧嘩はしちゃダメなんですよ』
と、ニコッと子どもらしい笑顔を振りまく子ども。そんな笑顔に思わず可愛いと思ってしまう私がいた…